ジャーマン・メタルの先駆者であり、後のネオクラシカル・メタルに計り知れない影響を与えた「仙人」ことウリ・ジョン・ロート。
スコーピオンズ(Scorpions)在籍時の彼は、ジミ・ヘンドリックスを彷彿とさせるサイケデリックなアプローチと、クラシック音楽の理論を融合させた唯一無二のプレイスタイルを確立していました。
彼のサウンドの最大の特徴は、泣きのフレーズで聴ける「歌うようなトーン」と、ストラトキャスターの限界を超えた超絶的な速弾きです。
特にアルバム『Virgin Killer(狂熱の蠍団)』や『Tokyo Tapes(蠍団爆発!!)』での、熱気あふれるリードトーンは今なお多くのギタリストのバイブルとなっています。
この記事では、スコーピオンズ時代のヴィンテージ・トーンから、現代の「スカイ・ギター」を駆使したオーケストラのような壮大なサウンドまで、ウリの機材と音作りの秘密を徹底解説します。
②使用アンプ一覧と特徴【Scorpions・ウリ・ジョン・ロート】
ウリ・ジョン・ロートのサウンドの核となるのは、スコーピオンズ時代から一貫して「ハイパワーなアンプによるナチュラルなドライブサウンド」です。
70年代、彼はマーシャルの100Wヘッドをフルアップに近い状態で鳴らし、あの粘りのある太いリードトーンを作り出していました。
特に象徴的なのが「Marshall 1959T Super Lead Tremolo」です。これは1972年製のモデルで、通常のスーパーリードにトレモロ回路が搭載された非常に希少なモデルです。
彼はこのアンプの全ノブを最大付近に設定することで、エフェクターに頼りすぎない、ピッキングのニュアンスに忠実な歪みを得ていました。
1980年代以降、スカイ・ギターを使用するようになってからは、より広い周波数特性と高いヘッドルームを持つアンプを求めるようになります。
スカイ・ギター内部に搭載された「Mega-Wingシステム(アクティブ・プリアンプ)」は非常に強力な出力を誇るため、標準的なヴィンテージ・アンプではすぐに音が潰れてしまうからです。
そこで選ばれたのがBlackstarのArtisanシリーズやSeries One 200です。これらは大音量でも音が潰れず、ウリが求めるバイオリンのような滑らかなサステインを実現します。
また、レコーディングではVox AC30やFender Twin Reverbも使用されますが、本人が語る通り「スカイ・ギターの出力でスピーカーを飛ばしてしまう」ことが多いため、ライブでのメインは高出力モデルにシフトしています。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1959T Super Lead Tremolo | Marshall | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | スコーピオンズ時代のメインアンプ。全アルバムで使用された。 |
| Artisan 100 | Blackstar | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 近年のメイン。スカイ・ギターの出力を受け止める余裕を持つ。 |
| Series One 200 | Blackstar | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 圧倒的なヘッドルームを誇る200Wモデル。 |
上記以外にも、ライブハウス環境に合わせてMarshall Valvestate VS-230Rなどのソリッドステート・アンプを併用することもあると想定されます。
③使用ギターの種類と特徴【Scorpions・ウリ・ジョン・ロート】
ウリ・ジョン・ロートのキャリアは、大きく「フェンダー・ストラトキャスター時代」と「スカイ・ギター時代」に分かれます。
スコーピオンズ時代の彼は、リッチー・ブラックモアの影響も感じさせるホワイトやサンのストラトキャスターを愛用していました。
特に1975年製のストラトは、ハンブルクで購入して以来、『In Trance』から歴史的名盤ライブ『Tokyo Tapes』まで、黄金時代のすべてのリードを奏でた伝説的な1本です。
しかし、彼は既存のギターの音域に限界を感じていました。バイオリンの音域をカバーしたいという彼の欲求は、1980年代に入り「スカイ・ギター(Sky Guitar)」の考案へと繋がります。
スカイ・ギターは、通常のギターが21〜24フレットであるのに対し、30フレットから最大36フレット(最新モデルではそれ以上)を備えています。
さらに、高音域のフレットは指が入らないほど狭くなるため、あえてフレットを全音刻みで配置し、中間音をチョーキングで補うという驚異的な構造をしています。
また、ウリのサウンドには欠かせないのが、アコースティックな響きです。
『Fly To The Rainbow』などのバラード的なセクションでは、1972年製のRamirez製コンサート・ギター(クラシックギター)を使用し、ナイロン弦特有の美しいトーンを導入していました。
エレキギターにおいても、そのピッキングスタイルはクラシックのタッチが色濃く反映されており、それが彼の音に「高潔さ」を与えています。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | ギターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Stratocaster (1975) | Fender | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | エレキギター | スコーピオンズ時代のメイン。指板延長などの改造あり。 |
| Sky Guitar | Custom Made | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | エレキギター | 30フレット以上を備える革命的ギター。現在は公式レプリカも存在。 |
| 1972 Concert Guitar | Ramirez | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | クラシックギター | バラードのイントロ等で使用。ウリのクラシカルな側面の象徴。 |
当時のライブ映像では、バックアップとして複数のストラトが用意されていましたが、基本的にはこの75年製が彼の魂の延長線上にあったと想定されます。
④使用エフェクターとボード構成【Scorpions・ウリ・ジョン・ロート】
ウリ・ジョン・ロートのエフェクター構成は、時代によってアナログとデジタルが巧みにミックスされています。
スコーピオンズ時代の肝は「ワウペダル」と「フェイザー」です。特にRoland AP-7 Jet Phaserは、彼の象徴的なサウンドである、うねるような強力なフェイズ・トーンを生み出すために不可欠でした。
『Polar Nights』などの楽曲で聴ける、あの深く激しい揺れは、Jet Phaserなしには語れません。
また、ジミ・ヘンドリックスへの敬愛から、初期はFuzz Face(ダラス・アービター)やSchallerのファズを使用していました。
マーシャル・アンプの歪みにこれらを薄く重ねることで、フィードバックの制御とサステインの向上を図っていました。
足元には常にVOXのワウが置かれ、フレーズの語尾に細かなニュアンスを加えていたのも特徴です。
近年のセットアップでは、MXR Carbon Copy Analog Delayを複数台使用し、ショートディレイとロングディレイを使い分けることで、ホールの残響のような奥行きを演出しています。
さらに、Vibesware Guitar Resonatorという、弦を物理的に振動させてフィードバックを得るデバイスも使用しており、大音量でなくてもバイオリンのような無限のサステインを維持できる工夫が凝らされています。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | エフェクターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| AP-7 Jet Phaser | Roland | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | フェイザー | 極めて激しい揺れを作る。スコーピオンズ時代の代名詞。 |
| RE-301 Chorus Echo | Roland | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | エコー | テープ特有の温かみのある遅延効果に使用。 | |
| Cry Baby | Vox | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ワウペダル | 70年代初期モデル。感情的なリードに必須。 |
| Carbon Copy | MXR | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ディレイ | 近年愛用。アナログながらクリアな残響がスカイギターに合う。 |
ウリのボードには他にもTS9DXやWhammy DTなどが並び、常に音響的な進化を求めている構成であると想定されます。
⑤音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【Scorpions・ウリ・ジョン・ロート】
ウリ・ジョン・ロートの音作りを再現するための最大の鍵は、「中域(ミッドレンジ)の密度」と「ピッキング・ニュアンス」にあります。
彼のセッティングは、ドンシャリ(低域と高域の強調)とは対極にあります。マーシャル・アンプのセッティングでは、Middleを8〜10に、Trebleはキンキンしすぎない5〜6、Bassは低音のボヤけを防ぐために4〜5程度に設定するのがウリ流です。
また、彼はボリュームノブの操作で歪みをコントロールする達人です。フルアップで強烈なサステインを稼ぎ、少し絞ることでクリーン〜クランチの絶妙な領域を行き来します。
スコーピオンズのライブ盤『Tokyo Tapes』で聴けるトーンは、実はアンプ自体はそれほど歪んでおらず、音圧とピッキングの深さで「歪んでいるように聴かせている」部分が大きいです。
これにより、速いパッセージでも音が潰れず、一音一音が明瞭に分離するクラシカルな響きが得られます。
ミックス面での工夫としては、深いリバーブよりも「エコー(ディレイ)」の活用が目立ちます。
Roland RE-201や301のようなテープエコーの減衰音は、リードトーンに神秘的な奥行きを与えます。
また、レコーディングエンジニアは、ウリのギターを左右に薄く広げるのではなく、センターに定位させ、その周辺に残響成分を配置することで、バイオリンのようなソロ楽器としての存在感を強調しています。
EQのポイント:
・3kHz付近を強調し、バイト感を出す。
・500Hz〜800Hzの中音域を太く保ち、リードの「コシ」を作る。
・プレゼンスを上げすぎず、ヴィンテージ特有の「枯れた」高域を意識する。
これらのセッティングにより、彼はハードロックの攻撃性と、クラシック音楽の優雅さを共存させていると想定されます。
⑥比較的安価に音を近づける機材【Scorpions・ウリ・ジョン・ロート】
本物の1959Tやスカイ・ギターを揃えるのは非常に困難ですが、現代の安価で高性能な機材を使えば、ウリのサウンドに驚くほど近づくことができます。
| 種類 | 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| マルチエフェクター | GX-100 | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | マーシャル・プレキシ系モデリングが秀逸。ジェットフェイザーの再現も可能。 |
| オーバードライブ | ST-2 Power Stack | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 手軽にマーシャルのフルスタック・トーンを得るならこれ。ピッキング反応が良い。 |
| フェイザー | Phase 90 | MXR | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ウリのような深い揺れを再現するための定番。 |
特にBOSS GX-100のような最新のマルチエフェクターは、ウリの複雑なルーティング(エコーの後に歪ませる、あるいはその逆など)をシミュレートするのに最適です。
また、ギターについては、Fender Mexico等のPlayer Stratocasterをベースに、太いアームに交換するだけで、視覚的・操作的にスコーピオンズ時代のウリに近づけます。
⑦総括まとめ【Scorpions・ウリ・ジョン・ロート】
ウリ・ジョン・ロートのサウンドの本質は、「テクニックを表現するための道具としての機材」という極めて純粋な哲学にあります。
彼はただ速く弾くためにスカイ・ギターを作ったのではなく、自分の頭の中に鳴っている「バイオリンの音」を具現化するために、既存のギターの形さえも変えてしまいました。
スコーピオンズ時代の彼の音を再現したいのであれば、単に歪ませるのではなく、「ピッキングのひとつひとつで弦を歌わせる」という意識が最も重要です。
機材面では、ミッドレンジが豊かなマーシャル系のサウンドをベースに、ワウやフェイザーで表情をつけ、ディレイで空間を埋める。
このシンプルな構成こそが、彼のドラマチックなプレイを支える土台となっています。
「仙人」と呼ばれる彼の音作りを追いかけることは、ギタリストとしての表現力を高める修行そのものです。
この記事で紹介した機材を参考に、ぜひあなた自身の「スカイ・トーン」を探求してみてください。

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