【Steely Dan(スティーリー・ダン)・Larry Carlton(ラリー・カールトン)】風サウンドの作り方+ギター機材音作りセッティングのまとめ【エフェクター・アンプ】

コピー
※プロ450人・1万点以上の実使用データを分析し、まとめた
【予算別・初心者〜中級者向け】プロ機材から学ぶ“失敗しない機材”の正解はこちら
 ➡ ギター・アンプ・エフェクター完全ガイド





ラリー・カールトンの音作り解説

① 始めに(特徴紹介)

「Mr. 335」の愛称で知られるラリー・カールトン(Larry Carlton)は、ジャズ、フュージョン、ロックを自在に行き来する唯一無二のギタリストです。彼のサウンドの最大の特徴は、歌い上げるようなサステイン、ピッキングの強弱に繊細に反応するタッチレスポンス、そして「甘くクリーミーなドライブサウンド」にあります。

特にスティーリー・ダン(Steely Dan)の名盤『The Royal Scam(幻想の摩天楼)』収録の「Kid Charlemagne(滅びゆく英雄)」で見せたギターソロは、ロック史に残る傑作として語り継がれています。洗練されたコードワークと、ジャズの語彙を用いた知的なアドリブ。それを支えるのが、Gibson ES-335とDumbleアンプが生み出す極上のトーンです。

ラリーの音作りは、単に歪ませるのではなく、クリーンとドライブの境界線を操る「ダイナミクス」が真骨頂。セッション・ミュージシャンとして何千もの録音に参加した経験から裏打ちされた、楽曲に完璧に馴染みつつも強烈な存在感を放つサウンド構築は、現代のギタリストにとっても究極の教科書と言えるでしょう。

Larry Carlton の公式YouTube動画を検索


②使用アンプ一覧と特徴【スティーリー・ダン・ラリー・カールトン】

ラリー・カールトンのトーンを語る上で、アンプの選択はギター以上に重要な要素と言えるかもしれません。彼のキャリアを象徴するのは何と言っても「Dumble Overdrive Special (ODS)」です。80年代から90年代にかけてメインで使用されたこのアンプは、ピッキングひとつでクリーンから芳醇なオーバードライブまでをカバーする、まさにラリーの指先の延長線上にある機材でした。

一方で、スティーリー・ダンの名演「Kid Charlemagne」の録音では、意外にも小型の「Fender Tweed Deluxe」が使用されています。あえて小型アンプをフルアップに近い状態で鳴らすことで、あの独特の粘りと食いつきのあるクランチサウンドを生み出したのです。また、初期のキャリアではMesa Boogie Mark Iを愛用しており、サンタナらと共にブギーの黎明期を支えた一人でもあります。

近年のライブでは、ダンブルのクローンとして名高い「Bludotone Bludo-Drive」をメインに据え、世界各地の公演に合わせて同仕様の個体を配置する徹底ぶりを見せています。基本的には「アンプで歪みを作る」スタイルであり、エフェクターの歪みはあくまで補佐。中域が豊かで、高域が耳に痛くない「スウィート・スポット」を常に追求しているのが彼のアンプ選びの共通点です。

機材名 メーカー Amazon 楽天 Yahoo! メルカリ 石橋楽器 サウンドハウス 備考
Dumble Overdrive Special (ODS) Dumble 検索 検索 検索 検索 検索 検索 80〜90年代メイン。5881管仕様。EVM-12L搭載の専用キャビで使用。
Bludotone Bludo-Drive Bludotone 検索 検索 検索 検索 検索 検索 近年のメイン。ダンブル系クローン。Wet/Dry/Wetシステムで運用。
Fender Tweed Deluxe (’50s) Fender 検索 検索 検索 検索 検索 検索 「Kid Charlemagne」録音で使用された伝説的なクランチサウンドの核。
Mesa Boogie Mark I Mesa Boogie 検索 検索 検索 検索 検索 検索 初期ユーザー。1974年購入。破損後に音が変わりダンブルへ移行。

上記以外にも、ライブ会場の規模や録音環境に応じてFender PrincetonやDeluxe Reverbなどが使い分けられていたと想定されます。


③使用ギターの種類と特徴【スティーリー・ダン・ラリー・カールトン】

ラリー・カールトンの代名詞と言えば、1969年製のGibson ES-335です。このギターがあまりに有名なため、彼は「Mr. 335」と呼ばれ、自身のスタジオも「335 Studio」と名付けるほど。この個体は新品で購入以来50年以上メインとして君臨しており、Schallerのペグやグラファイトナット、KTSチタンブリッジへの交換など、実戦的なモディファイが施されています。

興味深いのは、ES-335の最大の特徴の一つである「ヴァリトーン・スイッチ」をあえて不要とし、よりシンプルな構造を好んでこの年式のモデルを選択している点です。彼のサウンドの核となる豊かな中域とサステインは、このセミアコ構造から生み出されています。弦はD’Addario EXL140(.010-.052)を愛用し、ライブでは常にフレッシュなトーンを保つため1日2回張り替えるという徹底したこだわりがあります。

また、80年代後半から90年代にかけては、Valley Artsのカスタムモデル(小ぶりな7/8サイズ)をメインで使用していた時期もあり、『Last Nite』などの名盤ではそのアクティブPU(EMG)によるクリアなサウンドを聴くことができます。近年では、自身の名を冠したブランド「Sire」のギターをライブで積極的に使用。ヴィンテージの知識と経験を活かし、安価ながらプロレベルのトーンを実現したモデルで世界中のファンを驚かせています。

機材名 メーカー Amazon 楽天 Yahoo! メルカリ 石橋楽器 サウンドハウス ギターの種類 備考
ES-335 (1969年製) Gibson 検索 検索 検索 検索 検索 検索 セミアコースティック 「Mr.335」の由来となった伝説の1本。50年以上愛用のメイン。
Les Paul Special (1955年製) Gibson 検索 検索 検索 検索 検索 検索 ソリッド(P-90) TVイエロー。ブルースやスライドギター録音用として重宝。
Telecaster (1954年製) Fender 検索 検索 検索 検索 検索 検索 ソリッド 完全オリジナル。カントリーやR&Bの録音セッションで使用。
Sire Larry Carlton H7 Sire 検索 検索 検索 検索 検索 検索 セミアコースティック 近年のライブメイン機。ヴィンテージ335のトーンを再現。

この他にもストラトキャスターやアコースティックギターなど、スタジオワークの必要性に応じて多種多様なモデルを使い分けていると想定されます。


④使用エフェクターとボード構成【スティーリー・ダン・ラリー・カールトン】

ラリー・カールトンのエフェクターボードは、時代とともに進化しつつも、根底にある「トーンを汚さない」という哲学は一貫しています。特筆すべきはボリュームペダルの存在です。彼は単なる音量調節ではなく、歪みの量を手元でコントロールするためにボリュームペダルを多用します。長年愛用しているSho-Budのボリュームペダルは、ダンブルによってFETバッファが搭載されたカスタム仕様であり、楽器の信号をロスなくアンプへ送る役割を果たしています。

空間系については、80年代はRoland SDE-1000やTC 1210といったラック機材を駆使し、リッチなステレオ・コーラス/ディレイサウンドを構築していました。現在はコンパクトエフェクターを中心に構成されており、TC ElectronicのHall of FameリバーブやProvidence Chrono Delayなどが並びます。特筆すべきは、日本製の「Tanabe Zenkudo (禅駆動)」です。これはダンブル系サウンドをターゲットにしたオーバードライブで、アンプ側がクリーンでもラリー特有のあのリードトーンを補完するために導入されています。

ワウペダルについては、Dunlop Cry Baby 95Qを使用。これはスイッチレス仕様で、足を乗せるだけでオンになるため、フレーズの合間に一瞬だけかけるといった繊細なアプローチを好むラリーには最適な選択です。全体のボード構成は、ギター本来の鳴りを活かすためのバッファ管理と、アンサンブルの中で埋もれないための空間演出が緻密に計算されています。

機材名 メーカー Amazon 楽天 Yahoo! メルカリ 石橋楽器 サウンドハウス エフェクターの種類 備考
Modified Sho-Bud Volume Pedal Sho-Bud / Dumble 検索 検索 検索 検索 検索 検索 ボリュームペダル ダンブルによる改造(FETバッファ搭載)。表現の核心。
Tanabe Zenkudo Overdrive Tanabe.tv 検索 検索 検索 検索 検索 検索 オーバードライブ 日本製。ダンブルのトーンを再現するブースターとして使用。
Providence Chrono Delay DLY-4 Providence 検索 検索 検索 検索 検索 検索 ディレイ 正確なタップテンポとクリアなリピートが特徴のメインディレイ。

この他、Visual SoundのコーラスやLexiconのリバーブなどがボードに組み込まれ、楽曲の空気に合わせて微調整されていると想定されます。


⑤音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【スティーリー・ダン・ラリー・カールトン】

ラリー・カールトンの音作りにおいて最も重要なのは「中音域(ミッドレンジ)」のコントロールです。彼のトーンは、低域がタイトに引き締まり、高域はシルキーで耳に優しく、その代わりに太いミッドがサウンドの芯を形成しています。スティーリー・ダンの楽曲のように、ピアノやホーンセクション、緻密なコーラスが重なり合う複雑なアンサンブルの中で、ギターが埋もれずに主張するためには、この中域の押し出しが必要不可欠でした。

具体的なEQ設定の傾向としては、アンプのTrebleは上げすぎず(時計の10時〜11時程度)、Middleを強調(2時〜3時)に設定することが多いとされています。これにより、鼻にかかったような「歌う」トーンが得られます。また、ドライブサウンドを作る際も、ゲインを上げすぎてコンプレッションが強くかかりすぎるのを嫌います。ピッキングのタッチだけでクリーンに戻せる絶妙な歪み量に設定し、足りないサステインはアンプの音圧とボリュームペダルの操作で補います。

ミックスの面では、ラリーのギターは「奥行き」を意識して処理されます。ドライな音をセンターに置きつつ、薄くステレオ・コーラスやマイクロ・ディレイ(Roland SDE-1000等)をかけることで、音像を左右に広げ、立体感を演出します。スティーリー・ダンのレコーディングエンジニアであるロジャー・ニコルズは、ラリーのギターを「呼吸するように」ミックスしたと言われており、楽曲のダイナミクスに合わせてリバーブの深さや定位を微細に変化させていたことが伺えます。

また、セッション・ワークでは「録音された音がそのまま完成品になる」ことを意識し、現場で完璧なトーンを作り上げることに心血を注いでいました。スタジオのコントロールルームで鳴っている音と、自分の手元の感触が一致するまでアンプのツマミをミリ単位で調整する。このプロフェッショナリズムこそが、時代を超えて愛される「カールトン・トーン」の正体です。

これらは多くのインタビューやライブレポートから導き出された解析であり、実際の現場ではスタジオの鳴りやエンジニアとの対話によって柔軟に変化させていたと想定されます。


⑥比較的安価に音を近づける機材【スティーリー・ダン・ラリー・カールトン】

ラリー・カールトンのトーンを再現するには、高価なダンブルアンプやヴィンテージの335が必要だと思われがちですが、現代の優れた機材を使えば、より手軽にそのエッセンスを掴むことができます。重要なのは「セミアコの箱鳴り感」と「ダンブル系の粘りのある歪み」をいかに低コストで用意するかです。

まずギターですが、本人監修の「Sire Larry Carlton H7」は外せません。10万円を切る価格帯ながら、本人がライブでそのまま使用するほどのクオリティを誇ります。エフェクターでダンブル系サウンドを狙うなら、BOSSの「BD-2W (Blues Driver)」や、より専門的なダンブル系ペダルである「Wampler Euphoria」などが選択肢に入ります。特にBD-2Wは、ピッキングレスポンスの良さがラリーのスタイルに近く、ゲインを絞り気味にして中域をプッシュすることで、あの「歌うリードトーン」の基礎を作れます。

種類 機材名 メーカー Amazon 楽天 Yahoo! メルカリ 石橋楽器 サウンドハウス 備考
ギター H7 Sire 検索 検索 検索 検索 検索 検索 本人監修。驚異のコストパフォーマンスで335サウンドを再現。
オーバードライブ BD-2W BOSS 検索 検索 検索 検索 検索 検索 ピッキングへの追従性が高く、クランチの質感がラリー風。
アンプシミュレーター UAFX Dream ’65 Universal Audio 検索 検索 検索 検索 検索 検索 フェンダー系クリーン〜クランチの最高峰。セッション期サウンドに。

⑦総括まとめ【スティーリー・ダン・ラリー・カールトン】

ラリー・カールトンの音作りの本質は、機材の豪華さにあるのではなく、「自分の奏でるフレーズに最適なトーンを、その場で引き出す能力」にあります。彼がES-335を選んだのも、Dumbleを愛用したのも、すべては自分の指先のダイナミクスを忠実に、かつ美しくリスナーに届けるためでした。

スティーリー・ダン時代の緻密なトーンから、ソロ活動でのエモーショナルなサウンドまで、共通しているのは「音の艶」と「中域の豊かさ」です。これを再現するためには、単にエフェクターを並べるだけでなく、ボリュームペダルを駆使して「歪みのグラデーション」を作る練習が必要になるでしょう。

また、彼のトーンを追いかけることは、ギター演奏の基本に立ち返ることでもあります。どのポジションで弾けば一番良い音が鳴るのか、ピッキングの角度でどう音色が変わるのか。ラリー・カールトンのサウンドは、ギタリストにとって一生をかけて探求する価値のある、美しき到達点なのです。

まずは、中域に粘りのあるクランチ設定を作り、ボリュームを少し絞ったところから「歌う」ように弾いてみてください。そこには、数々の名盤を彩ってきた「Mr. 335」の魂が宿っているはずです。


タイトルとURLをコピーしました