① 始めに(特徴紹介)
スラッシュメタルの聖地、ベイエリアを代表するバンド「Testament(テスタメント)」のギタリスト、アレックス・スコルニック(Alex Skolnick)。 彼の奏でるサウンドは、単なるメタルの枠に留まりません。弱冠16歳でジョー・サトリアーニに師事し、バンド加入後は「The Legacy」や「The New Order」といった名盤で、 シュレッドな速弾きとジャズの語法を融合させた独自のスタイルを確立しました。
アレックスの音作りの最大の特徴は、メタル特有の重厚なハイゲイン・サウンドでありながら、一音一音が極めてクリアで輪郭がはっきりしている点にあります。 中音域の密度が濃く、リードプレイではシルクのような滑らかさと、ピッキングのニュアンスを殺さないダイナミクスが同居しています。 これは彼がジャズ・ギタリストとしても超一流(Alex Skolnick Trio)であるという背景が、機材選びやタッチに色濃く反映されているからです。
近年のテスタメントでの活動では、デジタルとアナログを巧みに使い分け、世界中のツアーで安定した「アレックス・トーン」を響かせています。 本記事では、彼が信頼を寄せるシグネチャーモデルから、足元のマニアックなペダルボードまで、その全貌を徹底解説します。
②使用アンプ一覧と特徴【Testament・Alex Skolnick】
アレックス・スコルニックのアンプ選びにおいて一貫しているのは、パワフルなドライブ感と同時に、複雑なコードワークでも音が潰れない「分離感」を重視している点です。 メインとなるのは自身のシグネチャーモデルであるBuddaの「AS Preceptor」ですが、近年の過酷なワールドツアーにおいては、利便性と再現性を考慮してデジタルプロファイリングアンプのKemperが欠かせない存在となっています。
Budda AS Preceptorは、120Wの出力を誇る3チャンネル仕様のチューブアンプで、アレックスの好みに合わせてゲイン構造が緻密に設計されています。 特にリードチャンネルでの滑らかなサステインは、彼の流麗なソロを支える重要な要素です。 一方で、クリーンサウンドへのこだわりも非常に強く、ジャズでの活動時にはヴィンテージのFender Super Reverbをカスタムヘッド化したものを使用するなど、 「歪んでいれば良い」というメタルギタリストの常識を超えた機材セッティングが見て取れます。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| AS Preceptor | Budda Amplification | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 120Wの3chシグネチャーヘッド。濃密なミッドレンジが特徴。 |
| Profiler PowerHead | Kemper | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 海外ツアーの主力。自身のBuddaのトーンをプロファイリングして使用。 |
| Budda 4×12 Cabinets | Budda Amplification | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | AS Preceptorに最適化された大型キャビネット。 |
| Mode 4 | Marshall | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 過去のツアーで使用されたハイゲインモデル。 |
| Custom Head / Combo | Mojotone | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | Fender Super Reverbの中身を移植。主にジャズやクリーン用。 |
上記機材はライブ写真や公式インタビューにて確認されており、アレックス・スコルニックのサウンドの核を構成していると想定されます。
③使用ギターの種類と特徴【Testament・Alex Skolnick】
アレックス・スコルニックは、伝統的なシングルカット(レスポール・スタイル)のボディシェイプをこよなく愛するギタリストです。 初期テスタメント時代はIbanez等を使用していましたが、その後はHeritageのシグネチャーモデルを長年メインとして使用。 現在は、より高い耐久性と演奏性を求めてESPとエンドースしており、世界中のファンが目にする彼のメイン機は「ESP / LTD AS-1」となっています。
このESPのシグネチャーモデルは、フル厚のマホガニーボディにメイプルトップ、そしてUシェイプのネックを組み合わせた王道の仕様ですが、 特筆すべきはアレックス専用に開発されたSeymour Duncan製のシグネチャーピックアップです。 以前は定番のJBモデルと’59を組み合わせていましたが、現在はより広いダイナミックレンジと、 クリーンからハイゲインまでをシームレスにカバーできる独自のトーンを追求した結果、専用モデルへと移行しました。
また、彼はテスタメントの激しいライブでもチューニングの安定性を重視しており、フロイドローズ搭載モデル(AS-1FR)と クラシックなチューン-O-マチック仕様の両方を曲によって使い分けています。 さらに、彼のジャズへの深い造詣を象徴するのが1976年製のGibson L-5です。メタルバンドの機材リストとしては異色ですが、 これが彼のアグレッシブなフレージングの源流であることを物語っています。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | ギターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| AS-1 / AS-1FR Signature | ESP / LTD | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ソリッド(シングルカット) | 現在のメイン。22フレット、12インチR指板のモダン仕様。 |
| H-150 Signature | Heritage | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ソリッド(シングルカット) | 以前のメイン。ヴィンテージテイストの強いレスポールスタイル。 |
| L-5 (1976) | Gibson | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | フルアコースティック | 主にジャズプロジェクトで使用。彼の卓越したトーンの基準点。 |
これらのモデルは、彼のキャリアの各段階において重要な役割を果たしており、現在のメタルサウンドにおいてもその影響が見て取れると想定されます。
④使用エフェクターとボード構成【Testament・Alex Skolnick】
アレックス・スコルニックのペダルボードは、非常にこだわりが強く、ブティック系メーカーから定番のBossまで幅広く網羅されています。 特に「JAM Pedals」への信頼は厚く、歪みから揺らし系まで主要な部分を同社のハンドメイドペダルが占める時期が多いです。 歪みセクションでは、チューブアンプのドライブを絶妙にプッシュする「TubeDreamer 88」や「J. Rockett Blue Note」を使用し、 ただ歪ませるのではなく、ピッキングのレスポンスを最大化するようなセッティングがなされています。
また、空間系や特殊なサウンドへの探求心も強く、EHXのMicro SynthやPOGを導入してギターの枠を超えたサウンドスケープを作ることもあります。 ソロパートでのドラマチックな演出には、長年愛用しているBoss DD-20やJAM Pedals Waterfallといった、暖かみのある揺れとディレイが欠かせません。 機材マニアとしての側面も持ちつつ、常に実戦(ライブ)での視認性や操作性を重視した、プロフェッショナルなボード構成となっています。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | エフェクターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| TubeDreamer 88 | JAM Pedals | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | オーバードライブ | 2in1仕様。ソロ時のゲインブーストに重宝。 |
| Wahcko | JAM Pedals | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ワウペダル | 多彩なレンジ設定が可能。ボーカルのようなワウ。 |
| Phase 95 | MXR | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | フェイザー | コンパクトながら45/90の両モードを搭載。 |
| DD-20 Giga Delay | Boss | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ディレイ | 長年ボードに鎮座する信頼のディレイ。 |
| NS-2 | Boss | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ノイズリダクション | ハイゲイン・サウンドには不可欠な守護神。 |
上記機材は、数々のライブツアーやリグ紹介動画で繰り返し登場しており、彼のサウンドメイクにおける「標準」であると想定されます。
⑤音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【Testament・Alex Skolnick】
アレックス・スコルニックの音作りを紐解く上で最も重要なキーワードは「中音域(Midrange)の制御」です。 多くのスラッシュメタル系ギタリストがドンシャリ(低域と高域を強調し、中域を削る)設定を好むのに対し、 アレックスは中域を豊かに残すことで、ソロ演奏時の存在感と、複雑なジャズコードの構成音を明確に聴かせるようにしています。
■EQ設定の指針 典型的なセッティングとしては、Bassはタイトに(4〜5程度)、Trebleはエッジを立てるために6〜7、 そしてMiddleを6〜8と高めに設定するのが「アレックス流」です。 これにより、もう一人のギタリストであるエリック・ピーターソンのザクザクとした刻みと、アレックスのリードが完璧に分離されます。 また、Presenceを上げすぎないことで、耳に痛い高域を避け、滑らかなソロトーンを実現しています。
■アンプのゲインとペダルの併用 彼はアンプ自体のゲインをMAXにはしません。アンプのゲインは7割程度に抑え、ピッキングの強弱でクリーンに近いところまで戻せる余地を残しています。 そこにJAM PedalsやTube Screamer系のブースターを加えることで、サステインを稼ぎつつ、コンプレッション感を調整しています。 特に速弾きのセクションでは、ペダルで中域をさらにプッシュすることで、一音一音が「塊」となって飛んでくるような効果を得ています。
■ミックスと空間処理 レコーディングやライブミックスにおいては、ディレイの使い方が非常に巧妙です。 リードソロではショートディレイを薄くかけ、音に奥行きを与えつつも、リズムをぼかさないように配慮されています。 PAエンジニアは、彼の中域が豊かなサウンドを活かすため、他の楽器との帯域被りを極力排除し、 特に400Hz〜800Hz付近の密度を大切にするミックスを行うことが多いようです。 この「太いけれど抜ける」バランスこそが、彼が世界最高のテクニシャンの一人と目される理由です。
このような設定は、彼のジャズへの理解とメタルのアグレッションが高度に融合した結果であり、単なるセッティングを超えた「哲学」であると想定されます。
⑥比較的安価に音を近づける機材【Testament・Alex Skolnick】
アレックス・スコルニックのシグネチャーモデルやハイエンドなブティックペダルを揃えるのは、初心者にはハードルが高いかもしれません。 しかし、現代の機材市場には、彼のトーンの本質を安価に再現できる優秀なペダルが多数存在します。 アレックス風サウンドの肝は「滑らかな歪み」と「豊かな中音域」、そして「適度な空間演出」です。
| 種類 | 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| マルチエフェクター | GT-1 | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | これ一台でアレックスの基本セッティング(Mid重視の歪み+Delay)を網羅可能。 |
| オーバードライブ | TS9 Tube Screamer | Ibanez | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 本人がKeeley Modを使用。ノーマルでも中域のプッシュ感は完璧。 |
| ディストーション | ST-2 Power Stack | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | Buddaのような濃密なスタックアンプ・サウンドを安価に再現。 |
■再現のコツ もしBOSS GT-1のようなマルチを使うなら、アンプモデルは「Marshall」系よりも「BG Lead(メサブギー)」系を選び、 Middleを上げ気味に設定してください。そこに「T-Screamer」モデルをブースターとして前に繋げば、かなりアレックスに近いソロトーンになります。 安価な機材でも、EQのバランス次第で「テスタメント風」の知的なメタルサウンドは十分に作れると想定されます。
⑦総括まとめ【Testament・Alex Skolnick】
アレックス・スコルニックの音作りを紐解くと、そこにあるのは「メタルギタリストとしての顔」と「ジャズミュージシャンとしての顔」の完璧な調和です。 彼の機材選びには、単に歪ませて速く弾くためだけではない、音楽家としての深いこだわりが詰まっています。
彼のようなサウンドを目指す読者の皆さんに伝えたいのは、音作りの本質は「音の分離」と「タッチの忠実性」にあるということです。 ハイゲインであっても、一音一音が独立して聞こえるセッティングを意識してください。 それはアンプのゲインを下げる勇気や、中音域を削らずに強調するEQ設定から始まります。 アレックスの機材はどれも、彼の繊細なピッキング・ニュアンスを余すことなくアウトプットするためのツールなのです。
HeritageからESPへ、アナログアンプからKemperへと機材は進化していますが、根底にある「音楽的なトーン」は一切揺らいでいません。 機材を揃えることも楽しみの一つですが、彼のように「クリーンで弾いても美しいフレーズ」をハイゲインで鳴らすという意識こそが、再現への最短距離と言えるでしょう。 この記事を参考に、あなたなりの「アレックス・トーン」を探求してみてください。

