- 始めに(特徴紹介)
- 使用アンプ一覧と特徴【Michael Schenker Group・Michael Schenker】
- 使用ギターの種類と特徴【Michael Schenker Group・Michael Schenker】
- 使用エフェクターとボード構成【Michael Schenker Group・Michael Schenker】
- 音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【Michael Schenker Group・Michael Schenker】
- 比較的安価に音を近づける機材【Michael Schenker Group・Michael Schenker】
- 総括まとめ【Michael Schenker Group・Michael Schenker】
- 下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
始めに(特徴紹介)
Michael Schenker(マイケル・シェンカー)は、UFOやMichael Schenker Group(MSG)のギタリストとして知られ、ハードロック界屈指のメロディアスなリードプレイを築き上げた人物です。兄Rudolf Schenker(Scorpions)の影響を受けながらも、自身はより洗練されたメロディと情感を持つソロワークを展開し、70年代から80年代にかけて世界中のギタリストに影響を与えました。
彼のサウンドの特徴は「透き通るようなトーン」「中域を強調したサスティーン」「ワウを固定したような独特のEQ感」にあります。代表曲「Rock Bottom」「Into the Arena」「Armed and Ready」などでは、エモーショナルでありながらも鋭いカッティングとロングトーンのリードが際立ちます。
使用するギターは象徴的な白黒のフライングV(通称シェンカーV)で、アンプはMarshall 1987やJCM800を中心にしたブリティッシュスタックサウンド。さらにワウペダルをEQ的に使うテクニックや、テープエコーからデジタルディレイに移行しても一貫して残響感を活かしたプレイが特徴的です。
このように、Michael Schenkerの音作りはシンプルな機材構成ながらも、弾き方とトーンセッティングに大きな秘密が隠されています。本記事では、彼が使用してきたアンプ・ギター・エフェクターを徹底的に解説し、サウンド再現のためのポイントをまとめていきます。
彼の音は単なる歪みの強さではなく、音抜けとニュアンスの豊かさに支えられています。そのため、単純に機材を揃えるだけでなく、ピッキングの強弱やEQの使い方を理解することが重要です。
ギタリストとしてのMichael Schenkerを理解すれば、MSGやUFO時代の名曲をより本格的に再現できるはずです。
以下から彼の所属するMichael Schenker Groupの公式MVもチェックして、サウンドとプレイを耳で感じ取ってみましょう。
▶ Michael Schenker Group の公式YouTube動画を検索
使用アンプ一覧と特徴【Michael Schenker Group・Michael Schenker】
Michael Schenker(マイケル・シェンカー)のサウンドの核を担うのが、Marshall系アンプの存在です。UFOからMSG初期にかけては、Marshall 1987(50Wノンマスター)や同系統の1987Xが中心で、轟音で鳴らすことにより自然なオーバードライブ感を得ていました。この時代のシェンカーは、アンプのボリュームを限界まで上げ、ピッキングやギターのボリュームでコントロールするスタイルが基本。結果として、あの独特な立体感と伸びやかなトーンが生まれています。
80年代に入ると、より扱いやすさを求めてMarshall JCM800シリーズ(特に2204/2205の50Wモデル)へ移行。彼の代表的な設定例では、LeadチャンネルのGain/Volumeを全開にしつつ、Trebleを0、Middleを6、Bassを4、Presenceを7とした独特のEQが確認されています。このEQこそがシェンカーのサウンドを特徴づけ、いわゆる“固定ワウ”サウンドと共にトレードマークとなりました。
近年は小型化・利便性のためにMarshall Studio Vintage SV20やStudio Classic SC20といった現代的な20W/5Wアンプも使用。これらはそれぞれ1959SLP系やJCM800系の縮小版で、自宅や小規模会場でも本来のトーンを再現できる点が魅力です。さらにMarshall Originシリーズもシェンカーの好むシンプルな1chサウンドを再現する候補として導入され、現代的な運用の幅を広げています。
また、ラック時代にはMarshall JMP-1プリアンプとEL34 100/100パワーアンプの組み合わせも使用され、80年代後半以降のシーンにおいては安定感あるサウンドを提供していました。この構成により、会場規模や音量制御に柔軟に対応できるようになったと考えられます。
総じて、Michael Schenkerのアンプ遍歴は「Marshall系を軸にしつつ、ステージ規模や時代に合わせて適応させてきた」と言えます。彼の音作りは常に中域重視で、Marshallアンプの特性を最大限活かす形をとっています。これらの要素を踏まえると、シェンカーのサウンドはMarshallアンプを前提に構築されていると、想定されます。
| 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| Marshall 1987 / 1987X | Marshall | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | UFO~MSG初期の主力。轟音運用で独特のオーバードライブを得ていた。 |
| Marshall JCM800(2204/2205) | Marshall | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | 80年代以降の主力。Trebleを絞り中域を強調する設定が特徴。 |
| Marshall Studio Vintage SV20 | Marshall | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | 1959SLPの小型版。自宅や小会場用として使用。 |
| Marshall Studio Classic SC20 | Marshall | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | JCM800 2203の小型版。歪み強め、扱いやすい音量調整。 |
| Marshall Origin 5/20/50 | Marshall | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | TILTとブースト搭載。シンプルな1ch設計でクラシックトーン再現。 |
| Marshall JMP-1 + EL34 100/100 | Marshall | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | ラックシステム期に使用。安定したサウンドとパワーを確保。 |
使用ギターの種類と特徴【Michael Schenker Group・Michael Schenker】
Michael Schenker(マイケル・シェンカー)といえば、白黒ツートーンのGibson Flying Vが最も象徴的です。70年代UFO時代には再生産’66系や’71 Medallion、’76モデルなどのFlying Vを中心に使用し、改造も加えていました。具体的にはビブローラを撤去してストップテール化、PUカバーを外してエスカッションマウントに変更、さらにはSchallerロトマチックペグやブラスナットを採用するなど、実戦仕様にカスタマイズ。ピックアップのセッティングやノブ交換も、より扱いやすいトーンを生む工夫でした。
80年代以降はDeanとのシグネチャーモデル展開が本格化。特に「Michael Schenker Standard Custom “Power Channel”」や、UFO名盤アートワークを反映した「Strangers In The Night」仕様(通称ステッカーV)は有名です。長尺ソロ曲「Rock Bottom」などではDeanモデルを多用し、独自の外観と存在感をステージで強調しました。
また、「Kaleidoscope(カラー)」モデルは半音下げ用にチューニングを分けて使用しており、弦はD’Addario EXL110(.010–.046)を基本としています。スペアとして同仕様の「Dean Standard(Spare)」を用意し、識別のためにオレンジテープを貼るなど、細かな運用の工夫も見られます。さらに「Yin Yang」や「Retro」など、外観デザインや時代性を反映したモデルもステージを彩っています。
近年はEdwards(ESP系)のE-FV-125WBやE-FV(Cherry/Black/White)といった国内向けの“シェンカーV”再現モデルも確認されており、ファンや若手ギタリストへの普及を意識したラインナップも存在。現行のGibson 70s Flying Vも彼の仕様に近いエスカッションマウントを採用し、手に入りやすい選択肢となっています。
総じてMichael Schenkerのギター遍歴は「象徴的な白黒V」を軸にしながら、時代や音楽的要求に応じてDeanやEdwardsとのコラボレーションを広げていったといえます。音作りの基盤は常にFlying V特有の抜けの良さとミドル帯の充実感であり、それが彼のメロディアスなリードを支え続けていると、想定されます。
| 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Gibson Flying V(70s各種) | Gibson | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | エレキギター | UFO~MSG期の主力。多数の改造を施した“シェンカー仕様”。 |
| Gibson 70s Flying V(現行) | Gibson | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | エレキギター | 現行仕様でシェンカーVに近い構造。ファン向けに人気。 |
| Dean Michael Schenker Standard Custom “Power Channel” | Dean | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | エレキギター | 「Rock Bottom」で頻用。特徴的なブリッジ下の意匠。 |
| Dean Michael Schenker “Strangers In The Night” | Dean | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | エレキギター | UFO名盤仕様。ステッカー追加で外観が変化。 |
| Dean Michael Schenker Fest V | Dean | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | エレキギター | “Resurrection”期の製作。白ノブ仕様。 |
| Dean Michael Schenker Kaleidoscope | Dean | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | エレキギター | 半音下げ用。弦はD’Addario EXL110を使用。 |
| Dean Michael Schenker Retro | Dean | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | エレキギター | 80年代中期~後期風のブロックインレイ仕様。 |
| Dean Michael Schenker Yin Yang | Dean | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | エレキギター | 陰陽モチーフ。アンコールのUFO楽曲で使用。 |
| Dean Michael Schenker Standard(Spare) | Dean | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | エレキギター | Kaleidoscopeのスペア。識別用のオレンジテープ付き。 |
| Edwards E-FV-125WB | Edwards | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | エレキギター | 白黒ツートーンの再現モデル。DOT/BLOCK仕様あり。 |
| Edwards E-FV(Cherry/Black/White) | Edwards | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | エレキギター | 国内仕様のシェンカー風V。丸ヘッド採用。 |
使用エフェクターとボード構成【Michael Schenker Group・Michael Schenker】
Michael Schenker(マイケル・シェンカー)のエフェクター使用はシンプルながらも非常に個性的です。もっとも有名なのはJim Dunlop Cry Babyワウペダルで、彼はこれを単なるワウ効果ではなく「固定ワウEQ」として使用していました。内部ギアの調整によって踏み込み最大時に中域が強調され、その結果としてあの独特の鼻にかかったようなトーンが生まれています。これがシェンカーサウンドの代名詞とも言える部分です。
ディレイ系は70年代にはWEM Copycatといった実機テープエコーを使用しており、ライブでも独特の残響を作り出していました。90年代以降はBOSS DD-3をメインに切り替え、より扱いやすいデジタルディレイにシフト。近年ではJim Dunlop EP103 Echoplex Delayも再現用途として活用し、往年のアナログ感を取り戻す試みも確認されています。
オーバードライブやブースターとしてはIbanez TS-9やMarshall Bluesbreaker(復刻版)を導入。シェンカーのスタイルは「クランチ気味のアンプ+ピッキングの強弱」で表情をつけるため、これらのブースト系エフェクターはゲインを稼ぐためというよりも、トーンの押し出しやソロ時の存在感を強調する目的で使用されています。
モジュレーション系としてはBOSS CH-1 ChorusやCE-5が確認されており、特にクリーントーンや空間を広げたい場面で使用。また、チューナーにはBOSS TU-3、ボリュームペダルにはBOSS FV-500を複数台導入。電源にはVoodoo Lab Pedal Power 2 Plusを使用し、安定した電源供給を確保しています。さらに、ステージ上でリズム的にフットパーカッションを加えるため、Logjam Logarhythmを使う姿も確認されています。
ライン用途や音作りの幅を広げるため、Radial J48(DI)も導入。自宅や小会場ではMarshall Overdrive Pedal(1959/JCM800モデル)を利用し、アンプインアボックス的な感覚でメインサウンドを再現していました。さらにラック時代にはMarshall JMP-1プリアンプを用いた構成もあり、これによりPAや大規模会場でも安定したシェンカーサウンドを届けています。
総じて、彼のエフェクターボードは決して派手ではなく「ワウ+ディレイ+ブースター+最小限の空間系」が基本。つまり、シェンカーのサウンドは機材よりも弾き方とワウの固定的な使い方に大きく依存しているといえるでしょう。これらの機材を意識することで、シェンカーらしい中域の抜けとメロディアスなトーンを再現できると、想定されます。
| 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Jim Dunlop Cry Baby(GCB-95系/DB01) | Jim Dunlop | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | ワウペダル | 固定ワウ的EQで使用。中域強調サウンドを生む要。 |
| WEM Copycat | Watkins | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | ディレイ | 70s~80s初期に実使用されたテープエコー。 |
| BOSS DD-3 | BOSS | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | ディレイ | 90年代以降のライブで実使用。安定した定番ディレイ。 |
| Jim Dunlop EP103 Echoplex Delay | Jim Dunlop | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | ディレイ | 近年の再現用途に導入。アナログ感を再現。 |
| Ibanez TS-9 | Ibanez | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | オーバードライブ | ソロ時のブースト用。アンプクランチと好相性。 |
| Marshall Bluesbreaker(復刻) | Marshall | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | オーバードライブ | クランチトーン補強。ピッキングニュアンスを活かす。 |
| BOSS CH-1 | BOSS | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | コーラス | クリーン時や空間演出に使用。90年代以降も定番。 |
| BOSS CE-5 | BOSS | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | コーラス | CH-1同様の用途。安定感ある選択肢。 |
| BOSS TU-3 | BOSS | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | チューナー | ライブでの定番チューナー。精度と視認性に優れる。 |
| BOSS FV-500 | BOSS | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | ボリュームペダル | 複数台使用。音量コントロールやエフェクト制御。 |
| Voodoo Lab Pedal Power 2 Plus | Voodoo Lab | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | パワーサプライ | エフェクターボードの安定電源供給。 |
| Logjam Logarhythm | Logjam | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | リズムマシン・メトロノーム | フットパーカッション的に使用。リズム強調。 |
| Radial J48 | Radial | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | ダイレクトボックス | ライン用途で安定した出力を確保。 |
| Marshall Overdrive Pedal(1959/JCM800モデル) | Marshall | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | プリアンプ/アンプシミュレーター | 小会場や自宅用。1987/JCM800系トーンを再現。 |
| Marshall JMP-1 | Marshall | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | プリアンプ/アンプシミュレーター | ラック時代の中心。安定したステージサウンド。 |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【Michael Schenker Group・Michael Schenker】
Michael Schenker(マイケル・シェンカー)のサウンドの本質は「中域を強調したバランス」と「ワウペダルを固定したようなEQ感」にあります。彼の音はMarshallアンプのキャラクターに大きく依存しつつも、Trebleを抑え、Middleを高めに設定することで、他のギタリストとは一線を画す抜けの良いトーンを実現しました。特に80年代に使用されたJCM800の設定例としては、LeadチャンネルのGain/Volumeを全開、Trebleを0、Middleを6、Bassを4、Presenceを7、Reverbは0、Masterを1程度に抑えるというものが知られています。このセッティングは、あの「鼻にかかったようなリードトーン」を作るための核心でした。
UFO時代の「Rock Bottom」や「Doctor Doctor」では、Marshall 1987(50Wノンマスター)をフルアップにし、ギターのボリュームで歪み量をコントロール。MSG期の「Into the Arena」や「Armed and Ready」では、JCM800と固定ワウ的なEQが組み合わさり、さらに存在感のあるリードトーンが確立されています。シェンカーの音作りにおいては、アンプをフルドライブさせながら、ギターのボリュームやピッキングニュアンスでクリーンからリードまで自在に操る点が非常に重要です。
ディレイの使い方も特徴的で、70年代はWEM Copycatのテープエコーで軽い残響を加え、後にBOSS DD-3などのデジタルディレイに移行しても、音を過度に濁らせない程度のショートディレイを基本としました。これによりソロパートに奥行きを与えつつ、リズムの切れ味を失わない工夫が施されています。ライブでは特に「Rock Bottom」の長尺ソロでこの残響効果が際立ちます。
ブースター系ではIbanez TS-9やMarshall Bluesbreakerを使用し、ソロの際に中域を押し出す役割を果たしました。ただし、これらは強い歪みを作るためではなく、すでにクランチ状態のMarshallをプッシュして倍音感を豊かにする狙いが中心です。クランチを基盤にして、ピッキングやギター側の操作で表情を作るシェンカーにとって、ブースターはあくまで補強的な役割に留まっています。
ミックス面においてもシェンカーの音は独特です。ギターの定位はセンター寄りに配置されることが多く、リードギターがバンドの中心を担うミックスになっています。特にMSGの作品では、リバーブをほとんど使わず、ディレイの反射を適度に残すことで“乾いた中に奥行き”を感じさせる仕上がりになっています。EQ処理では高域を過度に出さず、中域を厚めにブーストすることで、他の楽器との混ざり合いの中でもリードが前に出るように工夫されていました。
また、固定ワウ的なEQ効果を再現するためには、実際にCry Babyを踏み込んで特定のポイントで固定するか、あるいはイコライザーで800Hz〜1.2kHzあたりを強調し、3kHz以上をカットするような設定を施すと近いニュアンスが得られます。この帯域バランスこそが、Michael Schenkerの「泣きのギター」の秘密です。
総じて、シェンカーの音作りは「Marshallアンプを基盤に、ワウによる中域強調、ブースターでの押し出し、ディレイでの奥行き付加」という3本柱で構成されています。特定の機材よりも、EQとニュアンスの工夫がサウンドの鍵となっており、それを理解することがシェンカー風サウンドを再現する第一歩だと、想定されます。
比較的安価に音を近づける機材【Michael Schenker Group・Michael Schenker】
Michael Schenker(マイケル・シェンカー)のサウンドを完全に再現するにはGibson Flying VやMarshallスタックが理想ですが、初心者やコストを抑えたいプレイヤーにとっては現実的ではありません。そこで、比較的安価で手に入りやすく、なおかつシェンカーの「中域が前に出るリードトーン」と「固定ワウ的なEQ感」を体感できる機材を紹介します。
まずギターについては、エピフォンやEdwardsのFlying Vモデルが候補となります。Epiphone Flying Vは5万円前後で入手可能で、外観や基本的な鳴りがシェンカーVに近いため、白黒ツートーンにカスタムすれば雰囲気も再現可能です。Edwards E-FVシリーズはやや高めですが、国内市場では人気の“シェンカー仕様”を再現したコスパ良好な選択肢です。
アンプに関しては、Marshall DSLシリーズやCODEシリーズが再現度の高い候補。特にDSL20CRは2ch仕様でクランチからリードまで幅広く対応可能で、シェンカーが使ってきたJCM800の質感を模倣できます。練習環境ではMarshall MGシリーズやBoss Katanaシリーズも効果的です。Katanaは5万円程度で多彩なモデリングとエフェクトが搭載され、シェンカー的なトーンを簡単に再現できます。
エフェクターでは、BOSS SD-1やIbanez TS-9が王道。中域を強調するブースターとして活用でき、シェンカーのソロの押し出し感を再現できます。また、BOSS DD-3やDD-8といったディレイも必須。短めのディレイタイムで設定すれば、彼のソロの空気感を近づけられます。ワウペダルに関しては、Jim Dunlop Cry Babyの廉価版(GCB95)で十分シェンカー風EQを作れます。固定ワウ的に使い、踏み込みを調整するだけで「鼻にかかった」トーンを得られます。
さらに、マルチエフェクターを導入するのも有効です。BOSS GT-1やLine6 POD Goは5万円前後で入手可能で、アンプシミュレーションやワウ/ディレイなどを組み合わせて、シェンカーのボードを再現可能。初心者でも扱いやすく、練習からライブまで幅広く対応できます。
総じて、「Flying Vタイプのギター」「Marshall系モデリングアンプ」「ワウ+ディレイ+ブースター」の3点を押さえれば、シェンカー風サウンドは十分に近づけられます。特にCry Babyを固定的に使う工夫と、Middleを上げてTrebleを抑えるEQ操作がポイントです。これらを意識すれば、予算を抑えながらも憧れのシェンカーサウンドを体感できるでしょう。
| 種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ギター | Epiphone Flying V | Epiphone | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | 5万円前後。外観・構造がシェンカーVに近く、改造で雰囲気を再現可能。 |
| アンプ | Marshall DSL20CR | Marshall | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | 2ch仕様。JCM800系の質感を低価格で再現可能。 |
| アンプ | Boss Katana-50 MkII | BOSS | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | 5万円前後。多彩なモデリング搭載でシェンカー風トーン再現に有効。 |
| オーバードライブ | BOSS SD-1 | BOSS | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | 中域を押し出すオーバードライブ。ソロの補強に最適。 |
| オーバードライブ | Ibanez TS-9 | Ibanez | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | シェンカー実使用。中域を強調し、クランチとの相性良好。 |
| ディレイ | BOSS DD-8 | BOSS | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | 最新ディレイ。短め設定で往年の残響感を再現可能。 |
| ワウペダル | Jim Dunlop Cry Baby GCB95 | Jim Dunlop | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | 固定ワウ的に使用可能。安価でシェンカーサウンドの核心を体感。 |
| マルチエフェクター | BOSS GT-1 | BOSS | Amazonで探す | Michael Schenker Group | Michael Schenker | 5万円以下。アンプシミュ+エフェクトでトータルにシェンカー風を再現可能。 |
総括まとめ【Michael Schenker Group・Michael Schenker】

Michael Schenker(マイケル・シェンカー)の音作りを総合すると、その本質は「シンプルな機材構成を徹底的に突き詰め、中域を支配した独自のトーンを生み出すこと」にあります。使用ギターは生涯にわたり白黒ツートーンのFlying Vを中心とし、その象徴的なルックスと抜けの良さを兼ね備えたトーンが彼のアイデンティティを確立しました。アンプはMarshallを軸にしつつ、時代や会場規模に応じて1987やJCM800、さらにはStudio Vintage/Classicなどへ適応してきましたが、根底にある「クランチからのダイナミクスコントロール」という考えは変わりません。
エフェクターに関しても同様にシンプルで、ワウペダルをEQとして固定する独特の手法、ディレイで奥行きを加えるアプローチ、オーバードライブやブースターでソロの押し出しを強調する使い方が中心でした。つまり「Cry Baby+Marshall+Flying V」があれば、シェンカーらしいサウンドの基盤は構築できます。特別に派手なエフェクトを多用するのではなく、プレイとニュアンスを前面に押し出すスタイルが彼の特徴です。
また、彼のサウンドを再現する上で重要なのは「EQの意識」です。Trebleを大きく削り、Middleを厚めに出すという設定は、一般的なロックギタリストのトーンとは一線を画すもの。さらに、Cry Babyを特定の位置に固定することで、まるで中域がコンプレッションされたような独特の質感が得られます。これこそが“泣きのギター”と称される所以であり、単なる機材コピーではなく、設定や演奏アプローチの理解が不可欠です。
安価な機材でもシェンカー風サウンドは再現可能であり、Epiphone Flying VやBOSS Katana、Cry Babyワウといった組み合わせで十分に雰囲気をつかめます。重要なのは「中域をどうコントロールするか」「ディレイをどう残響として活かすか」という部分であり、ここを意識するだけで音が劇的にシェンカー寄りになります。
総じて、Michael Schenkerの音作りは「機材の豪華さ」ではなく「セッティングとプレイに対する徹底的なこだわり」によって支えられているのです。ファンやギタリストが彼の音を追求する際には、まずこの本質を理解し、自身の機材環境で応用していくことが最も大切だといえるでしょう。
下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
ギター
Gibson Flying V(再生産‘66系/‘71 Medallion/‘76 ほか70s期各種)
└ 改造例:ビブローラ撤去→ストップテール、PUカバー外し+エスカッションマウント化、Schallerロトマチック、ブラスナット、Stratノブ等。UFO初期~MSG期の主力。
Gibson 70s Flying V(現行レギュラー)
└ 現行はエスカッションマウント採用で“シェンカー仕様”に近い。
Dean Michael Schenker Standard Custom “Power Channel”
└ ブリッジ下に“パワーチャンネル”意匠。長尺ソロ曲「Rock Bottom」で頻用。
Dean Michael Schenker “Strangers In The Night”(通称:ステッカー)
└ UFO名盤アートワーク仕様。ステッカー追加で都度外観変化。
Dean Michael Schenker Fest V(Festival)
└ “Resurrection”期に製作。レトロ系仕様ベース、白ノブ。
Dean Michael Schenker Kaleidoscope(通称:カラー)
└ 半音下げ用。弦:D’Addario EXL110(.010–.046)。
Dean Michael Schenker Retro
└ 80s中期~後期のブロックインレイVを想起。ハウラー装着例あり。
Dean Michael Schenker Yin Yang
└ 陰陽モチーフ。アンコールのUFOセクションで使用。
Dean Michael Schenker Standard(Spare)
└ Kaleidoscopeのスペア(半音下げ)。識別用オレンジテープ。
Edwards E-FV-125WB(DOT/BLOCK)
└ 白黒ツートーンの“シェンカーV”再現モデル。
Edwards E-FV(Cherry/Black/White)
└ エスカッションマウント&丸ヘッド系で“シェンカー風”仕様。
アンプ
Marshall 1987/1987X(50W)
└ UFO~MSG初期の主力。ノンマスター系、当時は実機を轟音運用。
Marshall JCM800(主に2204/50W、ライブで2205/50W実使用)
└ 80s中期以降の主力。例:2205設定=Nrm全開、LeadはGain/Vol全開、Treble 0/Mid 6/Bass 4、Presence 7、Reverb 0、Master 1。
Marshall Studio Vintage SV20(20W/5W)
└ 1959SLP系の小型版。4インプット/エフェクトループ搭載。
Marshall Studio Classic SC20(20W/5W)
└ JCM800 2203系小型版。やや歪み強め、5W運用可。
Marshall Origin 5/20/50
└ TILTとブースト搭載のヴィンテージ系1ch。小音量対応。
エフェクター
Wah:Jim Dunlop Cry Baby(GCB-95系/DB01使用例あり)
└ いわゆる“固定ワウEQ”使い。内部ギア調整で踏み込み最大時に中域強調。
Delay:WEM Copycat(70s~80s初頭の実機テープエコー)/BOSS DD-3(90s以降足元)
└ 参考:近年の再現用途にJim Dunlop EP103 Echoplex Delay。
Preamp/Boost:Jim Dunlop Echoplex Preamp(EP-3プリアンプ再現)
Overdrive/Boost:Ibanez TS-9(ボード搭載)/Marshall Bluesbreaker(復刻)
└ “クランチ基調+ピック&ピッキングで歪ませる”方向に好相性。
Chorus:BOSS CH-1(ボード実使用)/BOSS CE-5(90s以降の定番候補)
Tuner/Volume/電源/その他:BOSS TU-3、BOSS FV-500(複数台配置)、Voodoo Lab Pedal Power 2 Plus、Logjam Logarhythm(ストンプ)、Radial J48(DI)
“Amp-in-a-Box”:Marshall Overdrive Pedal(1959/JCM800モデル)
└ 自宅や小会場で“1987/JCM800の質感”を再現する代替案。



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