始めに(特徴紹介)
妖精帝國のギタリスト・XiVa(シヴァ)は、重厚でありながら煌びやかな音像を作り出すことで知られています。楽曲はシンフォニック・メタルやインダストリアル要素を多く含み、攻撃的なリフと美麗なオーケストレーションの融合が特徴です。その中心にあるのがXiVaのギターサウンドで、7弦ギターによる低音域のリフと、Fractal Axe-Fx II XL+を軸とした緻密なアンプシミュレーションによって、重さと透明感を両立した音を構築しています。
代表的な楽曲「Patriot Anthem」や「空想メソロギヰ」では、ドロップチューニングされた7弦のパワフルなリフが展開しながらも、シンセやストリングスと溶け合うような質感を持っています。また、ライブにおいてはMarshall系アンプをステージ上に配置しつつ、実際のメインはFractal Axe-Fxを通したラインサウンドが中心であると考えられています。これにより安定した音圧と再現性を保ちながら、楽曲ごとの多彩な音色切り替えを瞬時に行えるのです。
プレイスタイルは速弾きやテクニカルな要素を押さえつつも、リフワークとリズム感を重視したバッキングが軸になっています。妖精帝國のシンフォニックかつ重厚な世界観を支えるため、過剰な装飾ではなく「必要な音を正確に出す」スタイルを徹底しているのがXiVaの特徴です。
こうした音作りの哲学は、同じシーンのバンドとも異なる個性を放ち、妖精帝國の音楽を唯一無二の存在にしています。これから各機材ごとの特徴を解説していきますが、その前にXiVaの公式動画もチェックしておくと理解が深まります。
使用アンプ一覧と特徴【妖精帝國・XiVa】
XiVaのサウンドの根幹を支えているのは、ライブ・レコーディング双方で使用されるFractal Axe-Fx II XL+です。これはプロフェッショナル向けのアンプシミュレーター兼マルチエフェクターで、膨大なアンプモデルとエフェクトを搭載し、1台でステージからスタジオまでカバーできる万能機材です。妖精帝國の楽曲のように、低域をしっかり支えつつ高域の煌びやかさも求められるサウンドに最適で、XiVaのギターサウンドを語るうえで欠かせない存在といえるでしょう。
実際のライブではステージ上にMarshall JVMシリーズのヘッドと1960キャビネットが設置されている写真も確認されています。公式ブログなどに掲載された情報から、音像の迫力やステージ演出の一環として用いられていることが推測されます。ただし音作りの中心はあくまでFractal Axe-Fxのラインアウトであり、Marshallは補助的・視覚的な役割の可能性が高いといえます。
Fractal Axe-Fx II XL+を軸としたセットアップは、ディレイやリバーブなどの空間系処理もすべて内部で完結できるため、ペダルボードを大きく組む必要がありません。そのため、妖精帝國のシンフォニックで緻密な楽曲構成に合わせて、多彩なシーンチェンジをシームレスに行えるメリットがあります。さらに、ライン直結での安定した音量と質感は、海外公演や大規模フェスのようにPA環境が変わる場面でも再現性を維持するのに最適です。
また、ギタリストXiVaは7弦ギターをメインとするため、アンプ側でも深いローエンドを受け止めつつ、モダンメタル特有のタイトさを残すことが求められます。Fractal Axe-Fxの中でもMesa/Boogie RectifierやENGL Savageといったハイゲインアンプモデルをベースに、イコライジングやゲート処理を細かく調整していると考えられます。
以上のことから、XiVaのアンプ構成は「Fractal Axe-Fx II XL+を核とし、Marshall JVMシリーズを補助的に用いる」という形が最も妥当であり、妖精帝國の世界観にふさわしい重厚かつ繊細なサウンドを支えている、と想定されます。
使用ギターの種類と特徴【妖精帝國・XiVa】
XiVaのメインギターはE-II ARROW-7(ブラック)です。ESPのハイエンドブランド「E-II」に属するフラッグシップのひとつで、攻撃的な矢じり型シェイプとフロイドローズ搭載が特徴のモデルです。XiVaが使用している個体は7弦仕様で、妖精帝國の楽曲に多用される低音リフやドロップチューニングを支えるために欠かせない存在となっています。公式プロフィールでも「E-Ⅱ Arrow」と明記されており、実際にステージで確認できるのは7弦バージョンです。
7弦のローB弦を活かした分厚いサウンドは、楽曲の重厚感を増幅させると同時に、シンフォニックなアレンジともうまく融合します。さらに、XiVaはEVH D-Tunaを7弦側に装着しており、楽曲によって瞬時にドロップチューニングへ切り替えられる仕様にしています。これにより、ライブ中の楽曲ごとの雰囲気変化にも柔軟に対応可能です。ただし、アームアップ機能は封じ、トレモロブロックとボディの間に木片を挟んで安定性を重視している点も特徴です。
演奏面では、フロイドローズ搭載により激しいアーミングプレイも可能ですが、XiVaは安定したリズムプレイを優先しており、極端なピッチシフトよりもリフの重さを支える方向性に徹していると考えられます。また、ピックはJAZZ型/ポリアセタール/1.0mmを使用しており、細かなニュアンスを出しやすく、速いフレーズでも安定したピッキングが可能です。
このように、E-II ARROW-7とEVH D-Tunaを組み合わせたシステムは、XiVaのギタースタイルと妖精帝國の楽曲の両方に非常にマッチしています。鋭利な外観に加え、実用性と安定性を兼ね備えた構成であり、ライブでもレコーディングでも一貫して使用される主力ギターであると想定されます。
使用エフェクターとボード構成【妖精帝國・XiVa】
XiVaのエフェクトシステムは非常にシンプルかつ合理的で、主力はFractal Axe-Fx II XL+に集約されています。従来のメタルギタリストであれば歪みや空間系を個別にペダルで揃えることが多いのに対し、XiVaはAxe-Fxを中核に据えることで、アンプシミュレーションからディレイ、リバーブ、ノイズゲートまでを1台で完結させています。このためペダルボードは最小限に抑えられ、ライブ現場ではフットコントローラーを併用してプリセットを切り替える運用が一般的です。
Axe-Fx内部にはMarshall、Mesa/Boogie、ENGLなど、さまざまなハイゲインアンプのモデリングが搭載されており、妖精帝國の楽曲ごとに適したアンプタイプを切り替えていると推測されます。たとえば「空想メソロギヰ」のような重厚リフではRectifier系モデルをベースに、「Patriot Anthem」のようなタイトなリズム曲ではENGL系のシミュレーションを選択している可能性が高いです。
また、妖精帝國の楽曲には壮大なストリングスやシンセが重なるため、ギターの残響は濃すぎず、輪郭を損なわない設定が重要です。Axe-Fxに内蔵されたディレイ/リバーブは、空間を広げつつも埋もれないバランスに調整されていると考えられます。ノイズリダクションも同機材内で処理されており、7弦特有の低音弦ノイズをカットしながらも、アタック感を損なわない工夫がされています。
さらに、ピッチシフターやオクターバー的な効果もAxe-Fxの内部機能でまかなっていると考えられ、妖精帝國のシンフォニックなサウンドと自然に馴染むよう設計されています。複数の外部ペダルを持ち歩くよりも、Axe-Fxに一本化することで再現性と効率性を両立しているのです。
XiVaのボード構成は、「マルチエフェクター1台+MIDIフットコントローラー」という非常に近代的かつシンプルなもの。多くのメタルギタリストが参考にできる合理的なスタイルであり、音作りの自由度を極限まで高める方法といえるでしょう。以上から、エフェクト面はほぼFractal Axe-Fxに集約され、追加の単体ペダルは見られない、と想定されます。
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【妖精帝國・XiVa】
XiVaの音作りは、7弦ギター特有のローエンドを強調しながらも、シンフォニックで複雑な楽曲アレンジの中で埋もれないバランス感覚が特徴です。Fractal Axe-Fx II XL+を中心に、アンプシミュレーションとEQ調整を緻密に行い、ライブでもレコーディングでも一貫した音質を再現しています。ここでは具体的なEQ設定や曲ごとの使い分け、さらにはPAやエンジニア視点でのミックス処理について詳しく解説していきます。
まずローエンドの扱いですが、7弦の低音域はどうしても音が膨らみやすいため、80Hz付近を軽くカットし、100〜120Hzあたりをブーストして「厚み」と「タイトさ」を両立していると考えられます。特に「Patriot Anthem」など重厚なリフ主体の楽曲では、このEQバランスが曲全体の迫力を決定づけています。
ミドル帯域は500Hz〜1kHzを丁寧に整えることで、シンセやオーケストラとの分離を確保しています。XiVaのギターは単体で聴くとやや硬質でタイトに感じられますが、バンド全体で聴くとオーケストレーションに埋もれず輪郭を保つよう調整されています。特に「空想メソロギヰ」ではミドルをやや強調し、刻みリフの存在感を際立たせています。
ハイエンドは4kHz〜6kHzを軽く持ち上げ、アタック感とピッキングニュアンスを強調。シンバルやストリングスの高域と重ならないように、8kHz以上はむしろ控えめに処理していると考えられます。この調整により、ギターはきらびやかさを保ちつつも耳に刺さらない落ち着いた音色になります。
ディストーションの設定については、ハイゲイン一辺倒ではなく、ゲインを60〜70%程度に抑え、粒立ちの良い歪みを重視しています。ENGLやRectifier系のアンプモデルをベースに、ノイズゲートをタイトに設定し、スタッカート気味の刻みフレーズを明瞭に聴かせています。これにより「攻撃的でありながらクリア」というXiVa独自のサウンドが生まれています。
空間処理では、Axe-Fx内蔵のディレイやリバーブを控えめに使用し、残響は短めに設定されています。特に「Stigma」などシアトリカルな楽曲ではディレイを曲テンポに同期させ、演出効果を高めています。リバーブはホール系よりもプレート系を使用し、バンド全体に溶け込みやすい空気感を演出している可能性が高いです。
曲ごとの使い分けとして、重低音リフ主体の楽曲ではRectifierモデルを選び、リードソロやアルペジオではマーシャル系シミュレーションを使用するなど、プリセット切替を駆使していると推測されます。また、フットスイッチによるシーンチェンジはライブでの再現性を担保する重要なポイントです。
PAやエンジニア視点で見ると、XiVaの音は「低域を支えるベースやバスドラ」「高域を支配するシンセやストリングス」との住み分けが徹底されています。そのため、ミックス段階ではギターのミドルをやや持ち上げ、他楽器と競合しないポジションを確保していることがわかります。結果として、妖精帝國の楽曲は大規模な編成でありながらもギターの存在感を失わないのです。
これらの調整と工夫により、XiVaのギターサウンドは「重厚さと透明感の両立」という矛盾を克服した音色になっています。今後、後進のギタリストがXiVaの音を再現しようとする際は、EQバランスの徹底とシーンに応じたプリセットの使い分けが最大のカギになる、と想定されます。
比較的安価に音を近づける機材【妖精帝國・XiVa】
XiVaのサウンドはFractal Axe-Fx II XL+やE-II ARROW-7といったハイエンド機材に支えられていますが、初心者や中級者でも比較的安価に近づける方法があります。ポイントは「7弦ギターによるローエンドの表現」「ハイゲインアンプシミュレーション」「シンプルなエフェクト処理」の3点です。これらを市販のコストパフォーマンスの高い製品で再現することで、妖精帝國の重厚なサウンドを追体験することが可能です。
まずギターについては、ESP系列のE-IIは高額ですが、代替としておすすめなのがIbanez RG7421(7弦モデル)です。5万円前後で購入可能で、モダンメタルに必要なタイトなローエンドを再現可能。フロイドローズ非搭載ですが、安定したチューニングを保てるため、ドロップチューニング運用にも向いています。XiVaのようにEVH D-Tunaを使いたい場合はフロイド搭載モデルを選ぶ必要がありますが、最初の一本としては十分に実用的です。
アンプ/エフェクターに関しては、Fractal Axe-Fxの代替としてBOSS GX-100やLine 6 POD Goが現実的な選択肢です。両者とも5〜8万円程度で購入でき、Mesa/Boogie Rectifier系やMarshall系のモデリングを搭載。マルチエフェクターとしてディレイ・リバーブ・ノイズゲートも揃っており、XiVaのライブでの運用スタイルを十分模倣できます。特にGX-100は操作性が高く、音作り初心者でも直感的に扱いやすいのが魅力です。
さらに、ピックや小物類についても再現可能です。XiVaが使用しているJAZZ型1.0mmピックは、国内外のメーカーから類似品が多数出ており、ESP、Jim Dunlop、Ibanezなどがラインナップしています。これを使用するだけでもピッキングのニュアンスが安定し、音のキレが増すため、サウンドの近似には大きく貢献します。
総合すると、「7弦ギター(5万円前後)+中級マルチエフェクター(5〜8万円)+JAZZピック」という組み合わせで、XiVaのサウンドのエッセンスを手軽に再現できます。Fractalのような超ハイエンド機材に手を出す前に、これらを揃えて音作りを学ぶことで、より理解を深めた上でのステップアップが可能となるでしょう。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
ギター | Ibanez RG7421 | Ibanez | Amazonで探す | 妖精帝國 | XiVa | 低価格帯の7弦モデル。モダンメタル対応で入門機として最適。 |
マルチエフェクター | BOSS GX-100 | BOSS | Amazonで探す | 妖精帝國 | XiVa | Fractalの代替候補。操作性に優れ、ハイゲインも豊富に収録。 |
マルチエフェクター | Line 6 POD Go | Line 6 | Amazonで探す | 妖精帝國 | XiVa | 手軽に使える定番モデラー。価格と性能のバランスが良い。 |
ピック | JAZZ III 1.0mm | Jim Dunlop | Amazonで探す | 妖精帝國 | XiVa | 同系統のJAZZ型ピックでニュアンスを近づけられる。 |
総括まとめ【妖精帝國・XiVa】

XiVaの音作りは、一見すると「ハイゲイン×7弦」というシンプルな構造に見えますが、その中に非常に緻密な工夫が隠されています。Fractal Axe-Fx II XL+を軸にしたシステムは、ただ高価だから選ばれているわけではなく、妖精帝國のシンフォニックで複雑な音像に対応するための最適解として運用されています。ライブでもスタジオでも同じサウンドを再現できる一貫性は、彼の音作りの大きな強みです。
また、E-II ARROW-7という鋭利な外観の7弦ギターを用いながら、単なるメタル的な重低音にとどまらず、オーケストラやシンセサウンドとの「隙間を埋める」ようなローエンドを構築している点が独自性につながっています。さらに、EVH D-Tunaやトレモロブロックの固定といった運用の工夫は、安定感と即応性を両立させる実戦的な手法です。これは単なる機材選びではなく、プレイスタイルに直結した哲学といえるでしょう。
XiVaの音作りの本質は「重厚さと透明感の両立」にあります。多くのギタリストが「重くすれば埋もれる」「抜けさせれば軽くなる」という二律背反に悩む中で、彼はEQやモデリングの選択を徹底的に突き詰め、理想的なバランスを見出しています。この考え方は、Fractalや7弦を持っていないギタリストでも参考にできる重要なポイントです。
もし読者がXiVaのサウンドを追体験したいなら、まずは「自分のバンドアンサンブルでどの帯域を担うべきか」を考えることが重要です。そのうえで、マルチエフェクターを活用してプリセットを作り込み、シーンごとに音を切り替える運用に慣れていくことで、XiVa的な合理的かつ実戦的なアプローチを自分のものにできるはずです。
妖精帝國の壮大な楽曲を支えるXiVaのサウンドは、決して機材の豪華さだけで成り立っているわけではありません。プレイスタイル・機材の選択・セッティングの三位一体によって初めて完成する音色です。そのため、これを再現するうえで最も大切なのは「どうしてその音作りが必要なのか」という視点を持つことです。ここを意識すれば、誰でも自分なりの「XiVaサウンド」に近づける、とまとめられます。
“`
下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
ギター
E-II ARROW-7(7弦/ブラック)
公式プロフィールでは“E-Ⅱ Arrow”表記。実機は7弦ARROWで確認。フロイド搭載。
dasfeenreich.com
ESP GUITARS
アンプ
Fractal Axe-Fx II XL+(アンプシミュレーター/マルチ)
プロフィールで明記。ライブ/レコーディングの基幹トーン源。
dasfeenreich.com
(想定)Marshall JVMシリーズ・ヘッド+1960キャビ
公式ブログ掲載のステージ写真からの判読(型番は未記載のため“想定”)。
ESP GUITARS
エフェクター
Fractal Axe-Fx II XL+
上記と同一機材。ディレイ/リバーブ/ゲート等はAxe-Fx内蔵処理とみるのが合理的(重複統合)。
dasfeenreich.com
備考
EVH D-Tuna を7弦側に装着(曲により素早くドロップ)。アームアップ不可化のためトレモロブロックとボディの間に木片を挟む運用。
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ピック:JAZZ型/ポリアセタール/1.0 mm。
ESP GUITARS
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