始めに(特徴紹介)
FACTのギタリストとして、Kazukiは圧倒的な音圧とクリアなアンサンブルを両立させる独自のギターサウンドでシーンに存在感を放ってきました。彼の音作りは一言で言えば「重さと抜け感の共存」。ハイゲインなリフの中に、エッジの効いたカッティングや緻密なメロディラインを織り交ぜるスタイルは、メタルコアからポストハードコアに至る幅広いジャンルで評価されています。
FACTは、英詞を中心に世界市場も見据えた楽曲を展開しており、その中でKazukiのギターサウンドはバンドの「核」として機能しています。代表曲「A Fact of Life」や「Slip of the Lip」では、攻撃的なブレイクダウンとクリーンセクションのコントラストが特徴であり、そこにおけるKazukiのプレイはまさにサウンドの骨格です。
Kazukiのギターには、Seymour DuncanのSH-6(Distortion)ピックアップが搭載されており、その高出力と豊かな倍音により、低域の押し出しと中域の太さを確保。同時にMarshall JVM 410HとLINE6 POD X3 LIVEを併用することで、多彩な音色をリアルタイムに切り替えながら楽曲に躍動感を加えています。
また、FACTではメンバー全員がフード付きマスクを被って演奏するなど、ビジュアル面でも強烈な印象を残していましたが、Kazukiのギターサウンドはそのビジュアルを支える「中身」の部分でも説得力を持ちます。音作りには細かな配線やハンダの方法にもこだわる職人気質もあり、サウンドメイカーとしての一面も垣間見えるギタリストです。
この記事では、Kazukiの音作りを支えるギター・アンプ・エフェクター・EQセッティング・再現用機材までを、実際に使用された情報をもとに徹底解説します。彼の音に近づくための手引きとして、ぜひ参考にしてください。
使用アンプ一覧と特徴【FACT・Kazuki】
Kazuki(FACT)のサウンドを語る上で欠かせないのが、ライブおよびレコーディング時に使用されていたアンプヘッドの存在です。主に「Orange」と「Marshall」の2ブランドを軸にしたシステム構成が確認されており、これは爆発的な音圧と明瞭なピッキングニュアンスの両立を狙ったものと考えられます。
まずOrangeについては、ファン撮影の写真や関係者ブログなどの視認情報をもとに、KazukiとTomohiroが共に使用していたことが判明しています。Orange特有のファットで中域が前に出るサウンドは、Kazukiが奏でるヘヴィリフの輪郭を力強く浮かび上がらせ、バンド全体のグルーヴを支える土台になっています。特に「in the blink of an eye」や「Attack Me If You Dare」などのタイトで歯切れの良いトーンは、Orangeのナチュラルなコンプレッション感に支えられていると推測されます。
一方、Marshall JVM410HはPOD X3 LIVEとの連携で頻繁に使用されており、『in the blink of an eye』のオフィシャルスコアにも明記されています。このアンプは4チャンネル仕様で、それぞれに3モード(クリーン/クランチ/ハイゲイン)が設定されており、KazukiはそれらをLINE6 POD X3 LIVEのフットスイッチで切り替えながら使用していました。これにより、ソロ/ブレイク/リード/バッキングといった楽曲内での音色変化をスムーズに制御しています。
これら2台のアンプの使い分けは、ライブとレコーディングの場面に応じた音色のチューニングを意図したものです。Orangeは「弾いた瞬間から太い」、Marshallは「設定次第でどこまでも攻められる」―Kazukiはそれらを状況ごとに選び抜き、現場での対応力と音質バランスの両立を実現しています。
また、アンプから出力された音は、POD X3 LIVEを通してキャビネットシミュレーションや空間処理が加えられている可能性も高く、モダンなミックスに耐えうるサウンド設計がなされていたと考えられます。
使用ギターの種類と特徴【FACT・Kazuki】

Kazuki(FACT)のギタープレイを支える重要な要素が、彼が選び抜いたギターたちです。ライブ映像や公式ブログの写真から、少なくとも2本の主要ギターが確認されており、用途に応じて使い分けていることがうかがえます。
まず、メインギターとして確認されているのが、Jaguarタイプのシェイプを持つKazuki本人のオリジナルモデル。このギターは、フロント寄りのストラップピンやホーンの短さ、ピックガードの形状などから、通常のJaguarとは異なるカスタム設計が施されていると見られます。ピックアップには、Seymour Duncan製の高出力モデルSH-6(Distortion)が搭載されており、強いコンプレッション感と抜群のアタックで、リフプレイに特化した音作りが可能です。
このSH-6は、Kazukiの他のギターにも共通して使用されており、彼が一貫して「音の押し出し感」や「バンドアンサンブルでの抜けの良さ」を追求していることを示唆しています。倍音を多く含み、クリーンではなく歪ませることで真価を発揮するこのピックアップは、FACTのような重心の低いミックスにおいても鮮明なトーンを提供します。
もう1本のギターは、Schecter Diamond SeriesのHELLRAISER C-1。こちらは現行モデルとして市販もされており、ライブのステージ前方で使用されている写真が存在します。アクティブピックアップ搭載、スルーネック構造、キルスイッチ付きという仕様から、高ゲイン環境でのフィードバック耐性やサスティンの強さが武器です。ギターそのものの重量感とミッドレンジの密度が高く、Kazukiのサウンド設計において「輪郭と重厚感の両立」に寄与している1本といえます。
これらのギターは単なるブランド選びではなく、パーツや配線方法に至るまでKazuki自身が研究・調整しており、音へのこだわりが非常に強いことが伝わってきます。実際、彼はピックアップの取り付けに際して、ハンダの種類やポットとの接触位置まで意識し、音色の微細な変化に対応しているという証言も残されています。
ライブ/レコーディングを問わず、一貫して「リフの切れ味」「バンド全体の中での定位」を重視したギター選びがKazukiの音作りの根幹にあると言えるでしょう。
使用エフェクターとボード構成【FACT・Kazuki】
Kazukiのエフェクターボードは、ハイゲインなバンドサウンドに求められる「即時性」と「多機能性」を両立した構成になっています。中でも核となっているのが、LINE6のマルチエフェクター「POD X3 LIVE」です。このモデルは、彼らの代表作『in the blink of an eye』のオフィシャルスコアにも明記されており、Marshall JVM410Hと連携して使用されていることが確認されています。
POD X3 LIVEは、アンプシミュレーター/キャビネットシミュレーター/空間系/ダイナミクス系などの多彩なエフェクトを1台に内包しており、Kazukiのようにライブでクリーン〜リード〜ブレイクダウンといった幅広い音色を素早く切り替える必要があるプレイヤーには最適です。実際、彼はこのユニットのフットスイッチを用いて、Marshall JVM410Hの各チャンネルと連動したプリセット切り替えを行っており、ライブ中でも演奏を止めることなく音色を変化させています。
この構成は、エフェクター個別の組み合わせよりも遥かに安定性と再現性が高く、ミックスエンジニアからの要求にも迅速に対応できる利点があります。POD X3 LIVE内のアンプモデリングは、実際のアンプと組み合わせて使われている可能性が高く、ライブ中は「実アンプ+POD経由の空間処理」というハイブリッドなサウンドが構築されていたと推定されます。
また、ギター側に搭載されたSeymour Duncan SH-6ピックアップとの相性も抜群で、PODのモデリングを通しても輪郭が潰れず、高域まで明瞭なアタックが保たれる点がKazukiのトーンの一貫性を支えています。
その他の具体的なペダル構成については明確な記録が残っていませんが、POD X3 LIVEに含まれるエフェクトでほぼ完結していたことを考えると、コンパクトエフェクターはボードに加えられていなかった可能性が高いです。事実、POD X3 LIVEはノイズゲートやイコライザーも内蔵しており、ボードを簡素化するには理想的な選択肢といえるでしょう。
Kazukiの音作りは、マルチエフェクターを中核にしつつも、システム全体で一貫したトーンを実現することに重点が置かれています。ハイゲイン時の安定性とクリーンの透明感を両立させたPOD運用は、現代的なエフェクト運用の好例です。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
POD X3 LIVE | LINE6 | Amazonで検索 | FACT | Kazuki | ギター用マルチエフェクター | 『in the blink of an eye』スコア掲載。JVM410Hと連携。 |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【FACT・Kazuki】

Kazuki(FACT)のギターサウンドは、「輪郭のある歪み」と「明瞭なコード感」が共存する非常にバランスの取れた設計になっています。特にツインギター体制であるFACTにおいて、Kazukiの音はTomohiroのギターと混ざり合いながらも、明確な定位と存在感を保ち続けています。
そのサウンドの根幹にあるのが、Seymour Duncan SH-6ピックアップによる高出力ディストーションと、Marshall JVM410Hのマルチチャンネル仕様による柔軟なゲイン設計です。Kazukiは、POD X3 LIVEを経由してチャンネルの切り替えを行っているため、リード/バッキングのトーンチェンジが非常にスムーズに行えます。特にブレイクダウンなどの「抜き」の部分では、ゲインを控えめにしつつ低域のレスポンスを保ち、逆にサビやソロでは中高域を強調したアグレッシブなトーンに切り替える設計が想定されます。
具体的なEQ設計については明確な設定値は公開されていませんが、以下のような調整が行われていた可能性があります:
- 【クリーンパート(Introやアルペジオ)】
Treble:7〜8 / Mid:6 / Bass:4〜5
→ 高域の煌びやかさと適度な中域を保ち、バンド内で埋もれないセッティング。 - 【バッキング(リフパート)】
Treble:6 / Mid:7〜8 / Bass:6〜7
→ ミドル強調型。歪ませてもコード感が潰れず、迫力と抜けを両立。 - 【リード(ソロ)】
Treble:8〜9 / Mid:6〜7 / Bass:4〜5
→ 高域を強調して前に出るようにし、ミドルとローは引き算。
加えて、POD X3 LIVEのキャビネットシミュレーションを活用し、レコーディング時にはミックス内で被らない帯域を選定。マイキングされた実アンプと、PODのライン出力をブレンドすることも視野に入れていたと考えられます。
また、Kazukiはライブハウスや海外公演でも一貫したトーンを出すため、EQ以外にもノイズゲートやコンプレッサーによる微調整も行っていた可能性が高いです。とくにモダンなメタルコアやポストハードコア系のミックスでは、歪み成分がバスドラやベースと被りがちになるため、ローエンドを50〜80Hzでハイパス、400〜800Hzの中域にブーストを加えるなどの工夫がなされていた可能性もあるでしょう。
他のFACTメンバーとの帯域調整も含め、Kazukiのサウンドは「単体で良い音」ではなく「アンサンブルの中で抜ける音」を志向した設計になっている点が、エンジニアからも高く評価されていたと想定されます。
このように、KazukiのEQ・セッティングには高い戦略性があり、状況ごとに設定を緻密に調整していたと、想定されます。
比較的安価に音を近づける機材【FACT・Kazuki】
Kazuki(FACT)のサウンドを再現するにあたり、Seymour Duncan SH-6やMarshall JVM410H、LINE6のPOD X3 LIVEといった機材は高品質ながらやや価格帯が高めです。ここでは、初心者〜中級者でも手に取りやすく、かつKazukiのトーンに近づけることが可能な代替機材を目的別に紹介していきます。
まず、Kazukiの特徴である「中域の押し出しが強いディストーションサウンド」を再現するうえで、ピックアップ選びは重要です。SH-6に匹敵する高出力なパッシブPUとしては、Seymour DuncanのTB-6(トレムバッカー仕様)やDiMarzioのSuper Distortionあたりも候補になりますが、廉価ギターに最初から搭載された高出力ハムバッカーであれば、EpiphoneのLes Paul Studioなどでも十分近いキャラクターを得ることができます。
アンプに関しては、Marshall JVM410Hのような多チャンネル仕様のチューブアンプはコストがかかるため、代替としては「Marshall CODE50」や「BOSS Katana」シリーズのようなデジタルモデリングアンプがオススメです。とくにCODE50はMarshall公式のトーンライブラリにアクセスできるため、JVM系統の音も再現しやすく、Kazukiの音作りにも非常に適しています。
また、マルチエフェクターに関しては、LINE6 POD X3 LIVEはすでに廃盤となっており、中古市場でも高騰している場合があります。そのため現行モデルでの代替としては「LINE6 POD GO」や「ZOOM G6」「BOSS GX-100」などが有力。特にPOD GOは、Helix譲りのサウンドアルゴリズムを搭載しながら価格は抑えめで、Kazukiのように実アンプとの併用を前提とした構成にもフィットします。
ペダル単体で再現したい場合は、「BOSS DS-1X」や「MXR Super Badass Distortion」など中域の押し出しが強く、ハイゲイン対応できるペダルが選択肢になります。空間系やノイズゲートも重要ですが、BOSSの「GT-1」や「NUX MG-400」などのエントリー向けマルチエフェクターを導入すれば、EQ・ディレイ・リバーブを含めた基本的な音作りは一通りカバー可能です。
以下に、具体的なおすすめ代替機材をまとめます。価格と再現性を両立した選択肢として、Kazukiの音を手軽に追体験できる構成です。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
ギター(代用) | Les Paul Studio | Epiphone | Amazonで検索 | FACT | Kazuki | SH-6に近いハイゲイン向きPU搭載。コスパ◎ |
アンプ(代用) | CODE50 | Marshall | Amazonで検索 | FACT | Kazuki | JVMモデリング内蔵。Marshall公式プリセット利用可能 |
マルチエフェクター(代用) | POD GO | LINE6 | Amazonで検索 | FACT | Kazuki | POD X3の後継。高品質モデリングと小型筐体で人気 |
ディストーション | DS-1X | BOSS | Amazonで検索 | FACT | Kazuki | 中域の押し出しが強く、歪みの輪郭も明瞭 |
エントリーマルチ | GT-1 | BOSS | Amazonで検索 | FACT | Kazuki | 軽量・安価・豊富な内蔵エフェクトで入門に最適 |
総括まとめ【FACT・Kazuki】

Kazuki(FACT)のギターサウンドは、一見シンプルながらも非常に高度な設計思想と実用性が詰まっています。高出力ピックアップと多チャンネル・高可変アンプ、そしてマルチエフェクターによる柔軟なプリセット管理という構成は、彼のプレイスタイルとバンドアンサンブルを最大限に引き出すためのものであり、音作りにおける「実戦性」と「再現性」を両立させています。
とくに印象的なのは、Seymour Duncan SH-6を搭載したギターの選定やPOD X3 LIVEの使用など、機材選びの一貫性です。彼は常に「自分の音をどんな現場でも再現できるようにする」ことを意識しており、それがライブでの安定感や、レコーディングでの明瞭な定位につながっているといえるでしょう。
アンプはMarshall JVM410HやOrangeを軸とした構成で、音の厚みとエッジ感を両立。エフェクターはマルチで完結しつつも、キャビシミュやEQ処理を通じてミックス全体で「映える音」に調整されています。この構成は、現代的なDTM環境やマルチバンド編成においても非常に有効で、Kazukiのサウンドはそのまま現代ギタリストの「ロールモデル」として通用する完成度を持っています。
また、彼の音作りにおける姿勢には、配線・ハンダ・マウント位置に至るまで細部にこだわる「クラフトマン精神」が見て取れます。単なる「かっこいい音」ではなく、「ライブ・レコーディングを問わず使える音」「他パートと混ざっても存在感を失わない音」を追求していたことが、Kazukiのギタリストとしての哲学そのものです。
本記事で紹介した使用機材・EQ・代替案などを活用すれば、Kazukiの音にかなり近づける構成を手にすることができるでしょう。FACTのようなバンドサウンドを志す方にとって、彼のセッティングと思想は必ずや参考になるはずです。
ぜひこの記事を参考に、自身のサウンドにKazukiのエッセンスを取り入れてみてください。
下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
エフェクター
LINE6 POD X3 LIVE: 『in the blink of an eye』のスコアに記載されており、Marshall JVM 410Hのフットスイッチと併用しているとのことです。
ピックアップ
Seymour Duncan / SH-6 (ディストーション): Kazukiさんの他のモデルでも使用されているピックアップです。
煌びやかで繊細なクリーントーンは得意ではありませんが、音を歪ませて倍音が強調される際に真価を発揮します。
出力が高いため、機材側の歪みを抑えても押し出しのあるディストーションサウンドを作りやすいのが特徴です。
バンド全体の音圧を重視するFACTの音楽性によく合致していると評価されています。
KazukiさんもTomohiroさんも、基本的にこのSH-6を同様に使用しているとのことです。
配線へのこだわり: ピックアップの取り付けにおいては、単にハンダ付けをするだけでなく、ポット(ボリュームのパーツ)と配線材の接触のさせ方でも音色が変化することを考慮し、慎重に進められています。Kazukiさんはハンダ付けの方法や技術だけでなく、回路の仕組みも学ぶことを目的としていたようです。
ギター
メインギター: Kazukiさんのオリジナルモデルで、奥にあるジャガータイプのものです。
サブギター: Schecter Diamond Series / HELLRAISER C-1。手前にあるギターで、現行モデルのため入手可能です。
チューニング
TAKAHIROさんと同じチューニングです。
アンプ
Orange: Orangeのアンプ
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