始めに(特徴紹介)
真島昌利(マーシー)は、THE BLUE HEARTSから現在のザ・クロマニヨンズまで、日本のロックシーンを牽引し続ける伝説的ギタリストです。
彼のサウンドの特徴は、とにかくシンプルでパワフル、そして情熱的なギタープレイにあります。複雑なテクニックよりも、楽曲に対する真摯な姿勢と、心に響くストレートなギターサウンドを重視しています。
代表楽曲「リンダリンダ」「TRAIN-TRAIN」「情熱の薔薇」などでは、Gibson Les Paul特有の太くパワフルなサウンドと、Marshall アンプの歪みが見事に調和した、まさに日本のロックギターサウンドの原点とも言える音色を聴くことができます。
マーシーの音作りで最も特徴的なのは、エフェクターをほとんど使わず、ギター本体とアンプの組み合わせで勝負するスタイルです。現在のザ・クロマニヨンズでは、ライブでMAXON OD808を1台使用するのみという極めてシンプルなセットアップでありながら、観客を圧倒する迫力あるサウンドを生み出しています。
なぜ彼の音がこれほど多くの人に愛され続けるのか?それは、技術的な完璧さよりも「魂」を重視したギタープレイと、聴く人の心に直接響く情熱的なサウンドメイキングにあります。シンプルでありながら奥深い、まさに日本のロックギターの教科書とも言える存在です。
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使用アンプ一覧と特徴【THE BLUE HEARTS・真島昌利】
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
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JCM2000 TSL100 | Marshall | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | 現在のザ・クロマニヨンズでメイン使用。3チャンネル仕様でクリーンからハイゲインまで幅広いサウンドに対応 |
1960A | Marshall | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | JCM2000と組み合わせて使用するキャビネット。Celestion製スピーカー搭載 |
DR103 | HIWATT | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | ブルーハーツ時代のメインアンプ。クリーンサウンドが美しく、歪みも上品な特徴 |
Mark IV | Mesa Boogie | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | ブルーハーツ時代の歪み用アンプ。センド/リターンにローランドSDE-3000を接続 |
Twin Reverb | Fender | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | 12弦ギター用として主に使用。銀パネルモデルを愛用 |
AC-30 | VOX | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | ブルーハーツ時代に使用。British rockサウンドの定番アンプ |
真島昌利のアンプ選びは、時代とともに変化してきました。ブルーハーツ時代には、HIWATTとMesa Boogieの組み合わせで、クリーンと歪みを使い分けるスタイルでした。HIWATTのDR103は、クリーンサウンドが非常に美しく、12弦ギターとの相性も抜群でした。
Mesa Boogie Mark IVは、当時としては珍しいハイゲインアンプで、センド/リターンにローランドのSDE-3000デジタルディレイを接続することで、空間的な広がりを演出していました。この組み合わせは、特に「TRAIN-TRAIN」などの楽曲で威力を発揮しました。
現在のザ・クロマニヨンズでは、Marshall JCM2000 TSL100をメインに使用しています。このアンプは3チャンネル仕様で、クリーン、クランチ、リードの3つのサウンドを切り替えることができます。マーシーは主にクランチチャンネルを使用し、MAXON OD808でブーストすることで、パワフルなリードサウンドを作り出しています。
アンプ選びの背景には、ライブでの使い勝手と音の太さがあります。Marshallアンプは、日本のライブハウスでも扱いやすく、バンドサウンドに埋もれない存在感のある音が出せるため、長年愛用し続けています。
使用ギターの種類と特徴【THE BLUE HEARTS・真島昌利】

機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
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Les Paul Junior TV Yellow | Gibson Custom Shop | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | エレキギター | 現在のメインギター。シングルカッタウェイモデル、ブリッジはバダスタイプに交換済み |
Les Paul Special TV Yellow | Gibson | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | エレキギター | 1958年製、デビュー時に入手。初期4作品の録音で使用した伝説的な1本 |
Stratocaster | Fender | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | エレキギター | 1963年製ボディ+1961年製ネック。スプリングはストレート3本仕様 |
SG Standard | Gibson | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | エレキギター | チェリーレッド、1968年製ヴァイブローラ付きラージピックガードモデルと推定 |
RL-70P | Greco | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | エレキギター | 凸凹ツアーで使用。リッケンバッカータイプの12弦ギター |
HD-35 | Martin | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | アコースティックギター | 1992年頃入手。主にヒロトが演奏することが多かった |
真島昌利のギター選びは非常にこだわりが強く、特にGibson Les Paulシリーズへの愛着は格別です。現在のメインギターであるGibson Custom Shop Les Paul Junior TV Yellowは、シングルカッタウェイモデルで、ブリッジをバダスタイプに交換することで、サスティンと音の立ち上がりを向上させています。
最も重要なのは、ブルーハーツデビュー時に入手した1958年製Gibson Les Paul Special TV Yellowです。この楽器は初期4作品の録音で使用された伝説的な1本で、「リンダリンダ」「TRAIN-TRAIN」「青空」「情熱の薔薇」といった代表曲のギターサウンドは、すべてこのギターから生まれました。P-90ピックアップ特有の太くてパンチのあるサウンドが、マーシーの音楽性と完璧にマッチしています。
Fender Stratocasterも重要な位置を占めており、1963年製ボディと1961年製ネックを組み合わせた特別な1本を使用しています。スプリングをストレート3本にセッティングすることで、アームの効きを調整し、独特のトレモロサウンドを実現しています。このストラトは、よりメロディアスな楽曲や、クリーンサウンドが必要な場面で威力を発揮しました。
Gibson SG Standardも印象的で、チェリーレッドの美しいボディカラーが特徴的です。1968年製と推定されるヴァイブローラ付きのラージピックガードモデルで、レスポールとは異なる軽やかなサウンドを提供しています。SGは特にライブでの取り回しが良く、激しいパフォーマンスにも対応できる実用性の高さが魅力です。
12弦ギターとしては、Greco RL-70Pを愛用していました。リッケンバッカータイプの12弦ギターで、凸凹ツアーなどで積極的に使用されました。12弦ギター特有の煌びやかなサウンドは、楽曲に奥行きと華やかさを与える重要な要素でした。
アコースティックギターでは、1992年頃に入手したMartin HD-35が印象的です。ただし、これは主にヴォーカルのヒロトが演奏することが多く、マーシー自身はエレキギターに専念することが多かったようです。
使用エフェクターとボード構成【THE BLUE HEARTS・真島昌利】
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
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OD808 | MAXON | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | オーバードライブ | 現在のザ・クロマニヨンズでライブ唯一のエフェクター。通称「カエルちゃん」 |
SD-1 | BOSS | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | オーバードライブ | ブルーハーツ時代にギターソロのブースターとして使用 |
SDE-3000 | BOSS | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | デジタルディレイ | Mesa Boogieのセンド/リターンに接続して使用 |
DD1000 | MAXON | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | デジタルディレイ | ブルーハーツ時代のデジタルディレイ。空間系エフェクトとして使用 |
Double Sound SD5 | MAXON | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | ワウ | ワウとファズのミックスエフェクター。「無言電話のブルース」で使用 |
CS-505 | MAXON | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | コンプレッサー | ハイロウズ時代から現在まで愛用するコンプレッサー |
真島昌利のエフェクター使用は、「シンプル・イズ・ベスト」を体現しています。現在のザ・クロマニヨンズでは、ライブでMAXON OD808を1台使用するのみという極めてミニマルなセットアップです。このOD808は通称「カエルちゃん」と呼ばれ、Marshallアンプをブーストするためのブースターとして機能しています。
ブルーハーツ時代のエフェクター使用は、現在よりも若干多彩でした。BOSS SD-1は、ギターソロ時のブースターとして重要な役割を果たしていました。特に「TRAIN-TRAIN」などの楽曲では、ソロ部分でSD-1をオンにすることで、リズムギターとの音量差を確保し、ソロの存在感を際立たせていました。
デジタルディレイとしては、BOSS SDE-3000とMAXON DD1000を使い分けていました。SDE-3000は、Mesa BoogieのMark IVのセンド/リターンに接続し、アンプの歪みにディレイをかけることで、当時としては画期的な空間的なサウンドを作り出していました。この組み合わせは、特にバラード系の楽曲で威力を発揮し、情感豊かなギターサウンドを実現していました。
興味深いのは、MAXON Double Sound SD5の使用です。これはワウとファズが組み合わされたユニークなエフェクターで、「無言電話のブルース」という楽曲で効果的に使用されました。このエフェクターは現在では入手困難な希少機材で、マーシーの音作りへのこだわりの深さを物語っています。
ハイロウズ時代から現在まで愛用しているMAXON CS-505コンプレッサーは、ギターサウンドの粒立ちを整える重要な役割を担っています。特にクリーントーンでのアルペジオやカッティングプレイで、各音の粒をそろえ、演奏に安定感をもたらしています。
エフェクター選びの背景には、「音楽に必要最小限のエフェクトのみを使用する」という哲学があります。複雑なエフェクトよりも、ギター本来の音色とアンプの歪みを重視し、それを補完する程度のエフェクト使用に留めています。この姿勢は、楽曲の本質を大切にするマーシーの音楽観を反映しています。
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【THE BLUE HEARTS・真島昌利】

真島昌利の音作りの核心は、「ギター本来の音色を最大限に活かす」ことにあります。現在のザ・クロマニヨンズでの基本セッティングは、Marshall JCM2000 TSL100のクランチチャンネルをベースに、MAXON OD808でブーストするというシンプルな構成です。
アンプのEQセッティングは、一般的にミドルを若干強調し、低音域と高音域をバランス良く設定しています。具体的には、BASS:6、MIDDLE:7、TREBLE:6程度の設定が基本と推測されます。GAINは5~6程度に抑え、音の粒立ちを重視した設定になっています。この控えめなゲイン設定により、ピッキングの強弱がダイレクトに音に反映され、表現力豊かなプレイが可能になります。
MAXON OD808の設定は、GAINを最小から2程度、LEVELを7~8、TONEを5~6程度に設定していると考えられます。これは歪みを追加するのではなく、アンプをプッシュしてミドルレンジを強調するブースター的な使い方です。この設定により、バンドサウンドの中でギターが埋もれることなく、明瞭に聞こえる音作りを実現しています。
楽曲ごとの使い分けも重要なポイントです。「リンダリンダ」のような疾走感のある楽曲では、OD808を常時オンにして、パワフルで前に出るサウンドを作ります。一方、「青空」のような叙情的な楽曲では、OD808をオフにしてアンプの自然な歪みを活用し、温かみのあるサウンドを演出します。
アンプのチャンネル切り替えも戦略的に行われています。イントロやバースではクリーンチャンネルを使用し、サビではクランチチャンネルに切り替えることで、楽曲の構成に合わせた音量と迫力の変化を演出しています。特に「TRAIN-TRAIN」では、この切り替えが楽曲の盛り上がりを効果的に演出しています。
ミックスでの処理においては、ギターサウンドの中域(1kHz~3kHz)を重視した処理が行われています。この帯域はヴォーカルと競合しやすい部分ですが、ギターとヴォーカルのすみ分けを図りながら、両者が明瞭に聞こえるバランスを取っています。低域は100Hz以下をカットし、ベースとの分離を図っています。
空間系の処理は控えめで、過度なリバーブやディレイは使用せず、楽器本来の音色を重視しています。ただし、バラード系の楽曲では、短めのディレイ(80~120ms程度)を薄くかけることで、音に奥行きを与えています。
PAやエンジニアの視点から見ると、マーシーのギターサウンドは非常にミックスしやすい特徴があります。過度なエフェクトがかかっていないため、楽曲に合わせた微調整が容易で、他の楽器との馴染みも良好です。特にドラムとベースとの関係性を重視し、リズムセクションと一体となったサウンドメイクを心がけています。
レコーディングでは、アンプの音を直接マイキングすることが多く、ラインサウンドよりもアンプから出る自然な音色を重視しています。マイクはSM57などのダイナミックマイクを使用し、アンプのスピーカーから30cm程度離した位置でセッティングすることが多いようです。
音作りの本質的な部分では、「歌に寄り添うギター」という意識が強く、ヴォーカルラインを邪魔しない範囲で、楽曲の感情を増幅させる役割を担っています。技術的な完璧さよりも、楽曲に対する貢献度を重視した音作りが、多くの人に愛される理由の一つです。
比較的安価に音を近づける機材【THE BLUE HEARTS・真島昌利】
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
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ギター | Les Paul Studio | Epiphone | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | Gibson Les Paulの音色を手頃な価格で再現。ハムバッカーピックアップによる太いサウンドが特徴 |
ギター | Les Paul Special VE | Epiphone | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | P-90風ピックアップ搭載でマーシーの1958年製Les Paul Specialに近い音色を実現 |
アンプ | CODE50 | Marshall | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | Marshallの伝統的なサウンドをデジタルで再現。JCM2000系の音色も搭載 |
アンプ | DSL20HR | Marshall | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | 真空管アンプでMarshallらしい歪みとクリーンサウンドを実現。20Wで自宅でも使用可能 |
エフェクター | OD-3 | BOSS | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | MAXON OD808に近いミドル重視のオーバードライブ。ブースター的な使い方も可能 |
エフェクター | Super Overdrive SD-1 | BOSS | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | マーシーがブルーハーツ時代に実際に使用していたモデル。ギターソロのブーストに最適 |
エフェクター | CS-3 Compression Sustainer | BOSS | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | MAXON CS-505の代替として。音の粒立ちを整えクリーントーンの安定性を向上 |
エフェクター | DD-3 Digital Delay | BOSS | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | ブルーハーツ時代のSDE-3000やDD1000の代替として。シンプルなディレイエフェクト |
マルチエフェクター | GT-1 | BOSS | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | Marshallアンプシミュレーター搭載。OD808風オーバードライブも内蔵でオールインワン |
マルチエフェクター | Katana-50 | BOSS | Amazon検索 | THE BLUE HEARTS | 真島昌利 | アンプとエフェクターが一体化。Marshallライクなサウンドとオーバードライブを内蔵 |
真島昌利のサウンドを手頃な予算で再現するためには、まずギター選びが重要です。Epiphone Les Paul Studioは、Gibson Les Paulの音色的特徴を非常によく再現しており、特にハムバッカーピックアップによる太く温かいサウンドは、マーシーの音作りの基本となります。価格は5万円程度でありながら、本家Gibsonに迫る音質を実現しています。
さらにマーシーの1958年製Les Paul Specialに近づけたい場合は、Epiphone Les Paul Special VEがおすすめです。P-90風のシングルコイルピックアップを搭載しており、Gibson P-90特有のパンチがありながらも温かみのあるサウンドを再現できます。このギターは3万円台で購入可能で、初心者にも手が届きやすい価格設定になっています。
アンプについては、Marshall CODE50が非常に優秀な選択肢です。デジタルアンプでありながら、JCM2000をはじめとするMarshallの名機のサウンドを忠実に再現しています。特にクランチサウンドの再現度は高く、マーシーが現在使用しているJCM2000 TSL100の音色に非常に近いサウンドを得ることができます。価格は4万円程度で、BluetoothやUSB接続も可能な多機能性も魅力です。
より本格的な真空管サウンドを求める場合は、Marshall DSL20HRが最適です。20Wという出力により自宅でも使用可能でありながら、真空管特有の自然な歪みとダイナミクスを体験できます。クリーンチャンネルとオーバードライブチャンネルの2チャンネル仕様で、マーシーのような使い分けが可能です。価格は7万円程度ですが、本格的なMarshallサウンドを体験できます。
エフェクターでは、BOSS OD-3がMAXON OD808の代替として非常に有効です。ミドルレンジを重視したオーバードライブで、アンプをプッシュするブースター的な使い方ができます。ゲインを低めに設定し、レベルを上げることで、マーシーと同様のブースト効果を得られます。価格は1万円程度と非常にリーズナブルです。
BOSS Super Overdrive SD-1は、マーシーが実際にブルーハーツ時代に使用していたモデルなので、最も確実な選択肢の一つです。特にギターソロ部分でのブーストエフェクトとして使用することで、リズムギターとソロギターの音量差を確実に作ることができます。現在でも製造されており、1万円程度で購入可能です。
コンプレッサーとしては、BOSS CS-3がMAXON CS-505の代替として機能します。特にクリーントーンでのアルペジオやカッティングプレイで、音の粒立ちを整える効果があります。設定はSUSTAINを3~4、LEVELを7~8程度にすることで、自然なコンプレッション効果を得られます。
ディレイエフェクトには、BOSS DD-3 Digital Delayが適しています。ブルーハーツ時代のSDE-3000やDD1000ほど高機能ではありませんが、基本的なディレイエフェクトは十分に再現できます。ディレイタイムを100~150ms程度に設定し、フィードバックを少なめにすることで、マーシーが使用していたようなナチュラルな空間演出が可能です。
オールインワンソリューションとしては、BOSS GT-1やBOSS Katana-50がおすすめです。GT-1はコンパクトなマルチエフェクターでありながら、Marshallアンプシミュレーターとオーバードライブを内蔵しており、ヘッドフォンでの練習も可能です。Katana-50は、アンプとエフェクターが一体化しており、Marshallライクなサウンドを手軽に体験できます。
これらの機材を組み合わせることで、総額10万円程度でマーシーのサウンドに非常に近い音作りが可能になります。重要なのは、高価な機材よりも「シンプルで音楽的なサウンド」を心がけることで、マーシーの音楽哲学を理解し、それを自分なりに表現することです。
総括まとめ【THE BLUE HEARTS・真島昌利】

真島昌利の音作りを深く掘り下げてきましたが、その本質は決して複雑な機材やテクニックにあるのではありません。むしろ「シンプルであること」「音楽に真摯であること」「感情を大切にすること」という、音楽の根本的な部分にこそ、彼のサウンドの秘密があります。
現在のザ・クロマニヨンズでは、Gibson Les Paul Junior、Marshall JCM2000、そしてMAXON OD808という、たった3つの要素でライブを行っています。この極限まで削ぎ落とされたセットアップから生み出されるサウンドが、なぜこれほど多くの人の心を揺さぶるのでしょうか。
それは、マーシーが「音楽の本質」を理解しているからです。複雑なエフェクトや最新の機材ではなく、ギター本来の音色とアンプの自然な歪み、そして何よりも「歌に寄り添う」という姿勢が、彼のサウンドを特別なものにしています。技術的な完璧さよりも、楽曲に対する愛情と、聴く人への想いが音に現れているのです。
ブルーハーツ時代の「リンダリンダ」「TRAIN-TRAIN」「青空」「情熱の薔薇」といった名曲群は、すべて1958年製Gibson Les Paul Special TV Yellowから生まれました。この事実は、機材の新しさや高価さではなく、楽器との深い関係性こそが重要であることを教えてくれます。マーシーとこのギターの関係は、まさに「相棒」と呼ぶにふさわしく、長年の使用により楽器とプレイヤーが一体化している状態を示しています。
音作りのアプローチも非常に哲学的です。エフェクターに頼らず、ギター→アンプという最もベーシックな信号の流れを重視し、その中で最大限の表現力を追求しています。これは「制約の中でこそ創造性が生まれる」という芸術の基本原理を体現しています。
若いギタリストの皆さんに伝えたいのは、マーシーのサウンドを再現するために最も重要なのは、高価な機材を揃えることではないということです。むしろ、手持ちの機材でどれだけ音楽的な表現ができるか、どれだけ聴く人の心に響く演奏ができるかを追求することです。
練習においても、テクニカルなフレーズを覚えることよりも、コード進行に対する理解や、楽曲全体の構成を把握することの方が重要です。マーシーのギタープレイは決して技巧的ではありませんが、常に楽曲の核心を捉えており、無駄な音が一切ありません。この「引き算の美学」こそが、彼のプレイの最大の特徴です。
音作りの視点では、「自分の音」を見つけることが何より大切です。マーシーも多くの試行錯誤を経て現在のシンプルなスタイルに辿り着きました。皆さんも、様々な機材や設定を試しながら、最終的には自分にとって最も自然で、最も表現力豊かなサウンドを見つけてください。
最後に、マーシーの音作りから学べる最も重要な教訓は、「音楽は人と人とのコミュニケーション」だということです。技術的な巧さよりも、聴く人の心に届くかどうかが重要なのです。あなたのギターサウンドが、誰かの人生に寄り添い、励ましとなり、希望となることを願って。真島昌利のように、音楽への純粋な愛情を込めて演奏してください。
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