始めに(特徴紹介)
ザ・ビートルズのリードギタリストとして知られるジョージ・ハリスンは、ロック史において最も影響力のあるギタリストの一人です。彼のサウンドは、初期のロカビリーやカントリー的なフレーズから、後期の実験的かつ叙情的なプレイまで幅広く展開しており、その変遷はビートルズの音楽的進化そのものを象徴しています。
代表的なサウンド例として、『A Hard Day’s Night』でのリッケンバッカー12弦による煌びやかなアルペジオ、『Norwegian Wood』でのシタールの導入、『While My Guitar Gently Weeps』でのレスポール“Lucy”による深みのあるトーンなどが挙げられます。ジョージは単なるリードギタリストにとどまらず、バンドの音像に彩りを与える「音の設計者」としての役割を果たしていました。
彼の音作りは決して派手ではなく、楽曲の流れや歌を引き立てることを重視しながらも、時折強烈な個性を放つ瞬間があります。例えば「Something」や「Here Comes the Sun」では、繊細かつ情感豊かなトーンを作り上げ、世界中のギタリストに影響を与えてきました。
ジョージ・ハリスンの音が注目される理由は、その多彩さと温かみ、そして楽曲に最適化されたギターサウンドにあります。本記事では、彼が実際に使用したアンプ・ギター・エフェクターを時系列に追いながら紹介し、音作りの工夫や再現方法を詳しく解説していきます。
使用アンプ一覧と特徴【ザ・ビートルズ・ジョージ・ハリスン】
ジョージ・ハリスンが使用したアンプは、ビートルズのサウンドを語るうえで欠かせない要素です。初期にはクラブや小規模ホールでの演奏が中心であったため、コンボタイプのアンプをメインにしていました。その後、バンドの人気拡大とともに大規模アリーナやスタジアムでの演奏に対応するため、より大出力のアンプへと移行していきます。ここでは彼が実際に使用したとされるアンプと、その特徴について解説します。
デビュー前から初期の録音期にかけては、Vox AC30が中心でした。AC30は30Wの真空管アンプで、クリーンから軽いクランチまでナチュラルに鳴るサウンドが特徴。ビートルズの初期ナンバー「She Loves You」や「Please Please Me」に聴けるきらびやかでジャングリーなトーンは、このAC30が大きな役割を果たしています。
人気が急上昇した1964年頃からは、Vox AC50やVox Super Beatle(AC100/AC200)など、大出力スタックアンプを導入。アメリカツアーやシェア・スタジアム公演など、巨大な会場で演奏する際の音量対策として欠かせない存在でした。これらのアンプはヘッドルームが広く、ジョージのクリーントーンを保ちながらも、しっかりとした音圧を届けることができました。
中期以降のスタジオワークでは、Fender Bassman(白トーレックス仕様)が多用されます。『Rubber Soul』から『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』期にかけて、より厚みのあるリズムトーンやソロでの存在感を求め、このアンプが選ばれたといわれています。また、ビートルズ後期からはFender Twin Reverbも導入され、『Let It Be』期のセッションで使用された記録があります。リバーブを活かした広がりのあるトーンは、「Let It Be」や「Across The Universe」においてもその特徴が感じられます。
ジョージのアンプ選びは、ライブ規模や時代ごとの楽曲傾向に大きく左右されていました。初期はコンパクトで明瞭なトーン、中期以降はスタジオ志向で立体感や深みのあるサウンドを求めていったことがわかります。これらのアンプが組み合わさることで、彼独自の温かみと深みのあるギタートーンが完成した、と想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
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Vox AC30 | Vox | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | 初期ビートルズの定番。きらびやかなクリーントーン。 |
Vox AC50 | Vox | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | 中期のツアーで使用。より大出力で安定したサウンド。 |
Vox Super Beatle / AC200 | Vox | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | 大規模ライブ向け。アメリカ公演やスタジアム演奏で採用。 |
Fender Bassman | Fender | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | 『Sgt. Pepper’s』期以降で使用。白トーレックス仕様が有名。 |
Fender Twin Reverb | Fender | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | 『Let It Be』期に使用。広がりのあるリバーブトーン。 |
使用ギターの種類と特徴【ザ・ビートルズ・ジョージ・ハリスン】
ジョージ・ハリスンはキャリアを通じて多種多様なギターを使い分け、その選択によってビートルズの音像に大きな影響を与えてきました。初期には入門用の楽器や手頃なエレキを使用しつつ、徐々にグレッチ、リッケンバッカー、フェンダー、ギブソンといった名機を導入。後期には個性的な塗装や特注モデルをステージやスタジオで活用しました。ここでは代表的なアコースティック、エレクトリックギターの特徴と使用時期を整理して紹介します。
アコースティックでは、少年期に手にしたEgmond 276やHöfner Presidentが出発点となりました。その後、レノンとお揃いで購入したGibson J-160Eを長年愛用し、「I Want to Hold Your Hand」などで独特のエレアコサウンドを聴かせています。後期ではGibson J-200が「Here Comes the Sun」「For You Blue」で使用され、豊かな鳴りを聴かせました。さらに、Martin D-28や12弦仕様のD-12-35もライブや録音で導入され、深みのあるアコースティックサウンドを生み出しています。
エレクトリックでは、初期にGretsch Duo Jetを使用し、のちにGretsch Country GentlemanやTennesseanをメインに採用。特にCountry Gentlemanは「She Loves You」や「All My Loving」でそのジャングリーなサウンドを聴くことができます。さらに、映画『A Hard Day’s Night』で使用されたRickenbacker 360/12は、12弦特有の煌びやかさをビートルズの代名詞として世界に広めました。
中期以降は個性的なギター選択が目立ちます。Fender Stratocaster “Rocky”は自身でサイケデリック塗装を施した一本で、後年のスライドプレイでも愛用。「Lucy」と呼ばれるGibson Les Paulはクラプトンから譲り受け、名曲「While My Guitar Gently Weeps」で象徴的に響いています。さらに『Let It Be』屋上ライブでは、ローズウッド材で作られた特注のFender Telecaster All-Rosewoodを使用し、その音色は映像でも確認できます。
このように、ジョージは各時代に応じて最適なギターを選び、ビートルズの楽曲に新しい彩りを加え続けました。煌びやかで明瞭なサウンドから、深く温かいトーンまで幅広く操るそのギター選びは、まさに「楽曲に寄り添うギタリスト」の姿勢を示していたといえます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
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Egmond 276 | Egmond | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | アコースティック | 初めてのギターとして入手。練習用に使用。 |
Gibson J-160E | Gibson | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | アコースティックエレクトリック | レノンとお揃いで購入。初期録音で多用。 |
Gibson J-200 | Gibson | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | アコースティック | 『Abbey Road』『Let It Be』期で使用。「Here Comes the Sun」で有名。 |
Gretsch G6122 Country Gentleman | Gretsch | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | エレクトリック | 1963〜65年のメインギター。初期の代表曲で使用。 |
Rickenbacker 360/12 | Rickenbacker | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | エレクトリック(12弦) | 「A Hard Day’s Night」で使用。ビートルズサウンドの象徴。 |
Fender Stratocaster “Rocky” | Fender | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | エレクトリック | 自身でサイケ塗装を施したモデル。スライドプレイに使用。 |
Gibson Les Paul “Lucy” | Gibson | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | エレクトリック | クラプトンから譲り受け。「While My Guitar Gently Weeps」で使用。 |
Fender Telecaster All-Rosewood | Fender | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | エレクトリック | 『Let It Be』屋上ライブで使用された特注モデル。 |
使用エフェクターとボード構成【ザ・ビートルズ・ジョージ・ハリスン】
ジョージ・ハリスンはジミ・ヘンドリックスやエリック・クラプトンのようにエフェクターを大量に駆使するタイプではありませんでした。しかし、必要に応じてスタジオやライブでエフェクトを取り入れ、ビートルズの革新的なサウンド構築に貢献しました。特に後期のアルバムにおいては、エフェクターだけでなくスタジオ機材を積極的に活用し、ギターに独特の奥行きと表情を加えています。
最も代表的なのはVox V846 Wah-Wahで、これは「Wah-Wah」(『Let It Be』収録)やソロ時代のプレイで確認できます。ワウはジョージのフレーズに躍動感を与え、ロック色を強めました。また、Binson Echorecのようなエコーマシンもスタジオで使用され、空間的な広がりを演出。「I Need You」などではトレモロ的な効果と併せ、実験的なサウンドを創出しました。
さらに、ギターをLeslie 147スピーカーに通す試みは、ビートルズ後期の象徴的サウンドです。「Lucy in the Sky with Diamonds」や「Something」で聴ける揺れと広がりのあるトーンは、ロータリースピーカー特有の回転効果によるものです。これはエフェクターというよりも周辺機材ですが、ジョージの音作りに欠かせません。
スタジオレベルでは、Fairchild 660コンプレッサーやEMT 140 Plate Reverbも重要でした。これらは直接足元のエフェクターではないものの、ジョージのギタートーンを整え、アルバム全体に深みと立体感を与えました。ビートルズのサウンドを再現する上では、ペダルだけでなくこうしたスタジオ処理の影響も見逃せません。
まとめると、ジョージはペダルボードを組み立てるよりも、楽曲に応じて最小限のエフェクトを選び、スタジオ技術を組み合わせることで唯一無二のサウンドを生み出していたといえます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
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Vox V846 Wah-Wah | Vox | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | ワウペダル | 「Wah-Wah」で使用。ソロ期でも確認される代表的ペダル。 |
Binson Echorec | Binson | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | エコー | テープエコー。中期のスタジオ録音で空間系処理に使用。 |
Leslie 147 | Leslie | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | モジュレーション系 | 「Something」などで使用。ロータリースピーカー独特の回転効果。 |
Fairchild 660 | Fairchild | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | コンプレッサー | スタジオコンプレッサー。ギターや全体の音圧をコントロール。 |
EMT 140 Plate Reverb | EMT | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | リバーブ | スタジオ常設のプレートリバーブ。深みある空間を演出。 |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【ザ・ビートルズ・ジョージ・ハリスン】
ジョージ・ハリスンの音作りは、単なるアンプやギターの組み合わせだけではなく、EQの調整やミックス処理によって大きく形作られていました。特にビートルズ後期はアビイ・ロード・スタジオの最新技術を駆使し、エンジニアのジョージ・マーティンやジェフ・エメリックとともに、革新的なサウンドを追求しました。
初期のアンプ(Vox AC30など)では中域をやや強調したセッティングが多く、コードストローク時の「ジャングリー」な響きを前に押し出していました。Trebleは7〜8、Bassは5程度でバランスを保ち、Gainはクリーン〜軽いクランチに留めることで、歌を邪魔しない透明感あるトーンを作り出しています。
中期以降、Fender BassmanやTwin Reverbを使う場面では、ローエンドをやや抑えつつも中低域を厚めに出すセッティングが確認されています。特に「While My Guitar Gently Weeps」ではレスポール“Lucy”とBassmanの組み合わせで、深みとサステインのあるリードトーンを実現しました。この際、Bassを6〜7、Middleを6前後、Trebleを5程度に設定し、暖かくも前に出る音像を確保していたと考えられます。
エフェクト面では、ワウやロータリースピーカーを活用する際に中域のピークを意図的に操作し、ソロや印象的なフレーズを強調しました。「Something」で聴けるLeslie 147を通したギターは、EQ上では高域が丸まり、中低域の回転効果が立体的に響くのが特徴です。これはミックス段階でリバーブやコンプレッションを追加することで、さらに幻想的な響きへと昇華されています。
スタジオ処理においては、Fairchild 660コンプレッサーによる自然なサスティンや、EMT 140 Plate Reverbによる深みのある残響が重要な役割を果たしました。コンプレッサーはアタックを抑え、トーンを均一に整える役割を担い、ギターがボーカルやドラムとバランス良く溶け込むように調整されました。リバーブは楽曲によって使い分けられ、「Something」では濃厚で甘い響きを、「Here Comes the Sun」では明るく自然な空間感を与えています。
さらに、ジョージはスライドギターを導入する際、EQを工夫して中高域を際立たせることが多かったといわれています。例えば「My Sweet Lord」や後期ビートルズ作品では、Trebleをやや上げ、Bassを抑えることで、ボトルネックのガラス的な響きを際立たせています。
総合的に見ると、ジョージの音作りは「ギターとアンプの選択」+「EQでの微調整」+「スタジオエフェクトでの仕上げ」によって完成していました。ライブではシンプルなセッティングに留め、スタジオでは積極的に加工を加えるという二段構えのアプローチが、彼のサウンドの核心だといえるでしょう。
比較的安価に音を近づける機材【ザ・ビートルズ・ジョージ・ハリスン】
ジョージ・ハリスンのサウンドを完全に再現するのは難しいですが、初心者や中級者が手の届きやすい価格帯(1万〜5万円程度)で近づける方法も存在します。ポイントは「きらびやかなクリーントーン」「温かみのあるアコースティックサウンド」「必要に応じたワウや空間系エフェクト」をバランス良く組み合わせることです。ここでは比較的安価に手に入る市販機材を紹介しつつ、なぜジョージの音に近づけられるのかを詳しく解説します。
まずアンプに関しては、ジョージが愛用したVox AC30は価格が高めですが、そのDNAを受け継いだVOX Pathfinder 10やVOX Cambridge 50が初心者におすすめです。特にPathfinderは1万円台で購入でき、独特のチャイミーなクリーントーンを手軽に体験できます。中音域が強調されたサウンドは初期ビートルズのリズムギターに通じる雰囲気を持っています。
ギターでは、リッケンバッカーやグレッチは高価ですが、Epiphone Casinoは5万円前後から手に入ることもあり、ジョージが使用したCasinoの代替として最適です。ホロウ構造による独特の響きと軽快なトーンは、ビートルズ後期のサウンドを再現するのに役立ちます。
エフェクターに関しては、ワウペダルBOSS AW-3 Dynamic Wahや、同社のVOX V845 Wahが比較的安価でおすすめです。ジョージの「Wah-Wah」を再現するには欠かせない存在で、リードギターに個性を与えてくれます。また、空間系ではTC Electronic Hall of Fame Miniなどのコンパクトリバーブや、BOSS DD-8 ディレイが、Leslieやスタジオリバーブ的な広がりを疑似的に再現するのに効果的です。
さらに、マルチエフェクターを活用すれば、ジョージが使ったリバーブ、ディレイ、ワウ、コンプなどをまとめて再現可能です。特にZOOM G3XnやBOSS GT-1は3〜4万円程度で購入でき、音作りの幅を大きく広げることができます。スタジオ的な加工感を含めて再現したい場合、マルチは非常にコストパフォーマンスの高い選択肢です。
総じて、ジョージの音を再現するには「シンプルなクリーンセッティング+空間処理+ワウペダル」が鍵になります。これらを安価な機材で揃えることで、十分にビートルズ風のギターサウンドを体験することができるでしょう。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
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アンプ | Pathfinder 10 | VOX | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | 安価ながらAC30に通じるチャイミートーンを再現可能。 |
ギター | Casino | Epiphone | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | 本人使用モデルの廉価版。後期ビートルズサウンドに最適。 |
ワウペダル | V845 Wah | VOX | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | 代表曲「Wah-Wah」に近い効果を得られる定番モデル。 |
リバーブ | Hall of Fame Mini | TC Electronic | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | スタジオでのプレートリバーブを模した空間系を再現可能。 |
マルチエフェクター | G3Xn | ZOOM | Amazonで探す | ザ・ビートルズ | ジョージ・ハリスン | 複数エフェクトを一括管理でき、低予算で多彩な音作りが可能。 |
総括まとめ【ザ・ビートルズ・ジョージ・ハリスン】

ジョージ・ハリスンの音作りを振り返ると、その本質は「楽曲を引き立てること」にありました。彼は決して派手なギタリストではありませんが、必要な場面で確実に印象的なサウンドを響かせる職人的な存在でした。初期のGretschやRickenbackerによるジャングリーなトーン、中期以降のFenderやGibsonによる厚みのある音、そして後期の実験的なLeslieやワウの導入まで、常に楽曲の流れや時代背景に応じて最適な機材を選択していた点が特徴的です。
また、彼の音は単なる機材だけでなく、EQの工夫やスタジオ処理によって完成していました。FairchildコンプレッサーやEMTリバーブを用いた処理は、彼のギターをバンド全体の音像に自然に溶け込ませつつも、必要な場面では存在感を前に押し出す役割を果たしていました。さらにスライドギター奏法を積極的に取り入れ、温かみと独特の表情を加えたことも、彼ならではの音作りの大きなポイントです。
現代のギタリストがジョージのサウンドを再現するには、すべての機材を揃える必要はありません。重要なのは「クリアなクリーントーン」「中域を活かしたEQ」「空間処理での奥行き」「必要最小限のエフェクト」という4点を意識することです。VOX系アンプ、セミアコやホロウギター、そしてワウや軽めのリバーブを組み合わせることで、十分にハリスン的なサウンドに近づけることができます。
総じて、ジョージ・ハリスンの音作りは「シンプルさ」と「楽曲第一主義」に基づいています。ギターの個性を最大限に引き出しながら、必要に応じてエフェクトやスタジオ処理を加えるバランス感覚こそが、彼の音の核でした。読者の皆さんも、まずは自分の持つ機材でシンプルなセッティングを試し、そのうえで空間系エフェクトやワウを加えることで、ジョージらしい音色に近づけるはずです。それが「ビートルズらしさ」を体験する最良の方法だといえるでしょう。
下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
ギター
アコースティック
Egmond 276(初ギター)
Höfner President(後にClub 40と交換)
Gibson J-160E(レノンとお揃い/自身は1本で使用継続)
Harptone RS-6CN
Gibson J-200(『Let It Be』『Abbey Road』期。「For You Blue」「Here Comes the Sun」等)
Gibson J-2000(1991–93少数生産/’91日本公演で使用)
Martin D-28/D-35/D-12-35
Zemaitis(ジャンボ12弦含む:複数所有)
José Ramírez(クラシック/使用確認。所有は諸説あり)
エレクトリック
Höfner Club 40(初の本格エレキ/Presidentと交換で入手)
Futurama / Grazioso(いわゆる“Futurama III”系の入門機)
Gretsch G6128 Duo Jet(初期メイン/後年『Cloud Nine』ジャケでも所持)
Gretsch G6122-1962 Country Gentleman(少なくとも3本/’63–’65メイン、黒リフィニッシュ発言あり)
Gretsch Tennessean(’64〜、’65ツアーのメイン)
Rickenbacker 425(’63入手→黒にリフィニッシュ)
Rickenbacker 360/12(’63試作&’64量産の2本/「A Hard Day’s Night」ほか)
Gibson ES-345(’65プロモ等で確認)
Fender Stratocaster “Rocky”(’61製ソニックブルー→サイケ塗装/後年スライドの主兵)
ほか:白(60sボディ+50sメイプルネック)、50sサンバースト、Squier Strat(’87 Prince’s Trustで使用/日本製)
Gibson SG Standard(Maestro Vibrola付。’66ツアーのスペア等→Pete Hamへ譲渡)
Epiphone Casino(’66ツアーメイン→のちナチュラルに剥離)
Gibson Les Paul “Lucy”(’57GT→チェリーレッド/’68以降の要兵器)
借用:’59 Les Paul Custom 3PU(黒/’69 UNICEF等)
’60 Les Paul Standard(’91日本公演)
Fender Telecaster All-Rosewood(特注プロト/’69屋上ライヴで使用→一時Delaneyへ)
Fender Telecaster(バタースコッチ/「Set On You」PF等)
Fender Electric XII(’91日本公演「恋をするなら」)
Fritz Brothers Roy Buchanan Bluesmaster(’91日本公演)
Maton Mastersound(’63期の写真で確認)
アンプ
Vox AC30(デビュー前〜初期の録音要)
Vox AC50
Vox “Super Beatle”/AC200(大出力スタック。ライヴ音量対策)
Fender Bassman(’64白トーレックス。『Sgt. Pepper’s』期以降も長期使用)
Fender Twin Reverb(『Let It Be』期など)
エフェクター/周辺機器
Vox V846 Wah-Wah
Binson Echorec(テープエコー)
Leslie 147(ギターでも使用したロータリースピーカー)
Fairchild 660(コンプ:主にスタジオ処理)
EMT 140 Plate Reverb(スタジオのプレートリバーブ)
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