【Chris Broderick(クリス・ブロデリック)】Megadeth(メガデス)風サウンドの作り方+ギター機材音作りセッティングのまとめ【エフェクター・アンプ】
① 始めに(特徴紹介)
メタル界のインテリジェンス・シュレッダー、クリス・ブロデリック。メガデス(Megadeth)に加入した際、デイヴ・ムステインをして「歴代最高のギタリスト」と言わしめたその実力は、まさに精密機械のような正確無比なテクニックに裏打ちされています。彼のサウンドの特徴は、極めてタイトで解像度の高いハイゲイン・ディストーションにあります。スラッシュメタルの攻撃性を持ちつつも、スウィープやタッピング、クラシックギターの技法を盛り込んだ流麗なソロを際立たせるため、音が潰れすぎず、一音一音がはっきりと分離して聞こえるのがクリス・ブロデリック流のこだわりです。
メガデス時代の代表曲、例えば「Head Crusher」や「Sudden Death」では、その驚異的なピッキング精度を支える「速いレスポンス」と「芯の太さ」が同居したトーンを聴くことができます。彼は単に歪ませるだけでなく、デジタルプロセッサーと真空管パワーアンプを巧みに組み合わせることで、ノイズレスかつモダンなメタルサウンドを構築しました。また、7弦ギターを自在に操るスタイルは、メガデスの楽曲に新たな重厚さと音域の広がりをもたらしました。彼の音作りを紐解くことは、現代的なテクニカル・メタルサウンドの正解を知ることに他なりません。
②使用アンプ一覧と特徴【Megadeth・Chris Broderick】
クリス・ブロデリックのメガデス時代におけるアンプ・システムは、伝統的なマーシャル(Marshall)のパワー感と、最新のデジタル・プロセッシングを融合させた非常に合理的な構成でした。彼はメインの歪みやエフェクト処理をラックマウントのプロセッサーで行い、それをMarshallのパワーアンプ「EL34 100/100」で増幅して鳴らすというスタイルを徹底していました。これは、首謀者であるデイヴ・ムステインとの音の親和性を高めつつ、自身のテクニカルなプレイに必要なクリアな操作感を確保するための選択です。
ライブ現場では「Marshall JVM410H」も頻繁に目撃されています。これはJVMの多機能なチャンネル構成を活かしたもので、非常にタイトなハイゲイン・サウンドを得るために使用されました。キャビネットには「Marshall 1960BV」を愛用しており、スピーカーには定番のCelestion Vintage 30が搭載されています。これにより、低域の押し出しと中高域のキレを両立させています。メガデス加入以前や、その後のAct of Defiance等の活動ではENGL(エングル)のアンプも使用しており、あの冷徹なまでの高解像度な歪みはENGLの影響も大きいと言えるでしょう。メガデス時代も一部のレコーディングやプロジェクトではENGLのパワーアンプセクションを活用していたことが知られています。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| EL34 100/100 | Marshall | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | メガデス時代のサウンドの核となるラックパワーアンプ。 |
| JVM410H | Marshall | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 4チャンネル仕様の主力ヘッド。ライブでも多用。 |
| 1960BV | Marshall | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | Vintage 30スピーカーを搭載。タイトな低域が特徴。 |
| Powerball / ENGL Amps | ENGL | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 加入前やソロで使用。メガデス時代は一部システムで活用。 |
上記機材をベースに、フラクタル等のプロセッサーを組み合わせるのが彼の基本スタイルであると想定されます。
③使用ギターの種類と特徴【Megadeth・Chris Broderick】
クリス・ブロデリックのギター遍歴は、彼のテクニカルな要求がいかに高いかを物語っています。メガデス加入当初は、高い演奏性を誇るIbanezのPrestige SシリーズやRGシリーズをメインに据えていました。特に「S5470」は薄いボディと滑らかな操作性を持ち、複雑なシュレッド・プレイを支えていました。彼はシンクロナイズド・トレモロであるZR-2ブリッジを好み、ダブルロッキング・トレモロよりも自然なフィーリングを求めていた時期があります。
2011年からはJackson(ジャクソン)とエンドース契約を結び、自身の理想を形にしたシグネチャーモデル「Chris Broderick Soloist 6 & 7」を発表します。このモデルは、通常のソロイストとは異なり、ボディ形状が非対称(オフセット)になっており、ハイポジションでのアクセスとボディバランスが緻密に計算されています。また、ピックアップにはDiMarzio製の自身のシグネチャー「CB6/CB7」を搭載。これらはパッシブながら高出力で、かつピッキングのダイナミクスを殺さない解像度を持っています。以前はBare KnuckleのCold Sweat等も使用しており、一貫して「音が潰れないこと」を最優先にギターを選択しているのがクリスのこだわりと言えるでしょう。また、彼が特許を持つ「Pick Clip」や3Dプリント製のサムピックなど、演奏の安定性を高めるためのギミックも彼ならではの特徴です。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | ギターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Chris Broderick Soloist 6 & 7 | Jackson | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ソリッド(シグネチャー) | 2011年以降のメイン。非対称ボディが特徴。 |
| Prestige S5470 | Ibanez | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ソリッド | メガデス加入初期のメイン。薄いボディを愛用。 |
| RG7シリーズ (RG1527等) | Ibanez | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 7弦ソリッド | テクニカルな7弦楽曲で使用。 |
これらのギターを使い分け、メガデスの重厚かつ高速なリフワークに対応していたと想定されます。
④使用エフェクターとボード構成【Megadeth・Chris Broderick】
クリス・ブロデリックの足元およびラックシステムは、現代のギタリストらしく非常に「デジタル・セントリック(デジタル中心)」です。彼はかつてDigiTechの「GSP1101」をプリアンプ兼エフェクターとして多用していましたが、その後Fractal Audioの「Axe-Fx Ultra」および「Axe-Fx II」へと移行しました。このAxe-Fxが彼の音作りの心臓部であり、アンプシミュレーション、キャビネットIR、そしてディレイやリバーブといった空間系まですべてをここでコントロールしています。メガデスの複雑なセットリストにおいて、ワンアクションで完璧な音色に切り替えるためには、このデジタル・プロセッサーが不可欠でした。
一方で、表現力を司るペダル類にはこだわりが見られます。ワウペダルにはIbanezの「WD7 Weeping Demon」を愛用。このワウは非常に細かくセッティングが追い込めることで知られ、クリスのテクニカルなソロに表情を加えています。また、ギターシンセサイザーの「Roland GR-33」を使用する場面もあり、単なるメタルギタリストの枠に収まらない音色の幅広さを持っていました。チューナーは信頼性の高いPlanet Waves製を使用。基本的にはラック内で完結した非常にノイズレスなシステムを構築し、ライブでの再現性を極限まで高めていたのが彼のスタイルの特徴です。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | エフェクターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Axe-Fx II / Ultra | Fractal Audio | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ギター用マルチエフェクター | メインのサウンドメイキングを担う心臓部。 |
| GSP1101 | DigiTech | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | プリアンプ/アンプシミュレーター | Axe-Fx導入以前の主力機材。 | |
| WD7 Weeping Demon | Ibanez | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ワウペダル | 多彩なセッティングが可能な愛用ワウ。 |
| GR-33 | Roland | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ギターシンセサイザー | 多彩な音色を楽曲のスパイスとして使用。 |
これらのデジタル機器を駆使して、鉄壁のメガデス・サウンドを再現していたと想定されます。
⑤音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【Megadeth・Chris Broderick】
クリス・ブロデリックの音作りにおいて、最も重要なのは「ゲイン量と解像度のバランス」です。彼のサウンドを分析すると、聴感上は非常に激しく歪んでいるように聞こえますが、実際にはピッキングのニュアンスが潰れない限界を見極めた、比較的スマートなゲイン設定になっています。これは、彼が多用するスウィープ・ピッキングや高速のタッピングにおいて、不要な倍音が混ざり合って音が「団子状」になるのを防ぐためです。
具体的なEQ設定の傾向としては、中音域(Mid)の密度が非常に高いことが挙げられます。メタルの音作りではドンシャリ(低域と高域を強調し、中域を削る)が一般的ですが、クリスの場合はソロの旋律を強調するために、800Hz〜1.2kHz付近の中域をしっかり残しています。これにより、デイヴ・ムステインのザクザクとしたリフサウンドと、クリスの流麗なリードサウンドがミックス内で綺麗に分離されるのです。高域(Treble/Presence)は、ピッキングの「アタック音」がしっかり聞こえるように強調されていますが、デジタル特有の耳に刺さる嫌な高音はAxe-Fx内のローパスフィルターで巧妙にカットされています。
ミックス面では、彼のサウンドはステレオ感よりも「センターの密度」が重視される傾向にあります。特にソロパートでは、薄くショートディレイをかけることで音に厚みを持たせつつ、原音の芯が揺らがないように設定されています。また、7弦ギターを使用する際は、ベースの帯域と干渉しすぎないよう、100Hz以下の低域をタイトに引き締め、タイトな低音のリズムを構築しています。PAエンジニア目線で見れば、彼の音は非常にノイズが少なく、EQの補正がほとんど不要な「完成された音」として送られてくるため、非常に扱いやすいサウンドだと言えるでしょう。このように、卓越した機材理解と、自身のプレイを客観的に捉える視点が、クリスの鉄壁のトーンを作り上げていると想定されます。
⑥比較的安価に音を近づける機材【Megadeth・Chris Broderick】
クリス・ブロデリックの本物のシステムはFractal Audioのラックなど非常に高価ですが、現代の市販機材を使えば、初心者や中級者でも5万〜10万円程度の予算でそのエッセンスを十分に再現可能です。ポイントは「高精細なハイゲイン」と「多機能な空間系」の2点です。これらを網羅できる最新のマルチエフェクターや、タイトな歪みを持つペダルを選ぶのが近道です。
| 種類 | 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| マルチ | GX-100 | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | AIRD技術によるMarshall系シミュレートが優秀。 |
| マルチ | GE300 Lite | MOOER | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 高解像度なアンプキャプチャ機能でENGL系も再現可。 |
| ペダル | TightMetal ST | Amptweaker | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | クリスのようなタイトな刻みを再現するのに最適。 |
BOSS GX-100は、クリスがAxe-Fxで行っている「自由度の高いルーティング」を直感的に再現できるため、最もおすすめです。特にハイゲイン・アンプ・モデルの質が非常に高く、ノイズサプレッサーの効きも良いため、クリス特有の「無音状態からの爆発的なフレーズ」を容易に演出できます。Mooer GE300 Liteは、ENGLのようなモダン・ハイゲイン・アンプのサウンド・プロファイルを得意としており、より冷たくタイトなサウンドを求める場合に適しています。また、コンパクトエフェクター派であればAmptweakerのTightMetalが推奨されます。これは、音がぼやけやすいハイゲインサウンドを強制的に「タイト」にする設計がなされており、クリスのような正確なリフワークを練習する上でも大きな助けとなるでしょう。
⑦総括まとめ【Megadeth・Chris Broderick】
クリス・ブロデリックの音作りを紐解いて見えてくるのは、「徹底した合理性とクリーンさへの執着」です。メガデスという、世界最高峰のスラッシュメタル・バンドのギタリストとして、デイヴ・ムステインのサウンドと共存しながら、自分だけのテクニカルなリードを際立たせる。そのために彼が選んだのは、Marshallのパワー感とデジタルプロセッサーの精密さを融合させるというスタイルでした。
彼の音作りを再現するために最も必要な視点は、単に「歪みを増やす」ことではなく、「不要な音をいかに削ぎ落とすか」にあります。ノイズを徹底的に排除し、ピッキングの瞬間のアタックを逃さないタイトな設定。そして、7弦ギターの広い音域をカバーするフラットで広い周波数レンジの確保。これらが組み合わさることで、あの「インテリジェンス・シュレッド」と呼ぶにふさわしいトーンが生まれます。
これから彼のスタイルを目指す皆さんは、まずは「自分のプレイが一番クリアに聞こえるセッティング」を探してみてください。歪ませすぎず、中域を大切にし、一音一音を丁寧に発音する。その意識こそが、クリス・ブロデリックという偉大なギタリストの精神に近づく第一歩となります。機材は進化しますが、彼の「完璧を求める姿勢」こそが、あの素晴らしいメタルトーンの本質なのです。現代のマルチエフェクターを駆使して、ぜひその高解像度な世界を体感してみてください。

