①始めに(特徴紹介)
聖飢魔IIのギタリストとして絶大な存在感を放つ「ジェイル大橋代官」。そのプレイスタイルは、重厚なドライブサウンドと煌びやかなトーンの共存が際立っており、80年代ジャパメタから現代に至るまで一貫して“歌うギター”を志向してきました。
特に代表曲「EL.DORADO」や「アダムの林檎を奪え」などでは、硬質でありながら艶やかなリードトーンが印象的で、タイトなリズムとともにバンド全体を引き締めています。ソロではテクニカルでありながら、どこか情緒的な旋律を含み、メロディ重視のアプローチが一貫しています。
彼のサウンドメイクは、真空管アンプによる「ナチュラルなドライブ感」と、エフェクトによる緻密な補正のバランスに秀でています。ギター自体の鳴りを最大限に活かしつつ、必要最小限の加工で音を構築しているため、機材の個性とプレイヤーの表現力が直結しているのも特徴です。
また、Aria Pro IIの多数のシグネチャーモデルや、Marshallアンプの複数台運用など、機材面でも徹底したこだわりが見られます。「ギターの音が素直に出るもの」を好むという本人の発言どおり、機材選びの基準は常に“リアルな表現力”にあります。
本記事では、そんなジェイル大橋代官の音作りに迫るべく、実際に使用されたギター・アンプ・エフェクターをすべて網羅し、その特徴やセッティング思想を分析。さらに、初心者向けに“近づけるための代替機材”やEQ設計のポイントも丁寧に解説します。
彼のサウンドの再現を目指す方にとって、確かなガイドラインとなるよう、最大限の情報密度と信頼性をもってお届けします。
②使用アンプ一覧と特徴【聖飢魔II・ジェイル大橋代官】

ジェイル大橋代官のサウンドの核となるのが、Marshall系アンプを中心としたヘッドアンプとコンボアンプの運用です。特に1970年代初期製のMarshall 1959をメインアンプとして愛用しており、そのナチュラルなドライブ感と中低域の太さは、彼の音作りにおいて不可欠な要素です。
Marshall 1959は、もともとシャラ(聖飢魔IIのギタリスト石原愼一郎氏)から譲り受けた個体をきっかけに導入されたもので、アメリカでリー・ジャクソンによるモディファイが施されています。特筆すべきは“フリーケンシー・アジャストメント”という6段階のミドル帯域選択が可能なツマミで、より細かい中域調整が可能です。
このカスタマイズによって、ギター本体のニュアンスを忠実に再現する「直感的で反応の良いアンプサウンド」が得られ、特にステージやスタジオでの再現性が極めて高いことから、複数台(現在4台)所有しているとのことです。
また、ライブではステージモニター用に「Marshall 1959SE」を併用。さらにレコーディングではコンパクトな「Marshall Studio 15(4001)」や「JCM600」など、場面に応じて使い分けがなされています。
アンプ直結志向の彼にとって、エフェクターによる音作りは補足的なものであり、アンプそのもののキャラクターとドライブが第一優先です。EQ設定ではプレゼンスを使わないのが特徴で、中低域が自然に持ち上がるような設計となっており、現代的なミッドスクープとは対極の骨太なトーンが完成します。
過去にはGuyatoneやSeymour Duncan製のアンプを試用していたこともありますが、最終的にはMarshall系で落ち着いています。彼のサウンドを再現したいならば、真空管アンプ+ナチュラルドライブの組み合わせが最重要ポイントです。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1959 | Marshall | Amazonで検索 | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | リー・ジャクソンMod。中低域に厚み、フリーケンシー調整可能 |
1959SE | Marshall | Amazonで検索 | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | ライブモニター用として使用。メインではない |
Studio 15 (4001) | Marshall | Amazonで検索 | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | レコーディング用コンボアンプとして使用 |
JCM600 | Marshall | Amazonで検索 | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | 2003年頃から使用、アメリカで入手 |
Guyatone アンプ | Guyatone | Amazonで検索 | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | 初期に使用されたモデル。現在は使用していない |
Seymour Duncan アンプ | Seymour Duncan | Amazonで検索 | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | 試用経験あり、現在は使用せず |
③使用ギターの種類と特徴【聖飢魔II・ジェイル大橋代官】
ジェイル大橋代官のサウンドの象徴とも言えるのが、Aria Pro IIによるシグネチャーモデルの数々です。彼はステージやレコーディングにおいて、自身の音楽的要望を反映させた独自モデルを複数使い分けています。それぞれのギターは、構造・材質・ピックアップ構成・ビジュアルデザインに至るまで異なる個性を持ち、楽曲ごとに音の厚みや輪郭を調整しています。
まず代表的なのが、セミアコ構造のAria Pro II TA-JAIL (“DROP BURST”)。このモデルはコイルタップ機能を備え、シングルとハムバッキングの切り替えが可能。セミアコながら歪ませて使える構造で、ライブでは中域に厚みのあるリードトーンを実現しています。ビジュアルも特徴的で、黒・赤・白の“ドロップバースト”カラーが印象的な1本です。
次に、メタル系リフや鋭いカッティングが映えるのがAria Pro II PE-JAIL ROCK。フロイドローズ搭載、フラットトップ構造で、エッジの効いたサウンドを生み出します。こちらはホワイトベースにジェイルのフェイスペイント風デザインが施されており、視覚的インパクトも大きいギターです。構造としてはメイプルトップ+マホガニーバックの定番トーンウッド構成です。
同じくPE系統のPE-JAIL ROLLは、オールマホガニー製のアーチトップ仕様。倍音が豊かで、より“鳴り”を重視した設計になっており、リアピックアップにはコイルタップも搭載されています。赤をベースにした特有のビジュアルで、表情の幅も広く、バラード系にも向いています。
他にも、Aria Pro IIのRS-JAIL 2005や、TA-TJOといった限定モデル、さらにはHERITAGE H-555 CLASSICといったフルアコモデルも使用されており、音楽的レンジの広さを感じさせます。
これらのギターは全てミディアムスケールで設計されており、プレイアビリティと音のまとまりに優れた構造を持ちます。彼のこだわりである「素直に鳴る」「倍音のバランスが美しい」といった要素が、1本1本に体現されています。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
TA-JAIL (“DROP BURST”) | Aria Pro II | Amazonで検索 | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | セミアコースティック | コイルタップ搭載。歪ませて使用可能なセミアコ。赤黒白のバースト |
PE-JAIL ROCK | Aria Pro II | Amazonで検索 | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | ソリッド(フロイドローズ付き) | フェイスペイント風デザイン。エッジの効いたメタル向き |
PE-JAIL ROLL | Aria Pro II | Amazonで検索 | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | ソリッド(アーチトップ) | オールマホガニーで倍音豊か。赤の特徴的デザイン |
RS-JAIL 2005 | Aria Pro II | Amazonで検索 | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | ソリッド | 2005年発表モデル。限定生産のファンアイテム |
TA-TJO | Aria Pro II | Amazonで検索 | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | セミアコースティック | 使用詳細は不明だが、ライブにて確認例あり |
H-555 CLASSIC | HERITAGE | Amazonで検索 | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | フルアコースティック | ジャズ・ブルースにも対応。レコーディング用と推測 |
④使用エフェクターとボード構成【聖飢魔II・ジェイル大橋代官】

ジェイル大橋代官のサウンドに欠かせないのが、エフェクターによる緻密な音作りです。彼の哲学は「ギターの音が素直に出ること」を最優先としつつも、表現の幅を広げるために厳選されたエフェクターをボードに組み込み、常に細かなトーン調整を行っています。
まず常時オンで使用しているのが、歪みの中核を担うPROCO RAT。アンプだけでは得られない中域の厚みや、押し出し感のあるドライブサウンドを補完しており、FILTERツマミを下げ気味に設定することで高域の刺さりをコントロールしています。録音時にはソロ用にゲインをさらに上げる工夫も施されます。
続いて注目すべきは、TC ElectronicのパラメトリックEQ。彼の音作りの中でも最重要とされ、低域・中域を押し出す太いトーンを精密にコントロール。全体的にプレゼンス以外をMAXにしてから引き算的にセッティングする方法を採用しており、リバーブは一切使用しないのも特徴です。
空間系では、TC Electronic Flashback(ディレイ)、T-REX Replica(アナログディレイ)、FULLTONE SUPA-TREM(トレモロ)、T-REX The Twister(コーラス/モジュレーション)などが使用されており、ステージや楽曲に応じた繊細な使い分けがなされています。
また、SPI製のJAIL OHASHIモデルの2種(FREESTYLE、SPANKING PURPLINS)や、STEVE SALAS Wah Rocker(オートワウ)、K FACTORY ELEMENT OF BLUES(ブースター)、YAMAHA OCTAVER(オクターブ)といった、個性的かつ代官らしいセレクションも魅力です。
これらの機材を用いたサウンドは、歪みすぎず、芯がありながらも耳あたりの良いトーンを形成しており、「ドライブサウンドの理想形」として多くのギタリストから注目を集めています。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
RAT | PROCO | Amazonリンク | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | ディストーション | 常時使用。中域を補完し、FILTERで高域を抑える設定。 |
Parametric EQ | TC Electronic | Amazonリンク | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | イコライザー | プレゼンス以外MAXで調整。中域重視。リバーブは使わない。 |
FLASHBACK | TC Electronic | Amazonリンク | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | ディレイ | 空間系処理用ディレイ。サブ的に使用。 |
REPLICA | T-REX | Amazonリンク | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | ディレイ | アナログ系の温かいトーンを提供するディレイ。 |
SUPA-TREM | FULLTONE | Amazonリンク | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | トレモロ | 揺らぎ系処理に活用。ギターソロで効果的。 |
The TWISTER | T-REX | Amazonリンク | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | モジュレーション系 | マルチモジュレーション。コーラス/フランジャーを併用。 |
Wah Rocker | STEVE SALAS | Amazonリンク | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | ワウペダル | オートワウ的に使用。特徴的なサウンドに貢献。 |
ELEMENT OF BLUES | K FACTORY | Amazonリンク | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | ブースター | ソロ時にドライブを増強。 |
OCTAVER | YAMAHA | Amazonリンク | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | オクターブ | 低域補強やユニゾンフレーズで活躍。 |
FREESTYLE JAIL OHASHI MODEL | SPI | Amazonリンク | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | マルチエフェクター | SPI製シグネチャー。詳細用途は未記載。 |
SPANKING PURPLINS JAIL OHASHI MODEL | SPI | Amazonリンク | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | マルチエフェクター | SPI製シグネチャー。詳細用途は未記載。 |
⑤音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【聖飢魔II・ジェイル大橋代官】

ジェイル大橋代官の音作りは、機材の個性を活かしつつも「ギターの素直な鳴り」を最も重視する姿勢が徹底されています。彼のセッティングにおいては、アンプやエフェクターの持つキャラクターに依存しすぎず、出音の「太さ」や「レスポンスの速さ」、「音抜けの良さ」を重視したセッティング哲学が一貫して見られます。
まず、メインアンプであるMarshall 1959(リー・ジャクソンモディファイ)は、アンプの中低域に厚みを持たせることでドライブ感のある豊かな倍音を作り出し、プレゼンス以外のツマミは高めに設定されています。とくにプレゼンスは一切使わないというセッティングが特徴的で、これは高域の過剰な突き抜けを避け、耳あたりの良いトーンを保つ意図と考えられます。
歪みに関しては、アンプ直でもある程度のドライブ感が得られるものの、PROCO RATで中域に厚みを加え、さらにソロ用にゲインをプッシュ。FILTERツマミは抑え気味にしているため、きらびやかな高音よりも「丸く、太く、落ち着いた」ディストーションサウンドが基盤です。
TC ElectronicのParametric EQによるセッティングもユニークで、基本的には「プレゼンス以外をMAX」にした状態から徐々に削っていくという、音圧と中域の粘り気を追求するセッティング方法が用いられています。EQ設定では、ローミッド~ミドルを中心に厚みを残すようなチューニングが好まれており、バンドアンサンブルの中でも埋もれにくい存在感を発揮します。
リバーブはあえて使用せず、ディレイ(FlashbackやReplica)を必要最小限の空間演出に留めることで、「輪郭をぼかさず」「音が手前に出てくる」ようなミックス上の利点が活かされています。トレモロ(Supa-Trem)やモジュレーション(The Twister)も「音を揺らすため」ではなく、「音に表情を与える手段」として非常に細かく調整されています。
録音においても、マイクの配置やマイキングの角度よりも「ピックアップ選択と弾き方、セッティングがすべて」と語るジェイル代官。そのため、EQはあくまでプレイヤーの意図を補完する手段として位置付けられており、極端なブーストやカットではなく、丁寧な調整が特徴です。
また、ギター側でもコイルタップやセレクターの切り替えでトーンのキャラクターを調整し、曲調に合わせて歪みの質感やコンプレッション感を手元で作り込む姿勢が見られます。特にTA-JAILなどのセミアコでは、パワフルな歪みの中にも空気感を保ったサウンドを実現しています。
ライブにおいては、ステージモニター用にMarshall 1959SEやStudio 15を併用し、FOHに渡す信号との分離性を確保。ギターの帯域が混ざり合って濁らないよう、あえてステージ上の音圧をコントロールする工夫も行っていると想定されます。
このように、ジェイル大橋代官の音作りは、「ギター本来の鳴りを邪魔しない」ことを軸に、EQやミックス処理を「削る・整える・表情をつける」ためのツールとして丁寧に活用していることが特徴といえるでしょう。
これらのアプローチはすべて、本人が語る「音がぼやけたり、倍音のバランスが悪いものはNG」というポリシーに通じており、機材を選ぶ段階から「音のレスポンス」と「プレイヤーの表現を妨げないこと」が徹底されています。全体として、EQも含めた音作りは「高域を削り、中域に粘りと芯を持たせる」方向で調整されていると、想定されます。
⑥比較的安価に音を近づける機材【聖飢魔II・ジェイル大橋代官】
ジェイル大橋代官の音は、アンプ直系の太い中低域と、輪郭のあるドライブ感が融合した“職人系ドライブサウンド”が基盤です。再現を目指す上で重要なのは、ハイゲインすぎず中域が粘るオーバードライブ/ディストーション、ナチュラルなコンプレッション感を持つアンプ、そしてコイルタップ対応のギターです。
ここでは、初心者や中級者でも導入しやすい、比較的安価で再現性の高い代替機材を紹介します。それぞれ「なぜ似ているのか」「何が代替になるか」を具体的に解説しながら表にまとめました。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
ディストーション | BOSS DS-1W | BOSS | Amazonで探す | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | PROCO RATの代用として有力。WAZA CRAFT仕様は太く粘る中域と温かみのある歪みを再現可能。FILTERを抑えたEQにも対応。 |
イコライザー | GE-7 Equalizer | BOSS | Amazonで探す | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | パラメトリックEQの代替。ミドル強調や高域カットに向いており、アンプ直系の音を整えるのに適している。 |
ディレイ | NUX Duotime | NUX | Amazonで探す | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | TC ELECTRONIC FLASHBACKやT-REX REPLICAの代替。2ch独立ディレイ搭載で、空間系の調整が細かく可能。 |
オーバードライブ | Joyo Sweet Baby OD | Joyo | Amazonで探す | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | K FACTORY ELEMENT OF BLUESの代替。ナチュラルなクランチ感とピッキングのニュアンスを活かすタイプ。 |
アンプ(モデリング) | VOX Cambridge 50 | VOX | Amazonで探す | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | Marshall系のドライブ感とモデリング性能を併せ持つ。中低域が太く、コシのある音が特徴。 |
マルチエフェクター | Zoom G3n | Zoom | Amazonで探す | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | モジュレーション、EQ、ワウ、ブースターなど網羅可能。シンプルな操作性と十分な再現性。 |
ギター | YAMAHA SA2200 | YAMAHA | Amazonで探す | 聖飢魔II | ジェイル大橋代官 | TA-JAILの代用に最適なセミアコ。コイルタップ機能と豊かな倍音が共通しており、音の輪郭と艶を再現しやすい。 |
これらの機材を組み合わせることで、初心者でも「ジェイル代官らしい音像」に近づけることが可能です。中でもDS-1WやGE-7は、入手しやすさと汎用性のバランスが良く、特にアンプ直系サウンドに厚みと粘りを加えるのに効果的です。
また、コイルタップ可能なセミアコギターを導入することで、ニュアンスの幅を広げられ、ソロやバッキングでの切り替えが再現できます。
⑦総括まとめ【聖飢魔II・ジェイル大橋代官】

ジェイル大橋代官のギターサウンドは、単なるハイゲイン志向とは一線を画し、「中域に芯がある粘り」と「ギター本来の鳴り」を両立させた“通好み”のトーン設計が最大の特徴です。
特に印象的なのは、Marshall 1959の真空管アンプによるストレートな出音と、PROCO RATやパラメトリックEQを駆使した絶妙な音作りのバランスです。アンプはヴィンテージ志向でありながらも、プレゼンスをあえてカットするなど細やかなこだわりが見られ、ギターとプレイヤーの個性を際立たせる方向で構築されています。
また、Aria Pro IIによるシグネチャーギター群の充実ぶりも特筆すべきポイントです。セミアコとソリッド、さらにはマホガニーやメイプル材の違いまで含め、場面ごとに最適なトーンを選び抜く姿勢から、彼の音への深いこだわりと柔軟なアプローチが垣間見えます。
使用するエフェクターも、単に定番を並べるのではなく、SPIのカスタムモデルやK FACTORYなど、独自のフィーリングに合った機材を厳選しており、ミドル主体の芯が通ったトーンを支えています。
しかし何よりも重要なのは、彼が「機材はあくまで表現の手段であり、音を決めるのはプレイヤー自身」と明言している点です。こうした思想が、無駄を削ぎ落としたセッティングや、直感的なサウンドメイキングへとつながっています。
再現を目指すならば、単なる機材の模倣ではなく、「プレイヤーの表現を引き立てる機材の選定」「余計な色づけを排したチューニング」「ミドル重視のEQ設計」を意識することが重要です。
つまり、ジェイル代官の音作りの本質とは、「必要最低限の手数で、最大限の表現を引き出す設計美学」。この考え方をもとに、自身のセッティングを磨いていくことが、最も彼に近づく第一歩となるでしょう。
下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
ギター
Aria Pro II TA-JAIL (“DROP BURST”):
セミアコースティックタイプのシグネチャーモデル。
歪ませて使用可能。
コイルタップ機能(シングルコイルとハムバッキングの切り替え)。
黒赤白のバーストカラー。
ネックはミディアムスケール。
Aria Pro II PE-JAIL ROCK:
Aria Pro II PEをベースにしたシグネチャーモデル。
フラットトップ、フロイドローズ搭載。
メイプルトップにマホガニーバックのボディ構造。
エッジの効いたサウンドが特徴。
白ベースに、ジェイル大橋代官のフェイスペイントをデフォルメした模様。
ネックはミディアムスケール。
Aria Pro II PE-JAIL ROLL:
Aria Pro II PEをベースにしたシグネチャーモデル。
オールマホガニー製で、鳴りを重視した設計。
アーチトップボディで倍音が豊かに出る。
リアピックアップはコイルタップ可能。
赤をベースにジェイルモデル特有の模様が入っている。
ネックはミディアムスケール。
Aria Pro II RS-JAIL 2005:
Aria Pro II TA-TJO:
HERITAGE H-555 CLASSIC:
アンプ
Marshall 1959:
メインで使用しているアンプ。
1971年から1973年製あたりを複数台所有(現在は4台)。
聖飢魔IIに加入後、シャラ(石原愼一郎)氏から譲り受けたものがルーツ。
アメリカでリー・ジャクソンによってカスタマイズされており、特にフリーケンシー・アジャストメント(ミドルの周波数帯を選択できる6段階のツマミ)が追加されている。
アンプ直の音を重視し、ギターの音がそのまま素直に出ることを好む。
音作りは中低音が強く太いサウンドが特徴で、歪みは深すぎずドライブサウンドのイメージ。
プレゼンス以外のツマミは上げ気味だが、プレゼンスは使用しない。
Marshall 1959SE: 全席死刑ツアーでステージモニター用に使用。
Marshall Studio 15 (4001): ビルトイン(コンボ)アンプ。様々なレコーディングで使用。
Marshall JCM600: ビルトインタイプのコンボアンプ。魔暦5年(2003年)頃にアメリカで入手。
Guyatone: 聖飢魔II加入当初に使用。
Seymour Duncanのアンプ: エース清水長官と共に試した時期がある。
エフェクター
PROCO RAT:
常時かけっぱなしで使用。
中域を押し出した太いサウンドが特徴で、アンプで足りない歪みを補うイメージ。
録音時はソロ時のみゲインをさらに上げる。
FILTERつまみは下げ気味で高域をカット。
TC Electronic Parametric EQ:
細かく音を設定できる。
ミドルが強めな太いサウンドが特徴で、ハイは抑え気味、歪みも抑え気味。
設定はプレゼンス以外をマックスにして徐々に削っていく方法で、ミドルは高めに残す。リバーブは使用しない。
TC ELECTRONIC FLASHBACK:
T-REX The TWISTER:
STEVIE SALAS WAH ROCKER:
K FACTORY ELEMENT OF BLUES:
YAMAHA OCTAVER:
SPI FREESTYLE JAIL OHASHI MODEL:
SPI SPANKING PURPLINS JAIL OHASHI MODEL:
FULLTONE SUPA-TREM:
T-REX REPLICA:
その他
カポタスト: Kyser KG6B Quick-Change カポ。
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