① 始めに(特徴紹介)
syrup16g(シロップ)の五十嵐隆のギター(というか”歌うように鳴るノイズと余白”)は、派手な速弾きやメタル的な歪みとは真逆にあります。ポイントは、クリーンの輪郭が残ったまま、歪みが「痛いところだけ」刺さること。ピッキングの強弱で歪み量がグッと動き、コードを鳴らしても潰れず、単音のフレーズはスッと前に出る。ここが「五十嵐隆っぽい」と言われる核です。
プレイ面では、カポタストを多用してオープンコードの響きを活かしつつ、ジャカジャカ掻き鳴らすよりもアルペジオ/分散和音/コードの余韻を重視する傾向が強いです。だから、機材面でも”歪ませるほどに情報量が消える”方向より、歪みでも音像が読める方向のセッティングがハマります。
代表曲のイメージで言うと、クリーン〜薄歪みの広がり(コーラス+ディレイの浮遊感)と、マーシャル系の荒い歪みの切り替え(あるいは積み上げ)が肝。いわゆる「透明感のあるクリーン」と「錆びた鉄板みたいな歪み」を同じセットで共存させるのがsyrup16gの美学で、五十嵐隆のサウンド設計はそこに最適化されています。
本記事は、確認されやすい定番(Moonレゲエマスター、JC-120、Marshall、BOSS系ペダル)を軸にしつつ、時期・映像・写真などで情報が揺れる部分は「未確定/想定」と明記し、再現のための”音の作り方”として成立する形に落とし込みます。
②使用アンプ一覧と特徴【syrup16g・五十嵐隆】
五十嵐隆のアンプ運用を一言で言うなら、「JC-120で”素材”を作り、Marshallで”痛み”を足す」です。JC-120(ジャズコ)は、クリーンが硬くて速い。音が前に飛び、低域が膨らみすぎず、コーラスやディレイの乗り方が極めて素直です。つまり、空間系を主役にしたいバンドにとって”最高に都合がいい土台”になります。syrup16gの浮遊感は、まずここで形が決まる。
一方で、歪みの主役はMarshall系(JCM900 / JCM2000の系統が語られやすい)です。Marshallは中域の押し出しとコンプレッションで”歌う歪み”を作りやすい反面、設定を間違えると低域が暴れて輪郭が崩れます。ここを五十嵐隆的に寄せるなら、低域を削って中域の痛さを残す方向が近道。バンドアンサンブルでベースとキックに低域を譲り、ギターは「耳に刺さる帯域」を担当する、あの感じです。
ライブハウス/スタジオ常設を使うケースも多いタイプの文脈だと、機種が固定されないこともあります。その場合でも設計思想は同じで、JC-120は”空間系のキャンバス”、Marshallは”歪みのキャラクター”として役割分担させると再現性が上がります。
また、VHT Pittbull(ピットブル)の名前が挙がることもあります。これはハイゲインの解像度が高く、ピッキングの輪郭を潰しにくいアンプなので、五十嵐隆の”弾き方で表情が変わる歪み”とは相性が良い。とはいえ、時期や現場写真での裏付けが弱い場合は、ここは「一時期メインだった可能性/想定」として、音の代替案(後述の安価機材)まで含めて設計しておくのが現実的です。
結論として、アンプは「JC-120で空間系を映えさせるクリーン」と「Marshall系で荒い歪み」を用意し、曲で使い分ける(あるいは歪みペダルで寄せる)運用が最も”それっぽい”。ただし、使用機種や現場固定の差があるため、細部は固定せず役割(クリーン土台/歪みキャラ)を優先して組むのが再現の近道、と想定されます。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| JC-120 Jazz Chorus | Roland | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 透明感のあるクリーンとコーラスで、空間系が主役になる土台。syrup16gの”浮遊感”の核になりやすい。 |
| JCM900 | Marshall | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 歪みサウンドの軸として語られやすい。低域を締めて中域の痛さを残すと”それっぽい”。常設機使用の文脈も多い。 |
| JCM2000(DSL/TSL系) | Marshall | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | より現代的な歪みとチャンネル運用が可能。曲でクリーン/歪みを分ける運用に向く。 |
| Pittbull(Pittbull Ultra-Leadなど) | VHT | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 一時期メインとされることがあるハイゲイン。輪郭が残る歪みで相性は良いが、時期・裏付けは揺れやすいため「想定」扱いが安全。 |
③使用ギターの種類と特徴【syrup16g・五十嵐隆】

五十嵐隆のギター史で外せないのが、MoonのREGGAE MASTER(レゲエマスター)です。テレキャスター的な取り回しに、P-90系の太さと荒さを載せた”ハイブリッド”設計で、クリーンでも歪みでも中域が「ザラッ」と立つのが美味しい。活動初期〜中期の象徴として語られやすく、ブラックボディ+赤ピックガードのビジュアルも含めて、音と絵が一致しているギターです。特にP-90系は、歪ませても単音の芯が消えにくく、アルペジオの粒立ちが出るので、syrup16gの”乾いた浮遊感”に刺さります。
映像文脈で分かりやすいのがFender Mustang系。例えば「負け犬」MVでムスタングタイプが確認されると言われることが多く、小ぶりなボディと独特のテンション感(スケールやブリッジ構造由来の”張りの弱さ”)が、あの不安定さ・脆さのムードに合います。ムスタングはコードを鳴らしたときに”まとまり過ぎない”ところがあって、ディレイやコーラスで広げたときに、綺麗に整列せず、少し崩れて漂う。これが五十嵐隆の世界観と相性が良いです。
また、Fender Telecasterはレゲエマスター以前やレコーディングでの使用が語られがちです。テレキャスはアタックが強く、ミックスで前に出るので、歌の邪魔をせずに”ギターが刺さる”配置が作りやすい。syrup16gのように歌詞とボーカルの存在感が強いバンドでは、ギターが低域で太く居座るより、中高域で役割を取るほうが美味しい場面が多い。
再結成後や特定曲でGibson Les Paul Standard、さらにGibson ES-335のようなセミアコの使用が見られる、という整理もよく見かけます。レスポールは太さとサスティン、ES-335は空気感と箱鳴りで、どちらも”音像の密度”を変えられるのが強みです。特にES-335は、クリーンに空間系を足したときの立体感が出やすく、JC-120と合わせると「硬さ+空気」の同居が作れます。
ここに加えて、情報としてはGibson SGやRickenbacker 360(レコーディングで使われた可能性)といった話も流通します。ただし、時期と裏付けが揺れることもあるため、本記事では”確定ギター”は表の指定機材を中心に置き、追加要素は備考で「未確定/想定」として扱います。とはいえ、音作りの観点では、P-90系(レゲエマスター)とショートスケール(ムスタング)が作る”脆い中域”、そしてテレキャス/レスポール/セミアコで”曲ごとの密度を調整”する発想が、五十嵐隆サウンドの再現に直結する、と想定されます。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | ギターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| REGGAE MASTER RM-DX | Moon | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | エレキギター(P-90系 / テレ系ボディ) | 1997年製が語られやすい。活動初期〜中期の象徴。P-90系の荒さと中域で、クリーンでも歪みでも”痛い芯”が残る。 |
| Mustang | Fender | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | エレキギター(ショートスケール系) | 「負け犬」MVなどで使用とされることが多い。テンション感が独特で、広がる空間系サウンドに”揺れ”を足しやすい。 |
| Telecaster | Fender | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | エレキギター(テレキャスター) | レゲエマスター以前やレコーディングで使用とされる。アタックが強く、歌の存在感を壊さず”刺さる帯域”を作りやすい。 |
| Les Paul Standard | Gibson | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | エレキギター(レスポール) | 再結成後や特定楽曲で使用とされる。密度とサスティンを上げ、歪みの”塊感”を作りやすい。 |
| ES-335 | Gibson | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | エレキギター(セミアコ) | 箱鳴りと空気感で、クリーン+空間系の立体感が増す。ライブ使用も見られるとされる。 |
④使用エフェクターとボード構成【syrup16g・五十嵐隆】

五十嵐隆の足元を”再現”したいなら、最初に押さえるべきはBOSSの定番群です。特にBOSS BD-2(Blues Driver)は、メインの歪みとして語られやすく、セッティングによっては「常時ONに近い薄歪み」として機能させやすい。BD-2の強みは、歪み量そのものよりもピッキングのニュアンスが音色に直結すること。コードを鳴らしても潰れにくく、アルペジオの粒が残るので、五十嵐隆の”歌の隙間に刺さるギター”に向いています。
そこにBOSS SD-1をブースターとして重ねる発想は、かなり理にかなっています。SD-1は中域が持ち上がり、低域を整理する方向に働くので、マーシャル系アンプやBD-2の前段に置くと、低域のモコつきを抑えつつ、痛い帯域だけを前に出せる。syrup16gの歪みは”重い”より”苦い・痛い”が近いので、ブーストで低域を削る設計がハマります。
クリーンの浮遊感を作る主役はコーラスとディレイ。BOSS CE-2 / CE-5 / CH-1あたりは、時期や現場で入れ替わりつつも”コーラスで広げる”思想は共通です。ここで大事なのは、コーラスを深くし過ぎて揺れが主役になるより、音像を横に広げて「真ん中を空ける」イメージ。ボーカルとスネアのセンターを避けて、ギターが左右に漂う感じを作ります。
ディレイはBOSS DD-3やDD-20が定番候補。アルペジオに薄く残響を足すだけでなく、フィードバック的な演出にも使われる文脈が多いです。ディレイを”1台で完結”させず、曲によっては長めに設定してリバーブ的に使う(あるいは複数ディレイの積み上げ)という発想が、あの「包み込むのに乾いている」空間を作ります。リバーブはBOSS RV-3 / RV-5の名前が挙がりやすく、ディレイと合わせて奥行きを作る役割です。
チューナーはBOSS TU-2とKORG DT-10が文脈としてよく出ます。どちらかが”確定”というより、当時の現場で一般的な実用品として自然。ワウはJim Dunlop Cry Babyがアクセント用に入る想定で、ソロというより「ここだけ感情が噴き出す」瞬間の演出に合います。
さらに、情報としてはDS-1やコンプ(MXR Dyna Comp)、フェイザー(sobbat Phase Breaker系)、アナログディレイ(Maxon系)などが”写真から推定”されるケースもあります。ただし確証が薄い場合は、ボードを盛るために無理に断定せず、「想定される構成」として”音の役割”に落とし込むのが安全です。最終的には、BD-2を軸に、SD-1で整え、コーラス+ディレイ+リバーブで空間を作る。この設計が五十嵐隆サウンドの再現に最短距離、と想定されます。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | エフェクターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| BD-2 Blues Driver | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | オーバードライブ | メイン歪みとして定番。薄く常時ON運用でピッキングの強弱が音色に出やすく、五十嵐隆の”痛い中域”を作りやすい。 |
| SD-1 Super OverDrive | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ブースター | ブースト用途の定番。低域整理+中域押し出しで、マーシャル系の歪みを”痛く・前に”出しやすい。 |
| CE-2 Chorus | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | コーラス | 広がりのあるクリーンサウンドの核になりやすい。揺れより”横幅”を作る意識が近い。 |
| CE-5 Chorus Ensemble | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | コーラス | フィルター付きで帯域調整がしやすい。バンドの中で”邪魔しない広がり”を作るのに向く。 |
| CH-1 Super Chorus | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | コーラス | 明るめのコーラス。JC-120の硬いクリーンに乗せると、輪郭を残したまま横に広がる。 |
| DD-3 Digital Delay | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ディレイ | アルペジオの残響やリフの余韻作りに強い。短め設定で”空間の輪郭”を足すのがハマる。 |
| DD-20 Giga Delay | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ディレイ | 長め設定でリバーブ的に使う発想と相性が良い。曲ごとにプリセット運用もしやすい。 |
| RV-3 Digital Reverb/Delay | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | リバーブ | ディレイ+リバーブ複合で奥行きを作りやすい。空間系が主役のサウンド設計に合う。 |
| RV-5 Digital Reverb | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | リバーブ | 空間の奥行き担当。ディレイと組み合わせて”乾いたのに広い”空間を作る用途に向く。 |
| TU-2 Chromatic Tuner | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | リズムマシン・メトロノーム | 定番ペダルチューナー。ボードの入り口でバッファ的に使われることも多いが、ここでは実用品として記載。 |
| Cry Baby | Jim Dunlop | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ワウペダル | ソロやアクセントでの使用が語られやすい。過度に使うより”一瞬だけ感情を出す”運用が似合う。 |
| DT-10 | KORG | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | リズムマシン・メトロノーム | 足元に設置されることが多かったとされるチューナー。実用品としての採用が自然。 |
⑤音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【syrup16g・五十嵐隆】
ここが一番”答えが出ないのに、いちばん再現に効く”ゾーンです。五十嵐隆っぽさは機材名よりも、EQ(帯域設計)と空間の作り方で決まります。まず前提として、syrup16gのギターは「太いギター」ではなく「刺さるギター」。つまり低域を盛ると、それっぽさから遠ざかる。ベースとキックが低域を担当し、ギターは中域〜中高域で感情を担当する、という役割分担が近いです。
具体的なEQ設定例(目安)を出すなら、アンプでもPAでも共通して以下が出発点になります。ギターのロー(80〜120Hz)は積極的にカット。ローが残ると歪みが”モコモコ”して歌詞の邪魔になります。次にロー・ミッド(200〜350Hz)は、バンド全体が濁りやすい帯域なので、歪み時は少し引く。代わりにミッド(800Hz〜1.6kHz)を”痛いけど聴こえる”位置まで持ち上げる。さらにプレゼンス(3〜4kHz)を上げ過ぎると耳が痛いだけになるので、上げるなら狭く・少しだけ。空間系が多い場合はハイ(6kHz以上)を少し落として、ディレイの反射がシャリシャリしないように整えると、乾いた浮遊感が作りやすいです。
アンプのチャンネル切り替え/曲ごとの使い分けは、「クリーン(JC-120)=空間系を主役」「歪み(Marshall)=中域の痛み」を明確に分けるほど再現性が上がります。例えば、AメロはJC-120でコーラス+ディレイを薄く、Bメロでディレイを少し長く、サビでBD-2(+必要ならSD-1)を足して痛みを増やす。歪みを増やすときにゲインを上げるより、ブーストで中域を上げて”前に出す”ほうが、五十嵐隆の刺さり方に近づきます。
ディレイ/リバーブの設計は、単に”深くする”より、ミックスで成立する配置が重要です。おすすめは、ディレイのリピート回数(フィードバック)を増やす前に、まずミックス(原音と残響の比率)を控えめにすること。原音が読めないほど残響を上げると、syrup16gの”乾いた痛み”が消える。ディレイタイムは、テンポ同期にこだわるより、フレーズの終端が次の音を邪魔しない長さを優先。例えばアルペジオは短め〜中程度(スラップバックではないが、歌を覆わない)、リードのアクセントは少し長めにして”孤独な残響”を作る、みたいな設計が合います。リバーブは部屋鳴りを足す程度にして、ディレイで奥行きを作ると、輪郭を残したまま広がります。
PA/エンジニア目線のミックス処理で言うと、ギターは”左右に逃がす”のがポイントです。クリーンのコーラスはステレオで広がりやすいので、センターに寄せすぎるとボーカルが埋まります。ライブなら、ギターのセンター成分を少し減らす(M/S処理ができるならMidを軽く抑える)と歌が立ち、あの「歌が前、ギターが周囲で痛い」関係が作れます。歪みはコンプで潰し過ぎず、トランジェント(アタック)が少し残るようにすると、ピッキングニュアンスが生きます。必要なら、歪み時だけ2〜3kHzを少し削り、1kHz前後で痛さを取ると”耳が痛いだけ”から脱出できます。
まとめると、五十嵐隆っぽい音は「機材の一致」より帯域の引き算(ロー/ロー・ミッドを削る)+中域の痛み+空間系は輪郭を残すで成立します。時期や現場で機材が揺れても、ここを守ればかなりの確度で”あの空気”に寄る、と想定されます。
⑥比較的安価に音を近づける機材【syrup16g・五十嵐隆】
ここでは”初心者が勝てるルート”を現実的に作ります。五十嵐隆サウンドの再現は、実は高級機材よりも定番のBOSS+クリーン基盤+空間系で近づけやすい。理由はシンプルで、彼の音は「高級な倍音」より「帯域設計と残響設計」が支配しているからです。つまり、価格より運用が勝つ。
1)歪み:BOSS BD-2(またはBD-2W)
BD-2はまさに”それ”。歪みの粒が荒く、ピッキングで表情が変わり、コードでも潰れにくい。新品でも予算内に収まりやすく、王道の第一手です。設定は、GAINを上げ過ぎず(薄歪み基準)、TONEは高域が痛いなら下げる、LEVELはアンプに合わせてしっかり出す。BD-2は音量を上げて初めて”前に飛ぶ”ので、LEVELをケチると似ません。
2)ブースト:BOSS SD-1
五十嵐隆の”痛い中域”は、ブーストで作ると再現が速い。SD-1は低域を整え、中域を前に押すので、BD-2やアンプ歪みの前段で効かせると「刺さるのに潰れない」状態に寄せられます。DRIVEは低め、LEVELは高め、TONEはバンドに合わせて調整。この”DRIVE低め”が重要で、歪ませるためではなく、帯域を整えて前に出すのが目的です。
3)コーラス:BOSS CH-1(またはCE-5)
CE-2は中古相場が上がりがちなので、現実解としてCH-1やCE-5が強い。CH-1は明るい広がり、CE-5は帯域が整えやすい。どちらも「揺れを聴かせる」より「横幅を作る」意識で、DEPTHは中程度、E.LEVEL(またはEFFECT LEVEL)は控えめに。コーラスが主張しすぎると”90年代J-POPの綺麗なコーラス”になってしまい、syrup16gの乾きから離れます。
4)ディレイ:BOSS DD-3(またはDD-8)
DD-20が理想でも、DD-3で十分近づけます。重要なのはタイム設定より、ミックスとフィードバック。原音が読める程度に薄く敷いて、フレーズ終端で余韻が残る長さにする。テンポ同期が欲しいならDD-8のような現行機でも良いですが、五十嵐隆的には”正確さ”より”気持ち悪い余韻”が勝つ瞬間があるので、耳で決めるのが近道です。
5)リバーブ:BOSS RV-6(代替)
RV-3 / RV-5が理想でも、現行のRV-6で十分。重要なのは深さより、EQ感。低域が膨らむリバーブは避け、プレート/ルーム系で薄く奥行きを足す。ディレイと組み合わせて”乾いた広さ”を作るとそれっぽいです。
6)アンプ:まずはクリーンが出る環境を勝たせる
JC-120が無理なら、モデリングアンプやマルチでもOK。大事なのは「クリーンが硬く、空間系が素直に乗る」こと。例えばBOSSのマルチ(GT系)や、安価なFRFR(フルレンジ)スピーカー運用でも、空間系が綺麗に出れば勝ち筋があります。マーシャル歪みは”理想”であって”必須”ではなく、BD-2+SD-1で痛い中域が出れば、曲によっては十分成立します。
まとめると、安価ルートは「BD-2+SD-1+コーラス+ディレイ+薄リバーブ」を、ローを削って中域を前に出す運用で組むのが最短です。機材が完全一致しなくても、帯域と空間の作り方が一致すれば、かなりの確度で五十嵐隆サウンドに寄る、と想定されます。
| 種類 | 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | 備考 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 歪み(薄歪み〜メイン) | BD-2(またはBD-2W) | BOSS | 推奨 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ピッキングで表情が変わり、コードでも潰れにくい。五十嵐隆の”痛い中域”を最短で作れる定番。価格帯も現実的。 |
| ブースト/帯域整理 | SD-1 | BOSS | 推奨 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | DRIVE低め/LEVEL高めで”歪みを増やす”より”中域を前に出す”。syrup16gの刺さり方に寄せやすい。 |
| コーラス(広がり) | CH-1 | BOSS | 代替 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | CE-2系が高騰する場合の現実解。揺れより”横幅”を作る設定で、ボーカルのセンターを空けるのがコツ。 |
| ディレイ(余韻) | DD-3(またはDD-8) | BOSS | 推奨 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | タイムより”原音が読める薄さ”が重要。アルペジオの粒を残しつつ、孤独な余韻を作れる。 |
| リバーブ(奥行き) | RV-6 | BOSS | 代替 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | RV-3/RV-5の代替として現行で入手しやすい。薄く足してディレイと組むと”乾いた広さ”が作りやすい。 |
⑦総括まとめ【syrup16g・五十嵐隆】

五十嵐隆の音作りをまとめるなら、結局のところ”機材の名前”ではなく、役割分担の美学に行き着きます。JC-120の硬いクリーンで空間系を映えさせ、Marshall系(またはBD-2+ブースト)で中域の痛みを作る。ギターは低域を譲り、歌の邪魔をしない位置で「感情だけ」刺す。これがsyrup16gの骨格で、五十嵐隆のサウンドが長年支持される理由です。
特に重要なのは、歪みを”太く”する誘惑に勝つこと。似せたいなら、ローを削り、ロー・ミッドの濁りを避け、1kHz前後の痛さを前に出す。そして空間系は深さより、輪郭を残したまま横に広げる。コーラスでセンターを空け、ディレイで奥行きを足し、リバーブは薄く支える。こうして初めて、あの「乾いているのに広い」「冷たいのに生々しい」矛盾した質感が立ち上がります。
プレイ面でも、カポやオープンコードの響きを活かし、アルペジオの粒を残すことが、機材以上に効きます。だから、初心者でも”勝ち筋”はあります。BD-2とSD-1、コーラスとディレイ、クリーンが出る環境。これだけで、帯域設計と空間設計を守れば、かなりの確度で近づける。逆に、機材が完全一致しても、ローを盛ってしまった瞬間に遠ざかる。世界は残酷ですが、そこが面白い。
最後に、この記事で挙げた機材群は、時期や現場(常設アンプ、ツアー、レコーディング)で差が出る部分もあり得ます。なので、断定できない情報は「想定/未確定」として扱いながら、音の役割が一致する代替案も提示しました。結局のところ、五十嵐隆サウンドの本質は、“余白を音で埋めない”設計です。余白があるから、痛みが刺さる。刺さるから、歌が生きる。そういう循環が、syrup16gの音楽を成立させている、と想定されます。


