始めに(特徴紹介)
押尾コータローは、日本のアコースティック・ソロ・ギター界を代表するギタリストであり、フィンガースタイルの革新者として知られています。 彼の演奏は、1本のギターから信じられないほど多彩な音色を引き出し、まるでバンド全体が演奏しているかのような錯覚を与えます。
その特徴的なサウンドは、タッピング、ハーモニクス、ボディヒットなどの高度なテクニックと、独自のチューニングを駆使した演奏スタイルにあります。 代表曲「風の詩」や「My Way」では、繊細なメロディと力強いリズムが融合し、聴衆を魅了します。
押尾の音作りは、ギター本体の選定だけでなく、ピックアップシステムやエフェクター、PA機材のセッティングにも細心の注意が払われています。 これにより、ライブでもレコーディングでも一貫した高品質なサウンドを実現しています。
彼の使用機材やセッティングについて詳しく知ることで、押尾コータローのサウンドに近づくヒントを得ることができるでしょう。
使用アンプ一覧と特徴【押尾コータロー・押尾コータロー】
押尾コータローはエレキギターとは異なるアプローチでアンプを使用するため、伝統的なギターアンプを使うことはほとんどありません。彼の音作りにおける「アンプ」の概念は、むしろピエゾやマグネティックピックアップからのライン信号を処理するためのプリアンプやPAシステムに依存しています。
代表的なライン出力機器としては「M-Factory Model #202」があり、ピエゾとマグネットPUの信号を別系統で取り出し、それぞれのトーンキャラクターを生かしたミックスを行う重要な役割を果たしています。ライブではPA卓へのダイレクト出力が主であり、ギターアンプ特有の歪み成分やキャビネットカラーを持たない、極めてクリアで繊細な出音を重視しています。
さらに、音質の根幹を担うプリアンプには「Rupert Neve Designs 5012 Duo Mic Pre」が使用され、ギターの原音を忠実かつナチュラルに伝送する設計がなされています。これにより、ボディヒットなどのアタック音や倍音表現がより生き生きと表現されます。
また、電源供給にも工夫が見られ、Vital Audio VA-05 Mk-IIのような安定電源の他、海外ツアー時にはEVADEN製の特注パワーサプライを活用。機材全体のクリーンな駆動を支えています。
彼の演奏スタイルを支えるPA設計は、単なる音量の拡張装置ではなく、表現の一部として音作りに深く関わっているのが特徴です。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
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M-Factory Model #202 | M-Factory | Amazonリンク | 押尾コータロー | 押尾コータロー | ピエゾ・マグPUを独立出力しミキサーへ送る中心機材 |
5012 Duo Mic Pre | Rupert Neve Designs | Amazonリンク | 押尾コータロー | 押尾コータロー | 高音質プリアンプ。原音忠実な再現性を持ち、ライブでも宅録でも活用 |
VA-05 Mk-II | Vital Audio | Amazonリンク | 押尾コータロー | 押尾コータロー | コンパクトで多出力な電源供給装置。小規模ライブや海外での使用を想定 |
EVADEN特注パワーサプライ | EVADEN | Amazonリンク | 押尾コータロー | 押尾コータロー | ライブ向けに使用される特注モデル。信頼性と静音性に優れる |
使用ギターの種類と特徴【押尾コータロー・押尾コータロー】

押尾コータローの音楽表現の核心は、何よりも「ギター」にあります。彼が使用するアコースティックギターは、世界中のトップビルダーによる手工品からヴィンテージモデル、シグネチャーモデルに至るまで実に多岐に渡り、それぞれが特定の楽曲や演奏スタイルにマッチするよう選び抜かれています。
代表的なメイン機は、Greven Guitarsによるシグネチャーモデル「Oshio-DC HR」。ルッツ・スプルースとホンジュラス・ローズウッドを使用し、太く煌びやかなトーンとダイナミクスに優れています。『リベルタンゴ』『My Way』など、重厚なプレイに用いられています。
同じくGrevenの「Oshio-DC BR」は、ブラジリアン・ローズウッドのサイド&バックを採用。やや硬質で立ち上がりの早いサウンドで、『Destiny』やUNICORNのような曲に最適です。また、「D Herringbone Custom」はレコーディング用の定番機。マイキング録音時にその音像が最も忠実に収まるとされ、最も多用されたモデルのひとつです。
ライブ用には「MD Herringbone Cutaway」が活躍し、ハイポジションでの複雑なフレーズに対応。またバラードや情感重視の楽曲では「OM Herringbone Custom」も用いられ、『風の詩』などで聴かれるしっとりとしたトーンが特徴です。
ヴィンテージ系ではMartin D-28(1964年製)や復刻版のD-28 GEも所有し、『PINK CANDY』や『クリスタル』で使われています。加えて、GibsonのCF-100やL-1、LG-2 3/4といった戦前〜戦後モデルも収録や写真で確認されており、表現の幅を広げています。
また、TAKAMINE KO-50(シグネチャーモデル)やT.KAMEOKAのKMD Cutawayなど、国内ビルダーとの関わりも深く、用途に応じて使い分けています。バリトンギターのTACOMA BM6C Thunderhawkや、ウクレレ(Sumi)など特殊な弦楽器も取り入れており、まさに「音色の探求者」といえる存在です。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
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Oshio-DC HR | Greven | Amazonリンク | 押尾コータロー | 押尾コータロー | アコースティックギター | ルッツスプルース×ホンジュラスローズウッド。ライブ・スタジオ両用 |
Oshio-DC BR | Greven | Amazonリンク | 押尾コータロー | 押尾コータロー | アコースティックギター | ブラジリアンローズウッド採用モデル。高音の分離感が特徴 |
D Herringbone Custom #1097 | Greven | Amazonリンク | 押尾コータロー | 押尾コータロー | アコースティックギター | レコーディングで最も使用。素直でレンジ感の広い音 |
Martin D-28 | Martin | Amazonリンク | 押尾コータロー | 押尾コータロー | アコースティックギター | 1964年製ヴィンテージ。復刻モデル(GE)も併用 |
TAKAMINE KO-50 | TAKAMINE | Amazonリンク | 押尾コータロー | 押尾コータロー | エレアコ | 本人監修のシグネチャーモデル。ピエゾ搭載 |
Sympast Ganasia | Sympast | Amazonリンク | 押尾コータロー | 押尾コータロー | 共鳴弦ギター | サスティンや倍音を利用した特殊奏法に対応 |
使用エフェクターとボード構成【押尾コータロー・押尾コータロー】
押尾コータローのサウンドの奥深さは、ギター本体の鳴りや演奏技術だけでなく、繊細に設計されたエフェクトチェーンにもあります。特にライブ時においては、マグネティックピックアップとピエゾピックアップを独立して制御し、それぞれに異なるエフェクト処理を施すという非常に高度なシステムを導入しています。
代表的な構成としては、まずピックアップにはSUNRISE S-2(マグネティック)とTRIAL RAPTOR SYSTEM(ピエゾ)を併用し、M-Factory Model #202でそれぞれの信号を分岐。マグネティックにはコーラスやオクターバー系、ピエゾにはEQやコンプレッサー系といったように、それぞれのキャラクターを最大限に引き出すルーティングがされています。
ライブ時に特に効果的に使用されるのが、ラックマウント型のエフェクト群です。ディレイにはT.C. Electronic D-TWO、リバーブにはLexicon MPX500およびZOOM 9200を使用。これらは主にPAラック側に設置され、楽器からの出力を直接処理する役割を担います。
さらに、EventideのH9はライブでもスタジオでも頻繁に使用されており、特に『Together!!!』のようなコーラスが印象的な楽曲で、マグネティックPUに適用されることが多いです。H9はオクターバーやモジュレーション系のプリセットが優秀で、1台で多様な音色を実現できるため、彼のサウンド設計には欠かせない存在となっています。
ステージでの安定性やメンテナンス性も重視しており、電源にはVital Audio VA-05 Mk-IIを使用。これは海外公演でも使いやすく、小型でありながら十分な出力を誇る製品です。通常の国内公演では、EVADEN製の特注パワーサプライが使われており、音質と安全性を両立しています。
全体として、押尾コータローのエフェクトシステムは「原音を壊さずに拡張する」ことが徹底されており、アコースティックギターという制限の中でどこまで表現を広げられるかを追求した構成といえます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
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D-TWO | T.C. Electronic | Amazonリンク | 押尾コータロー | 押尾コータロー | ディレイ | ラック型。PA処理での主要ディレイとして使用 |
MPX500 | Lexicon | Amazonリンク | 押尾コータロー | 押尾コータロー | リバーブ | リバーブ中心に使用。音像の奥行き感を演出 |
9200 | ZOOM | Amazonリンク | 押尾コータロー | 押尾コータロー | リバーブ | 録音・ライブ両用の定番リバーブ |
H9 | Eventide | Amazonリンク | 押尾コータロー | 押尾コータロー | モジュレーション系 | コーラス/オクターバー用途。プリセット管理も容易 |
VA-05 Mk-II | Vital Audio | Amazonリンク | 押尾コータロー | 押尾コータロー | パワーサプライ | 小型・軽量ながら海外対応。安定供給に貢献 |
Pitchblack Portable | KORG | Amazonリンク | 押尾コータロー | 押尾コータロー | チューナー | ライブ時の精密チューニング用。視認性にも優れる |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【押尾コータロー・押尾コータロー】

押尾コータローの音作りは、アコースティックギターというナチュラルな楽器を最大限に活かすための「緻密な分離と統合」が鍵になっています。特に注目すべきは、ピックアップシステムの独立処理とPA/録音ミックスのこだわりです。
基本となるのは、SUNRISE S-2(マグネティック)とTRIAL RAPTOR SYSTEM(ピエゾ)という2系統のPU構成です。それぞれの出力はM-Factory Model #202により信号分岐され、個別のプリアンプやエフェクトに送られます。この段階で「ボディヒットやサムピックのアタック感はピエゾ系」「弦のふくよかな鳴りやハイレンジはマグネティック系」という分業がなされており、まるで2本のマイクでギターを録っているかのような広がりを作り出しています。
EQ設定に関しては、マグネティック系には高域主体のリバーブを適用し、倍音の伸びや残響を演出。一方、ピエゾ信号には低域を強調するEQ設定が施されることが多く、リバーブを抑えてボディヒットなどの生々しさを維持しています。これにより、打音と旋律が混濁せず、立体感のある音像が作られます。
レコーディングでは、Rupert Neve Designs 5012 Duo Mic Preなどの高品位プリアンプを通してDAW(CUBASE等)に録音。ミックス段階では、DeEsserプラグインを使って高音弦の歯擦音を軽減し、コンプレッサーでフレーズ全体のバランスを整えます。高速のアルペジオやフィンガリング・ハーモニクスのピーキーなピークを抑えつつ、ニュアンスを保つためにアタックタイムやレシオ設定も細かく調整されます。
特にライブでは、PA側のエフェクトラック(Lexicon MPX500やZOOM 9200など)とともに、ステージ上のリアルタイム処理が極めて重要です。マグネティック信号にはEventide H9を用いたコーラスやオクターバー処理が行われ、『Together!!!』のような幻想的な空気感を生み出しています。
押尾氏の音作りの真骨頂は「目を閉じると風景が浮かぶ」ような描写力にあります。そのために、音の奥行き・広がり・硬さ・残響の長さといった要素を細やかにチューニングしているのです。
ボディヒットと弦鳴りの棲み分け、EQ処理による立体感、信号分岐による柔軟な演出——。これらの積み重ねによって、彼の唯一無二のアコースティックサウンドは形作られているのです。
比較的安価に音を近づける機材【押尾コータロー・押尾コータロー】
押尾コータローのサウンドは、その高度なテクニックと繊細なセッティングによって生まれるものですが、近年では多くの市販機材で「雰囲気を再現する」ことが可能になってきました。ここでは、比較的安価(1万〜10万円程度)で押尾サウンドに近づけるための代替機材を紹介します。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
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アコースティック用エフェクター | Zoom A1X FOUR | ZOOM | Zoom A1X FOURを探す | 押尾コータロー | 押尾コータロー | アコギ用マルチエフェクター。EQ、コンプ、リバーブを含み押尾サウンドの基礎を学ぶには最適。サムヒットやピエゾPUの音作りに向くプリセットも搭載。 |
プリアンプ/アンプシミュレーター | Fishman Platinum Pro EQ | Fishman | Fishman Platinum Pro EQを探す | 押尾コータロー | 押尾コータロー | ピエゾPUの出音を整えるために有効。中低域の補強、歯擦音対策に対応。ライブ使用でも高評価。 |
パワーサプライ | Vital Audio VA-05 Mk-II | Vital Audio | VA-05 Mk-IIを探す | 押尾コータロー | 押尾コータロー | 本人も海外ツアーで使用。小型で電源ノイズも少なく、ペダルボードの安定性に貢献。 |
ディレイ | tc electronic FLASHBACK 2 | tc electronic | FLASHBACK 2を探す | 押尾コータロー | 押尾コータロー | リバーブとディレイの調整が押尾風サウンドに欠かせない。TonePrintでオリジナル設定も可能。 |
リバーブ | Electro-Harmonix Holy Grail Neo | Electro-Harmonix | Holy Grail Neoを探す | 押尾コータロー | 押尾コータロー | シンプル操作で奥行きあるリバーブ。ボディヒットやアルペジオの響きを自然に再現できる。 |
コンプレッサー | BOSS CP-1X | BOSS | CP-1Xを探す | 押尾コータロー | 押尾コータロー | 指弾きによる強弱の差をナチュラルに均一化。アタック感を残しつつ音像を整える。 |
マグネティックPU(アコギ用) | Fishman Rare Earth Blend | Fishman | Rare Earth Blendを探す | 押尾コータロー | 押尾コータロー | SUNRISEと同様のマグPU系。音のふくよかさと空間表現を両立できる。 |
これらの機材は、プロ仕様の機材に比べて遥かに手が届きやすい価格帯ながら、押尾サウンドの主要要素である「リッチな倍音感」「明瞭なピッキング」「ボディ鳴りのリアルな再現」に近づくことが可能です。アコースティックギター1本で世界観を表現したい方にとって、これらの機材は非常に心強い味方となるでしょう。
総括まとめ【押尾コータロー・押尾コータロー】

押尾コータローのサウンドをひとことで表すなら、それは「人間の呼吸と感情が宿るアコースティックトーン」です。ピックを使わず指一本で鳴らすそのプレイは、単なる音の連なりではなく、語りかけるような音楽としてリスナーの心に届きます。単音のメロディに重なるハーモニクス、コードストロークに乗るボディヒット、リズムと旋律を同時に奏でるそのスタイルは、まさに彼だけの世界です。
使用機材の面では、特注ギターや高品位なピックアップシステム、レコーディングスタジオレベルのプリアンプやエフェクトを駆使し、徹底して「生感」と「リアリズム」を追求しています。特に、マグネティックとピエゾの2系統を使い分け、ボディヒットと弦の響きのバランスをPAで細かく調整する手法は、一般的なアコースティックギタリストとは一線を画しています。
ただし、技術や機材の再現だけでは、押尾コータローの音には到底たどり着けません。最も大切なのは「音に対する誠実な姿勢」そのもの。彼の演奏を聴くと、その瞬間に何を伝えたいのか、どのフレーズで息を吸い、どの間で情景を描くのか――そういった表現のひとつひとつに魂が込められています。
再現を目指すギタリストにとっては、まずは一曲、彼のレパートリーを丁寧にコピーしてみることをおすすめします。「風の詩」や「Together!!!」などは、シンプルに聴こえる中にも彼の美学が凝縮されています。
そして何より、音作りはゴールではなく、表現のための手段です。押尾コータローというアーティストのように、自分の「音の物語」を紡ぐことができたとき、はじめてそのサウンドは本物になるのかもしれません。
最後に、彼の演奏をぜひ体感してください。百聞は一見に如かず、彼のYouTube動画やライブを観ることで、その奥深さがより一層伝わるはずです。
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