始めに(特徴紹介)
THE ALFEEの高見沢俊彦さん(愛称:タカミー)は、日本のロック界で最も独創的なギタリストの一人として知られています。彼のサウンドの最大の特徴は、クリーンとディストーションの使い分けの巧みさ、そして空間系エフェクトを駆使した幻想的で壮大な音像作りにあります。
特に「星空のディスタンス」「メリーアン」「恋人達のペイヴメント」といった代表楽曲では、テンポに合わせたディレイエフェクトと、複数のアンプを使い分けることで生まれる立体的なサウンドが印象的です。1980年代から一貫して、デジタルディレイを多用したサウンドメイキングを行っており、特にt.c. electronic TC2290を使った楽曲のBPMに合わせたテンポディレイは、彼の音作りの核となっています。
また、クリーンサウンドでは透明感のある美しいトーンを、ディストーションサウンドでは太く迫力のあるリードトーンを使い分け、楽曲の世界観を見事に表現しています。近年では5つのプリアンプと3つのブースターを組み合わせることで、基本的な音色だけでも15種類を想定できる複雑なシステムを構築し、より精密な音作りを追求しています。
使用アンプ一覧と特徴【THE ALFEE・高見沢俊彦】
高見沢俊彦さんのアンプセレクションは、時代とともに大きく変化してきました。1980年代初期はMarshall 1959 Super Leadを中心とした王道的なブリティッシュロックサウンドでしたが、1986年頃からJCM800 2203を導入し、よりモダンなサウンドへとシフトしていきます。
現在の2017年頃のシステムでは、プリアンプ部分として5種類のアンプ(プリアンプ)を使用する極めて複雑な構成となっています。メインとなるCAE 3+ SEは、クリーン、リード、ハードなバッキングの3チャンネルを使い分け、特にクリーンチャンネルではBRIGHT機能をONにして透明感のある美しいトーンを作り出しています。
VHT Pittbull Ultra-Leadはプリアンプ部のみを使用し、よりアグレッシブなサウンドに対応。FRACTAL AUDIO Axe-Fx UltraとLine6 POD Proは、デジタルモデリングによる多彩な音色バリエーションを提供しています。これらのプリアンプは3つのブースター(BOSS FDR-1、Landgraff Clean Boost、Landgraff MO-D)と組み合わせることで、基本的な音色だけでも15種類を想定できるシステムとなっています。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
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1959 Super Lead | Marshall | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | 1982-1985年使用。初期の代表的なアンプで、1983-84年は4台使用していた |
JCM800 2203 | Marshall | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | 1986年夏TOKYO BAY AREAで初登場。1988年は4台使用 |
3+ SE | CAE | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | 2017年システムのメインプリアンプ。3チャンネル使用 |
Pittbull Ultra-Lead | VHT | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | プリアンプ部のみ使用。アグレッシブなサウンド用 |
MK-III SIMUL CLASS | MESA BOOGIE | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | 1988年にコンボアンプとして2台使用。ステレオ出力対応 |
Axe-Fx Ultra | FRACTAL AUDIO | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | 2008年発売のデジタルモデリング。多彩な音色バリエーション |
POD Pro | Line6 | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | 1998年発売のアンプモデリング。現在も使用継続 |
Twenty One Hundred | VHT | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | 2017年システムのパワーアンプ部分として使用 |
使用ギターの種類と特徴【THE ALFEE・高見沢俊彦】

高見沢俊彦さんのギター選択は、彼の多彩な音楽性を反映した幅広いラインナップが特徴的です。初期の1982年頃から愛用しているYAMAHA SG2000は、彼のサウンドの基礎を築いた重要なギターです。SG2000の持つ太いサスティンと豊かな中低域は、THE ALFEEの楽曲に欠かせない要素となっています。
ストラトキャスタータイプでは、クリーンサウンドでの透明感のある美しいトーンを重視した選択をしており、特にシングルコイルピックアップの持つ繊細な表現力を活かしています。レスポールタイプでは、より太く迫力のあるリードサウンドを求めて使用しており、楽曲の盛り上がりどころでの印象的なギターソロに活用されています。
変形ギターに関しては、高見沢さんの個性的なステージパフォーマンスと密接に関連しており、視覚的なインパクトだけでなく、サウンド面でも独特な特性を持っています。これらの変形ギターは、THE ALFEEのライブステージにおける重要な演出要素となっており、楽曲の世界観をより印象的に表現するために使用されています。
近年では、エレクトリックアコースティックギターの使用も増えており、バラード楽曲での繊細な表現やアコースティックな楽曲でのナチュラルなサウンドメイキングに活用されています。また、12弦ギターの使用により、より豊かなハーモニクスと厚みのあるサウンドを楽曲に加えています。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
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SG2000 | YAMAHA | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | ソリッドボディ | 1982年から愛用。初期の代表的なメインギター |
Stratocaster | Fender | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | ソリッドボディ | クリーンサウンドでの透明感重視。シングルコイル使用 |
Les Paul | Gibson | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | ソリッドボディ | 太く迫力のあるリードサウンド用。ハムバッカー搭載 |
変形ギター(カスタム) | Various | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | 変形ギター | ステージパフォーマンス用。視覚的インパクトと独特のサウンド |
12弦ギター | Various | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | 12弦ギター | 豊かなハーモニクスと厚みのあるサウンド用 |
エレクトリックアコースティック | Various | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | エレクトリックアコースティック | バラード楽曲での繊細な表現用 |
使用エフェクターとボード構成【THE ALFEE・高見沢俊彦】
高見沢俊彦さんのエフェクターシステムは、日本のロック界でも屈指の複雑さと精密さを誇ります。2017年頃のシステムでは、ブースター → プリアンプ → 空間系/モジュレーション の順に接続された多数の機材による緻密な構成となっています。
ブースター系では、BOSS FDR-1(Fender ’65 Deluxe Reverb Amp Pedal)をカンレキーズの楽曲用として使用し、GAINを控えめに、LEVEL/TREBLEをMAXに設定。Landgraff Clean Boostはブースト量を13時の位置で使用し、クリーンサウンドの音圧向上に活用しています。Landgraff MO-Dは、VOLUMEを9時、TONEをほぼセンター、DRIVEを13時に設定し、トグルスイッチを中央位置で使用することで、微細な音色変化を実現しています。
空間系エフェクトでは、t.c. electronic TC2290を2台使用し、プリセット16(TIME 420ms、FEEDBACK 48)とプリセット3(TIME 20ms、FEEDBACK 0)を組み合わせることで、楽曲のBPMに合わせたテンポディレイを実現。これは1987年以降の高見沢サウンドの核となる技法です。Eventide Ultra-Harmonizerを3台使用し、ハーモナイザー機能だけでなく、ディレイなど多機能に活用しています。
モジュレーション系では、BOSS TR-2のANALOGMAN改を使用し、より温かみのあるトレモロ効果を実現。YAMAHA CH-03は1986年頃のシステムから継続使用されており、特定の楽曲で固定的に使用されています。Line6 MN4 Modulation Modelerは、フェイザー、フランジャー、トレモロを一台で賄う多機能エフェクターとして活用されています。
システムの最終段では、Palmer PGA-05とPALMER ADIG-STのスピーカーシミュレーターを使用し、キャビネットの音とライン音を卓でミックスすることで、ライブとレコーディング両方に対応できる柔軟なシステムを構築しています。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
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FDR-1 | BOSS | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | ブースター | Fender ’65 Deluxe Reverb Amp Pedal。カンレキーズ楽曲用 |
Clean Boost | Landgraff | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | ブースター | ブースト量13時設定。クリーンサウンド音圧向上 |
MO-D | Landgraff | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | オーバードライブ | VOLUME 9時、TONEセンター、DRIVE 13時設定 |
TC2290 | t.c. electronic | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | ディレイ | 2台使用。1985年発売。テンポディレイの代名詞的機材 |
Ultra-Harmonizer | Eventide | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | ピッチシフター | 3台使用。H3000、GTR4000など。多機能エフェクト |
TR-2 ANALOGMAN改 | BOSS | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | トレモロ | Analog Manによるモディファイ。温かみのあるトレモロ |
CH-03 | YAMAHA | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | コーラス | 1986年から継続使用。特定楽曲で固定使用 |
MN4 Modulation Modeler | Line6 | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | モジュレーション系 | 1999年発売。フェイザー、フランジャー、トレモロ対応 |
OD-2 | BOSS | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | オーバードライブ | 1986年バッキング用。YAMAHA PSE40Aで制御 |
SDE3000 | YAMAHA | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | ディレイ | 1988年システムで2台使用。Long/Short使い分け |
SPX90 | YAMAHA | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | マルチエフェクター | 1988年システム。SDE3000間に接続 |
PGA-05 | Palmer | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | ダイレクトボックス | 2017年システムのスピーカーシミュレーター |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【THE ALFEE・高見沢俊彦】

高見沢俊彦さんの音作りにおける最大の特徴は、極めて緻密なシステム設計と、楽曲ごとに最適化されたエフェクト設定にあります。2017年頃のシステムでは、5種類のプリアンプと3つのブースターの組み合わせにより、基本的な音色だけでも15種類を想定できる多彩さを実現しています。
CAE 3+ SEのセッティングでは、CHANNEL1(クリーン)でBRIGHT ON、GAIN 4、BASS 4、MIDDLE 4.5、TREBLE 5、MASTER 5という設定により、透明感のある美しいクリーンサウンドを構築。CHANNEL2(リード)では、BRIGHT ON、BASS 6、TREBLE 8、MASTER 7という設定で、中域の存在感を保ちながら高域の抜けを確保したリードサウンドを実現しています。CHANNEL3(ハードなバッキング)では、MIDDLE 6、TREBLE 9という設定で、バッキングに必要な迫力と明瞭度を両立させています。
VHT Pittbull Ultra-Leadでは、GAIN/VOLUMEを11時、TREBLE 16時、MIDDLE 13時、BASS 13.5時という設定により、よりアグレッシブなサウンドを構築。このセッティングは、楽曲の盛り上がりどころでの印象的なリードサウンドに活用されています。
空間系エフェクトのセッティングでは、t.c. electronic TC2290の2台使用が極めて重要です。プリセット16(TIME 420ms、FEEDBACK 48)とプリセット3(TIME 20ms、FEEDBACK 0)を組み合わせることで、楽曲のBPMに合わせたテンポディレイを実現。これにより、「星空のディスタンス」や「メリーアン」などの代表楽曲で聴かれる、楽曲に溶け込むような自然なディレイ効果を生み出しています。
モジュレーション系エフェクトのセッティングでは、片方のチャンネルのみにエフェクトをかけ、ドライ音とミックスしてスピーカーシミュレーターに送るという独特な手法を採用。これにより、エフェクト感を保ちながらも自然な広がりを実現しています。空間系エフェクトのかかり具合はミキサーで調整され、楽曲の展開に合わせてリアルタイムでコントロールされています。
スピーカーシミュレーターの活用では、Palmer PGA-05とADIG-STを使用し、出力をパワーアンプ&キャビネット側とPA側に分岐。これにより、キャビネットの音とライン音の低音量をミキサーで調整し、ライブとレコーディング両方に対応できる柔軟性を実現しています。この手法により、ステージ上のキャビネット音とPAから出る音の絶妙なバランスを保ち、会場全体に一貫したサウンドを届けることができています。
1980年代のシステム変遷では、各年代ごとに明確な音作りの進化が見られます。1986年夏のTOKYO BAY AREAでは、システムをアンプの手前でエフェクトを完結させる構成に変更し、リード用にRockman Distortion、Rockman Chorus、Rockman Delay、バッキング用にBOSS OD-2、クリーン用に複雑なラック構成を採用。この時期から、楽曲の用途別に明確に音色を使い分ける現在のスタイルの原型が形成されています。
比較的安価に音を近づける機材【THE ALFEE・高見沢俊彦】
高見沢俊彦さんのサウンドに近づくために、比較的手頃な価格で入手できる機材を紹介します。彼の音作りの核となるテンポディレイ効果は、BOSS DD-8 Digital Delayで十分に再現可能です。このペダルは、TC2290のような精密なBPM同期機能こそありませんが、タップテンポ機能により楽曲に合わせたディレイタイムの設定が容易で、高見沢サウンドの特徴的な空間的広がりを表現できます。
クリーンサウンドについては、BOSS Blues Breaker BB-2が優秀な選択肢となります。このペダルは、高見沢さんが使用するLandgraff系ブースターと同様の透明感のあるクリーンブースト効果を提供し、音色を損なうことなく音量とプレゼンスを向上させることができます。特にVINTAGEモードでの設定は、1980年代の高見沢サウンドに近い温かみのあるトーンを実現します。
ディストーションサウンドでは、BOSS DS-1 Distortionが基本的でありながら効果的です。高見沢さんの初期サウンドはMarshall系の王道ディストーションが基調となっており、DS-1の持つ中域の存在感と高域のクリアさは、その特徴を良く表現できます。さらに上位機種としては、BOSS ST-2 Power Stackが、Marshall JCM800系のサウンドをより忠実に再現できるため推奨されます。
モジュレーション系では、BOSS CH-1 Super Chorusが高見沢さんの使用するYAMAHA CH-03の代替として機能します。特にEFFECT LEVELを控えめに、RATEをゆっくりめに設定することで、楽曲に溶け込むような自然なコーラス効果を得ることができます。トレモロ効果については、BOSS TR-2 Tremoloが直接的な代替品となり、高見沢さんと同じモデルのため、設定次第で非常に近いサウンドを実現できます。
アンプシミュレーションについては、LINE6 POD Go Wireless が現実的な選択肢です。高見沢さんも使用するLINE6 POD Proの系統を継ぐ製品であり、Marshall系からFender系まで幅広いアンプモデルを内蔵。特にJCM800とFender Deluxe Reverbのモデルは、高見沢サウンドの再現に適しています。また、内蔵のディレイ・リバーブ機能も充実しており、一台で多彩なサウンドメイキングが可能です。
マルチエフェクターとしては、BOSS GT-1000COREが非常に優秀です。高見沢さんの複雑なシステムを一台で再現することは困難ですが、基本的な音色切り替えやエフェクトの組み合わせは十分に実現可能。特に、アンプシミュレーション、ディストーション、ディレイ、コーラスの組み合わせにより、「星空のディスタンス」や「メリーアン」といった代表楽曲のサウンドに近づけることができます。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
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ディレイ | DD-8 Digital Delay | BOSS | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | TC2290の代替。タップテンポでBPM同期可能。テンポディレイ効果を再現 |
ブースター | Blues Breaker BB-2 | BOSS | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | Landgraff系ブースターの代替。透明感のあるクリーンブースト |
ディストーション | DS-1 Distortion | BOSS | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | Marshall系ディストーションの基本形。初期サウンド再現に適している |
ディストーション | ST-2 Power Stack | BOSS | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | Marshall JCM800系サウンドを忠実に再現。DS-1より上位の選択肢 |
コーラス | CH-1 Super Chorus | BOSS | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | YAMAHA CH-03の代替。自然なコーラス効果を実現 |
トレモロ | TR-2 Tremolo | BOSS | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | 実際に使用している機材と同じモデル。直接的な代替品 |
マルチエフェクター | POD Go Wireless | LINE6 | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | POD Proの系統。Marshall、Fender系アンプモデル搭載 |
マルチエフェクター | GT-1000CORE | BOSS | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | 複雑なシステムの簡易再現。基本的な音色切り替えとエフェクト組み合わせ |
アンプ | Katana-50 MkII | BOSS | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | Marshall系からFender系まで対応。内蔵エフェクトも充実 |
ディレイ | DM-2W Waza Craft | BOSS | Amazon検索 | THE ALFEE | 高見沢俊彦 | アナログディレイの温かみ。1980年代のディレイサウンド再現 |
総括まとめ【THE ALFEE・高見沢俊彦】

高見沢俊彦さんの音作りの本質は、「楽曲の世界観を最大限に表現するための、妥協のないシステム構築」にあります。1980年代から現在に至るまで、一貫してテンポディレイを中心とした空間系エフェクトの活用と、複数のアンプ・プリアンプを使い分けることによる多彩な音色表現を追求してきました。
特に注目すべきは、彼のシステムが単なる機材の寄せ集めではなく、楽曲ごとに最適化された極めて論理的な構成となっていことです。2017年頃のシステムにおける「5種類のプリアンプ × 3つのブースター = 15種類の基本音色」という設計思想は、THE ALFEEの幅広い楽曲スタイルに対応するための必然的な進化といえるでしょう。
高見沢サウンドの最大の特徴である「楽曲に溶け込むようなテンポディレイ」は、単にBPMに合わせてディレイタイムを設定するだけでなく、フィードバック量や音量レベルまで含めた総合的な調整によって実現されています。TC2290の2台使用(420msと20ms)という設定は、長いディレイで楽曲の雰囲気を作り、短いディレイで音の厚みを増すという、非常に計算された手法です。
また、彼の音作りで見逃せないのは、「ドライ音とエフェクト音のバランス感覚」です。モジュレーション系エフェクトを片方のチャンネルのみにかけ、ドライ音とミックスするという手法は、エフェクト感を保ちながらも自然さを失わない絶妙なバランスを実現しています。これは、長年のライブ経験で培われた、観客に伝わりやすいサウンドメイキングの知恵といえるでしょう。
高見沢サウンドを再現するために最も重要なのは、機材の高額さではなく、「楽曲に対するサウンドの役割を理解すること」です。彼の機材選択は常に楽曲ありきで決められており、技術的な複雑さも全て楽曲表現のためのものです。初心者の方がこのサウンドに近づくためには、まず楽曲をよく聴き、どの場面でどのような音色が使われているかを分析することから始めることをお勧めします。
現在のデジタル技術の進歩により、比較的安価な機材でも高見沢サウンドの核心部分は再現可能です。重要なのは、「なぜその音が必要なのか」を理解し、楽曲全体の中での役割を意識して音作りを行うことです。高見沢俊彦さんの音作りは、技術的な完成度もさることながら、音楽に対する深い愛情と理解に基づいた、真の意味でのサウンドクリエイションの手本といえるでしょう。
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