始めに(特徴紹介)
Limp Bizkit(リンプ・ビズキット)のギタリスト、Wes Borland(ウェス・ボーランド)は、その異彩を放つプレイスタイルと音作りで世界的に知られています。彼のサウンドは、ヘヴィでダークなリフと、アンビエントで空間的なクリーントーンを巧みに切り替える点に特徴があります。
例えば「Break Stuff」や「Nookie」では低音弦を多用したアグレッシブなリフで観客を煽り、一方で「Boiler」や「Behind Blue Eyes」では幻想的なクリーンとエフェクトを駆使して独特な世界観を作り出しています。特に異色のギター選びや、ハイブリッド構造のPRS/Ibanez 4弦ギターを駆使する点は、彼が単なるメタルギタリストに留まらず、音響的アーティストでもあることを示しています。
その独特なペイントや衣装も有名ですが、実際のサウンドを支えるのは極めて実験的かつ緻密な機材セレクトです。複数のアンプをブレンドし、クリーンとディストーションを同時に走らせる二段構えの音作りは、バンド全体のグルーヴを重厚かつ立体的に支える役割を果たしています。
また、StrymonやElectro-Harmonixなどの空間系エフェクターを積極的に導入し、曲ごとに異なるテクスチャを生み出すのもWes Borlandならでは。まるで「音で絵を描く」ような発想が、リンプ・ビズキットのサウンドにユニークな色彩を与えているのです。
そのため、彼の音作りを再現するためには「重低音のリフを支えるアンプとEQ」「幻想的な空間を作るリバーブやディレイ」「異形ギターによる独特な響き」の3点を理解することが重要になります。以下では、実際に使用されてきたアンプ、ギター、エフェクターを時系列や使用場面ごとに丁寧に紹介していきます。
使用アンプ一覧と特徴【Limp Bizkit・Wes Borland】
Wes Borlandの音作りを語る上で欠かせないのが、多彩なアンプヘッドとキャビネットの組み合わせです。彼はライブやレコーディングで複数のアンプを同時に使用し、厚みと空間感を兼ね備えたサウンドを構築してきました。
代表的なのがEVH 5150 IIIで、ライブでは2台同時に運用されていることが確認されています。5150系特有の分厚いハイゲインが、リンプ・ビズキットのヘヴィなリフを下支えしています。また、ディーゼルDiezel VH4/VH4SはElfmanとの公演やブレンド時の核として用いられ、重心の低いタイトなディストーションを提供しています。
一方でクリーントーンの要はRoland JC-120です。ライブ写真でもEVHヘッドの下にJC-120が積まれており、ステレオでの2台運用が確認されています。この透明感あるクリーンに、Strymon BigSkyやTimeLineを組み合わせることで、独特のアンビエント空間を作り出しています。
初期作品ではMesa/Boogie Dual Rectifierが主力で、90年代後半から2000年代初頭の「Nookie」や「Break Stuff」のラウドな歪みを担いました。さらに『Gold Cobra』期にはOrange Thunderverb 200WとOrange 4×12キャビが組み合わされ、ややヴィンテージ感のある濃厚な歪みを提供しています。
また、『Chocolate Starfish and the Hotdog Flavored Water』のレコーディングではSelmer Zodiac Twin 30/Twin Thirtyも登場し、ブリティッシュ系アンプ特有のベルのようなクリーンが確認されています。キャビネットもVHT 6×12やMesa 4×12、EVH 4×12と複数をブレンドし、立体的な音場を構築しています。
このように、時期や楽曲ごとにアンプを使い分けつつ、常に「複数アンプのブレンド」というアプローチを貫いてきたのがWes Borland流。単一のアンプでは再現できない重厚かつ浮遊感のあるサウンドを求めた結果、複雑なシステム構築に至ったと考えられます。全体的に、EVH 5150 IIIとRoland JC-120の組み合わせが近年のライブでの定番であり、そこにDiezelやOrangeを加えた多層的サウンドが完成されていると想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
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EVH 5150 III | EVH | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | ライブでデュアル運用。メインのハイゲイン歪み。 |
Diezel VH4/VH4S | Diezel | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | 中低域の重厚感を補強、ブレンド用途。 |
Roland JC-120 | Roland | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | ステレオクリーン用。2台運用で空間的サウンドを演出。 |
Mesa/Boogie Dual Rectifier | Mesa/Boogie | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | 初期の代表曲で使用されたハイゲインサウンド。 |
Orange Thunderverb 200 | Orange | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | 『Gold Cobra』期の歪みに使用。Orange 4×12と併用。 |
Selmer Zodiac Twin 30 | Selmer | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | 『Chocolate Starfish…』のクリーン等に使用。 |
VHT 6×12 / Mesa 4×12 / EVH 4×12 | VHT / Mesa / EVH | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | ライブでの複数キャビブレンドに使用。 |
使用ギターの種類と特徴【Limp Bizkit・Wes Borland】
Wes Borland(ウェス・ボーランド)の音作りを支える最大の個性は、独特のギターセレクトにあります。彼は「見た目」と「機能性」の両立を重視し、通常の6弦に留まらず、PRSやIbanez製の4弦ハイブリッドギターを積極的に導入しました。この発想は、Limp Bizkit特有の重低音リフや奇抜なコードワークを強調するために欠かせません。
初期から愛用しているのがJackson Custom ShopのKing VやRandy Rhoadsモデル。特に左利き用を右用に改造した個体や、ネックPUを撤去したKing Vなど、極めてカスタム性の高い仕様が確認されています。これらはハイゲインリフにおけるアタック感を最大限引き出すための選択だと考えられます。
一方でPRS Custom 24(ブラック系)も長年の愛機で、さらにPRSが製作した4弦ハイブリッドギターは彼の代名詞とも言える存在です。チューニングはA–A–D–GやF#–F#–B–Eといった変則設定で、ギターとベースの中間的な役割を果たし、バンドサウンドの隙間を埋めています。
また、自身のシグネチャーモデルとしてYamaha CV820WBがリリースされています。Takumi-Kezuri構造やカスタムPUを搭載したセミホロー仕様で、歪ませてもクリーンでも存在感のあるトーンが得られるのが特徴です。
他にもFender系のJazzmasterやTelecaster、Starcasterを改造して使用。特にStarcasterは中華リイシューをベースに、LollarブリッジPUやJaguar PUを後付けするなど大胆なモディファイを施しています。さらにBass VIをレコーディングに投入するなど、独自の音響世界を築いてきました。
Biltのギターもステージで確認されており、オルタナ寄りの音色を楽曲に加えています。これらの選択は全て「単なるヘヴィリフ以上の音楽的テクスチャ」を表現するためであり、彼のサウンドに漂うアーティスティックな要素の源泉となっています。全体的に「JacksonとPRSでリフの骨格」「Fender系やYamahaで空間の彩り」を担っていると想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
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Jackson Custom Shop King V / Randy Rhoads / Warrior | Jackson | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | エレキギター | 左利き用改造/ネックPU撤去の個体など特殊仕様。リフの主力。 |
PRS Custom 24 | PRS | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | エレキギター | ブラック系を使用。万能的なトーンでライブとレコーディングに対応。 |
PRS 4弦ハイブリッドギター | PRS | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | ハイブリッドギター | チューニングはA–A–D–GやF#–F#–B–E。低音を強調。 |
Yamaha CV820WB Wes Borland Signature | Yamaha | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | セミホローギター | Takumi-Kezuri構造。シグネチャーモデル。 |
Ibanez 4弦ハイブリッド | Ibanez | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | ハイブリッドギター | 過去に使用されたカスタムモデル。 |
Fender Jazzmaster(PU改造) | Fender | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | エレキギター | ブリッジにハムバッカーを搭載。独特なトーン。 |
Fender Telecaster | Fender | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | エレキギター | レコーディングで使用されたクリーントーン要員。 |
Fender Starcaster(改造) | Fender | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | セミホローギター | Lollar PUやJaguar PUを増設した大改造仕様。 |
Fender Bass VI | Fender | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | 6弦ベースギター | レコーディングで使用。低音域を補強。 |
Bilt Guitar | Bilt | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | エレキギター | ライブでの使用が確認された。オルタナ寄りのトーン。 |
使用エフェクターとボード構成【Limp Bizkit・Wes Borland】
Wes Borland(ウェス・ボーランド)の音響的な個性を決定づけているのは、多彩で独自のエフェクトボード構成です。彼のボードは単なる歪み系中心のセットではなく、クリーンからアンビエント、さらには実験的なノイズまで網羅する広大なサウンドスケープを可能にしています。
まず注目すべきは空間系エフェクターの多用です。Strymon BigSky(リバーブ)やStrymon TimeLine(ディレイ)はライブとレコーディング両方での定番。曲ごとのプリセットを細かく切り替えることで、「Boiler」や「Re-Arranged」など幻想的な楽曲の世界観を演出しています。
さらにElectro-Harmonix Q-Tronは「Full Nelson」や「Hot Dog」のヴァースで確認されるエンベロープフィルター。これによりファンキーで跳ねるような質感を加えています。加えてIbanez CF7 Flanger/Chorusの“Wack’d”設定は「My Way」のヴァースにおいて重要な役割を果たし、変則的な揺らぎを楽曲に注入しています。
ドライブ系ではFulltone OCDがRoland JC-120のブースト用途に用いられ、必要に応じてクリーントーンを押し上げています。Wahペダルは主にEQ的な用途で「Pollution」などに使用されており、いわゆるリード用ではなくトーンシェイピングに特化しているのが特徴です。
また、アナログ的な質感を求める際にはMaestro Echoplex(ソリッドステート)やMalekkoディレイが導入され、楽曲ごとにデジタルとアナログを使い分けています。旧ボードにはElectro-Harmonix POG系、Holy Stain、Catalinbread Adinekoなどが確認され、音程変化やヴィンテージ風モジュレーションの要素を積極的に取り入れていた時期もあります。
特筆すべきはシグネチャーペダル「KHDK “Baphomet” Dual Delay」で、限定250台生産の特別仕様。二系統のディレイをブレンドし、ライブでも独自の浮遊感を生み出していました。こうした細やかな選択と構築によって、Wes Borlandの音は単なる「ヘヴィリフ」ではなく、立体的で芸術的なサウンドコラージュとして完成されていると想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
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Strymon BigSky | Strymon | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | リバーブ | アンビエントな空間演出に使用。 |
Strymon TimeLine | Strymon | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | ディレイ | 曲ごとにプリセットを切り替え使用。 |
Boss Delay(複数台) | BOSS | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | ディレイ | 曲単位で設定固定。ライブ用。 |
Electro-Harmonix Q-Tron | Electro-Harmonix | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | オートワウ・エンベロープフィルター | 「Full Nelson」「Hot Dog」で使用。 |
Fulltone OCD | Fulltone | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | オーバードライブ | JC-120をブーストする用途。 |
Wah Pedal | Various | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | ワウペダル | EQ的用途で使用。「Pollution」など。 |
Ibanez CF7 Flanger/Chorus | Ibanez | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | フランジャー | “Wack’d”設定で「My Way」ヴァースに使用。 |
Maestro Echoplex(Solid State) | Maestro | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | エコー | アナログ的質感を加える。レコーディング用。 |
Malekko Delay | Malekko | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | ディレイ | スタジオ使用。独特のトーン。 |
Electro-Harmonix POG | Electro-Harmonix | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | オクターブ | 旧ボードで使用。音程変化を追加。 |
Electro-Harmonix Holy Stain | Electro-Harmonix | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | マルチエフェクター | 旧ボードで空間系や歪みを補助。 |
Catalinbread Adineko | Catalinbread | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | ディレイ | オイルカン風モジュレーション。旧ボードで使用。 |
KHDK “Baphomet” Dual Delay | KHDK | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | ディレイ | シグネチャーモデル。限定250台。 |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【Limp Bizkit・Wes Borland】
Wes Borland(ウェス・ボーランド)のサウンドを再現するためには、単に機材を揃えるだけでなく「アンプ設定」「EQバランス」「エフェクトの掛け方」「PAやミックスでの処理」までを意識する必要があります。彼の音は常に「立体的で重層的」であり、ヘヴィなリフの中でもクリーンが浮かび上がり、空間全体に広がるのが特徴です。
アンプセッティングに関しては、EVH 5150 IIIやDiezel VH4といったハイゲインアンプを基盤にしています。低域はしっかり出しつつもタイトに締め、ミドルはややカット気味、ハイは刺さりすぎない程度に調整されることが多いです。特にローエンドを強調することで、4弦ハイブリッドギターの低音チューニングを活かしつつ、ベースと一体になった分厚いリフを生み出しています。
一方、Roland JC-120のクリーントーンでは、EQをフラットか少しローを削り、ハイを開放的にすることで、エフェクターのリバーブやディレイが映える空間を確保しています。Fulltone OCDによるブーストを加える場合は、ゲインは最小限に抑え、JC-120の透明感を壊さないように運用していると考えられます。
曲ごとの使い分けも顕著で、「Break Stuff」や「Nookie」では歪みを前面に押し出し、ピッキングニュアンスが明瞭に伝わるように中域を整理。逆に「Boiler」や「Re-Arranged」ではBigSkyやTimeLineを駆使し、リバーブとディレイを深めに設定することでアンビエント感を強調しています。このように1曲ごとにエフェクトのディケイタイムやプリディレイを変える柔軟性が、彼の音作りの要です。
ミックスやPAの観点では、Borlandのギターは常に「2つのレイヤー」として扱われます。1つはハイゲインによるメインリフ用、もう1つはクリーン+空間系のレイヤーです。これをステレオで広げることで、リンプ・ビズキット全体の音が厚く、かつ立体的に響く仕組みができています。特にライブでは、片方のキャビにハイゲインアンプ、もう片方にJC-120を割り当てて、PAでバランスを取る構成が基本です。
EQ面では、ライブPAではローエンド(80〜120Hz付近)を整理しつつ、200〜300Hzの中低域をしっかり残して「肉厚さ」を維持します。ミドル(800Hz〜1.2kHz)はやや控えめで、ヴォーカルと被らないように調整され、3kHz〜5kHzのプレゼンス帯域をブーストすることでアタック感を前に出す工夫が見られます。
さらにリバーブやディレイの設定は、スタジオでは「左右に異なるディレイタイムを振る」手法をよく用い、ステレオ感を増幅しています。TimeLineのプリセットを活かして、片側を1/8、もう片側を1/4ディレイにするなど、位相のズレによって広がりを演出している点が特徴的です。
総じて、Wes Borlandの音作りは「リフの重低音」「幻想的なクリーン」「エフェクトによる浮遊感」という三本柱を、EQとミックスで整理することによって成立しています。単純な歪みセッティングに留まらず、アンプやエフェクトの掛け合わせを前提にしたマルチレイヤー的な構築こそが、彼の唯一無二のサウンドを生み出していると想定されます。
比較的安価に音を近づける機材【Limp Bizkit・Wes Borland】
Wes Borlandの機材はJacksonのカスタムやPRSの特注4弦ハイブリッドなど、一般ユーザーには入手困難かつ高価なモデルが多いのが現実です。しかし、初心者や中級者が比較的安価に彼の音へ近づくための手段は存在します。ここでは市販の1〜10万円程度で購入できる製品を中心に紹介します。
まず、アンプに関してはEVH 5150 IIIやDiezel VH4の代用としてBOSS KatanaシリーズやPositive Grid Sparkを推奨できます。特にKatanaは多彩なアンプモードを備えており、ハイゲインからクリーンまで幅広く対応可能です。EVH直系の音色までは再現できないものの、厚みのある歪みと透明感のあるクリーンの両立ができるため、Wes的サウンドを意識するのに十分です。
ギターに関しては、Yamaha RevstarやIbanez RGシリーズがコストパフォーマンスに優れた選択肢です。変則チューニングに対応できる安定したブリッジと、ハムバッカー搭載モデルを選べば、低音リフからアンビエントまで幅広くカバー可能です。特にIbanez RGは、Borlandの4弦ハイブリッドほどの個性はないにせよ、変則チューニングと空間系エフェクトを併用すれば近い質感が得られます。
エフェクターでは、空間系が重要です。Strymon BigSkyやTimeLineは高価ですが、BOSS RV-6(リバーブ)やDD-8(ディレイ)は2万円台で入手でき、プロレベルのサウンドを提供します。Q-Tronの代用としてはElectro-Harmonix Nano Q-TronやBOSS AW-3(オートワウ)が実用的。Ibanez CF7の代替としてはBOSS CH-1やBF-3を組み合わせることで似た揺らぎを再現できます。
最後にシステム構築の工夫として、マルチエフェクター(Line 6 HX StompやZoom G5n)を導入する方法があります。これによりアンプシミュレーション、リバーブ、ディレイ、モジュレーションを一括管理でき、Borland的な「曲ごとに異なるテクスチャ」を簡便に切り替えることが可能です。
まとめると、初心者〜中級者がBorlandの音を目指す際は、①ハイゲインとクリーンの両立可能なアンプ(Katanaなど)、②ハムバッカー搭載の安定したギター(Ibanez/Yamaha)、③リバーブ+ディレイ+オートワウ系のエフェクターを揃えることが最短ルートとなります。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
アンプ | BOSS Katana-100 MkII | BOSS | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | ハイゲインからクリーンまで対応。EVH/Diezelの代替に。 |
アンプ | Positive Grid Spark 40 | Positive Grid | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | 練習用に最適。シミュレーションで多彩な音作りが可能。 |
ギター | Ibanez RG Standard | Ibanez | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | 安定したブリッジとハムバッカーで低音リフに対応。 |
ギター | Yamaha Revstar Standard | Yamaha | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | 個性的デザインとハム搭載。変則チューニングにも対応可能。 |
エフェクター | BOSS RV-6 | BOSS | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | リバーブ。BigSkyの代替として十分。 |
エフェクター | BOSS DD-8 | BOSS | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | ディレイ。TimeLineの代替。多機能。 |
エフェクター | Electro-Harmonix Nano Q-Tron | Electro-Harmonix | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | エンベロープフィルター。Q-Tronの廉価版。 |
エフェクター | BOSS AW-3 Dynamic Wah | BOSS | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | オートワウ。BorlandのEQ的ワウの代替に最適。 |
エフェクター | BOSS BF-3 Flanger | BOSS | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | フランジャー。CF7の代替に使用可能。 |
マルチエフェクター | Line 6 HX Stomp | Line 6 | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | 多機能マルチ。アンプ/エフェクトを包括的に再現可能。 |
マルチエフェクター | Zoom G5n | Zoom | Amazonで探す | Limp Bizkit | Wes Borland | 低価格帯の多機能マルチ。初心者に最適。 |
総括まとめ【Limp Bizkit・Wes Borland】

Wes Borland(ウェス・ボーランド)の音作りを振り返ると、その本質は「ギターを単なるリフの道具としてではなく、音響芸術を描くパレット」として扱っている点にあります。JacksonやPRSといったハイエンドギターを改造し、独自のチューニングを施すことで重厚かつ不安定感のある低音を生み出し、同時にRoland JC-120やStrymon系エフェクトで透明感あふれるクリーンを織り交ぜる。この二面性がLimp Bizkitのサウンドを唯一無二のものにしています。
アンプにおいては、EVH 5150 IIIやDiezel VH4のようなモダンハイゲインと、Roland JC-120のステレオクリーンを同時に運用し、PAでバランスを整えるという複合的アプローチを貫いてきました。これは通常のギタリストが「どちらか」を選ぶのに対し、Borlandが「両方を同時に鳴らす」という発想を持っていたことを示しています。結果として、リフはヘヴィでありながら、アンビエントな響きが常に背後に広がる立体的なサウンドスケープが完成したのです。
エフェクトの選択もまた特徴的です。Q-TronやCF7による独自のフィルター効果、Strymon TimeLineによる緻密なディレイ設定、BigSkyによる深いリバーブ。これらは全て「楽曲ごとに異なる質感を描き出す」という明確な目的に基づいており、単なる装飾ではなくサウンドデザインそのものの一部になっています。Borlandのボードは常に進化を続け、シグネチャーのKHDK “Baphomet” Dual Delayに至るまで、「音で世界を作る」姿勢が貫かれています。
また、PAやミックスの工夫を含めると、彼の音作りは「ライブのステージ全体を楽器化する」という感覚に近いものです。ギター単体では再現しきれない広がりや重層感を、複数アンプやステレオエフェクトを駆使して観客に届ける。この総合的なアプローチこそが、Wes Borlandが他のギタリストと一線を画す理由だといえます。
総じて、Borlandの音作りを目指すためには、単に機材をコピーするだけでは不十分です。「低音を厚く支えるリフ」「透明感あるクリーンの空間」「異質なテクスチャの導入」という3つの要素を理解し、意識的に使い分けることが必要になります。そのうえで、自分の環境に合わせて機材を代替しつつ、彼のように「音で絵を描く」姿勢を持てば、Limp Bizkit流のダイナミックなサウンドを再現できるでしょう。
最後に、Borlandの音作りの核心は「型破りであること」を恐れない点にあります。常識的なセッティングやスタイルを超えて、自分だけのサウンドスケープを探求し続けること。それこそが、彼のサウンドを真に理解し、自身のプレイに取り入れるために欠かせない視点です。
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下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
🎸ギター
• Jackson Custom Shop King V(左利き個体を右用に改造/Floyd Rose/ネックPU撤去の個体も); Randy Rhoads;Warrior(初期~歴代で使用)。
• PRS Custom 24(ブラック系)/PRS製4弦ギター=ベース・ギター・ハイブリッド(ロッキングトレモロ、チューニングはA–A–D–GまたはF#–F#–B–E)。
• Yamaha CV820WB Wes Borland Signature(セミホロー、Takumi-Kezuri構造、カスタムPU)。
• Ibanez製4弦ハイブリッド(過去使用)。
• Fender系:Jazzmaster(ブリッジにハムバッカーを搭載した個体)/Telecaster(レコーディングで使用)/Starcaster(中華リイシューを大改造:LollarブリッジPU、Masteryトレモロ、ブリッジ後ろにJaguar PU増設)/Bass VI(レコーディングで使用)。
• Bilt。
🔊アンプ
• EVH 5150 III(ライヴでデュアル運用)。
• Diezel VH4/VH4S(Elfman公演やブレンド構成の中核)。
• Roland JC-120(クリーン用、2台運用の記述)。
• Mesa/Boogie Dual Rectifier(初期作品に使用)。
• Orange Thunderverb 200W(『Gold Cobra』期の歪み、Orange 4×12と併用)。
• Selmer Zodiac Twin 30/Twin Thirty(『Chocolate Starfish…』のクリーン等)。
• キャビネット例:VHT 6×12、Mesa 4×12、EVH 4×12(ブレンド運用)。
• 画像補足:ステージ写真でJC-120の上にEVHヘッドが積まれたスタックを確認。
🎛️エフェクター
• Strymon BigSky(リバーブ)、Strymon TimeLine(ディレイ・曲別プリセット)。
• Boss系ディレイ(複数台を固定して曲ごと設定)。
• Electro-Harmonix Q-Tron(「Full Nelson」「Hot Dog」ヴァースのエンベロープ)。
• Fulltone OCD(JC-120用のブースト/OD)。
• Wah(主にEQ用途/「Pollution」など)。
• Ibanez CF7 Flanger/Chorus(“Wack’d”設定=「My Way」ヴァース)。
• Maestro(ソリッドステート)Echoplex(「My Way」等のチェインで使用)、Malekkoディレイ(レコーディング)。
• 画像から確認できる旧ボード例:Electro-Harmonix POG系、Holy Stain、Catalinbread Adineko。
• シグネチャー:KHDK “Baphomet” Dual Delay(限定250台のデュアル・ディレイ)。
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