① 始めに(特徴紹介)
BAND-MAIDのリードギタリストKANAMI(カナミ)は、テクニカルなギタープレイと緻密に作り込まれたサウンドで国内外から高く評価されるギタリストです。BAND-MAIDの楽曲は、ハードロックやメタル、プログレ要素を含みながらもキャッチーで聴きやすく、そこにKANAMIのクリアで艶のあるリードトーンが加わることで、唯一無二のバンドサウンドを形成しています。
KANAMIのプレイは、ピッキングニュアンスを重視したフレーズが多く、フルピッキング、スウィープ、タッピング、ハイブリッドピッキングなど多彩なテクニックを駆使しています。また、音作りの観点では、PRSを軸にしたハイエンドギター群とBogner Ecstasy PANDORAなどのプロスペック機材を駆使し、ライブでもスタジオでも高い再現性を確保している点が特徴的です。
さらに、FREE THE TONEのスイッチングシステムARC-3を中核としたラック&ボード構成により、足元での直感的操作性とシステム全体の信頼性を両立。Eventide H9を使った空間系処理や、DigiTech Dropの使い分けなど、緻密なサウンドメイキングにも注目です。
その音はクリアながら芯があり、モダンなハイゲイン・トーンからアンビエントなディレイやリバーブ、クリーントーンまで幅広く、まさに“BAND-MAIDの心臓部”とも言えるサウンドを担っています。
②使用アンプ一覧と特徴【BAND-MAID・KANAMI】
KANAMI(BAND-MAID)のアンプセッティングは、プロフェッショナルな音像を支えるための綿密な構成で成り立っています。メインアンプにはBogner Ecstasy PANDORAを採用し、その3チャンネル構成を活かして、クリーントーンからハイゲイン、ソロ用の歪みまで自在に切り替えが可能です。特にCh2はメインの歪みチャンネルとして活用されており、豊かな中域と鋭さを兼ね備えたモダンなリードサウンドを提供します。
このPANDORAは、ライブでもレコーディングでも使用されていることが複数の信頼性あるインタビューで確認されており、彼女のトーンの中核を担っています。ピッキングニュアンスが忠実に出力され、演奏の表情がそのまま音に反映される点が魅力です。
キャビネットには、Mesa/Boogie 4×12 4FBを使用。Celestion G12 Vintage 30を4発搭載したこのキャビネットは、豊かなローエンドと明瞭な高域を実現し、Bognerアンプのポテンシャルを最大限に引き出しています。特に、音の押し出し感とヌケの良さがライブにおいて際立っており、ツインギター編成の中でもKANAMIのパートが埋もれることなく際立ちます。
センド/リターンに接続されるEQ(FREE THE TONE / PA-10G)やディレイ(Eventide / TimeFactor)などとの相性もよく、全体として非常にバランスの良いモダンなセットアップとなっています。音の分離感と立体感があり、BAND-MAIDのヘヴィかつ緻密なアンサンブルを支える上で最適な選択だと言えるでしょう。
③使用ギターの種類と特徴【BAND-MAID・KANAMI】

KANAMI(BAND-MAID)の使用ギターは、その多彩なサウンドを支える要となっており、Paul Reed Smith(PRS)を中心に、Addictone、G-Lifeといったハイエンドブランドのカスタムギターを自在に使いこなしています。彼女のメインギターとして注目されているのが、Paul Reed Smith 35th Anniversary Custom 24。美しいレッドサンバーストのトップに、バードインレイとフレイムメイプルが映える1本です。このギターはライブでも頻繁に登場し、その煌びやかで厚みのあるサウンドが特徴です。
その他にも、グリーンやパープルのカスタムカラーのPRS Custom24を複数所有しており、曲調や雰囲気に応じてギターを使い分けています。いずれのモデルも24フレット仕様で、KANAMIのテクニカルなプレイスタイルに非常にマッチしています。特に高音域での滑らかなリードプレイや、バッキング時のコードの分離感においてPRSのクオリティが際立ちます。
また、Addictone Custom Guitars Modern Seriesもライブやレコーディングでの使用が確認されています。こちらはSSHレイアウトで、The FloodシングルコイルとThe Baked 2ハムバッカーを搭載。力強い中低域とタイトなレスポンスを持ち、モダンな歪みサウンドとの相性も抜群です。特に赤いボディの個体が有名で、ステージ上での視覚的インパクトも高いです。
さらに、G-Life G-PHOENIXはSIAM SHADEのDAITAが監修したハンドクラフトギターで、多彩なスイッチングが可能。複数のピックアップ切り替えやリアオンスイッチが搭載されており、複雑なアレンジの中でも柔軟に音色を変化させられる仕様となっています。KANAMIの多彩なプレイスタイルを反映したギターセレクションは、まさにBAND-MAIDサウンドの核と言えるでしょう。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
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35th Anniversary Custom 24 | Paul Reed Smith | Amazonで探す | BAND-MAID | KANAMI | ソリッド | レッドサンバーストカラー。ライブ使用多数。煌びやかで厚みのあるサウンド。 |
Custom24 (Green/Purple) | Paul Reed Smith | Amazonで探す | BAND-MAID | KANAMI | ソリッド | グリーンやパープルのカスタムカラー。24F仕様で多彩なプレイに対応。 |
Custom Guitars Modern Series | Addictone | Amazonで探す | BAND-MAID | KANAMI | SSH | 赤いボディ。The Flood(SC)、The Baked 2(HB)搭載。中低域に強く、歪みサウンドに最適。 |
G-PHOENIX | G-Life | Amazonで探す | BAND-MAID | KANAMI | ソリッド | SIAM SHADEのDAITAプロデュース。複雑なコントロールで音色を自在に切り替え可能。 |
④使用エフェクターとボード構成【BAND-MAID・KANAMI】

KANAMIの足元は非常に高機能かつ整理されたプロフェッショナル仕様で、ステージパフォーマンスやレコーディングにおいても圧倒的な柔軟性を誇ります。ボードの中心にはFREE THE TONEのプログラマブル・スイッチャー「ARC-3」があり、これを軸にエフェクターのオンオフやチャンネル切替をMIDIで完全制御しています。
ワウには「Morley Steve Vai Bad Horsie 2」、ピッチシフターはDigiTech Dropを2台使用。1台は半音下げ、もう1台はオクターブ用として使い分けるという極めて実用的な構成です。加えて、Pete Cornish OC-1でクリーントーンを整え、Friedman BUXOM BOOSTをソロ時のブーストとして使用。リバーブはEventide H9でスプリングリバーブを主に用い、ディレイはFREE THE TONE FT-2YとEventide TimeFactorで立体感を加えています。
さらに、Xotic EP Booster、VEMURAM Jan Ray、Effects BakeryのEQなど、ブーストとトーンの細やかな調整に対応するペダルも備えており、それぞれの役割が明確です。また、FREE THE TONE製ノイズゲートIG-1Nを2台(ギター直後とアンプセンドリターン)に配置し、照明やワイヤレス由来のノイズにも対応。足元とラックを含めたMIDI全体の中枢制御はARC-3とMini Amp Gizmoで行われ、アンプチャンネルの切替までスイッチャーで一元管理されています。
全体として、ライブ現場でも瞬時に音色切替を可能にする設計で、ロスのない信号経路と多機能な表現力が両立されています。特にディレイとリバーブの使い分け、複数のブースターの組み合わせ、ピッチ系の緻密な活用が、BAND-MAIDの厚みあるギターアンサンブルを支えています。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
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Steve Vai Bad Horsie 2 | Morley | Amazonで探す | BAND-MAID | KANAMI | ワウペダル | ライブでのエクスプレッシブなソロに使用。 |
Drop | DigiTech | Amazonで探す | BAND-MAID | KANAMI | ピッチシフター | 1台は半音下げ、もう1台はオクターブ用。2台運用。 |
OC-1 | Pete Cornish | Amazonで探す | BAND-MAID | KANAMI | コンプレッサー | クリーントーンの整音に使用。 |
EP Booster | Xotic | Amazonで探す | BAND-MAID | KANAMI | ブースター | サブブースターとして設置。ほぼ未使用。 |
BUXOM BOOST | Friedman | Amazonで探す | BAND-MAID | KANAMI | ブースター | ソロパートの音量・抜け感アップ用。 |
Jan Ray | VEMURAM | Amazonで探す | BAND-MAID | KANAMI | オーバードライブ | クリーンチャンネルでのクランチ作成用。 |
H9 | Eventide | Amazonで探す | BAND-MAID | KANAMI | マルチエフェクター | 主にスプリングリバーブを設定。 |
FT-2Y | FREE THE TONE | Amazonで探す | BAND-MAID | KANAMI | ディレイ | 空間系ディレイ。H9とは別で設定。 |
TimeFactor | Eventide | Amazonで探す | BAND-MAID | KANAMI | ディレイ | アンプのセンドリターンに接続。立体感重視。 |
(この他にもノイズゲート、EQ、チューナー、スイッチャー、パワーサプライ等の詳細情報はラックシステムで紹介予定)
⑤音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【BAND-MAID・KANAMI】
KANAMIのギターサウンドは、「重厚かつ華やか」という一見相反する要素を巧みに両立させています。これは、彼女の巧みなアンプチャンネル設定と、エフェクター・EQ・リバーブの緻密な使い分けによるものです。まず、メインアンプであるBogner Ecstasy PANDORAは、3チャンネル仕様という特徴を活かし、Ch1をクリーン、Ch2をメインの歪み、Ch3をソロ用に設定しています。これにより、曲中でも柔軟に音色を切り替えることが可能です。
クリーントーンでは、Pete CornishのOC-1でコンプをかけつつ、Eventide H9でスプリングリバーブを追加し、煌びやかな広がりを演出。ブースター類(Xotic EP Booster、Friedman BUXOM BOOSTなど)は用途別に使い分けられ、特にソロ時にはBUXOM BOOSTが強烈な抜け感を生み出します。
また、ディレイの配置にもこだわりが見られます。FREE THE TONE FT-2Yはボード内で使用され、Eventide TimeFactorはアンプのセンドリターンに接続。これにより、ソロやメロディパートに適した奥行きのあるサウンド空間を作り出しています。
EQ面でも工夫が見られます。FREE THE TONE PA-10G(アンプのセンドリターン用)やEffects Bakery Choco Cornet EQ(ボード上)を用いて、帯域の微調整が行われています。特にPA-10Gはミドルをやや持ち上げ、抜けの良いリードトーンを強調。逆にバッキングではローを少し抑えることで、バンド全体のアンサンブルに溶け込ませています。
ノイズ対策としては、FREE THE TONE IG-1Nが2箇所に設置されており、ステージ照明やワイヤレス由来のノイズを確実にシャットアウトしています。これにより、どのような環境下でもクリアなサウンドを維持できます。
エンジニア的視点で見ても、KANAMIのセッティングは非常にバランスが取れており、アンプのチャンネル切替をMIDIで制御することで、PA側ではほとんど補正がいらない状態を実現しています。ミックス処理でもギターの定位が明確で、バンド全体の音像の中で美しく鳴るよう調整されています。特に「Choose Me」や「DOMINATION」などの楽曲では、クリーンからディストーションへの切り替えと、それに連動するリバーブ・ディレイの深さが絶妙であり、非常に洗練されたミックスを支えています。
総じて、KANAMIの音作りは単なる機材選定に留まらず、「いかに楽曲の構成と演奏の意図にマッチさせるか」という明確なコンセプトに基づいており、ギタリストだけでなく、PAやレコーディングエンジニアにとっても学ぶ点が多いセッティングです。
⑥比較的安価に音を近づける機材【BAND-MAID・KANAMI】

KANAMIのサウンドを自宅練習や低予算で再現するには、要点を絞った機材選びが重要です。ここでは、彼女のサウンドの核である「広がりのあるクリーン」「厚みのある歪み」「ソロでの抜け感」を再現しやすい市販機材を厳選して紹介します。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
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オーバードライブ | BOSS SD-1 Super OverDrive | BOSS | Amazonリンク | BAND-MAID | KANAMI | 中域にハリがあり、KANAMIのクランチトーンのニュアンスに近づけやすい定番のペダル。 |
ディレイ | NUX Time Core Deluxe | NUX | Amazonリンク | BAND-MAID | KANAMI | 多機能でコスパ抜群。Eventide TimeFactorのような多彩なディレイを模倣できる。 |
ピッチシフター | JOYO JF-33 Analog Delay with Octave | JOYO | Amazonリンク | BAND-MAID | KANAMI | DigiTech Dropの代用として、半音下げやオクターブ的演出を再現可能。 |
マルチエフェクター | Zoom G3Xn | Zoom | Amazonリンク | BAND-MAID | KANAMI | ディレイ・リバーブ・ブーストを組み合わせてKANAMIのソロトーンを包括的にシミュレート可能。 |
ノイズリダクション | BOSS NS-2 | BOSS | Amazonリンク | BAND-MAID | KANAMI | FREE THE TONE IG-1Nの代用に最適。ノイズカット効果が高く、ライブでも使用可能な性能。 |
アンプシミュレーター | Mooer Preamp Live | Mooer | Amazonリンク | BAND-MAID | KANAMI | Bogner Ecstasyに近いサウンドのプリセットあり。ハイゲインでも透明感あるトーンが出せる。 |
ワウペダル | VOX V847A | VOX | Amazonリンク | BAND-MAID | KANAMI | Morley Bad Horsieの代替。クラシックなワウサウンドでクリーンにも合いやすい。 |
いずれも1〜5万円台で購入でき、サウンドの核心部分を押さえることができるアイテムです。特にZoom G3Xnのような多機能マルチは、リバーブ・ブースト・ディレイなどを一括で制御でき、KANAMIのセッティングの多彩さを再現するには便利です。音作り初心者でも扱いやすい機種ばかりですので、まずはこれらの組み合わせからKANAMIサウンドへのアプローチを試してみてください。
⑦総括まとめ【BAND-MAID・KANAMI】

KANAMI(BAND-MAID)の音作りの本質は、「技巧派でありながらもバンド全体を支えるバランス感覚」にあります。単なる速弾きやリードギターではなく、アンサンブル全体を考慮した音作りが特徴で、ギター単体ではなく「曲全体を通じて機能する音」が常に意識されています。
まずギター選びにおいて、Paul Reed Smith(PRS)という高いプレイアビリティとトーンバランスを備えたモデルをメインに据えている点は、KANAMIの「繊細な表現」と「ハイゲインでも埋もれない音」を両立させるための戦略と言えるでしょう。ライブではAddictoneやG-Lifeなどカスタムモデルも併用し、場面に応じたピックアップ構成やフィーリングの違いを活かしているのが印象的です。
また、Bogner Ecstasy PANDORAを中核としたアンプセッティングは、クリーン〜ドライブ〜ソロという多段階のチャンネル構成をMIDIで自在に操ることで、どの曲でも柔軟な表現が可能です。フレーズごとにリバーブやディレイ、ブースターを多層的に加えるその手法は、ライブ中にも緻密な音像を保ちつつ、時に大胆に聴かせるセンスが光ります。
特に注目したいのは、FREE THE TONE ARC-3を中心としたスイッチング・システムによるボードとラックの分業化です。これにより、複雑なシステムでも直感的に操作でき、同時に安定性も確保されています。PA視点で見てもノイズ対策・EQ処理・リバーブの奥行き処理まで緻密に練られており、エンジニアとプレイヤーが一体となって音作りしているような完成度を感じさせます。
「Choose Me」「REAL EXISTENCE」「DOMINATION」など、BAND-MAIDの代表曲では、KANAMIのギターが単なる装飾ではなく、「曲の推進力そのもの」として機能しており、リフからリード、さらには静寂のクリーンパートに至るまで、そのすべてに緻密な設計思想が見られます。
初心者〜中級者ギタリストにとって、KANAMIの機材は高価に見えるかもしれませんが、彼女の「音の作り方」をしっかりと分解して理解すれば、必ずしも同じ機材を揃える必要はありません。重要なのは、彼女の音作りに対する「設計思考」や「役割への意識」を学び、自分のスタイルに応用することです。
BAND-MAIDサウンドの要とも言えるKANAMIの音作りは、まさに「精密かつ感情的」。今後も彼女のライブパフォーマンスやレコーディングを聴きながら、そのサウンドの裏にあるロジックと哲学を感じ取ってみてください。
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