① 始めに(特徴紹介)
Genesis(ジェネシス)の黄金期に「ギターでオーケストラをやる」みたいな無茶を、涼しい顔で成立させていたのがSteve Hackett(スティーヴ・ハケット)です。
同じ”プログレ”でも、派手な速弾きでねじ伏せるタイプではなく、メロディの歌い回し・和声感・サスティンの設計で聴かせる職人。
特に有名なのが、ボリューム奏法(いわゆる”バイオリン奏法”)と、空間系を絡めた「長く伸びる音」「立体的にうねる音」です。
代表的なサウンド例として分かりやすいのは、『Selling England by the Pound』期の「Firth of Fifth」のソロ。
太いミッドの粘り(レスポール系)に、必要なだけの歪み、そして”余韻が歌う”ディレイ/エコーの組み合わせで、フレーズが一音ずつ主役になります。
また「Dancing with the Moonlit Knight」などでは、ファズやフェイズ、さらに特殊なプロセッサーで「普通のギターじゃ出ない変な音」を音楽として組み込むのが上手い。
つまり本質は「歪み量」よりも、
①ピッキングの強弱が崩れない帯域設計(中域の密度)
②音の立ち上がりを整える奏法(ボリューム/ピッキング/ミュート)
③空間系で”音価”をデザインする(ディレイ/エコー/リバーブ)
この3つを同時にやっている点にあります。再現する側も、ここを分解して作ると近づきやすいです。
②使用アンプ一覧と特徴【Genesis・Steve Hackett】
ハケットのアンプ遍歴は「時代の機材トレンド」と「本人が欲しい質感」がそのまま反映されていて面白いです。
Genesis初期〜中期の核は、Hiwatt系の大出力でレンジの広い”土台”を作り、そこにファズやフェイザー、エコーを乗せる発想。
歪ませるというより、まず”抜けるクリーン/クランチの骨格”を作って、エフェクトで色を付ける方向です。
1972〜1975年頃に使われたとされるHH Electronics IC 100-Sのようなソリッドステートは、真空管の丸さとは違って「硬質で輪郭が立つ」方向に寄ります。
この質感は、フェイズやファズと混ざった時に”音像がボヤけにくい”利点があり、アンサンブルの中でギターが埋もれにくい。
Genesisの密度が高いキーボード/ベース/ドラムの中で、ギターの芯を確保する理屈としてはかなり合理的です。
70年代後半〜ソロ初期、そしてジェネシス末期の文脈で語られやすいのがRoland Jazz Chorus(JC-120/JC-160)。
内蔵コーラスの透明感が強烈で、クリーンの広がり方が”平面じゃなくて立体”になります。
ハケットのバイオリン奏法(ボリュームでアタックを消して持続音にする)に、JCのコーラスは相性が良い。アタックがない音は単体だと地味になりがちですが、コーラスで揺らすと「鳴っている感じ」が出ます。
近年は、Marshall 1987x/1960Aのようなクラシックスタックで押し出しを作りつつ、Englなどモダンハイゲイン的な方向も見られます。
さらにTech 21 SansAmp GT2のようなアンプシミュレーターを長年使う文脈もあり、会場・PA事情に合わせて”狙いの歪み質感”を安定供給する発想が強いです。
一方で、年代やツアーごとに目撃情報(写真/インタビュー/現場の証言)が揺れる部分もあるため、ここでは実使用として語られやすい定番+複数記事で挙がる候補を合わせて整理しています。と、想定されます。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Hiwatt 100W Head & Cabinets | Hiwatt | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | Genesis初期〜中期の主力候補として語られる定番。レンジの広い土台を作り、エフェクトで色付けしやすい。 |
| HH Electronics IC 100-S | HH Electronics | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 1972〜1975年頃の使用候補として有名。ソリッドステートの輪郭で、フェイズ/ファズと混ざっても芯が残る。 |
| Roland Jazz Chorus JC-120 / JC-160 | Roland | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 70年代後半〜ソロ初期や末期に導入とされる代表格。内蔵コーラスが”バイオリン奏法”の立体感に効く。 |
| Marshall 1987x / 1960A | Marshall | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 近年ライブ等で語られやすいスタック。中域の押し出しでリードの存在感を作りやすい。 |
| Engl Amps | ENGL | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 近年ツアーで言及されるモダンハイゲイン候補。歪みの密度を確保しつつノイズ管理もしやすい。 |
| SansAmp GT2 | Tech 21 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | アンプシミュレーター。真空管風の歪みを”持ち運べる”のが強みで、現場での再現性に寄与。 |
③使用ギターの種類と特徴【Genesis・Steve Hackett】

Steve Hackettのギター像は「レスポールで歌わせる」と「ストラト/特殊ギターで変化球」の二段構えが基本です。
Genesis黄金期を象徴するのが、1957年製のGibson Les Paul Goldtop。いわゆる”57 Goldtop”は中域の密度が高く、単音が太く前に出ます。
「Firth of Fifth」のソロのように、バンド全体が厚く鳴っていてもギターが埋もれにくいのは、この帯域キャラが強い。加えてハケットは、音を伸ばす時に”倍音がきれいに立つ位置”で弾くので、レスポールの旨味がそのまま曲のドラマになります。
その一方で、70年代後半〜ソロ作(例:『Please Don’t Touch』)あたりで語られやすいのが70年代ストラト(黒)。
レスポールよりもアタックが速く、クリーン〜軽い歪みで「輪郭が立って前後感が出る」。フェイズやコーラス、テープエコーと組むと、音像が”揺れて漂う”方向に寄りやすい。
Genesisの音はキーボードが主役になりやすいので、ストラトのシャープさは「鍵盤の隙間に刺す」役割として理にかなっています。
さらに特徴的なのがFernandes/Burny系のサスティナー搭載ギター。近年メイン級として語られる「Burny Les Paul Goldtop(Gary)」や、Pink Stratタイプのサスティナーは、ハケットの”持続音”思想を機材側で強化したもの。
ボリューム奏法やEBowと同じく「音の立ち上がりを消して、伸びだけを設計する」方向に振り切れます。
また、1970年代のK. Yairi(ナイロン弦)やZemaitis 12-String Acousticのようなアコースティック面も重要で、作曲や静かなパートで”ギターの木の鳴り”を前に出す場面が多いです。
時期によって主役が入れ替わり(70年代=57Goldtop中心、後年=サスティナー搭載機の比率増など)、改造個体(Les Paul Custom 1974にFloyd Roseやギターシンセ用PU搭載)も登場するため、完全に一つに断定するのは危険です。
ただし「太い単音(レスポール)」「輪郭のある変化球(ストラト/特殊)」「持続音(サスティナー/EBow/ボリューム)」という役割分担は一貫している、と想定されます。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | ギターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Les Paul Goldtop (1957年製) | Gibson | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | レスポール | Genesis黄金期の象徴。『Selling England by the Pound』期、「Firth of Fifth」ソロでの使用が特に有名。 |
| Les Paul Custom (1974年製) | Gibson | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | レスポール | 1981年頃から導入とされる。Floyd Roseやギターシンセ用PU搭載など改造が特徴。 |
| Burny Les Paul Goldtop (“Gary”) | Fernandes / Burny | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | レスポールタイプ | 故ゲイリー・ムーア所有個体として語られる。サスティナー搭載で近年の”持続音”サウンドに直結。 |
| Fernandes “Burny” Pink Strat | Fernandes / Burny | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ストラトタイプ | サスティナー搭載で”バイオリン奏法/EBow的”な無限サスティンを機材側で強化。 |
| Stratocaster (1970年代・黒) | Fender | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ストラトキャスター | 『Wind & Wuthering』期や『Please Don’t Touch』での使用として語られる。輪郭が出て空間系と相性良。 |
| K. Yairi Nylon String (1970年代) | K. Yairi | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | クラシック(ナイロン弦) | 作曲時やアコースティック・パートの主力として語られる。柔らかいアタックで”静”の表現に強い。 |
| Zemaitis 12-String Acoustic | Zemaitis | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 12弦アコースティック | 1975年頃から使用とされる。12弦のコーラス感が”Genesis的広がり”をアコースティックで作れる。 |
④使用エフェクターとボード構成【Genesis・Steve Hackett】

ハケットのエフェクト設計は、ざっくり言うと「音を伸ばす」「音を揺らす」「音を変質させる」の三本柱。
まず”歪み”は、Colorsound Supa Tone Benderのようなファズ系がGenesis期の核として語られやすいです。
ファズは倍音が派手に増えるので、単音でもコードでも”音が太く見える”。ただし雑に使うと低域が飽和して濁るので、アンプ側の低域を締める/ピッキングを軽くする/ミックスでローを整理する、みたいな運用が前提になります。
次に”揺れ”。MXR Phase 90/100系のフェイズは、あの「うねり」を作る主役級。
Genesisのアンサンブルは持続音が多いので、フェイズの周期変化が入ると音が”動いている”ように聴こえます。
さらにJC系の内蔵コーラス、あるいは外部コーラスで透明感を足すと、ギターが前に出すぎず、それでも存在感は失わない絶妙な位置に置けます。
そして”伸び”。ここがハケット最大のキモで、ボリュームペダルは「最も不可欠」とまで言われがち。
アタックを消して持続音だけを残すと、ギターが弦楽器やシンセのように振る舞えます。
さらにEBowやサスティナー搭載ギターを組み合わせると、音価がほぼ無限になり、フレーズというより”線”として音楽を描ける。
この線を、Maestro Echoplex EP-3やRoland RE-201 Space Echoのようなテープエコーで”奥行き”に変換するのがハケット流です。
特殊枠としてEMS Synthi Hi-Fliのような巨大プロセッサー、そしてRolandのギターシンセ(GR系)も文脈に入ってきます。
いわゆる”ギターの音”から離れた変換を、曲の構成要素として使うタイプ。Genesisの世界観は物語性が強いので、こういう変質サウンドが「効果音」ではなく「編曲」になるのが強い。
年代/現場ごとのボードは入れ替わりが大きく、資料も断片的なため、確定と言い切れないものは候補として扱いつつ、再現に効く要素を優先して整理しています。と、想定されます。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | エフェクターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Colorsound Supa Tone Bender | Colorsound | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ファズ | Genesis期の歪みの核として定番。倍音が増えて単音が”太く見える”ため、叙情ソロに効く。 |
| Shaftesbury Duo Fuzz | Shaftesbury | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ファズ | 初期に使用とされる候補。Tone Bender系の荒さが”奇妙な倍音”を作りやすい。 |
| Marshall Supa Fuzz | Marshall | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ファズ | 厚みのあるファズサウンド用途として語られる。リードの”壁”を作る時に有効。 |
| MXR Phase 90 / Phase 100 | MXR | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | フェイザー | Genesis期の”うねり”に必須級。持続音と組むと音像が動いて聴こえる。 |
| EMS Synthi Hi-Fli | EMS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ギターシンセサイザー | 70年代に使用された巨大プロセッサーとして有名。ギターを”別の音”に変換して世界観を拡張。 |
| Maestro Echoplex EP-3 | Maestro | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | エコー | テープエコー。独特の揺れと奥行きで”余韻が歌う”ハケット的リードに直結。 |
| Roland RE-201 Space Echo | Roland | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | エコー | 同じくテープエコーの名機。ディレイというより”空間の装置”として使うとハケット感が出る。 |
| Volume Pedal (Schaller / Ernie Ball / Dunlop) | Schaller / Ernie Ball / Dunlop | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ボリュームペダル | バイオリン奏法の中核。アタックを消し、持続音を”線”としてデザインできる。 |
| EBow | EBow | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | サスティナー | 無限サスティンを得るための定番アタッチメント。ハケットの”持続音思想”のど真ん中。 |
| DigiTech Whammy WH5 | DigiTech | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ピッチシフター | ピッチ/ハーモニー用途。持続音にピッチ変化をかけると”シンセ的”な表情が作れる。 |
⑤音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【Genesis・Steve Hackett】
ハケットの音作りを”再現”する時に一番ハマりがちなのが、「とりあえずファズ買えばOKでしょ?」問題です。
実際は逆で、ハケットの核は”帯域の整理”と”音価の設計”。歪みは素材で、料理はEQと奏法と空間系です。
ここをPA/エンジニア目線で分解すると、かなり再現性が上がります。
1) 基本の出発点:ミッドを主役にする
Genesisのバンドアレンジは、キーボードが厚く、ベースもメロディック、ドラムもシンバルレンジが広い。
この中でギターを”聴こえる”状態にするには、ローを盛るよりミッドの密度を作る方が強いです。
具体的には、ギター側(アンプ/プリアンプ/IR/マルチのEQ)で80〜120Hzあたりを思い切って整理し、200〜500Hzで”胴鳴りの気配”を残しつつ、800Hz〜1.6kHzで主旋律の芯を立てる。
上は3.5kHz〜6kHzにかけて”痛い帯域”が出やすいので、歪み系を使う時ほど少し抑えると、70年代っぽい丸さになります。
具体的なEQ設定例(あくまで目安)
・ロー:HPF(ハイパス)を80Hz〜120Hz(バンド密度が高いほど上げる)
・ローミッド:250Hz〜350Hzを-1〜-3dB(濁る時だけ)
・ミッド:900Hz〜1.2kHzを+1〜+3dB(単音が前に出ない時)
・ハイミッド:2.5kHz付近を状況で微調整(抜けない→+、刺さる→-)
・ハイ:LPF(ローパス)を7kHz〜9kHz(ファズ/ディストーション時に有効)
ここで重要なのは、盛るより”不要物を引く”発想です。特にファズは低域と高域が暴れやすいので、切った方がそれっぽくなります。
2) 歪み量は”少なめ”が映える(特にGenesis期)
ハケットのリードは、現代のハイゲインみたいな飽和ではなく、ピッキングで歌わせる余地が残っています。
ファズを使う場合も、フルゲインで壁にするというより、音量(LEVEL)とEQで”前に出る位置”を作って、ゲインは思ったより浅いことが多い。
再現するなら、歪みは「単音が伸びる最低限+少しの毛羽立ち」くらいにして、サスティンは空間系と奏法で稼ぐ方が近いです。
3) チャンネル切り替えの考え方:クリーン基準+必要な時だけ歪み
JC系やレンジの広いアンプを基準にすると、ハケットの世界観に合う”透明な土台”が作れます。
・クリーン:コーラス/フェイズ/エコーで立体化(ボリューム奏法が映える)
・軽い歪み:単音の芯を太く(レスポールの旨味が出る)
・ファズ:特殊効果〜ドラマの山場
この3段階の切り替えができるだけで、曲の展開に対応しやすくなります。マルチならスナップショット/シーン切替でOK。
4) “空間系”はディレイというより「余韻の作曲」
EchoplexやSpace Echoの発想は、ただの反復ではなく”残響の揺れ”が重要。
再現レシピとしては、ディレイタイムを曲のテンポにガチ同期させるより、少し曖昧にして「漂う感じ」を作る方がそれっぽいです。
目安:
・短め:90〜160ms(厚み・ダブリング風)
・中間:280〜420ms(フレーズの尻に影がつく)
・長め:500〜650ms(ソロの空間を作る)
フィードバックは”聴こえるか聴こえないかの境界”に置き、ミックス(E.LEVEL)は曲の隙間に収まる程度に。
さらに、ディレイのハイを落とす(ローカット/ハイカット)とテープっぽい質感に寄ります。
5) ミックス処理:ギターを「中央」に置かない勇気
Genesis的なミックスでは、ギターが常にセンター主役とは限りません。
・リード:センター寄りでも、ディレイ/リバーブをステレオに広げて”前後”を作る
・アルペジオ/クリーン:左右に振ってキーボードと絡ませる(衝突回避)
・持続音(ボリューム/EBow):センターよりも”空間側”に置いて、主役はメロディに譲る
こうすると、ハケットの「ギターが編曲の一部」という立ち位置が再現しやすいです。
PA的にも、ギターのローを切っておくと会場の低域の暴れが減り、空間系が濁りにくくなります。
6) 具体的な曲ごとの使い分けイメージ
・「Firth of Fifth」系:レスポール+軽い歪み+中域の芯+テープ系ディレイ控えめ(ソロの歌が最優先)
・「Moonlit Knight」系:ファズ+フェイズ(周期遅め)+エコーで奇妙な倍音を演出(”変な音”を音楽にする)
・静かなパート:クリーン+コーラス(または軽フェイズ)+ボリューム奏法(アタックを消す)
ここまで作り込むと、機材が多少違っても”らしさ”が出ます。
年代・現場・録音/ライブの条件で機材は揺れますが、音作りの設計思想(中域主役、音価設計、空間の作曲)は一貫しています。と、想定されます。
⑥比較的安価に音を近づける機材【Genesis・Steve Hackett】
ハケット再現で賢いのは、「高級ヴィンテージを追う」より「役割を分解して、現行品で代替する」戦略です。
具体的には、①ミッドが作れる歪み(ファズ含む)②揺れ(フェイズ/コーラス)③テープっぽいエコー④持続音(ボリューム/サスティン)を揃える。
全部をヴィンテージで揃えるのは現実的じゃないので、1〜5万円帯(上限10万円)で”再現性が高い”ものを置きます。
ポイントは「似ている理由」をハッキリさせること。
例えばテープエコーは本物が無理でも、テープ風アルゴリズム+ハイ落とし+軽い揺れが出れば、ミックス上はかなり近い。
フェイズも同様で、MXRの系譜のミニ版(Phase 95等)なら”うねり”のキャラが近い。
さらにボリュームペダルは価格に関係なく効果が大きく、奏法と直結するのでコスパ最強です。
マルチを使うなら、BossやLine 6、Zoomの現行機で「フェイズ+テープディレイ+軽いファズ/歪み+EQ」を1台にまとめるのが現実的。
特にGenesis系は”歪み単体の質”よりも、複合した時の音像が大事なので、マルチで全体を整えるのはむしろ正解です。
最後に、サスティナー要素はEBowが最安で効果が分かりやすい。ギター側を改造しなくても、持続音の世界に入れます。
| 種類 | 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | 備考 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| フェイザー | Phase 95 | MXR | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | Phase 90系のキャラを小型で再現しやすい。Genesis期の”うねり”要素を最短距離で足せる。 | |
| コーラス | CH-1 Super Chorus | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | JC系の”透明な揺れ”を外部で補う発想。ボリューム奏法の立体感が出しやすい。 | |
| ファズ | Big Muff Pi (Nano等) | Electro-Harmonix | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | Colorsound系そのものではないが、倍音を増やして”太い単音”を作る目的に対して再現性が高い。EQでローを絞ると混ざりやすい。 | |
| エコー | RE-2 Space Echo | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | Space Echo系の”揺れと奥行き”を現行品で再現しやすい。ハイを落として余韻を薄く広げるとハケット感が出る。 | |
| プリアンプ/アンプシミュレーター | SansAmp GT2 | Tech 21 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | “真空管っぽい歪み”をどこでも出す目的に対して再現性が高い。PA直でも成立しやすい。 | |
| ボリュームペダル | VPJR / Volume Pedal | Ernie Ball | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 価格帯に関係なく効果がデカい”再現装置”。アタックを消して持続音を作る=ハケット再現の最短ルート。 | |
| サスティナー | EBow | EBow | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | サスティナー搭載ギターがなくても”無限サスティン”を作れる。空間系と組むと一気にそれっぽい。 | |
| ギター用マルチエフェクター | ME-90 | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | フェイズ/コーラス/ディレイ/EQを一台でまとめて”音像”を作れる。Genesis系は複合が肝なのでマルチは相性が良い。 |
⑦総括まとめ【Genesis・Steve Hackett】

Steve Hackett(スティーヴ・ハケット)の音作りを一言で言うなら、「ギターを”旋律楽器”と”空間楽器”として同時に成立させる」です。
歪みで押し切るのではなく、ミッドの密度で歌わせ、ボリューム/サスティンでアタックを消し、エコーや揺れで”余韻を作曲”する。
だからこそ、Genesis(ジェネシス)のように情報量が多いバンドの中でも、ギターが埋もれず、でも邪魔にならない位置に収まる。これがすごい。
再現のコツは、機材を丸暗記するより「役割」で考えることです。
・太い単音の主役=レスポール系(またはそれに近いミッドの太さ)
・揺れで生命感=フェイザー/コーラス(周期と深さが肝)
・余韻で物語を作る=テープ系エコー/ディレイ(ハイを落として奥行きにする)
・アタックを消して線にする=ボリューム奏法/EBow/サスティナー
この4つを揃えると、細部が違っても”ハケットっぽい設計思想”が立ち上がります。
逆に言うと、歪みだけをハケットに寄せても、空間と音価が普通のギターのままだと「なんか違う」になりがちです。
PA/ミックス目線では、ローを切って濁りを減らし、1kHz前後の芯を作り、ディレイのハイを落として”奥に漂う”感じを演出する。
そして演奏側は、ボリュームで音の立ち上がりを彫刻する。ここまでやると、録り音でもライブでも「それっぽさ」が急に上がります。
機材リストはあくまで地図ですが、ハケットの場合は”地形の歩き方”が本体です。
中域の密度、音価の設計、空間の作曲。ここを押さえれば、あなたの手元の機材でもGenesis風の景色は作れるはずです。と、想定されます。

