【Ace Frehley】Kiss風サウンドの作り方+ギター機材音作りセッティングのまとめ【エフェクター・アンプ】

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始めに(特徴紹介)

Kiss(キッス)のオリジナルリードギタリスト、Ace Frehley(エース・フレーリー)は、その派手なステージアクションとともに、太く伸びやかなサステインと鋭いアタック感を兼ね備えたギターサウンドで世界中のロックファンを魅了してきました。彼の音は、クラシックなハードロックを象徴するLes PaulとMarshallの組み合わせを軸にしつつ、エフェクトやEQを巧みに駆使することで唯一無二のトーンを実現しています。特に「Shock Me」「Cold Gin」「Detroit Rock City」などでは、Ace独特のリードサウンドがバンド全体のサウンドを象徴する存在となっています。

また、Aceはギターソロの中でのダイナミックな音作りや、ライブ中の「スモーキング・ギター」演出でも知られています。レスポールの図太い中域を強調しつつ、マーシャル・スタックの爆音で突き抜けるサウンドは、シンプルながらも説得力があり、多くの後進ギタリストに影響を与えました。

彼のサウンドの特徴は「直感的で生々しいロックギター」。ペダル類は最小限に留め、基本は「Les Paul → Marshall直結」という潔さがベースです。そのため、音作りの再現にはギターの選択とアンプの鳴らし方が非常に重要となります。

以下のセクションでは、Ace Frehleyが実際に使用したアンプ、ギター、エフェクターを徹底的に解説し、さらに音作りの具体的なEQセッティングや、比較的安価に再現できる代替機材までをまとめていきます。Kissファンはもちろん、70年代ハードロックの王道トーンを追求するギタリストにも必見の内容です。

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使用アンプ一覧と特徴【Kiss・Ace Frehley】

Ace Frehleyのサウンドの基盤は、常にMarshallスタックにありました。特に100WクラスのMarshallアンプは彼の代名詞とも言える存在で、ステージに立つAceの背後には常に巨大なMarshallキャビネットがそびえ立っていました。1970年代のKiss全盛期には、主にLes Paul StandardやDeluxeを直結し、シンプルながら迫力あるハードロックサウンドを生み出しました。

1990年代のリユニオン・ツアーではMarshall JCM900 100Wヘッドを使用していた記録が残っています。このJCM900はラックシステムに組み込まれ、安定した出力とツアーでの扱いやすさを重視して運用されていました。Ace自身も「Marshall 900シリーズが最も自分に合った」と発言しており、その後しばらくは定番アンプとして使用していました。

一方で、レコーディングではFenderのヴィンテージアンプも活用しており、特にTweed HarvardやPrincetonなどの小型アンプを好んで使用したと語っています。これらはMarshallの爆音とは異なり、スタジオ録音におけるニュアンスやクランチトーンを重視した結果と考えられます。また、Vox AC30や10インチ“Bulldog”スピーカー搭載の小型Voxアンプも試しており、クリーンから軽いドライブまでを補う役割を果たしました。

さらに、色付け目的でPeavey 5150を使用したという証言も存在します。メインのトーンはMarshall直結ですが、5150などを加えることで厚みを持たせたり、ライブでの補強として利用していたとされています。

このように、Ace Frehleyは「Marshall直結の図太いサウンド」を軸に据えつつ、場面に応じてFenderやVoxなどのアンプをスタジオで組み合わせることで、多彩ながらも一貫性のあるAceトーンを確立していた、と想定されます。

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Marshall JCM900 100WMarshallAmazonで探すKissAce Frehley1996–97リユニオン期に使用。ライブの定番スタック。
Marshall スタック(モデル不明)MarshallAmazonで探すKissAce Frehley1970年代〜現在まで一貫して愛用。「Les Paul→Marshall直」の哲学。
Fender Tweed HarvardFenderAmazonで探すKissAce Frehleyレコーディング用に使用。小型で温かみのあるクランチ。
Fender Princeton(50年代)FenderAmazonで探すKissAce Frehleyスタジオでクリーンや軽い歪みに使用。
Vox AC30VoxAmazonで探すKissAce FrehleyBulldogスピーカー搭載個体の使用も記録。スタジオで補助的に活用。
Peavey 5150PeaveyAmazonで探すKissAce Frehley色付け用として一部使用の記録あり。

使用ギターの種類と特徴【Kiss・Ace Frehley】

brown Fender head stock

Ace Frehleyの音作りにおいて最も重要な要素は、間違いなくGibson Les Paulです。Kiss結成初期から一貫してレスポールを愛用し、その分厚く伸びやかな中域がAceトーンの核心を形成してきました。特に1973年に手に入れたGibson Les Paul Deluxe(タバコサンバースト)は、彼の最初期の代表的なメインギターです。当初はミニハムバッカー仕様でしたが、後にピックアップ交換が施され、よりパワフルな出力を得ています。

同じくタバコサンバーストのLes Paul Standardも初期録音で頻繁に使用され、リワインドされたホットなピックアップを搭載していたことで、スタジオでもライブでも力強いトーンを響かせました。また、伝説的な1959年製Les Paul Standard、いわゆる“’59”の使用も確認されており、70年代後半の活動やAceの初ソロ作でも用いられたとされています。これにより、Aceサウンドの核となる“図太く伸びやかなトーン”が確立されました。

さらに象徴的なのが、1977年の日本武道館公演で使用されたGibson Les Paul Custom “Budokan”。チェリーサンバーストの3ピックアップ仕様で、DiMarzio PAFを2基とSuper Distortionを1基搭載する独自の構成が特徴です。このモデルは後年、GibsonおよびEpiphoneから“Budokan”リイシューとして再現され、ファン垂涎の一本となりました。

また、ライブやレコーディングにおいてはFender StratocasterやTelecasterも併用。StratはLes Paulサウンドの補完として、Telecasterはスタジオでのオーバーダビングに使われました。アコースティックではGibson J-200やTaylor、Ovationといった定番モデルを所持・使用しており、アルバム収録曲でのクリーントーンやアコースティック編成に彩りを加えています。1977年の来日公演では、日本製Greco MR-1000をステージで試用した記録もあり、Ibanez Destroyer 2459を短期間使用したエピソードも残っています。

このように、Ace Frehleyのギター遍歴はLes Paulを軸としながらも、時代やシチュエーションに応じて多彩なギターを取り入れ、独自のサウンドバリエーションを築き上げてきた、と想定されます。

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Gibson Les Paul Deluxe(1973 タバコサンバースト)GibsonAmazonで探すKissAce Frehleyエレキギター初期の主力ギター。後にPUを交換。
Gibson Les Paul Standard(タバコサンバースト)GibsonAmazonで探すKissAce Frehleyエレキギター初期Kiss録音で多用。ホットPU搭載。
Gibson Les Paul Standard ’59GibsonAmazonで探すKissAce Frehleyエレキギター70年代後半やソロ作で使用された個体。
Gibson Les Paul Custom “Budokan”GibsonAmazonで探すKissAce Frehleyエレキギター1977年武道館で使用。3PU仕様。リイシューあり。
Fender Stratocaster(複数本)FenderAmazonで探すKissAce FrehleyエレキギターレコーディングでLes Paulのダブル用。
Fender Telecaster(80年代個体など)FenderAmazonで探すKissAce Frehleyエレキギタースタジオで重ね録り用に使用。
Gibson J-200/J-100GibsonAmazonで探すKissAce Frehleyアコースティックギタースタジオで使用。代表的アコギモデル。
Taylor 6弦・12弦TaylorAmazonで探すKissAce Frehleyアコースティックギタークリーントーンやアコースティック編成で使用。
Ovation アコースティックOvationAmazonで探すKissAce Frehleyアコースティックギターステージやスタジオで使用経験あり。
Greco MR-1000GrecoAmazonで探すKissAce Frehleyエレキギター1977年日本公演で試用。国産モデル。
Ibanez Destroyer 2459IbanezAmazonで探すKissAce Frehleyエレキギター短期間の使用記録あり。

使用エフェクターとボード構成【Kiss・Ace Frehley】

Ace Frehleyの音作りの最大の特徴は「シンプルで直感的」なセッティングにあります。基本的に「ギター→アンプ直結」が基本思想であり、エフェクターを多用することは少なかったと本人も語っています。しかし一方で、スタジオ録音やソロ活動の際にはいくつかのペダルを使用していたことも確認されています。

最も有名なのはElectro-HarmonixのBig Muff Piで、初期から使用していたファズ系ペダルです。特にKiss初期の録音では、このBig Muffを通した分厚く荒々しい歪みがサウンドの芯を形作っています。また、Maestro Echoplexを用いたテープエコーも過去に使用していましたが、ノイズやテープ切れのトラブルもあり、次第に使用頻度は減っていきました。

ワウペダルとしてはVox Wah(Clyde McCoy系)を使用。近年のソロ作品『Anomaly』に収録された「Genghis Khan」でもワウソロが確認されており、Aceらしいフレーズに独特のニュアンスを加えています。また、Mu-Tron Octave Dividerも使用経験があり、独特な倍音を加えるエフェクトとして当時の機材リストに名を残しています。

ソロ時代や後年のライブでは、マルチエフェクターZoom G3を使用したことも公言しています。Ace曰く「唯一使ったマルチ」とされ、ディレイ系やBig Muff系ファズのサウンドを再現するために導入されました。さらに、Line 6 PODラックをバックアップとして運用し、ライブ中の“スモーキング・ギター”演出時にはディレイを多めにかけるなど、演出と音作りを両立させていました。

また、MXR Graphic EQやPower Boosterなどをラックシステムに組み込み、PAやスタッフがライブ中に調整するケースもあったとされています。つまりAceの音作りは「基本シンプル、必要に応じて足す」という思想で貫かれており、サウンドの核を崩さない範囲でエフェクターを導入していました。全体的にエフェクターは補助的な役割であり、彼のサウンドはあくまでLes PaulとMarshallスタックの組み合わせが主役である、と想定されます。

機材名メーカーAmazon最安値URLアーティストギタリストエフェクターの種類備考
Electro-Harmonix Big Muff PiElectro-HarmonixAmazonで探すKissAce Frehleyファズ初期録音から愛用。分厚い歪みを形成。
Maestro EchoplexMaestroAmazonで探すKissAce Frehleyエコーテープエコー。ノイズやメンテ難で次第に使用減。
Vox Wah Clyde McCoy系VoxAmazonで探すKissAce Frehleyワウペダルソロ曲「Genghis Khan」で使用。ライブでも確認。
Mu-Tron Octave DividerMu-TronAmazonで探すKissAce Frehleyオクターブ使用経験あり。独特な倍音を加える。
Zoom G3ZoomAmazonで探すKissAce Frehleyマルチエフェクター「唯一使ったマルチ」と発言。ディレイやファズ再現。
Line 6 POD(ラック)Line 6Amazonで探すKissAce Frehleyプリアンプ/アンプシミュレーターライブバックアップ兼ディレイ付加用途。
MXR Graphic EQMXRAmazonで探すKissAce Frehleyイコライザーラックに組み込み。PAが補助的に調整。
MXR Power BoosterMXRAmazonで探すKissAce Frehleyブースターライブの補助的役割で使用。

音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【Kiss・Ace Frehley】

red and white heart shaped decor

Ace Frehleyの音作りは非常にシンプルでありながら、奥深さを持っています。彼の基本哲学は「Les PaulをMarshallに直結する」というものです。つまり、アンプから得られる生のトーンを最大限活かし、余計なエフェクトには頼らない。その代わりに、アンプやギターのコントロールをフル活用することで表情を作り分けていました。

Marshallアンプにおける設定は、ゲインを中域寄りに調整しつつ、ボリュームを大きく上げることで自然なパワーチューブの歪みを得ていました。トーン設定の基本は「Bass 5〜6、Middle 7〜8、Treble 5〜6、Presence 5前後」とされ、特に中域(Middle)を厚めにすることで、Les Paulの図太いミッドレンジを前に押し出すのがAceサウンドの鍵でした。Trebleは上げすぎず、Marshall特有の鋭さを少し抑えることで、耳に痛くないバランスを作っていたと考えられます。

ギター側のボリュームとトーンノブ操作も重要です。Aceはソロではボリュームをフルに開き、リフやバッキングでは少し絞ることで、同じセッティングでも音量感や歪み具合をコントロールしていました。特に「Shock Me」や「Cold Gin」では、バッキングとリードでの切り替えが顕著に現れています。また、トーンノブを少し絞ることで、ハイエンドを抑えつつ厚みのあるトーンを生み出す工夫も見られました。

スタジオ録音においては、MarshallだけではなくFenderやVoxの小型アンプも組み合わせていました。これにより、Marshallの爆音に加えて、Fender Princetonのクリーンな煌びやかさや、Vox AC30のジャングリーな倍音をミックスに加えることで、より立体的なギターサウンドを作り出していました。特にアルバム『Destroyer』や『Love Gun』などでは、複数アンプのブレンドが確認されています。

EQ処理では、中域の存在感を強調する一方で、ローエンドをタイトにまとめる傾向がありました。ベースやドラムと被らないように、80Hz以下を少しカットし、150Hz〜300Hz付近を押し出すことで、ギターの存在感を確保していたと考えられます。高域は5kHz前後を少しブーストし、アタック感を際立たせる工夫がありました。これにより、ギターソロがミックスの中で埋もれず、しっかり前に出てくるのです。

ライブPAでは、Aceの代名詞である「スモーキング・ギター」演出に合わせ、ディレイを深めに設定することもありました。Line 6 PODやZoom G3を用いたディレイの追加は、演出効果を高めると同時に、ソロの空間的広がりを補強していました。ディレイタイムは400ms前後、リピートは2〜3回に抑え、過度に残響が残らないよう調整されていたようです。

また、Aceのギターはバッキングでも壁のように厚いサウンドを形成していました。これは、同じリフをLes PaulとStratocasterで重ね録りするなど、ダブルトラッキングを多用していたことが理由のひとつです。レコーディングではエンジニアがEQやコンプレッサーを巧みに駆使し、左右に振り分けることで立体的な音像を構築していました。

総じて、Ace Frehleyの音作りは「シンプルだが戦略的」と言えます。直結による荒々しさを基盤としつつ、EQやアンプの選択、スタジオでの多重録音、ライブでの演出的ディレイなど、場面ごとに最適な工夫を施すことで、あの唯一無二のAceサウンドが成立していた、と想定されます。

比較的安価に音を近づける機材【Kiss・Ace Frehley】

Ace Frehleyのサウンドを完全に再現するには、Gibson Les PaulやMarshallスタックといった高額機材が理想ですが、初心者や中級者にとってはハードルが高いのも事実です。そこで、比較的安価に入手でき、かつAceトーンの特徴を掴むために有効な代替機材を紹介します。これらは1〜10万円程度で購入でき、ライブや練習スタジオでも十分に活用できるモデルです。

まずギターについては、Epiphone Les Paul StandardやEpiphone Les Paul Custom “Budokan”リイシューが有力候補です。これらはGibson直系のサウンドを持ちながら価格を抑えており、特に“Budokan”リイシューはAceの象徴的なギターを手軽に体感できる点でファンに人気です。さらにGrecoやTokaiなど国産メーカーの中古レスポール・タイプもコストパフォーマンスが高く、70年代Aceトーンの雰囲気を再現しやすい選択肢です。

アンプに関しては、Marshall MGシリーズやDSLシリーズの小型コンボがオススメです。特にMarshall DSL20CRは、真空管アンプとして比較的安価に入手可能で、レスポールを直結するだけでハードロックらしい中域の張り出しを体感できます。スタジオ練習用や小規模ライブにも対応できるため、Aceトーンの再現練習には最適です。

エフェクターについては、Electro-Harmonix Big Muff Piの現行モデルが必須級。Aceの初期サウンドを支えたファズサウンドを忠実に再現できます。加えて、BOSS DS-1 Distortionも安価ながらKiss的なハードロック歪みを作りやすく、Big Muffを入手できない場合の代替にもなります。ワウペダルではVOX V847AがAceの使用したClyde McCoy系を意識したモデルで、価格と性能のバランスが良いです。

ディレイに関しては、BOSS DD-8やNUX Time Core Deluxeなどのデジタルディレイがオススメです。Aceがライブ演出で多用した空間的な広がりを、安価かつ安定して再現できます。さらに、Zoom G1X FourやBOSS GT-1といったマルチエフェクターを導入すれば、Big Muff系のファズからディレイ、EQ調整まで一通り揃うため、初心者には特にコストパフォーマンスの高い選択肢となります。

このように、Ace Frehleyのサウンドは高価な機材でなくても「レスポール系ギター」「マーシャル系アンプ」「ファズ系歪み」「シンプルなEQバランス」を押さえることで近づけることができます。特に中域を強調し、ディレイを効果的に使うことが重要です。これらの機材を組み合わせることで、比較的安価にAceトーンを体感できるでしょう。

種類機材名メーカーAmazon最安値URLアーティストギタリスト備考
ギターEpiphone Les Paul StandardEpiphoneAmazonで探すKissAce FrehleyGibson直系のサウンドを安価に再現可能。
ギターEpiphone Les Paul Custom “Budokan”EpiphoneAmazonで探すKissAce FrehleyAce象徴のモデルを手軽に再現可能。
アンプMarshall DSL20CRMarshallAmazonで探すKissAce Frehley真空管アンプで中域の張りを再現。
アンプMarshall MG30GFXMarshallAmazonで探すKissAce Frehley練習用に最適な低価格Marshall。
エフェクターElectro-Harmonix Big Muff PiElectro-HarmonixAmazonで探すKissAce FrehleyAce初期サウンドを支えたファズの定番。
エフェクターBOSS DS-1 DistortionBOSSAmazonで探すKissAce Frehley安価でハードロック的歪みを再現可能。
エフェクターVOX V847A WahVOXAmazonで探すKissAce FrehleyAce使用のClyde系ワウに近いサウンド。
エフェクターBOSS DD-8 Digital DelayBOSSAmazonで探すKissAce Frehleyライブでのディレイ効果を再現可能。
マルチエフェクターZoom G1X FourZoomAmazonで探すKissAce Frehleyファズ、ディレイ、EQまで1台で再現可能。
マルチエフェクターBOSS GT-1BOSSAmazonで探すKissAce Frehleyステージでも使える万能マルチ。Ace風セットアップ可能。

総括まとめ【Kiss・Ace Frehley】

まとめイメージ

Ace Frehley(エース・フレーリー)の音作りを振り返ると、その本質は「シンプルかつ直感的」であることが分かります。基本はGibson Les PaulをMarshallアンプに直結するだけ。そこから生まれる図太い中域と伸びやかなサステインこそが、彼のギターサウンドの核でした。複雑なエフェクトチェーンや高度なシステムに依存するのではなく、ギターとアンプの組み合わせを最大限に活かす姿勢が、Aceならではのロック・ギタリスト像を際立たせています。

しかし、そのシンプルさの裏には戦略的な工夫があります。スタジオではMarshallに加え、FenderやVoxのアンプを補助的に使い、音に厚みや煌びやかさを加える。ライブでは、スモーキング・ギター演出やディレイを駆使して、音だけでなく視覚的にもインパクトを与える。こうした「必要なときに必要な要素を加える」柔軟さが、Aceサウンドを唯一無二のものにしました。

また、エフェクターは最小限に留めながらも、Electro-Harmonix Big Muff PiやVox Wahといった個性の強いものを効果的に取り入れることで、Aceらしいニュアンスを演出しています。つまり、単にシンプルな直結サウンドに終始するのではなく、「要所でアクセントを加える」ことが、彼の音作りの真髄と言えるでしょう。

Kissの楽曲において、Aceのギターは常にバンド全体の屋台骨を支え、かつソロでは大胆に主役を張る存在でした。Cold Gin、Shock Me、Detroit Rock Cityなど、代表曲の数々に刻まれたギターリフとソロは、シンプルながら強烈な印象を残します。その背景には「直結の潔さ」と「戦略的な工夫」の両立がありました。

現代のギタリストがAceサウンドを再現するには、高額なオリジナル機材がなくても、レスポール系ギターとMarshall系アンプ、そしてファズやワウといったシンプルなエフェクトを組み合わせるだけで十分近づけます。さらに中域を強調するEQ、演出的に使うディレイなどを加えることで、Aceが築き上げたハードロックの王道トーンを体感できるでしょう。

総じて、Ace Frehleyの音作りは「ロックの本質を体現したサウンド」と言えます。シンプルに弾いても存在感があり、必要な場面では派手な演出や補助エフェクトを巧みに使う。そのバランス感覚こそが、多くのファンや後進ギタリストに影響を与え続ける理由なのです。Kissの煌びやかなショーを支えたAceのサウンドは、今なお「シンプル・イズ・ベスト」の象徴であり、ロックギターの理想像のひとつであると言えるでしょう。

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下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!

🎸ギター
• Gibson Les Paul Deluxe(1973/タバコサンバースト)…初期の主力。のちにピックアップを交換して使用。
• Gibson Les Paul Standard(タバコサンバースト)…初期KISS録音で多用。リワインド済みの“ホット”PU搭載個体の言及。
• Gibson Les Paul Standard ’59(いわゆる“’59”)…70年代後半や初ソロ作で使用した旨の発言。
• Gibson Les Paul Custom “Budokan”(チェリーサンバースト/3PU)…1977年武道館で使用の象徴的個体。DiMarzio PAF×2+Super Distortion配列再現のリイシュー(Gibson & Epiphone)あり。
• Fender Stratocaster(複数本)…レコーディングでLes Paulのダブル用に使用。
• Fender Telecaster(80年代個体など)…スタジオでの重ね録りに使用。
• Gibson J-200/J-100、Taylor 6弦・12弦、Ovation(アコースティック)…スタジオ用に所持・使用。
• Greco MR-1000(1977年 日本公演で試用)…ステージ写真記録あり。
• Ibanez Destroyer 2459(短期使用の記録)。

🔊アンプ
• Marshall 100W(JCM900を主に使用/ライブは“900シリーズ”の100Wヘッドをラック運用)…スタックでの使用を明言。1996–97リユニオン期に使用のJCM900売却記録も確認。
• Marshall(モデル明言なし/“マーシャル・スタック”)…基本はLes Paul→Marshall直の哲学。
• Fender Tweed Harvard/Princeton(50年代)…スタジオで使用。
• Vox(10”“Bulldog”スピーカーの旧個体/AC30の使用言及も)…スタジオで使用。
• Peavey 5150…色付け目的でまれに使用。

🎛️エフェクター
• Zoom G3(マルチ)…「唯一使ったペダル」と明言。テープディレイ系とBig Muff系を主に使用。
• Electro-Harmonix Big Muff Pi…初期から愛用。録音時の歪みに使用した旨の発言。
• Maestro Echoplex(テープエコー)…過去に使用(テープ切れやノイズで敬遠するようになった旨)。
• Vox Wah(Clyde McCoy系)…近年作『Anomaly』収録曲“Genghis Khan”のワウ・ソロでも使用。
• Mu-Tron Octave Divider…使用経験の言及。
• Line 6 POD(ラック)…ライブでのバックアップ兼ディレイ等の付加用途。ソロの“スモーキング・ギター”演出ではディレイ多め。
• MXR Graphic EQ/Power Booster など(ラック下手操作の補助エフェクトとしての記載あり)。

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