始めに(特徴紹介)
lynch.(リンチ)のギタリスト・悠介は、モダンラウドロックを象徴する重厚かつ洗練されたサウンドを奏でる存在です。
彼のプレイは7弦ギターを駆使した低音域のリフに加え、空間を意識したコーラスやディレイを組み合わせることで、重さと透明感を同居させるのが特徴です。
特に代表曲「EVOKE」や「CREATURE」では、リフの迫力に加えてリードフレーズが楽曲全体の雰囲気を大きく引き上げています。シグネチャーモデルのSCHECTERを用いたサウンドは、ファンから「lynch.らしい重厚さと美しさの両立」と評されることも多いです。
ライブでは激しさと繊細さを切り替えるダイナミックな音作りを徹底しており、スタジオ録音と比べても遜色のない完成度を保ちます。
また、悠介はインタビューでも「ディレイの使い方が自分の音作りの肝」と語っており、ギターリフだけでなくアルペジオやクリーントーンでも独自の存在感を発揮しています。lynch.サウンドを再現したいリスナーやギタリストにとって、彼の機材選びやセッティングは大きなヒントとなるでしょう。
使用アンプ一覧と特徴【lynch.・悠介】
悠介がレコーディングで実際に使用したアンプとして明言されているのが、Peavey 6534 Plus HeadとEVH 5150です。特にアルバム『AVANTGARDE』(2016)制作時には、リアンプ用に導入されていたことが雑誌インタビューで確認されています。
Peavey 6534はEL34管を搭載し、タイトかつミドルに粘りのある歪みが特徴。lynch.のようなヘヴィでありながらも輪郭が崩れないサウンドに適しています。
一方でEVH 5150は、より現代的なハイゲイン・サウンドを生み出すモデルで、キャビネットはEVH純正とFender Tonemaster 2×12を併用していたとされます。特に後者のFender製キャビは、音抜けの良さを補強する役割を果たしていたようです。
ライブでの使用アンプに関しては明言されていませんが、EVHやPeaveyの延長線上にあるハイゲインアンプを選んでいる可能性は高いでしょう。
こうしたアンプ選びは、lynch.のサウンドの「重低音の迫力」と「クリアなリードトーン」を両立するための必然であると考えられます。実際の現場でも、この2種類のアンプを組み合わせることで、楽曲ごとに最適な音を作り分けていると想定されます。
使用ギターの種類と特徴【lynch.・悠介】
悠介のサウンドを支える最大の武器は、シグネチャーモデルとして登場したSCHECTER AC-LY-YK/SIG(7弦)です。アルダーボディ、メイプルネック、エボニー指板を採用した仕様で、22フレット/24.75インチスケールという比較的コンパクトな設計が特徴。ピックアップにはSGR Twin Bladeをフロント/リアに搭載し、重低音リフからクリアなアルペジオまで幅広く対応できる万能な1本です。
このモデルは完全受注生産で、lynch.の音楽性に最適化された専用機材といえます。
普及版としてリリースされたSCHECTER PA-LY/YK(7弦/Progauge量産版)も広く出回っており、基本的な構成はAC-LY-YK/SIGに準拠。初心者やファンが比較的入手しやすい価格帯で悠介のサウンドを体感できる点で大きな意味を持っています。
どちらのモデルも7弦仕様であるため、lynch.特有のローエンドを強調したヘヴィリフに欠かせません。
また、使用時期に関してはインタビューや写真から、シグネチャーモデルが登場する以前はSCHECTERの量産型7弦モデルをライブやレコーディングで使用していたと推測されます。2015年頃まではカスタムショップ製の個体や一般流通の7弦モデルを組み合わせていた可能性があり、その後シグネチャー誕生によって「悠介サウンド」の方向性が確立されたと考えられます。
ライブではシグネチャーモデルを複数本用意してチューニングごとに使い分ける運用がなされていると想定されます。
全体的に、悠介のギター選びは「低音の迫力と高音域の煌びやかさの両立」を徹底しており、楽曲の表情に応じて柔軟にサウンドを操るための必然の選択であるといえるでしょう。
特に7弦ならではのローBの響きは、lynch.の楽曲の重厚感を決定づけており、このチューニングとギター構成がなければ現在の音像は成立しないといっても過言ではありません。
使用エフェクターとボード構成【lynch.・悠介】
悠介の音作りを特徴づける大きな要素のひとつがエフェクターの選択です。
ヘヴィリフとリードフレーズを支える歪みは主にアンプ由来ですが、その上に個性的な質感を与えるのがペダル類です。特に注目されるのは、Z.VEXのFuzz Probe(Hand Painted Green)で、プレイヤー誌(2015年3月号)にて使用が明記されています。このファズはセンサーによる操作性を持ち、リードフレーズに独特の倍音感や不安定さを与え、lynch.の楽曲に深みを加えています。
さらに、空間系の要として重要なのがDiamond Halo Chorusです。本人Instagram投稿に由来する情報がEquipboardなどで確認されており、コーラス系エフェクトの導入はlynch.の「暗さの中に光を差し込むような透明感あるトーン」を支えています。これによりクリーントーンやアルペジオは立体感を増し、ヘヴィなリフと対比される美しい響きを実現しています。
また、悠介本人が2024年のインタビューで「ディレイは自分の音作りの要」と語っていることからも分かるように、ディレイ(機種不詳)は欠かせない要素です。具体的なモデルは公表されていませんが、ライブやレコーディングではディレイを複数台使い分けている可能性があり、ソロやアルペジオの奥行きを強調しています。
lynch.の楽曲では、タイトなリズムの中に浮遊感を与えるディレイの役割は非常に大きく、彼のエフェクトボードの中心を担っていると想定されます。
全体的なエフェクターボードの構成としては、歪みはアンプに依存しつつ、ファズでキャラクターを追加し、モジュレーション(コーラス)、空間系(ディレイ)を組み合わせるというシンプルかつ効果的な構造です。これは過剰に足元に頼らず、ギターとアンプの持ち味を最大限に生かす悠介らしいセッティングといえるでしょう。
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【lynch.・悠介】
悠介(lynch.)のサウンドは、単なるハイゲインサウンドに留まらず、バンド全体の音像に溶け込みつつ存在感を示すための綿密なEQとセッティングが施されています。
特に7弦ギターを駆使するため、低音域(ローB~ローE)の整理が大きな課題となります。彼はアンプのゲインを過度に上げすぎず、ミドルを適度に持ち上げることでリフに太さを持たせながらも、輪郭を維持する工夫を行っていると考えられます。
例えばPeavey 6534 Plus Headを用いた際には、
・ゲイン:4~5(歪みをやや抑えめに)
・ミドル:6前後(存在感を強調)
・ロー:5(ローエンドの迫力を確保)
・トレブル:6~7(抜け感を強調)
といったバランスが推定されます。
一方、EVH 5150を使用する場合はハイゲイン特性を活かしつつ、ローを削り気味に調整することで、タイトで暴れすぎないサウンドに仕上げていると想定されます。
ディレイの使い方も特徴的で、ソロパートでは400〜500ms前後のディレイタイムを用い、ミックスで左右に広がりを持たせる傾向が見られます。アルペジオやクリーントーンでは、より短めのディレイ(250〜300ms程度)をかけて残響を作り、楽曲の空気感を補強。これにより、lynch.特有の「暗闇と光が交錯するサウンドスケープ」が完成します。
また、ミックスにおいてはギターのローエンドがベースとぶつからないようにEQで70Hz以下をカットしつつ、2kHz前後にピークを持たせてアタック感を出すのがポイント。特にバンドサウンド全体が分厚いlynch.においては、この帯域処理がなければギターの音は埋もれてしまいます。リードギターに関しては、コーラスやディレイの残響を活かして定位をややステレオに広げ、ボーカルとの空間を避けるよう配置していると推測されます。
ライブ時のセッティングでは、レコーディング以上にローを抑えて音の分離を意識する傾向が強く、特に大規模な会場では中低域のカットと高域のブーストで「抜ける音」を意識している可能性が高いです。ステージ上では歪みをアンプ主体にし、足元のファズやコーラスは味付けに留めることで、環境の変化に左右されにくい堅実なセッティングが実現されていると考えられます。
総じて悠介のEQやセッティングは「ヘヴィでありながらも抜けるサウンド」「ダークさと透明感の同居」を追求するためのものであり、機材単体の性能だけでなく、ミックス処理やバンド全体の音作りを見据えた包括的なアプローチがなされていると想定されます。
比較的安価に音を近づける機材【lynch.・悠介】
悠介(lynch.)の音作りをそのまま完全再現するには、シグネチャーモデルやPeavey・EVHといったプロユースの機材が必要になります。しかし、初心者や中級者が比較的安価に近いサウンドを体感する方法も存在します。ここでは1〜5万円程度(上限10万円)の機材を中心に、音作りを再現できる代替案を紹介します。
重低音リフの再現には7弦ギターが必須ですが、入門向けのモデルでも十分に「lynch.らしい」雰囲気を得られます。また、アンプやマルチエフェクターでシミュレーションを活用することで、プロ機材に近いトーンを狙うことが可能です。
まず7弦ギターでは、IbanezのRGシリーズやSchecter Omenシリーズといった比較的低価格帯のモデルがオススメです。アルダーボディやメイプルネックといったシグネチャーと近い仕様を持つモデルもあり、ハイゲインとの相性も良好です。
アンプシミュレーターではBOSSの「Katana」シリーズが強力な選択肢。ハイゲインからクリーンまで幅広く対応でき、EQ調整次第でPeaveyやEVHのニュアンスに近づけられます。
エフェクターに関しては、Z.VEX Fuzz Probeの代替としてBOSS FZ-5やElectro-Harmonix Big Muff系を利用すると、ファズの倍音感を低コストで得られます。コーラスについてはBOSS CE-5 Chorus EnsembleやMXR Analog Chorusが安定した選択肢です。ディレイはBOSS DD-8やTC Electronic Flashbackがコストと機能のバランスが良く、ソロやアルペジオの浮遊感を演出できます。
さらに、複数のエフェクトをまとめて導入したい場合はBOSS GT-1000COREやLINE6 POD Goなどのマルチエフェクターが役立ちます。これらはアンプシミュレーション機能も搭載しているため、「アンプ+空間系+歪み」の一通りを揃えたい場合に非常にコストパフォーマンスが高い選択です。
特にGT-1000COREはディレイやコーラスの質感が高く、lynch.の透明感あるサウンドを追い込むのに適しています。
総じて、悠介の音作りを安価に近づけるためには「7弦ギター+ハイゲインシミュレーション+空間系エフェクト」という3点が重要です。個々の機材はプロ用でなくとも、構成を意識するだけでかなり近い雰囲気を再現できるといえるでしょう。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
7弦ギター | Ibanez RG7421 | Ibanez | Amazonで探す | lynch. | 悠介 | 7弦入門機。ハイゲインとの相性が良く、シグネチャーの代替に適する。 |
7弦ギター | Schecter Omen-7 | Schecter | Amazonで探す | lynch. | 悠介 | コストパフォーマンスに優れた7弦モデル。初心者でも入手しやすい。 |
アンプシミュレーター | BOSS Katana-50 MkII | BOSS | Amazonで探す | lynch. | 悠介 | 幅広いジャンルに対応するモデリングアンプ。EVH/Peaveyの代替に最適。 |
ファズ | BOSS FZ-5 | BOSS | Amazonで探す | lynch. | 悠介 | Z.VEX Fuzz Probeの代替に。倍音感を得やすい。 |
コーラス | BOSS CE-5 Chorus Ensemble | BOSS | Amazonで探す | lynch. | 悠介 | クリーントーンに透明感を加える定番コーラス。 |
ディレイ | BOSS DD-8 Digital Delay | BOSS | Amazonで探す | lynch. | 悠介 | 多機能ディレイ。ソロやアルペジオで奥行きを演出可能。 |
マルチエフェクター | BOSS GT-1000CORE | BOSS | Amazonで探す | lynch. | 悠介 | 高品位なアンプ・エフェクトを一台で網羅可能。空間系が特に優秀。 |
総括まとめ【lynch.・悠介】

悠介(lynch.)の音作りを振り返ると、その本質は「重厚さと透明感の共存」にあります。
7弦シグネチャーモデルの活用によるローエンドの迫力、ハイゲインアンプを基盤としたタイトで分離感のあるディストーション、さらにコーラスやディレイによって生まれる浮遊感。これらが一体となって、lynch.ならではのダークでありながらも美しい世界観を構築しています。
彼のサウンドは単なる「重い音」ではなく、楽曲の展開に応じて柔軟に表情を変える点が大きな特徴です。リフでは鋭さと圧を兼ね備えたアタックを強調し、クリーンパートではコーラスとディレイで光を差し込むような透明感を演出。ソロではファズをアクセントに加えることで、倍音豊かな個性を際立たせています。これらの緻密な音作りが、lynch.の楽曲を聴く者の感情に直接訴えかける理由のひとつでしょう。
また、セッティングやEQの工夫からも分かるように、悠介は常に「バンド全体の音像」を意識しています。ローを整理し、ミドルを持ち上げることで音の輪郭を保ち、ミックスにおいてはボーカルやベースとの空間をうまく住み分ける。こうしたアンサンブル視点のアプローチこそが、プロフェッショナルとしての大きな強みです。
これからlynch.の音を目指すギタリストにとって重要なのは、機材の真似以上に「音の役割を理解すること」です。低音を支えるのか、空間を広げるのか、楽曲の表情を変えるのか――その意識を持つことで、たとえ安価な機材であっても悠介らしい音に近づくことができます。
特に初心者は7弦ギター+空間系エフェクトを導入し、アンプのEQを工夫するだけでも、その片鱗を十分に感じられるはずです。
総じて悠介の音作りは「重さの中にある美しさ」を追求したものです。機材選び、EQバランス、空間系の活用――そのすべてが彼の美学を反映しています。単なる模倣にとどまらず、自分自身の音楽性に取り入れることで、読者の皆さんもまた新しいサウンドの可能性を切り開いていけるでしょう。
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下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
ギター
SCHECTER AC-LY-YK/SIG(7弦)
アルダーボディ/メイプルネック/エボニー指板、SGR Twin Blade(F/R)、TonePros 7th TOM+STP、22F・24¾”。本人シグネチャーの受注生産モデル。
デジマート
SCHECTER PA-LY/YK(7弦/Progauge量産版)
AC-LY-YK/SIGの普及版。主要スペックは同系(Alder/Maple/Ebony、7弦)。
楽天市場
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アンプ/キャビネット
Peavey 6534 Plus Head(レコーディング)
アルバム『AVANTGARDE』(2016)制作時のリアンプ用として使用。
YOUNG GUITAR
EVH 5150(レコーディング)
上記と併用。キャビネットはEVH製およびFender Tonemaster 2×12(後者多用)。
YOUNG GUITAR
備考:インタビューではバンドの“レコーディング機材”として明言。悠介本人テイクの最終トーン形成にも寄与した可能性が高い(リアンプ)。ライブ常用アンプの公式言及は未確認。
エフェクター
Z.VEX Fuzz Probe(Hand Painted Green)
プレイヤー誌(2015年3月号)掲載の使用機材情報として言及。
PCI – Prosound Communications Japan
Diamond Halo Chorus
本人Instagram投稿由来の機材リスト(Equipboard)に掲載。コミュニティ寄稿ベースのため一次情報性は限定的。
Equipboard
Deviser
ディレイ(機種不詳)
音作りの要として頻用を本人が明言(2024年インタビュー)。※具体モデルは未公表。
激ロック | ラウドロック ポータルサイト
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