【Trevor Rabin(トレヴァー・ラビン)・Yes(イエス)】風サウンドの作り方+ギター機材音作りセッティングのまとめ【エフェクター・アンプ】

コピー
※プロ450人・1万点以上の実使用データを分析し、まとめた
【予算別・初心者〜中級者向け】プロ機材から学ぶ“失敗しない機材”の正解はこちら
 ➡ ギター・アンプ・エフェクター完全ガイド

① 始めに(特徴紹介)

1980年代、伝説的なプログレッシブ・ロックバンド「Yes(イエス)」に劇的な変革をもたらし、世界的なメガヒット曲『Owner of a Lonely Heart(ロンリー・ハート)』を生み出した張本人、それがトレヴァー・ラビン(Trevor Rabin)です。彼のサウンドは、それまでのプログレの常識を覆す、極めてモダンでハイテク、そして緻密に計算された「音の要塞」のような重厚さが特徴です。

トレヴァー・ラビンのプレイスタイルは、南アフリカ出身という背景を感じさせる独特のリズム感と、クラシックの素養に裏打ちされた高度な作曲能力が融合しています。ギタリストとしては、オーケストレーションを意識した幾重にも重なるレイヤーサウンド、そしてMXRのピッチトランスポーザーを駆使した5度上のハーモニーなど、当時の最先端技術を鮮やかに使いこなしていました。

彼の音がなぜこれほどまでに注目されるのか。それは、ハードロック的なエッジの効いたドライブサウンドと、クリスタルを思わせる透明感のあるクリーントーン、そしてデジタルエフェクトによる幻想的な空間演出が、一曲の中で完璧に共存しているからです。後の映画音楽作曲家としてのキャリアにも通じる、ドラマチックで壮大なギターサウンドの構築術は、現代のギタリストにとっても学ぶべき点が非常に多いと言えるでしょう。

Yes の公式YouTube動画を検索

②使用アンプ一覧と特徴【Yes(イエス)・Trevor Rabin(トレヴァー・ラビン)】

トレヴァー・ラビンのアンプ選びは、彼の「一切の妥協を許さないサウンド構築」を象徴しています。80年代のYes加入初期において、彼のサウンドの核となっていたのはMarshall 100W Master Volume(Model 2203)でした。しかし、その使い方は独特で、スタジオレコーディングでは2台の4×12キャビネットを向かい合わせに配置し、その間にマイクを設置して、位相や空気感をコントロールするという極めてエンジニア的なアプローチを採っていました。

1990年代、『Talk』期に入ると、彼はアンプ設計の鬼才リー・ジャクソンが関与したAmpeg VT-120を使用するようになります。このアンプは非常に高いゲインを持ちながらも、トレヴァーが求める「濁りのない明瞭な歪み」を出力することができました。彼の歪みは、単に歪んでいるだけでなく、和音の分離感が極めて良いのが特徴です。

近年の活動、特に「ARW (Anderson, Rabin, Wakeman)」では、それまでの膨大なラックシステムや真空管アンプをすべて手放し、Fractal Audio Axe-Fx IIへと完全移行しました。これは彼が求める「完璧なレイヤーサウンド」をライブで再現するために、デジタルプロセッシングの精度を優先した結果と言えます。

機材名 メーカー Amazon 楽天 Yahoo! メルカリ 石橋楽器 サウンドハウス 備考
100W Master Volume (Model 2203 / JMP MKII) Marshall 検索 検索 検索 検索 検索 検索 『90125』期のメイン。ハイゲインながら芯のあるサウンド。
VT-120 Ampeg 検索 検索 検索 検索 検索 検索 1990年代に使用。リー・ジャクソン設計のハイゲインアンプ。
JVM410H Marshall 検索 検索 検索 検索 検索 検索 近年のライブツアーで使用される多機能ヘッド。
Axe-Fx II Fractal Audio 検索 検索 検索 検索 検索 検索 ARW等のツアーで全機材を統合。完璧なサウンドを再現。

と、想定されます。

③使用ギターの種類と特徴【Yes(イエス)・Trevor Rabin(トレヴァー・ラビン)】

トレヴァー・ラビンのキャリアを象徴するのは、間違いなく17歳の時に手に入れた1962年製の「Fender Stratocaster」です。このギターは、単なるヴィンテージ楽器としての価値を超え、トレヴァー自身の手によってボディーが削り直され、独自のカラーにリフィニッシュされるという、彼自身の歴史が刻まれた一本です。

興味深いのはそのピックアップ構成で、時代によって細かくアップデートされています。最も有名な構成の一つは、リアにDiMarzio FS-1やSeymour Duncan Hot Railsといった高出力なモデルを搭載し、センターにはBill Lawrence L250、フロントにはSeymour Duncan Hot Stackを配するという、非常にハイブリッドかつ実用的なセッティングです。これにより、ストラトらしい鈴鳴りのクリーンから、ハムバッカー顔負けの図太いリードトーンまでを一本でカバーしています。

また、80年代後半の『Big Generator』期には、自身のシグネチャーモデルであるWestone製のギターを使用。ここにはDSR-5 Harmonic Enhancerというアクティブ回路が搭載されており、ライブでもスタジオクオリティの音の明瞭さを追求していたことが伺えます。90年代の『Talk』期には、Alvarezのホロウボディモデルを使用し、箱鳴り感のある豊かなトーンを取り入れるなど、常に新しいサウンドを模索し続けています。

機材名 メーカー Amazon 楽天 Yahoo! メルカリ 石橋楽器 サウンドハウス ギターの種類 備考
Stratocaster (1962) Fender 検索 検索 検索 検索 検索 検索 エレキギター トレヴァーを象徴するメイン機。自身でリフィニッシュ。
Trevor Rabin Signature Westone 検索 検索 検索 検索 検索 検索 エレキギター HSS構成、アクティブ回路搭載の80年代主力機。
Trevor Rabin Signature Alvarez 検索 検索 検索 検索 検索 検索 ホロウボディ 『Talk』期に使用。独特のエアー感があるサウンド。
Parallaxe PXMTR20 Washburn 検索 検索 検索 検索 検索 検索 エレキギター 近年のシグネチャー。SH1/TB4ピックアップ搭載。
James Tyler Variax (JTV-69) Line 6 検索 検索 検索 検索 検索 検索 モデリングギター 多種多様なギターサウンドを再現するために使用。

と、想定されます。

④使用エフェクターとボード構成【Yes(イエス)・Trevor Rabin(トレヴァー・ラビン)】

トレヴァー・ラビンのサウンドを決定づけているのは、エフェクターを「楽器の一部」として完全に掌握している点にあります。特に彼が愛用したMXR Pitch Transposerは、多くの楽曲で「5度上」のピッチシフトを加え、ギター一本では不可能な荘厳なハーモニーを作り出しました。これが『90125』や『Big Generator』におけるYesサウンドのモダンな響きの正体です。

歪みに関しては、Marshallアンプのドライブを基本にしつつ、象徴的なイントロを持つ『Owner of a Lonely Heart』などではBOSS DS-1 Distortionを効果的に使用しています。また、彼のクリーントーンには必ずと言っていいほど、BOSS CE-2(コーラス)やMXRのデジタルディレイがかけられており、そこにMXR Dyna Compによるコンプレッションが加わることで、あの粒立ちの良い、ハイファイなアルペジオサウンドが完成します。

90年代の巨大なラックシステム時代には、Bob Bradshawによって組まれたカスタムスイッチャーを核に、Eventide H3000やKorg A3といったスタジオクオリティのマルチエフェクターを駆使していました。ノイズ対策のためにRocktron Hushを組み込むなど、ハイゲインと透明感を両立させるためのシステム構築には、並々ならぬこだわりが見られます。

機材名 メーカー Amazon 楽天 Yahoo! メルカリ 石橋楽器 サウンドハウス エフェクターの種類 備考
DS-1 BOSS 検索 検索 検索 検索 検索 検索 ディストーション 『Owner of a Lonely Heart』リフで使用される定番機。
CE-2 BOSS 検索 検索 検索 検索 検索 検索 コーラス 美しいクリーントーンの核となるエフェクター。
Pitch Transposer MXR 検索 検索 検索 検索 検索 検索 ピッチシフター 5度上のハーモニーを作るための、彼の最重要機。
Dyna Comp MXR 検索 検索 検索 検索 検索 検索 コンプレッサー クリーントーンの粒立ちを整えるために多用。
H3000 Eventide 検索 検索 検索 検索 検索 検索 空間系マルチエフェクター スタジオ品質のピッチシフトと残響を提供。

と、想定されます。

⑤音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【Yes(イエス)・Trevor Rabin(トレヴァー・ラビン)】

トレヴァー・ラビンの音作りは、単に「いい音のアンプとギターを用意する」だけでは完結しません。彼は作曲家であり、マルチプレイヤーであり、エンジニアでもあります。そのため、ギターの音を「最終的なミックスの中でどう聴かせるか」という視点で作り込んでいます。

【具体的なEQ・セッティングのポイント】
彼のメインドライブサウンドは、Marshall 2203に見られるような、中高域にエッジのあるブリティッシュ・トーンがベースです。しかし、そのままでは耳に痛い成分が出るため、EQでは250Hz付近の「温かみと濁り」の境界線を精密にコントロールし、4kHz以上の高域をきらびやかに残す設定にしています。リード演奏時には、ピッチシフターでわずかにデチューンされた音や5度上の音をミックスし、音像を左右に広げることで、ギター一本でもオーケストラのような厚みを持たせています。

【曲ごとの使い分けとアンプの活用】
『Owner of a Lonely Heart』のイントロでは、あえて少し細身で硬いディストーションサウンド(DS-1)を使用し、インパクトを重視しています。一方で、サビやソロではMarshallの分厚い壁のようなサウンドに切り替え、聴感上のダイナミクスを最大化しています。この「静と動」の切り替えは、単なるボリューム操作ではなく、エフェクトの深度やEQのプリセットを瞬時に切り替えることで実現されています。

【エンジニア視点でのミックス処理】
レコーディングにおいて、彼はギターの音を「ダブルトラック(同じフレーズを2回弾く)」で重ねるだけでなく、異なる特性のアンプやエフェクト設定で録音し、それらをL/Rに振り分ける手法を多用しています。さらに、リバーブやディレイなどの空間系は、ギター本来のアタックを潰さないよう、プリディレイを長めに設定したり、エフェクト音だけにEQをかけて低域をカットするなど、透明度を保つための細かな配慮がなされています。

近年のAxe-Fxへの移行も、こうした複雑なルーティングと緻密なEQ管理を、ライブ環境で完全に再現するための論理的な帰結と言えるでしょう。彼の音作りは、感性だけに頼るのではなく、周波数帯域の整理と空間の配置という「科学的なアプローチ」に基づいています。

と、想定されます。

⑥比較的安価に音を近づける機材【Yes(イエス)・Trevor Rabin(トレヴァー・ラビン)】

トレヴァー・ラビンのような「ハイテク・レイヤーサウンド」を安価に再現するには、個別のコンパクトエフェクターを揃えるよりも、強力なDSPを搭載したマルチエフェクターを活用するのが最も近道です。特に、ピッチシフター(ハーモナイザー)と高品質なディレイ、そしてマーシャル系のモデリングアンプが必要です。

種類 機材名 メーカー Amazon 楽天 Yahoo! メルカリ 石橋楽器 サウンドハウス 備考
ギター用マルチエフェクター GT-1000core BOSS 検索 検索 検索 検索 検索 検索 ピッチシフトと緻密なルーティングがこれ一台で可能。
ギター用マルチエフェクター POD Go Line 6 検索 検索 検索 検索 検索 検索 Helix直系のサウンドで、トレヴァーのモダンな歪みを再現。
ディストーション DS-1W BOSS 検索 検索 検索 検索 検索 検索 代表曲のイントロサウンドを再現するための必須ペダル。

【なぜこれらの機材が似ているのか】
まず、BOSS GT-1000coreは、トレヴァーが現在使用しているAxe-Fxと同じく、高度な演算能力により、複雑なピッチシフト(5度上のハーモニー)や、複数のエフェクトをパラレル(並列)で繋ぐことができます。彼の「音が濁らないクリーントーン+空間系」を再現するには、このパラレル接続機能が不可欠です。

Line 6 POD Goは、トレヴァーがレコーディングでも使用したVariaxギターとの親和性も高く、Marshall 2203系のハイゲインサウンドの質感が非常に優れています。特に80年代の「キラキラした中にも芯がある」歪みを、アンプを買わずに手に入れることができます。

BOSS DS-1Wは、彼が実際に使用したDS-1の現代版です。特にカスタムモードを選択すれば、オリジナルの弱点であった低域の細さを解消しつつ、あの「ロンリー・ハート」の鮮烈なリフサウンドを誰でも簡単に再現できます。これらのデジタル機材を駆使し、EQで4kHz辺りを強調することで、トレヴァー・ラビン風の「ハイファイなプログレサウンド」に近づくことができるでしょう。

⑦総括まとめ【Yes(イエス)・Trevor Rabin(トレヴァー・ラビン)】

トレヴァー・ラビンの音作りの本質とは、一言で言えば「ギタリストという枠組みを超えた、音の彫刻」です。彼のサウンドには、常に全体像を見通す俯瞰的な視点があります。一本のギターでどこまで壮大な物語を描けるか、という挑戦が、あの緻密なシステムとエフェクト使いに現れているのです。

彼の音を再現するために最も必要なのは、実は最新の機材以上に「周波数と空間への理解」かもしれません。ギターの音が他の楽器の邪魔をしていないか、空間系がアタックを消していないか、といったエンジニアリング的な配慮が、あの美しくも激しいYesサウンドを支えています。

これから彼のサウンドを目指す皆さんは、まずは「クリーントーンの透明感」と「歪みの分離感」を徹底的に追求してみてください。そして、ピッチシフターやコーラスを恐れずに使い、自分だけの「音のレイヤー」を重ねていく楽しさを知ってほしいと思います。トレヴァー・ラビンのスタイルは、テクニックだけでなく、機材を駆使して新しい音の地平を切り拓く、冒険者の精神そのものなのです。

彼が数十年にわたり磨き続けてきたそのサウンドの哲学は、きっとあなたのギタープレイに新しいインスピレーションを与えてくれるはずです。まずは一台のピッチシフター、あるいは一台のマルチエフェクターから、その広大な宇宙への第一歩を踏み出してみませんか。

タイトルとURLをコピーしました