- 始めに(特徴紹介)
- 使用アンプ一覧と特徴【The Mothers of Invention・Frank Zappa】
- 使用ギターの種類と特徴【The Mothers of Invention・Frank Zappa】
- 使用エフェクターとボード構成【The Mothers of Invention・Frank Zappa】
- 音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【The Mothers of Invention・Frank Zappa】
- 比較的安価に音を近づける機材【The Mothers of Invention・Frank Zappa】
- 総括まとめ【The Mothers of Invention・Frank Zappa】
- 下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
始めに(特徴紹介)
フランク・ザッパ(Frank Zappa)は、The Mothers of Inventionの中心人物として知られる唯一無二のギタリストです。彼の音作りは、従来のロックやブルースの枠に収まらず、クラシック、ジャズ、前衛音楽の要素まで大胆に取り入れた点で非常に特異な存在でした。Zappaのギタートーンは、一瞬で聴き手に「これはZappaの音だ」とわかるほど個性的で、複雑なコード進行や変拍子の中でも鮮烈に際立ちます。
彼のサウンドの大きな特徴は、豊富な倍音と徹底的に追い込まれたエフェクトの使い方にあります。単純に「歪ませる」だけでなく、フィルターやEQ、コンプレッションを組み合わせ、時にはキーボード用のエフェクターをギターに流用するなど、実験的な精神を常に持ち続けていました。そのため、同じフレーズを弾いても、エフェクトのかけ方やアンプの組み合わせで全く違うニュアンスが生まれるのです。
代表曲として挙げられる「Black Napkins」「Zoot Allures」「Inca Roads」などでは、彼特有の滑らかで歌うようなリードギターが聴けます。特に「Zoot Allures」のリードトーンは、コンプレッサーとフィルター処理が効いたサステインの長い音で、多くのギタリストが再現を試みた名サウンドです。
また、ライブでは常に複数アンプや改造機材を駆使し、毎回異なるニュアンスのトーンを生み出していたことから、Zappaの音は単一のセッティングで再現するのが難しい反面、研究する楽しさも大きいのです。
この記事では、Frank Zappa(フランク・ザッパ)がThe Mothers of Inventionで残した音作りを深堀りし、アンプ、ギター、エフェクター、EQセッティングに至るまでを徹底的に解説していきます。彼の唯一無二のトーンに近づくための具体的なヒントを探っていきましょう。
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使用アンプ一覧と特徴【The Mothers of Invention・Frank Zappa】
フランク・ザッパ(Frank Zappa)のサウンドを支えたのは、ギターそのものだけでなく、徹底的に選び抜かれたアンプの存在です。Zappaは初期のキャリアから晩年に至るまで、常に「音をどのように表現するか」という視点でアンプを選び、時に複数台を同時に組み合わせることで独自のトーンを作り上げました。
初期のThe Mothers of Invention時代には、Fender Deluxeが重要な役割を果たしました。コンボタイプのDeluxeは、ジャズやブルース寄りのサウンドを持ち、ザッパが使用したGibson ES-5 Switchmasterとの組み合わせで温かみとクリアさを両立していました。この時期は、まだ大規模なPAシステムが普及していなかったため、ステージ上でのアンプの役割は非常に大きかったといえます。
1970年代に入ると、よりパワフルなサウンドを求めてMarshall JMPがメイン機材として登場します。Marshall特有の中域に張り出したサウンドと強い歪みが、ザッパの鋭いソロにマッチし、「Zoot Allures」や「Inca Roads」などのライブバージョンでは、その圧倒的な存在感を確認することができます。
1980年代に入ると、スタジオワークの比重が増したこともあり、Carvin X100Bのような高機能アンプを積極的に導入しました。クリーンから歪みまで幅広いレンジを持つこのアンプは、ザッパの複雑なエフェクトシステムとの相性が良く、プロダクションレベルでの作業において欠かせない存在となりました。
さらにユニークなのが、Pignose 7-100の使用です。小型電池駆動アンプながら、改造によってXLR出力や18V駆動を実現し、テレビ番組出演時やスタジオで「意図的なダーティトーン」を作り出すために活用されました。単なる練習用アンプにとどまらず、Zappaの手にかかればライブやレコーディングでも十分な武器となったのです。
また、Zappaの重要な特徴として「複数アンプの同時使用」があります。彼は歪み専用アンプとクリーン専用アンプを並行して使い分け、さらに内蔵プリアンプでラインレベルを上げることで、PAへ直接シグナルを送り込むスタイルを確立しました。これにより、通常のギタリストでは得られないレンジ感と定位感を持つギターサウンドを作り出しています。
このように、Fender Deluxeの温かみ、Marshall JMPのロック的パワー、Carvinの多機能性、Pignoseの実験的トーン、さらにマルチアンプシステムの導入が、フランク・ザッパの音作りを決定づけました。これらの組み合わせこそが、唯一無二のZappaサウンドを実現していた、と想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
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Fender Deluxe | Fender | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | 初期の使用アンプ。ES-5 Switchmasterと組み合わせ。 |
Marshall JMP | Marshall | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | 1970年代ライブの主要アンプ。 |
Carvin X100B | Carvin | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | 1980年代スタジオやツアーで使用。 |
Pignose 7-100 | Pignose | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | 小型改造アンプ。テレビ番組や特殊トーン用。 |
複数アンプ併用 | Various | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | 歪み+クリーンを分離、PA直結ライン出力。 |
使用ギターの種類と特徴【The Mothers of Invention・Frank Zappa】
フランク・ザッパのギタートーンを語る上で、使用ギターの存在は外せません。彼はキャリアを通して数多くのギターを所有し、しかもその多くを独自に改造していました。その結果、同じモデルでも「Zappa仕様」と呼べるほど特徴的なカスタマイズが施され、唯一無二のトーンを実現しています。
まず初期のMothers of Invention時代に登場したのが、Gibson ES-5 Switchmasterです。フルアコースティック構造を持つES-5は、温かみのあるクリーントーンと滑らかなサステインが特徴で、ザッパは初期には比較的改造の少ない状態で使用していました。ジャズ要素の強いフレーズや実験的なコードワークとの相性が良く、当時のライブ映像や写真でも確認できます。
その後、彼の象徴的なギターとなったのがGibson SGです。黒いSGを初期に使用し、後期には赤いカスタムSGへ移行。さらに’61 Standard仕様では、ヴィンテージチェリーフィニッシュ、小型ピックガード、スリムテーパーネックにBurstbuckerピックアップを搭載。このSGにはコイルタップ、フェーズリバース、シリーズ/パラレル配線、オンボードプリアンプなど数多くの改造が施され、ライブごとに音色を柔軟に変化させることが可能でした。
また、Fender Stratocasterも重要な位置を占めています。特に有名なのがジミ・ヘンドリックスが破壊したストラトを入手し、修復して使用したエピソードです。このストラトにはBarcus Berry Dotピックアップを搭載した例もあり、1980年代には「ブロンドストラト」と呼ばれるモデルもステージで使用されました。これにより、より明瞭で切れ味のあるトーンを得ることができました。
さらに、ZappaはPerformanceブランドのストラト形状ギターも愛用しました。会場の音響特性に応じて放出周波数を調整できるという特注仕様で、まさに彼らしい「実験のための楽器」といえます。セミホロウ構造のHagstrom Vikingは、息子Dweezil Zappaの「Zappa Plays Zappa」で使用されたことで再注目されました。
1980年代後半にはTelecasterも使用され、特にクリーントーンを求める楽曲で活躍。軽快で明るいサウンドがバンドアンサンブルを支える役割を果たしました。
ザッパの弦の使い方も特徴的で、弦高は低め、ゲージは0.08〜0.09を愛用。これによりテクニカルなフレーズや速いビブラートを容易にし、表現の幅を広げていました。
総じて、Zappaのギター選びは「単なるブランドやモデルへのこだわり」ではなく、「その瞬間に必要なサウンドを引き出せるかどうか」を基準としていました。そのため同じ曲でも異なるギターを使用することがあり、常に新しい音を探求していた姿勢が垣間見えます。これらのギターの多様性こそが、Zappaの音作りを支える大きな要素であったと想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
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Gibson ES-5 Switchmaster | Gibson | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | フルアコ | 初期に使用。比較的改造は少なめ。 |
Gibson SG(黒/赤/’61 Standard) | Gibson | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | ソリッド | 多数改造(コイルタップ、フェーズリバース等)。ライブのメインギター。 |
Fender Stratocaster | Fender | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | ソリッド | ヘンドリックス破壊品を修復。1980年代はブロンドストラトも使用。 |
Performance Stratタイプ | Performance | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | ソリッド | 会場特性に合わせ放出周波数を調整可能なカスタム仕様。 |
Hagstrom Viking | Hagstrom | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | セミホロウ | Dweezilによる「Zappa Plays Zappa」でも使用。 |
Telecaster | Fender | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | ソリッド | 1980年代後半、クリーントーンで使用。 |
弦(ゲージ008〜009) | Various | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | アクセサリー | 弦高低め、速いビブラートやテクニカルプレイに対応。 |
使用エフェクターとボード構成【The Mothers of Invention・Frank Zappa】
フランク・ザッパのギターサウンドにおいて最も象徴的なのが、独自のエフェクト運用です。彼は単なるオーバードライブやディストーションに留まらず、シンセ用のフィルターやラックマウント機材をギターに応用し、常に新しい音響体験を探求しました。そのため、彼のペダルボードは一般的なギタリストの枠を大きく超えた「音響実験ラボ」ともいえる構成になっていました。
まず特筆すべきはOberheim VCFです。本来はキーボード用のフィルターですが、Zappaはこれをギターに導入し、代表曲「Black Napkins」や「Drowning Witch」で独特のフィルタリングサウンドを披露しています。筐体を取り外しスロット式ラックに組み込み、自在に操作できるようにしていた点も彼らしい工夫です。
また、1970年代初期にはMu-tronシリーズを多用しました。特にOctave Dividerは分厚い低音と独特の倍音感を付加し、Bi-phaseは2系統のフェイザーを駆使してクリーンかつコンプレッション感のあるモジュレーションを生み出しました。これらはZappaの複雑なコードワークを一層際立たせる効果を持っていました。
ワウペダル(VOX V847など)もZappaの必需品で、単なる「ワウワウ」効果ではなく、ペダルを特定のポイントに固定しミッドを強調する用途で頻繁に使用しました。これにより、歌うようなリードトーンや人間的なニュアンスを持つサウンドを実現しています。
さらに、彼のメインファズとして長年使用されたのがElectro-Harmonix Big Muff Piです。しかも1台ではなく2台をラックに組み込み、外部スイッチで切り替え可能な状態にしていました。厚みのある倍音と持続感を重視するZappaにとって、Big Muffは欠かせない存在でした。
モジュレーション系ではMXR Flanger(M117R)やラック型Dynaflangerを使用。二重に組み合わせることで立体的なフランジング効果を得ていました。さらにdbx 160 Compressor/Limiterを導入し、ラインレベル出力でのヘッドルームを確保。これにより、PAやミキサーに直接接続しても音質劣化を防ぎ、ライブでもスタジオ同様の緻密なサウンドを再現可能にしました。
加えて、短いディレイで奥行きを加えたり、極端なEQで特定の帯域を強調するなど、Zappaのエフェクト運用は「効果を足す」というより「音を作り込む」ことに特化していました。そのため、彼のボード構成は時期によって大きく異なりますが、一貫して「実験的で実用的」という哲学に基づいていたといえます。
このように、Frank Zappaのエフェクトシステムは単なるペダルの寄せ集めではなく、シンセサイザー的な発想で構築された高度なサウンドデザイン機構でした。その独創性が唯一無二のトーンを生み出し、多くのギタリストを魅了し続けていると想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
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Oberheim VCF | Oberheim | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | オートワウ・エンベロープフィルター | キーボード用フィルターをギターに応用。「Black Napkins」で使用。 |
Mu-tron Octave Divider | Mu-tron | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | オクターブ | 1970年代初期に使用。分厚い低音を付加。 |
Mu-tron Bi-phase | Mu-tron | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | フェイザー | 2系統独立フェイザーでクリーンサウンドを拡張。 |
VOX V847 Wah Pedal | VOX | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | ワウペダル | 1967年頃から使用。特定ポイント固定でミッドを強調。 |
Electro-Harmonix Big Muff Pi | Electro-Harmonix | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | ファズ | 2台をラック組込みで使用。分厚い倍音が特徴。 |
MXR Flanger (M117R) | MXR | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | フランジャー | Dynaflangerと組み合わせて使用。 |
dbx 160 Compressor/Limiter | dbx | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | コンプレッサー | ラインレベルでヘッドルーム確保。PA直結に対応。 |
短いディレイ・EQ処理 | Various | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | ディレイ | 奥行きと立体感を付与。極端なEQで帯域を調整。 |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【The Mothers of Invention・Frank Zappa】
フランク・ザッパ(Frank Zappa)の音作りは、単にギター・アンプ・エフェクターの組み合わせだけでなく、セッティングやミックス処理に至るまで徹底的に計算されていました。彼のサウンドは「実験音楽的」と称される一方で、ライブでもスタジオでも明確にギターが抜けて聴こえる点が特徴です。
まずアンプのEQ設定に関しては、複数アンプを併用する手法が有名です。歪み用アンプでは中域をカットし、輪郭のはっきりしたサチュレーションを得ていました。一方、クリーン用アンプはベースとトレブルを強調することで、リードプレイ時にも埋もれず、バンド全体のサウンドに立体感を与えています。この二系統を同時にミックスすることで、通常のギタリストが得られないレンジ感を実現していたのです。
エフェクトのセッティングにおいても独特の工夫があります。ワウペダルはペダルを動かして効果を出すよりも、ミッドレンジが強調される位置に固定し、EQの一部として使うことが多かったと言われています。これにより、歌うようなトーンと人間的なニュアンスを付加しました。Big Muffはゲインを過度に上げず、サステインと倍音を重視したセッティングが中心で、二台を切り替えることで楽曲ごとに音色を変えていました。
また、コンプレッサー(dbx 160)の使い方も特徴的です。多くのギタリストが「音量を均一にする」目的で使用するのに対し、Zappaはラインレベルでのヘッドルーム確保を意識して使っていました。これにより、エフェクトを通した複雑なシグナルチェーンでも音が潰れず、クリーンでダイナミックなサウンドを維持できました。
ディレイやリバーブは深くかけるのではなく、短いディレイで奥行きを与える程度に抑えています。この控えめな空間処理により、ギターが前に出ながらも立体的に聴こえるバランスを保っていました。スタジオ録音ではマルチトラック録音をフル活用し、ギターを複数回録音して左右に配置することで、あたかも異なるアンプから鳴っているかのような広がりを演出することもありました。
曲ごとの使い分けについても明確です。「Black Napkins」ではフィルタリングとコンプレッションによる持続的で滑らかなリードトーンを重視し、「Inca Roads」ではフランジャーやフェイザーを駆使して宇宙的な浮遊感を演出しました。「Zoot Allures」ではファズの倍音を強調し、ダークで粘り気のあるサウンドを前面に出しています。いずれもアンプやエフェクト単体の設定ではなく、EQやミックス処理を組み合わせることで完成する音色です。
さらにPAやエンジニア目線で見ても、Zappaのシステムは独特でした。通常のギタリストがアンプのマイク取りを前提にするのに対し、彼はプリアンプを通した高レベル信号をPA卓に直接送る方式を採用していました。この手法は80年代以降のハイテク志向のギタリストに大きな影響を与えています。
総じて、Zappaの音作りは「固定されたセッティングを持たない」ことに本質があります。楽曲や会場ごとにEQやエフェクトを柔軟に変化させ、時には即興的にシステムを組み替えることで、その瞬間の音楽に最適化していたのです。再現を試みる際も、具体的な機材セッティングをコピーするより、こうした柔軟なアプローチを意識することが重要だと想定されます。
比較的安価に音を近づける機材【The Mothers of Invention・Frank Zappa】
フランク・ザッパの音作りを完全に再現するのは、彼が多くの改造機材やラックシステムを駆使していたため非常に難しいのが実情です。しかし、現在市販されている手頃な機材をうまく組み合わせることで、Zappa的なサウンドに近づけることは十分可能です。ここでは初心者〜中級者でも導入しやすい製品をピックアップし、その理由を詳しく解説します。
まずファズサウンドの再現には、Electro-Harmonix Nano Big Muffを推奨します。Zappaが長年愛用したBig Muff Piのミニ版であり、同系統の分厚い倍音とサステインを得られます。サイズがコンパクトでボードに組み込みやすいのも利点です。オリジナルと完全に同じではありませんが、Zappa特有のリードトーンを手軽に体験するには最適です。
ワウペダルに関しては、VOX V845やCry Baby GCB95などが候補になります。Zappaはミッドを強調するためにワウを固定して使用していましたので、こうした定番ワウを用意し、スイートスポットで止めるだけでそれらしいニュアンスを得られます。安価で入手しやすいのもポイントです。
モジュレーション系では、MXR Phase 90が良い選択肢です。Zappaが使っていたMu-tron Bi-phaseの代替としては機能的にシンプルですが、フェイザー特有の揺らぎを与えることで浮遊感のあるトーンを再現可能です。より幅広い揺れを求めるならBOSS PH-3も選択肢になります。
さらに、コンプレッションと音圧の再現にはBOSS CS-3を推奨します。Zappaが使用したdbx 160のスタジオクオリティには及ばないものの、手軽にサステインと音の均一化を得られます。リードトーンでの伸びを補う効果が高く、初心者でも扱いやすいモデルです。
ディレイについては、BOSS DD-8のようなデジタルディレイが便利です。短いディレイタイムに設定すれば奥行きを持たせるZappa風の処理が可能ですし、ステレオ出力で空間的な広がりを演出することもできます。
また、近年ではマルチエフェクターが大きな味方となります。Line 6 HX StompやZOOM G5nなどは、ファズ、ワウ、フェイザー、コンプレッサー、ディレイまで一通り網羅できるため、Zappa的な実験的音作りをシミュレートしやすい環境を提供します。特にHX StompはアンプシミュレーターやEQも高品質で、彼が駆使したマルチアンプのような立体的サウンドも再現可能です。
これらの機材を活用する際のポイントは、「設定を固定しない」ことです。Zappaは常に音を変化させる姿勢を持っていたため、あえて極端なセッティングを試したり、複数エフェクトを直列につないで予想外の音を作ることが重要です。完璧なコピーを目指すよりも「探求する楽しさ」を意識することこそ、彼の音に近づく第一歩といえるでしょう。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
ファズ | Electro-Harmonix Nano Big Muff | Electro-Harmonix | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | オリジナルBig Muffの廉価版。厚みのある倍音が得られる。 |
ワウペダル | VOX V845 | VOX | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | 固定ワウの再現に適する。安価で入手容易。 |
フェイザー | MXR Phase 90 | MXR | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | Bi-phaseの代替として揺らぎを付加。 |
コンプレッサー | BOSS CS-3 | BOSS | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | dbx 160の簡易代替。サステインを強調可能。 |
ディレイ | BOSS DD-8 | BOSS | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | 短いディレイで奥行きを再現可能。 |
マルチエフェクター | Line 6 HX Stomp | Line 6 | Amazonで探す | The Mothers of Invention | Frank Zappa | マルチアンプや複雑なエフェクトチェーンを再現可能。 |
総括まとめ【The Mothers of Invention・Frank Zappa】

フランク・ザッパ(Frank Zappa)の音作りを振り返ると、その核心は「常に音を探求し続ける姿勢」にあります。彼は決して一つの機材や固定されたセッティングに依存せず、その時々の楽曲やステージ、会場に応じてシステムを作り替えていました。ギター、アンプ、エフェクターを自在に組み合わせ、時にはキーボード用のフィルターやスタジオ機材までもギターに応用する柔軟さは、他のギタリストには真似できないスタイルでした。
ザッパの特徴的なトーンは、単なる歪みやクリーンという二分法を超えています。歪みアンプとクリーンアンプの同時使用、オンボードプリアンプや改造配線、複数のエフェクトを直列につなぐ試み、さらにはラインレベルでのPA直結など、当時としては極めて先進的な手法を導入していました。その結果、ギターは単なる伴奏楽器を超え、オーケストラの一部やシンセサイザーのような役割すら果たすようになったのです。
また、Zappaのサウンドは「曲ごとに大きく異なる」という点も重要です。「Black Napkins」の滑らかなリード、「Zoot Allures」の粘り気のあるファズ、「Inca Roads」の宇宙的なフェイザーサウンドなど、同じギタリストが弾いているとは思えないほどの幅広さがあります。これは機材選びの巧みさと同時に、EQやミックスの扱いに長けていた彼の耳の鋭さを示しています。
現代のギタリストがZappaサウンドを再現する際に大切なのは、彼と同じ機材を揃えること以上に「音作りの哲学」を理解することです。つまり、固定概念にとらわれずに実験し、時には極端な設定を試み、常に「新しい音」を求める姿勢です。彼の音楽は決してコピーできるものではなく、むしろ「探求する精神」こそが最大の遺産といえるでしょう。
まとめると、Zappaの音作りの本質は以下の3点に凝縮されます。
1. 機材を徹底的に改造・実験的に使用すること。
2. 楽曲ごとに最適な音を柔軟に作り替えること。
3. ミックスやEQ処理を含めて「楽曲全体」で音をデザインすること。
これらを意識することで、現代の機材を使いながらもZappa的なサウンドに近づくことができます。そして何より重要なのは、彼のように「音で遊ぶことを恐れない」ことです。完璧なコピーは不可能ですが、その過程こそが音楽の楽しみであり、Zappaの精神を受け継ぐ第一歩なのだといえるでしょう。
下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
ギター
Gibson ES-5 Switchmaster
◦ 初期Mothers of Inventionで使用。改造少なめ。
Gibson SG(黒 / 赤 / ’61 Standard)
◦ 初期は黒、後期は赤カスタム。コイルタップ、フェーズリバース、シリーズ/パラレル配線、オンボードプリアンプなど多数改造。’61 Standardはヴィンテージチェリー仕上げ、小型ピックガード、スリムテーパーネック、Burstbucker搭載。
Fender Stratocaster
◦ ジミ・ヘンドリックス破壊品を入手し復活。Barcus Berry Dotピックアップ搭載例あり。1980年代は「ブロンドストラト」を使用。
Performanceブランドギター(ストラト形状)
◦ 会場の音響特性に応じて放出周波数調整可能。
Hagstrom Viking
◦ セミホロウ、メイプルネック、HJ50ハムバッカー。息子の「Zappa Plays Zappa」で使用。
Telecaster
◦ 1980年代後半クリーントーンで使用。
弦
◦ 弦高低め、ゲージ008〜009。
アンプ
Fender Deluxe
◦ 初期キャリア、ES-5 Switchmasterと併用。
Marshall JMP
◦ 1970年代ライブで主要。
Carvin(例:X100B)
◦ スタジオ/ツアーで使用。1980年代初頭使用例あり。
Pignose 7-100
◦ 小型5Wコンボ。ダーティサウンド用。XLR出力追加、18V改造の可能性。単3電池6本駆動。テレビ番組でも使用。
複数アンプ併用
◦ 歪アンプ+クリーンアンプを組み合わせ。歪はミッドカット、クリーンはベース/トレブルブースト。内蔵プリアンプで高ラインレベル出力。
エフェクター
Oberheim VCF
◦ キーボード用フィルターをギターで使用。「Black Napkins」「Drowning Witch」など。筐体取り外し、スロットシステムに組み込み。
Mu-tron Octave Divider
◦ 1970年代初期使用。
Mu-tron Bi-phase
◦ 1970年代初期使用。2独立6段階フェイザー。クリーンかつコンプレッションサウンド用。
Wahペダル(VOX V847など)
◦ 1967年頃から使用。特定ポイントで固定使用、ミッドポイント中心。
Electro-Harmonix Big Muff Pi
◦ メインツアーリグで長年2台使用。筐体取り外し、ラックに設置、外部スイッチ接続。厚みのある倍音豊かなファズ。
MXR Flanger(MXR M117R)
◦ ラックマウントDynaflangerと併用。フランジ効果重視。2台組み合わせでクラシックフランジャーサウンド再現。
dbx 160 Compressor/Limiter
◦ ギターリグでエフェクトと併用。ラインレベル出力でヘッドルーム確保。
その他エフェクト処理
◦ 短いディレイで深み付与、エフェクトを直接PAやミキサーに接続、極端なEQや改造も使用。
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