【John McGeoch(ジョン・マッギオーク)・Siouxsie and the Banshees(スージー・アンド・ザ・バンシーズ)】風サウンドの作り方+ギター機材音作りセッティングのまとめ【エフェクター・アンプ】

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① 始めに(特徴紹介)

John McGeoch(ジョン・マッギオーク)の音って、ひと言で言うと「ギターなのに、空間の設計図を描いてる」感じです。
ポストパンク〜ゴスの文脈で語られがちですが、実態は”コードを鳴らしてるだけ”じゃなく、フランジャー/コーラス/ディレイの揺れと残響を、曲のアレンジの中核に置いています。
だから「上手い」とか「奇抜」とかより、曲の中で”何が聴こえるべきか”を音色で整理しているタイプ。

代表例として分かりやすいのが「Spellbound」「Arabian Knights」あたりの、輪郭が立ってるのに薄い膜がかかったような揺れ。
この”膜”の正体が、彼の代名詞のMXRフランジャー(いわゆるフランジャー・オン・ア・スティック)で、演奏しながらノブをスウィープして揺れ幅そのものをリアルタイム操作できるようにしていた、という記録が残っています。
本人インタビューでも、H/Hのフランジャー内蔵コンボから始まり、最終的にMXRフランジャー+コンプ+ヤマハのアナログディレイが核になった、という流れが語られています。

もう一つ重要なのが、Roland JC-120のコーラス。McGeochの”透明で冷たいのに、立体的”な質感は、JC系のステレオ感・コーラス感と相性が抜群です。
さらに、Marshall MV50(Master Volume 50W)コンボを2台(クリーンと歪みで分ける)という証言もあり、JC-120のクリーン成分とマーシャルの押し出しをブレンドしていた可能性が高い。
要するに「クリーンの美しさ」と「ロックの芯」を同時に成立させる設計です。

そして”飛び道具”もちゃんと本物。Juju期の「Into the Light」ではGizmo(Gizmotron)を使ったという記述があり、「Sin in My Heart」ではE-Bowの使用が明示されています。
つまり彼のサウンドは、定番の機材を丁寧に積むだけでなく、曲ごとに必要な質感を道具で作り分けた結果でもあります。

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②使用アンプ一覧と特徴【Siouxsie and the Banshees・John McGeoch】

McGeochのアンプ周りは「Roland JC-120(Jazz Chorus)+Marshall MV50コンボ2台」という情報が、機材リストとして明確に残っています。
特にJC-120は”メインのアンプ”として言及されることが多く、内蔵コーラスの常時ON運用が、あの硬質で透明な広がりを作る最短ルートです。
JC-120の美点は、歪ませなくてもアタックが潰れず、フランジャーやディレイを乗せた時に「揺れの輪郭」が崩れにくいこと。ポストパンクの刻みと相性が良いのはここです。

一方で、Marshall MV50(Master Volume 50W)コンボを2台併用(1台クリーン、1台ダーティ)という記録があり、ここが”バンドの中でギターが痩せない理由”になっています。
JC-120だけだと、バンドが厚くなるほど中域の「押し出し」が不足しがちですが、マーシャル成分を混ぜると、ハイの硬さを保ったまま胴鳴りの密度が増える。
つまり、JCの空間とマーシャルの芯を、曲や会場で使い分け/ブレンドしていた設計が見えてきます。

さらにキャリア初期(Magazine期)には、H/Hのフランジャー内蔵コンボを買った、という本人発言が確認できます。
ここが面白くて、彼の”揺れありき”の発想は、最初からアンプ側(内蔵フランジャー)で成立していた可能性が高い。
その後、より狙い通りに揺れをコントロールするために、MXRのフランジャー(スタンド固定でノブ操作)に収束した流れは理にかなっています。

他にも、後年〜別プロジェクトの文脈ですが「出力を分けてMarshall 100Wスタック(JCM800)とJC-120へ送る」という趣旨の記述も見られます。
この”スプリットして二系統”は、McGeoch的な「空間用のクリーン」と「芯用の歪み」を両立する考え方と一致します。
当時のライブ現場ではPAも含めて試行錯誤が多いので、固定の1パターンというより、時期や会場で複数案を走らせていた、と見るのが現実的です。

機材名 メーカー Amazon メルカリ 備考
Roland JC-120 (Jazz Chorus) Roland 検索 検索 メインアンプとして言及されることが多い。内蔵コーラスを常時ONで、フランジャー/ディレイの揺れを”立体的に見せる”土台に。
Marshall MV50 (Master Volume 50W) Combo Marshall 検索 検索 2台併用(クリーン用/歪み用)として記録あり。JC-120だけだと細くなりがちな帯域に”芯”を足す役。
H/H Combo (built-in flanger) H/H 検索 検索 本人インタビューで「内蔵フランジャーのH/Hを買った」と語られている。Magazine期〜初期の揺れ志向の原点になった可能性。
Marshall JCM800 2203 (100W) Marshall 検索 検索 スプリット出力でJC-120と併用した旨の記述が見られる(時期・運用は複数説)。”芯”側の歪み担当として理屈は合う。

以上を総合すると、McGeochのアンプ選びは「揺れを美しく出すクリーン(JC-120)」「押し出しと密度(Marshall)」「初期の揺れ志向(H/H)」という三点セットで説明できます。
ただし、時期・現場・入手性で運用が揺れていた可能性も高く、完全に一つの固定リグだったと断言するより、核は同じで複数の構成が存在した、と捉えるのが安全です。
そのため、ここに挙げた構成をベースに再現していくのが現実的だ、と想定されます。

③使用ギターの種類と特徴【Siouxsie and the Banshees・John McGeoch】

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McGeochの代名詞は、まず間違いなくYamaha SG1000です。Magazineの契約金で1977年に購入した、という情報がはっきりしていて、彼の”プロ標準の機材を揃えた起点”でもあります。
SG1000はレスポール系の文脈で語られがちですが、McGeochの場合は「太いのに抜ける」中域の扱いが肝。フランジャーやコーラスを深めにかけても、基音が痩せにくいのが強い。
しかも彼のプレイは、単音リードよりも、コードや2〜3音のボイシングで空間を作る比率が高いので、ハムの密度が”揺れの土台”として効きます。

カラーについてはブラックやタバコ・サンバーストの個体が語られ、時期によって複数本を使い分けた可能性もあります。
SG1000一本で全部やる、ではなく、レコーディングやツアー事情で”同系統を複数持つ”のは当時のプロとして自然です。

次に重要なのが、Ovation 1618 Glen Campbell 12-string。これは「Spellbound」の公式映像でも視認できるという言及があり、12弦の煌びやかさを、バンドの暗い質感に混ぜる発想が最高にMcGeoch。
12弦は”きらきら”のためだけじゃなく、コーラスやフランジャーを薄くかけると、倍音が層になって「ギターがシンセっぽく聴こえる」領域へ行けます。
実際、機材リストの引用では「12 String Ovation(通常DI)」とも書かれていて、アンプで鳴らすより、DIでミックスに直接入れて質感を作っていた可能性が高い。これは制作側の合理性としても筋が通ります。

さらに、Telecasterの使用記録(カスタムされたテレキャスターという記述)も見られます。
テレはSG1000と真逆で、倍音の立ち上がりが速く、カッティングやアルペジオが”針”みたいに刺さる。
McGeochのアレンジは、ベースやドラムの隙間に”線”を描く瞬間があるので、その役にはテレがハマります。時期的にはBansheesよりも他プロジェクト寄りの可能性もありますが、彼の語彙としてテレ系の硬さが存在したのは確かです。

また、The Armoury Show期にはSquier ’57 Strat、Ibanez AE410BKなどの使用が確認され、後年はCarvinのソリッドやWashburn Tour 24でツアーしたという記述もあります。
つまりBanshees期に”SG1000+12弦Ovation”が核として存在しつつ、仕事や時期によってギターは柔軟に変わっていた。
ただ、どれを持ってきても最終的に「揺れ/空間/ミックス上の配置」でMcGeochの音になるので、ギター単体の特性は”素材”で、料理は足元とアンプと手癖、という捉え方が正解に近いです。
以上を踏まえると、下表の内容が中心機材であり、周辺機材は時期により入れ替わった、と想定されます。

機材名 メーカー Amazon メルカリ ギターの種類 備考
Yamaha SG1000 Yamaha 検索 検索 エレキギター(HH/ソリッド) メインギターとして定番。1977年に契約金で購入したという情報が明確で、フランジャー/ディレイを乗せても基音が痩せにくい。
Ovation 1618 Glen Campbell 12-string Ovation 検索 検索 アコースティックギター(12弦) 「Spellbound」公式映像で使用が言及される。機材リストの引用では”通常DI”とも書かれており、ミックスで倍音の層を作る用途が濃厚。
Fender Telecaster Fender 検索 検索 エレキギター(テレキャスター) 使用記録が見られる(カスタムされたテレの言及も)。SGよりアタックが速く、隙間に刺すアルペジオや線の役に合う。
Squier ’57 Stratocaster Squier 検索 検索 エレキギター(ストラト) The Armoury Show期の使用が言及される。シングルの”空気感”は、McGeochの空間設計にも相性が良い。
Ibanez AE410BK Ibanez 検索 検索 アコースティックギター(エレアコ系) The Armoury Show期の映像で使用が言及される。クリーンの粒立ちとDI/ライン運用との親和性が高い。
Carvin (solid wood electric) Carvin 検索 検索 エレキギター(ソリッド) PiL期〜晩年に好んだという記述あり。Banshees期とは別枠だが、ライン/空間志向の延長線上として理解できる。
Washburn Tour 24 Washburn 検索 検索 エレキギター(ソリッド) 1988年のツアーで使用という記述あり。時期はズレるが”現場で鳴る実用機”としての選択が見える。

④使用エフェクターとボード構成【Siouxsie and the Banshees・John McGeoch】

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McGeochの足元は、派手に見えて実は”必要最低限を極限まで使い倒す”タイプです。
本人インタビューで「多くのエフェクトは使わなかったが、Magazineを離れる頃にはフランジャー、コンプレッサー、ヤマハのアナログディレイを持っていた」と語られていて、Bansheesでも基本的にそれを使い続けた、という流れが確認できます。
つまり核は3つ。フランジャー(揺れの主役)、コンプ(音量とアタックの整形)、アナログディレイ(空間の奥行き)。

まずMXR M117R Flanger。これは彼の象徴で、マイクスタンドに固定して演奏中にノブを手で回す(スウィープ)運用が、複数の記述で一致しています。
ここが再現の最重要ポイントで、フランジャーを”かけっぱなし”にするのではなく、フレーズの山場で揺れ方を変えて、コードの響きを動かす。
たとえば「Spellbound」系の”回転する膜”は、Manual/Range/Rate(機種により表記差)を触って、共振点を移動させている感覚に近いです。

次にMXR Dyna Comp。コンプは地味ですが、McGeochのように「和音+エフェクト」で層を作る人にとっては、揺れが”バラけない”ための必需品。
フランジャーやコーラスは、入力レベルが暴れると揺れ方が不安定になりやすいので、先にコンプで整えると、動きが”音楽的”になります。
結果として、PAやミックスでも扱いやすくなる。

そしてYamaha E1010 / E1005(Analog Delay)。機材リストの引用で「Yamaha Analog Delay」と明確に書かれており、曲によってはフィードバックやモジュレーション的な使い方も示唆されています。
アナログディレイのBBDの”濁り”は、JC-120の硬さを中和しつつ、ギターを前に出しすぎない。
しかもディレイタイムを短めにして1〜2回反射させると、ギターが太く聴こえるのに元のアタックは残る。McGeochの「細いのに太い」矛盾を支える要素です。

指定機材として、Ibanez SM9 Super Metal(歪み)、Ibanez OD-850(ファズ寄りOD)も挙げられています。
SM9はMcGeochに関連づけて語られることがあり、現代の”ポストパンク用ボード”文脈でも名前が出ます。
OD-850は本人が「グロリファイド・ファズボックス」的に語ったという二次情報があり、もし彼が使っていたなら、マーシャル側の”荒い芯”を作る用途として筋が通る。
ただし、Banshees期の定番3点(フランジャー/コンプ/ヤマハディレイ)ほど一次情報が強固ではないため、ここは”推定枠”として丁寧に扱うのが安全です。

最後に”飛び道具”。Gizmo(Gizmotron)は「Into the Light」で使用されたという記述があり、E-Bowは「Sin in My Heart」での使用が明示されています。
この2つが示すのは「ギターでギター以外の質感を作る」志向。
フランジャーやディレイで”空間”を作り、必要ならGizmotronやE-Bowで”発音そのもの”を変える。音作りの発想が、すでにプロダクション側に踏み込んでいるんです。
以上の構成が、彼のボード(というかシステム)の中核だった、と想定されます。

機材名 メーカー Amazon メルカリ エフェクターの種類 備考
MXR M117R Flanger MXR 検索 検索 フランジャー サウンドの核心。マイクスタンド固定でノブを演奏中にスウィープできるようにし、”揺れ方そのもの”をリアルタイム操作していた記述が複数一致。
MXR Dyna Comp MXR 検索 検索 コンプレッサー フランジャー/ディレイの挙動を安定させ、和音の層を”崩さない”ための土台。機材リスト引用にも登場。
Yamaha E1010 / E1005 (Analog Delay) Yamaha 検索 検索 ディレイ アナログディレイとして言及。短め設定で厚み、長め+フィードバックで不穏な残像。アンプ上に置いて操作した、という運用も語られることが多い。
Ibanez SM9 Super Metal Ibanez 検索 検索 ディストーション McGeoch文脈で言及されることがある歪み。確定度は核3点より落ちるが、”芯を足す”用途としては整合する(推定枠)。
Ibanez OD-850 Overdrive Ibanez 検索 検索 オーバードライブ “ファズっぽいOD”として関連づけられることが多い。本人発言の引用が二次情報で流通しており、使用していた可能性はあるが確定度は中(推定枠)。
Gizmo (Gizmotron) Gizmo Inc. / Gizmotron 検索 検索 サスティナー 「Into the Light」で使用されたという記述あり。弦を回転する機構で擦って鳴らし、ギターを”弓弦/シンセ的”に変える飛び道具。
E-Bow EBow 検索 検索 サスティナー 「Sin in My Heart」での使用が明示される。単音を無限に伸ばせるので、ゴス的な”不穏な持続音”をギターで作れる。
Roland JC-120 Built-in Chorus (reference) Roland 検索 検索 コーラス 厳密にはアンプ内蔵だが、McGeochサウンドの”空間の膜”を作る要素として重要なので参照枠で記載。

⑤音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【Siouxsie and the Banshees・John McGeoch】

McGeoch再現で一番やりがちなミスは「フランジャーを深くして満足する」ことです。
本質は、フランジャーは”音色”ではなく”アレンジの一部”として動いている点。つまり、揺れの位置(どの帯域が動くか)と、ミックス内の置き場所(どこに座らせるか)まで含めて設計します。
ここでは、ギター/アンプ/PA・ミックス目線で、具体的な当て方をまとめます。

1) 基本の信号設計(現場の実用)
理想は「クリーンの広がり」と「芯の密度」を分けること。McGeochの文脈では、JC-120が広がり、Marshallが芯、という役割分担が最も説明力が高いです。
現代の再現では、A/B(もしくはABY)で2系統に分け、片方はJC的クリーン、片方はマーシャル的クランチに。
片側だけで完結させるなら、JC-120(またはJC系モデリング)を軸に、歪みはペダルで”薄く”足す方が再現性が高いです。

2) アンプEQの考え方(JC系)
JC系はそのままだと高域が硬く、フランジャーのピークが耳に刺さりやすい。
なので「Treble控えめ/Middleを少し上げ/Bassは出しすぎない」が基本。特にBassを出しすぎると、ディレイの残響が低域で濁って”膜”が汚れます。
具体例(あくまで目安):Bass 4〜5 / Middle 6〜7 / Treble 3〜4、ChorusはON(深すぎない)。
ここにフランジャーを足した時に「揺れてるのに痛くない」地点を探します。

3) Marshall側(または歪み側)のEQ
歪みは”メイン”にしないのがポイント。McGeochはメタル的に飽和させるより、アタックが残る範囲で芯を作っている印象が強いです。
具体例:Gainは控えめ、Presenceも上げすぎない。Middleは落としすぎると空間に溶けて消えるので、むしろ中域は残す。
歪み側は、バンドの中でギターが見えなくなる瞬間を救う”補助輪”として使うと、急にそれっぽくなります。

4) フランジャーの実用セッティング
MXR系フランジャーは、Depth(Range)を深くしすぎると”ジェット機”になって別物になります。
狙いは「コードの上に、薄い波紋が広がる」程度。Rateは遅め、Manualは中域寄りに置き、演奏中にManualを動かして”共振点を移動”させる。
具体例(目安):Rate 9〜10時、Depth 10〜12時、Regen 9〜11時、Manual 11〜13時。
そして重要なのが、曲中ずっと同じ揺れにしないこと。サビ前、ブレイク、フィルの瞬間にManualを動かすだけで”McGeoch感”が跳ねます。

5) コンプレッサーの置き場所
基本はフランジャーの前。入力を整えた上で揺らすと、動きが上品になります。
ただし”掃除機みたいに吸い付く感じ”になりすぎたら、コンプを弱めるか、フランジャー後段に回してピークだけ抑える。
Dyna Comp系は効きが強いので、Sustainは控えめ、Outputでレベルを合わせると破綻しにくいです。

6) ディレイの作り方(曲ごとの使い分け)
McGeoch系のディレイは、U2的な”リズムディレイ”より、空間の残像としての使い方が中心。
短め(80〜160ms)で1〜2回にすると、ギターが太くなるのに前に出すぎない。長め(300〜450ms)でフィードバックを上げると、不穏な尾を引けます。
「Voodoo Dolly」的に”暴れる”方向をやるなら、フィードバックを上げて発振寸前を管理し、トーンを暗めにして耳に刺さる帯域を抑えるのがコツ。
アナログディレイなら、入力を少し強めて飽和させると、残響が”煙”っぽくなって雰囲気が近づきます。

7) ミックス/PA目線の処理
ギターの帯域は、低域をハイパス(80〜120Hz目安)で切る。ここを残すと、ディレイとフランジャーが低域で濁ってバンドが暗くなるだけです。
さらに、2〜4kHzが痛い時は少し抑え、代わりに800Hz〜1.6kHzあたりで”存在”を作ると、ポストパンク的な”針”が立ちやすい。
リバーブはかけすぎない。むしろディレイとコーラスで空間を作り、リバーブは部屋の接着剤として薄く。
ステレオ運用できるなら、JC側を広げて、マーシャル側はセンター寄りに置くと、McGeochの「広がるのに芯がある」が成立します。

8) まとめ:再現の最短ルート
・JC系クリーンを土台にする(硬さはEQで丸める)
・フランジャーは薄く、Manualを”動かす”前提で使う
・コンプで揺れの挙動を整える
・アナログディレイで奥行きを作り、低域は整理する
この4点が揃うと、ギターが”空間のパート”として機能し始めます。
もちろん細部は曲や時期で違うはずなので、完全一致ではなく「この設計思想を再現する」と考えるのが現実的だ、と想定されます。

⑥比較的安価に音を近づける機材【Siouxsie and the Banshees・John McGeoch】

McGeoch再現は、実は”高級機材を揃えるゲーム”ではありません。
重要なのは「薄い揺れを上品に動かす」「クリーンの硬さを整える」「残像で奥行きを作る」という機能。
なので、初心者〜中級者が1〜5万円帯(上限10万円)で現実的に寄せるなら、BOSSやマルチで十分勝負できます。

狙うべき機能は3つ
(1) フランジャー(揺れの主役)
(2) コンプレッサー(揺れの安定)
(3) アナログ寄りディレイ(煙っぽい残像)
加えて、JC-120の代わりに”JCっぽいクリーン”を出せるモデリングがあると一気に近づきます。

種類 機材名 メーカー Amazon メルカリ 備考
フランジャー BOSS BF-3 Flanger BOSS 検索 検索 定番フランジャーで再現性が高い。Depthを控えめ、Rate遅めで”膜”を作り、Manual相当の帯域を探す運用ができる。
フランジャー MXR M117 Flanger (reissue含む) MXR 検索 検索 本人の象徴機材に最短で寄せるならこれ。中古相場次第だが、狙い目なら予算内で収まることがある。
コンプレッサー BOSS CS-3 Compression Sustainer BOSS 検索 検索 “揺れの挙動を整える”目的で強い。Sustain控えめでレベル調整に使うと、フランジャーが上品に動く。
ディレイ BOSS DM-2W Delay BOSS 検索 検索 アナログ寄りの”煙”が作れる。短め設定で厚み、長め+フィードバックで不穏な残像が作りやすい。
ディレイ Zoom MS-70CDR+ Zoom 検索 検索 コーラス/ディレイ/リバーブをまとめて揃えられる”現代の裏技”。薄い揺れを積み上げるMcGeoch系に相性が良い。
ギター用マルチエフェクター BOSS GT-1 BOSS 検索 検索 初心者の再現性が高い。JC系アンプモデル+フランジャー+コンプ+ディレイを一箱で組めるので”設計思想の再現”がしやすい。
コーラス BOSS CE-2W Chorus BOSS 検索 検索 JC-120の”膜”が欲しい人向け。フランジャーを薄くする代わりに、コーラスで空間を作ると破綻しにくい。
ディストーション Ibanez SM Mini (SMMINI) Ibanez 検索 検索 SM9系の現行選択肢として語られることがある。歪みを”芯足し”に使う用途で、JC系と合わせても成立しやすい。
オーバードライブ Ibanez OD850 (reissue) Ibanez 検索 検索 ファズ寄りODで”荒い芯”が作れる。McGeochが好んだと関連づけられることがあり、方向性としては合う(ただし確定度は中)。

結論として、安価に寄せるなら「JCっぽいクリーン(アンプorモデリング)+薄いフランジャー+控えめコンプ+アナログ寄りディレイ」が最短です。
そして”上手さ”より、フランジャーの帯域を探して、曲中で少し動かす。この一点で、コピーの説得力が急に上がります。

⑦総括まとめ【Siouxsie and the Banshees・John McGeoch】

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McGeochの音作りの本質は、「ギターを主役にする」でも「派手に揺らす」でもなく、曲の中の空間を、ギターで設計することです。
だから、彼の再現を”機材リストの暗記”としてやると外します。正解は、音の役割を分解して、機材を機能として組むこと。

本質1:揺れはエフェクトではなく、アレンジ
MXRフランジャーをスタンドに付けてノブを動かす、という逸話は、単なる面白話じゃありません。
「フランジャー=固定の色」ではなく、「フランジャー=演奏中に動かすパラメータ」という思想そのもの。
これをやると、コードが”鳴っている”から”動いている”に変わります。ポストパンクのギターが退屈にならない理由がここです。

本質2:クリーンの美しさと、芯の密度を両立する
JC-120の透明感は、フランジャーやディレイを乗せた時の解像度を担保します。
でもそれだけだと痩せる。だからマーシャル的な芯を混ぜる(あるいはペダルで薄く足す)。
この「二つの役割を分ける」発想が、McGeochらしさの骨格です。現代ならABY、モデリング、IR、どんな手段でも良い。思想を移植するのが重要。

本質3:必要なら”発音そのもの”を変える
GizmotronやE-Bowの使用が示すのは、音作りが”歪み・揺れ”の範囲に閉じていないこと。
曲が求める質感がギターの通常奏法で出ないなら、道具で発音を変える。
この割り切りが、Juju期の異様な質感(ギターなのにギターじゃない瞬間)を生んでいます。

再現の現実解:これだけ押さえれば勝てる
・JC系クリーン(または近いモデリング)
・フランジャーは薄く、曲中で少し動かす
・コンプで揺れを安定させる
・アナログ寄りディレイで奥行きを作り、低域は整理する
この4つを”ミックス目線”で組むと、ギターがバンドの中で急にそれっぽい位置に座ります。

結局、McGeoch再現は「高い機材」より「耳の設計」。
何を前に出して、何を引っ込めて、どこを揺らして、どこを固定するか。そこが決まると、SG1000じゃなくても、MXRじゃなくても、ちゃんと”McGeochの世界”に入れます。
もちろん一次情報が強い核(SG1000/MXRフランジャー/Dyna Comp/Yamahaアナログディレイ/JC-120/Marshall MV50)を中心にしつつ、周辺機材は時期や現場で揺れた可能性もあるため、ここまでの内容は最も整合の取れる形としてまとめたものだ、と想定されます。

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