始めに(特徴紹介)
THE ALFEEのギタリスト坂崎幸之助さんは、アコースティックギターを中心としたサウンドメイクで知られています。クラシカルなフィンガーピッキングからロック的なストロークまで、幅広い表現力を持つのが大きな特徴です。代表曲「星空のディスタンス」「メリーアン」などで聴ける、アコースティックとエレクトリックを織り交ぜた豊かな響きは、坂崎さんならではの音作りの成果です。
彼のサウンドは、Martin D-45をはじめとする複数のヴィンテージギターを駆使することで生まれる深みと煌びやかさが核になっています。さらに、ライブではESPやT’sTといったカスタムメイドのギターを取り入れ、曲ごとにサウンドキャラクターを切り替えています。坂崎さんは単なる演奏者ではなく「音色を演出するアーティスト」と言えるでしょう。
また、ギターだけでなくブルースハープやマンドリンなど多彩な楽器を操ることで、アンサンブル全体の表現力を引き上げています。THE ALFEEが「三人でフルバンドのような音」を奏でられる理由のひとつは、坂崎さんの楽器選びと音作りにあるのです。
本記事では、坂崎幸之助さんが実際に使用しているアンプ・ギター・エフェクターをまとめつつ、そのセッティングやEQの工夫を徹底解説していきます。THE ALFEEファンやアコースティックギター愛好家にとって参考になる内容を目指しました。
まずは、THE ALFEE公式MVを通して坂崎さんの音を直接体感してみましょう。
使用アンプ一覧と特徴【THE ALFEE・坂崎幸之助】
坂崎幸之助さんはアコースティックギターを主体とするプレイヤーであるため、ロックギタリストのように「マーシャル」「メサブギー」といったハイゲインアンプを前面に出すケースはほとんどありません。その代わり、アコースティック専用アンプやライン直結でのPAシステムを中心に、音響的にバランスの取れた出力方法を採用しています。特に大規模ホールやスタジアムクラスのライブでは、ピックアップ+プリアンプを経由してダイレクトボックスを通す方式がメインで、アンプヘッドの色付けよりもギターそのものの響きを忠実に届ける設計が多いと考えられます。
使用が確認されるアンプのひとつに、YAMAHAやRolandのアコースティックギターアンプがあります。YAMAHAは坂崎さんが開発協力したCWEシリーズやAPXシリーズをラインナップしているため、ライブでのモニタリングにも自社製のアコースティックアンプを取り入れていた可能性が高いです。Rolandに関しては、AC-60やAC-90などポータブルで透明感あるサウンドが特徴のモデルが、スタジオリハやサブシステムに使われた事例が見られます。
また、MartinやGibsonのヴィンテージアコースティックを使用する場合は、L.R.BaggsやFishmanといった外付けのアコースティック用プリアンプを介し、アンプを通さずPAへ直結するケースも多く、レコーディングでは特にマイキングとブレンドして自然な響きを重視しています。THE ALFEEはハーモニーと楽曲アレンジが非常に重要なバンドであるため、ギター単体が過剰に前に出ることは少なく、常にアンサンブルの中で「抜けるけれど邪魔をしない音」を追求してきたのが坂崎さんの特徴です。
特に、ソロパートでのアコースティックの響きは、EQで中域をほんの少し強調し、倍音が美しく広がるような設定がされていると考えられます。アンプを大音量で鳴らすのではなく、PAシステム全体のミックスの中でギターを自然に響かせるというアプローチは、THE ALFEEの三声ハーモニーと完全にマッチしています。
総合すると、坂崎幸之助さんのアンプ選びは「音を増幅するための装置」以上に「ギター本来の鳴りを邪魔せず、会場全体に届けるための補助的機材」という位置づけであるといえます。したがって、アコースティックアンプ、プリアンプ、そしてPAとの連携こそが彼の音作りの核になっている、と想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
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AC-90 Acoustic Chorus | Roland | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | 透明感あるサウンドでアコースティック向け。ライブ補助用。 |
AC-60 Acoustic Chorus | Roland | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | 小規模会場やサブアンプとして使用される可能性あり。 |
THR30IIA Wireless | YAMAHA | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | 自宅練習や小規模演奏向けアコースティックアンプ。 |
L.R.Baggs Para Acoustic DI | L.R.Baggs | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | PA直結用プリアンプ。ライブでのサウンド補正に使用。 |
Fishman Loudbox Mini | Fishman | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | 定番のアコースティックアンプ。クリアな音質で人気。 |
使用ギターの種類と特徴【THE ALFEE・坂崎幸之助】
坂崎幸之助さんの音作りの中心にあるのは、何と言ってもアコースティックギターです。彼はMartinを中心に複数のヴィンテージモデルを所有しており、特にD-45シリーズは彼の代名詞といえる存在です。1941年製や1968年製、1981年製、2008年製のD-45Sなどを使い分けており、1968年製はレコーディングで頻繁に使用されています。さらに、1982年製のD-45 CUSTOMは須貝重太氏から譲渡された7/8サイズの希少モデルで、ファンの間でも有名です。
また、坂崎シグネイチャーモデルの00-21KSは、Martin社が公式に製作した本人仕様のギターで、ファン垂涎の一本。MC-45(世界に1台の豪華装飾モデル)や、D-45S KK(加藤和彦氏モデルで遺品的存在)など、ギターコレクションとしても音楽史的な価値を持つものを所有しています。これらは単なる演奏用ではなく、楽器そのものがアーティストとの交流や時代の証としての意味を持っているのです。
さらに、Martin D-18(1961年製)は坂崎さんがプロ入り前に祖母から援助を受けて購入したもので、初期のレコーディングではメイン機として活躍しました。音色はシンプルかつバランスが良く、坂崎さんの初期サウンドを支えた重要な存在です。Martin 000-28(1951年製・1954年製)も所有しており、オールラウンドに使える響きが特徴で、レコーディング時の主力となっています。
Gibson系では、Hummingbird(1964年製)やJ-185が代表的です。Hummingbirdはスプルース+マホガニーの構造によるザクザクとした音質が特徴で、ヴィンテージ比較として使用されることが多いです。J-185は「戦争と平和」アルバムや「タンポポの詩」のエンディングテーマで使用されており、メロウな音色を響かせています。
また、T’sTやESPといったカスタムモデルもライブの定番。特にT’sT No.8(TS-100CS)は1991年に製作されて以来、メインライブギターとして長期使用されており、その信頼性の高さが伺えます。星型サウンドホールを持つESP「星之助」も坂崎プロデュースによる独自のギターで、見た目のインパクトとサウンドの独自性を両立させています。YAMAHAのサイレントギターやAPXシリーズへの開発協力も有名で、実際にライブやレコーディングでも使用例があります。
坂崎幸之助さんのギターコレクションは、単なる機材選びではなく「楽曲や時代ごとの最適な表現」を求めた結果であり、THE ALFEEの多彩な音楽性を支える柱となっています。総じて、彼のギター選びは「アコースティックの深みを基盤にしつつ、多彩なカスタムモデルで彩る」という方向性に収束していると想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
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Martin D-45(1968年製など) | Martin | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | アコースティック | 複数所有。1968年製はレコーディング常用。 |
Martin D-18(1961年製) | Martin | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | アコースティック | 祖母からの援助で購入。初期メインギター。 |
Martin 000-28(1951/1954年製) | Martin | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | アコースティック | レコーディングに長年使用。オールラウンド型。 |
Gibson Hummingbird(1964年製) | Gibson | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | アコースティック | ヴィンテージ比較用。ザクザクした音質。 |
Gibson J-185 | Gibson | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | アコースティック | 「戦争と平和」アルバムやED曲で使用。 |
ESP 星之助 | ESP | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | カスタムエレアコ | 星型サウンドホール搭載。坂崎プロデュースモデル。 |
T’sT No.8(TS-100CS) | T’sT | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | エレアコ | 1991年制作。ライブメイン機材。 |
YAMAHA サイレントギター | YAMAHA | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | エレアコ/ガット | 開発協力。ライブやリハで実使用。 |
使用エフェクターとボード構成【THE ALFEE・坂崎幸之助】
坂崎幸之助さんは、エレキギタリストのように派手なディストーションや多彩な空間系を駆使するタイプではなく、アコースティックギターのナチュラルな響きを最大限に生かすための最小限かつ実用的なエフェクターを導入しています。彼の音作りの基本は「ギター本来の鳴りを前に出しつつ、場面に応じた空間処理を施す」というスタイルです。
その代表格が、本人監修で発売された Stafford×Maxon Koh Chorus 6348ST です。これは実家の楽器店「KOH楽器」にちなんで命名されたアナログコーラスで、坂崎さん自身が音決めに深く関与したモデル。アコースティックのアルペジオやストロークにさりげない揺らぎを与え、楽曲に厚みと広がりを加える役割を果たします。このエフェクターは坂崎サウンドを象徴する一台といっても過言ではありません。
ライブやレコーディングでは、コーラスのほかにアコースティック専用のリバーブやディレイを組み合わせることが多いと考えられます。特にホールリバーブを軽めにかけることで、ステージの空間感とナチュラルな響きを補っています。また、FishmanやL.R.Baggs製のプリアンプをエフェクトボードに組み込み、ダイレクトボックスを経由してPAへ送るシステムが基本構成と推測されます。
加えて、YAMAHAやBOSSのコンパクトリバーブ/ディレイをサブ的に用いるケースも想定されます。坂崎さんは「機材に頼るのではなく、ギターそのものと演奏のニュアンスで勝負する」スタンスを持つため、ボードは比較的シンプルですが、そのシンプルさこそがTHE ALFEEの分厚いアンサンブルを支える秘訣です。
坂崎幸之助さんのエフェクトボードは派手さはないものの、「必要最小限で最大の効果」を狙った設計であり、アコースティック主体のギタリストにとって非常に参考になる内容といえるでしょう。まとめると、本人監修のコーラスを中心に、プリアンプと空間系エフェクトを加えたシンプルなボード構成、と想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
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Stafford×Maxon Koh Chorus 6348ST | Stafford / Maxon | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | コーラス | 坂崎監修モデル。アコギの広がりを補う重要機材。 |
Fishman Aura Spectrum DI | Fishman | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | アコースティック用エフェクター | PA直結用プリアンプ。エアー感を再現するため使用。 |
L.R.Baggs Venue DI | L.R.Baggs | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | プリアンプ/アンプシミュレーター | ライブでのトーン補正・ブーストに活用。 |
BOSS RV-6 | BOSS | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | リバーブ | スタジオやホールでの空間演出に使用。 |
BOSS DD-8 | BOSS | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | ディレイ | アコギのソロフレーズに奥行きを加える役割。 |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【THE ALFEE・坂崎幸之助】
坂崎幸之助さんの音作りの本質は「アコースティックギターそのものの鳴りを尊重し、空間全体で活かす」ことにあります。エレキギターのようにアンプで歪ませたり、ペダルで音を劇的に変化させるのではなく、ギター固有の特性を前に出すセッティングを追求している点が特徴的です。具体的には、ピックアップとマイクのブレンド、EQによる帯域調整、リバーブ・ディレイによる空間処理が大きな柱となっています。
まずEQの基本設定ですが、坂崎さんが愛用するMartin D-45や000-28は中高域のきらびやかさが強調されやすいギターです。そのため、ライブでは「低域をやや抑えて250Hz付近のモコつきをカット」「中域(1kHz〜2kHz)をほんの少し持ち上げてコード感をクリアに」「高域(8kHz前後)を軽く足して空気感を出す」といったバランスを取ることが多いと考えられます。こうすることで、THE ALFEEの分厚いコーラスワークの中でもアコギが埋もれず、かつ主張しすぎない自然な音に仕上がります。
ミックス面では、レコーディング時にマイクを複数本立てる手法が多用されています。サウンドホールから20cm程度離したコンデンサーマイクと、ネック寄り12フレット付近に小型ダイアフラムマイクを配置し、それをブレンドすることで「芯のある響き」と「繊細な倍音」を同時に収録します。加えて、ライン出力(ピックアップ)を軽く混ぜることでアタック感を補強するのが坂崎サウンドの定番です。
ライブにおいては、エフェクトは極めてシンプルに設定されます。コーラスは浅めに掛けてステレオ感を出し、リバーブは会場の残響に自然に溶け込む程度に抑えられています。特にアリーナやホールではホールリバーブを控えめに加え、逆に小規模ライブハウスではディレイを薄くかけて奥行きを作るなど、環境に合わせた柔軟な調整がなされています。
また、曲ごとにセッティングを変えるのも特徴です。例えば「星空のディスタンス」ではリズミカルなストロークが中心になるため、中域を抑えて高域を少し強調することでシャープなカッティングサウンドを演出しています。一方で「メリーアン」のようにメロディックなアルペジオを聴かせる曲では、リバーブを広めに取り、中域を少し上げることで暖かみのある響きを実現しています。
エンジニア視点で見ると、坂崎さんのギターはコンプレッションを軽くかけることでダイナミクスを整えつつ、原音のニュアンスを崩さない工夫がされています。特に12弦ギターやガットギターを使用する場合、音が埋もれやすいため、定位を左右に振り分けるパンニングとEQの微調整が重要です。THE ALFEEのサウンドが「三人でオーケストラ」と評される背景には、こうした緻密な音作りがあるのです。
総じて坂崎幸之助さんのセッティングは「シンプルかつ的確」。派手な加工を避け、ギター本来の音を引き出しつつ楽曲に合わせた繊細な調整を行うことが最大の特徴だといえます。そのため、再現を目指す場合はエフェクターよりもまずEQの理解とセッティングが最優先事項、と想定されます。
比較的安価に音を近づける機材【THE ALFEE・坂崎幸之助】
坂崎幸之助さんの音は、MartinやGibsonといった高級ヴィンテージギターを中心に構築されています。しかし「坂崎サウンドを真似したいけど、いきなりD-45は手が出ない…」という方も多いはず。そこで、比較的安価で入手しやすく、坂崎さんのニュアンスに近づけることができる機材を紹介します。
まずギター本体に関しては、YAMAHAやMorrisといった国産ブランドが非常に優秀です。特にYAMAHA FGシリーズやLLシリーズは、低価格帯ながら安定した作りとバランスの取れたサウンドを持っており、Martin D-18や000-28の代替としておすすめできます。坂崎さん自身がYAMAHA APXシリーズやサイレントギターの開発に関わっていたこともあり、同社のアコースティックは方向性が近いといえるでしょう。
エフェクター面では、BOSSの定番モデルが手軽に導入できておすすめです。坂崎さん監修のStafford×Maxon Koh Chorusは市場で入手困難ですが、代替としてBOSS CH-1 Super ChorusやCE-5 Chorus Ensembleを使うことで、アコースティックにも馴染む自然な揺らぎを再現可能です。また、リバーブに関してはBOSS RV-6が安定した選択肢で、スタジオや自宅でも活用できます。
プリアンプに関しては、L.R.BaggsやFishmanは高価ですが、ZoomやBOSSのマルチエフェクターにはアコースティック専用のプリアンプ/DI機能が搭載されており、ライブや練習でも十分対応できます。特にBOSS AD-2 Acoustic Preampは価格も手頃で、自然な空気感を演出できるので、初心者〜中級者にはうってつけです。
さらに、マルチエフェクターを導入するのも現実的な手段です。BOSS GT-1やZoom A1 FOURは、リバーブやコーラスを含めた必要最低限の空間系を1台でまとめられるため、コストパフォーマンスに優れています。坂崎さんのように「シンプルで的確」なセッティングを再現するには、むしろこうしたマルチの方が適しているともいえるでしょう。
総じて「高級ヴィンテージでなければ出せない音」ではなく、「アコギの原音を大切にしつつ、軽い空間処理を加える」という方向性を意識すれば、手頃な機材でも十分に坂崎サウンドの雰囲気を体験することが可能です。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
アコースティックギター | FG820 | YAMAHA | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | 入門〜中級向け。D-18的なニュアンスを低価格で体感可能。 |
アコースティックギター | LL6 ARE | YAMAHA | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | 000-28的な響きに近い。オールラウンドで使えるモデル。 |
コーラス | CH-1 Super Chorus | BOSS | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | Koh Chorusの代替。アコースティックでも自然に馴染む。 |
リバーブ | RV-6 | BOSS | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | 定番リバーブ。ホールやルームの調整幅が広い。 |
プリアンプ | AD-2 Acoustic Preamp | BOSS | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | 自然な響きを再現可能。初心者におすすめ。 |
マルチエフェクター | A1 FOUR | Zoom | Amazonで探す | THE ALFEE | 坂崎幸之助 | アコースティック専用マルチ。1台で基本の坂崎サウンドに近づける。 |
総括まとめ【THE ALFEE・坂崎幸之助】

坂崎幸之助さんの音作りを改めて振り返ると、その本質は「ギターそのものが持つ鳴りを最大限に活かす」ことに尽きます。Martin D-45をはじめとする数々のヴィンテージギターや、ESP・T’sTなどのカスタムモデルを駆使しながらも、彼が常に求めているのは「ナチュラルでありながらバンド全体に馴染む音」です。これはTHE ALFEEという三人編成の特殊なスタイルにおいて、ギターがバンド全体の土台でありつつも、コーラスやアンサンブルの邪魔をしない絶妙な立ち位置を保つための工夫だといえます。
また、坂崎さんの特徴は「引き算の音作り」にあります。多くのギタリストが歪みや空間系を重ねて音を作り込むのに対し、坂崎さんはエフェクトを必要最小限に抑えています。実際、本人監修のKoh Chorusを中心に、リバーブやディレイを加える程度で、それ以上の装飾はほとんど行いません。むしろEQ調整やピッキングニュアンスのコントロールを重視し、アコースティック本来の音をステージで再現することに全力を注いでいるのです。
さらに重要なのは「楽曲ごとの最適化」です。激しいストロークが必要な楽曲では高域を立たせてシャープに、アルペジオ主体の曲では中域を強調して暖かみを持たせる、といった柔軟なセッティングが徹底されています。これは単なるプレイヤーではなく、プロデューサー的視点でアンサンブル全体を俯瞰できるからこそ実現できるアプローチです。
初心者が坂崎サウンドを目指す場合、必ずしも高級ギターやヴィンテージを揃える必要はありません。むしろ「ギターの個性を理解し、それを活かすためのEQ・ピッキング・リバーブのさじ加減」に注力することが近道になります。手頃なYAMAHAのアコースティックや、BOSSの空間系ペダル、あるいはZoomのアコースティック用マルチでも十分に坂崎らしい雰囲気を再現できます。
総括すると、坂崎幸之助さんの音作りは「派手なエフェクトではなく、楽器と演奏者自身の個性を引き出すための調整術」であり、そこに彼の真骨頂があります。THE ALFEEの壮大なサウンドを下支えしてきた坂崎さんのスタイルは、アコースティックギターを愛する全てのプレイヤーにとって普遍的なヒントとなるでしょう。あなた自身のギターでも「引き算の美学」を取り入れることで、坂崎さんのようなナチュラルかつ存在感のある音を手に入れることができるはずです。
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下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
アコースティックギター
Martin D-45
1941年製、1968年製、1981年製、2008年製 D-45S など複数所有
1968年製はレコーディングでも頻繁に使用
1982年製 D-45 CUSTOM(須貝重太から譲渡、7/8サイズの希少モデル)
MC-45(世界に1台、装飾豊富/レンタル使用)
D-45S KK(加藤和彦モデル/遺品的存在)
00-21KS(坂崎シグネイチャー)
Martin D-18(1961年製)
プロ入り前に祖母の援助で購入、初期レコーディングメイン機
Martin 000-28(1951年製・1954年製)
レコーディングで長年使用、低音が出過ぎずオールラウンド向け
Gibson Hummingbird(1964年製)
ヴィンテージ比較で使用、スプルース+マホガニー構造
重厚感よりもザクザクした音質
Gibson J-185
『戦争と平和』アルバムや「タンポポの詩」EDで使用
Gibson Chet Atkinsモデル
2005年前後のライブ使用例あり
エレアコ/カスタムモデル
ESP 星之助(坂崎幸之助プロデュース)
コンパクトボディ、星形サウンドホール
スプルース+マホガニー構造、ショートスケール
内蔵プリアンプ&バッテリーボックス搭載
T’sT No.8(TS-100CS)
1991年制作のメインライブギター、信頼性高く長期使用
T’sT TJ-80
初期モデル、現在は他アーティストに貸出中
T’sT 12strings(ブラック塗装)
YAMAHA CWE-58-12改造品、1音下げチューニング運用あり
T’sT TMJ-051KS 40th Anniversary Model
非対称ボディ+スター・ブルー塗装
T’sT No.21
長渕剛モデル仕様の中古購入、2014年ツアーから使用
T’sT TS-100 SB Custom
Hobo’s 20周年記念モデル、No.8ベース
TSKシリーズ
T’sT系サウンド踏襲、6弦・12弦・ガット仕様あり
VG・infieシリーズ
ダブル/トリプルネック含む多弦モデル
EAR-01(エレキ+エレアコ兼用)も使用
ESPシリーズ
変形アコギ、フルアコ、ダブルネックなど多彩な仕様
YAMAHAシリーズ
CWE、APX-50開発協力、サイレントギター各種(ガット/コア/ダブルネック)
Buscarino Guitars
米トップルシアー製エレクトリック・ガット
エフェクター
Stafford×Maxon Koh Chorus 6348ST
坂崎監修アナログコーラス、愛称と実家名に由来
その他楽器
ブルースハープ、ベース、ドラム、ピアノ、キーボード、シンセサイザー、パーカッション
フラットマンドリン、ウクレレ、バンジョー、シタール、リュートギター、ドブロギター
コードハープ、ブズーキ、テナーギター、チャランゴ
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