【Tony Iommi】Black Sabbath風サウンドの作り方+ギター機材音作りセッティングのまとめ【エフェクター・アンプ】

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始めに(特徴紹介)

Tony Iommi(トニー・アイオミ)は、ヘヴィメタルというジャンルを世界に根付かせたBlack Sabbath(ブラック・サバス)のリードギタリストとして知られています。彼のサウンドは、重厚なリフ、独特のダークトーン、そしてシンプルでありながら圧倒的な存在感を放つギターソロで構成されます。

右手のピッキングはラフで力強く、左利き用のSGを駆使しながら生み出されるリフは、「Iron Man」「Paranoid」「War Pigs」など、メタル史に残る名曲を生み出しました。彼の指先は工場事故で損傷を負ったため、特製のフィンガーチップを装着し、通常よりも軽めの弦を使用することで独特のトーンを生み出しています。

その結果として生まれる音は、ファズや過剰な歪みに頼らず、アンプとブースターを駆使して得られる「硬質な質感」と「低域の厚み」が特徴です。特にLaney製アンプと、改造されたRangemasterを組み合わせたサウンドは、メタルギターの基盤を築いたといえるでしょう。

Iommiの音作りは、決して複雑ではなく、むしろ「シンプルさの中に凶悪さ」を宿している点に大きな魅力があります。彼のセッティングを理解することは、ヘヴィロックの音作りを志す全てのギタリストにとって貴重な学びとなるはずです。

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使用アンプ一覧と特徴【Black Sabbath・Tony Iommi】

Tony Iommiのサウンドを語る上で欠かせないのが、彼と長年にわたって協業してきたLaneyアンプです。Black Sabbath結成当初からLaneyのプロトタイプを使用し、その後のキャリアを通じて一貫してLaneyをメインに据えています。特に初期の代表作「Black Sabbath」「Paranoid」などで聴かれる分厚いディストーションは、Laney LA100BL “Supergroup”の大出力とP-90ピックアップの組み合わせによって生み出されたものです。

このSupergroupはMarshall Plexi系にも似た設計ですが、より硬質でソリッドな歪みが特徴で、Tonyのダークでヘヴィなリフと完璧にマッチしました。後年、このアンプは復刻され、2016年の「The End Tour」でも再び彼の足元に戻っています。オリジナル個体はヴィンテージとして高額ですが、現在も復刻版やLaneyのシグネチャーモデルでサウンドを再現可能です。

90年代以降は「Laney GH100TI」がメインとなり、さらに2チャンネル仕様の「Laney TI100」へと進化しました。これらは現代的なゲインを備えつつも、Iommi特有のドライでタイトな質感を再現可能にしたモデルです。ライブリグでは、Laneyの4×12キャビ(Celestion G12H搭載)と組み合わせることで、低域の重厚感を支えています。また、ステージではHH V800といったパワーアンプを補助的に用い、モニターシステムを強化することもあります。

要するにIommiのアンプサウンドは「Laney=Tony Iommiの代名詞」と言えるほど密接に結びついており、MarshallやMesa Boogieを経由することなく、独自の道を築いた稀有な例です。その結果、現在でも「Iommiサウンド=Laneyアンプ」として定着していると考えられます。これらの情報は本人のインタビューや公式の機材提供履歴に基づいていますが、一部の年代や楽曲における細かなアンプの切り替えについては未確定な部分も残っている、と想定されます。

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Laney LA100BL “Supergroup”LaneyAmazonで探すBlack SabbathTony Iommi初期サバス期の象徴的ヘッド。復刻モデルも存在。
Laney GH100TILaneyAmazonで探すBlack SabbathTony Iommi90年代以降のライブ・レコーディング主力アンプ。
Laney TI100LaneyAmazonで探すBlack SabbathTony Iommi2ch仕様のシグネチャーモデル。後期Iommiの定番。
Laney 4×12” キャビ(Celestion G12H搭載)LaneyAmazonで探すBlack SabbathTony Iommi低域の厚みを支えるキャビネット。
HH V800 パワーアンプHH ElectronicsAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiモニター・システム用に使用された補助アンプ。

使用ギターの種類と特徴【Black Sabbath・Tony Iommi】

an electric guitar in a case with a note

Tony Iommiのサウンドを象徴するのは、やはりGibson SG系モデルです。彼はデビュー当初、Fender Stratocasterを使用していましたが、レコーディング中にピックアップが故障。その代替として手にしたGibson SG Special(通称“Monkey”)が運命の一本となり、その後のキャリアを通じてSGが彼のトレードマークとなりました。

1964/65年製のオリジナル“Monkey” SG Specialは、ブリッジ側に金属カバー付きP-90、ネック側にJohn Birch製ピックアップを搭載。ゼロフレットやポリウレタン塗装の指板など、独自の改造が施されていました。サバス初期から70年代までの代表曲はほぼこの個体で演奏され、Black Sabbathサウンドの礎を築き上げました。

その後、カスタムビルダーのJohn Digginsによって製作された「JayDee Custom “Old Boy”」がステージ用の主力に。特徴的な十字インレイが施され、ダークでヘヴィなルックスとサウンドがIommiのイメージを決定づけました。さらにJohn Birch製のSGや、Gibson USA Iommi Signature SGなども長年の使用機材として知られています。

また、2020年にはGibson Custom Shopより50本限定で“Monkey” SG Special Replicaが発売され、本人直筆サイン入りでファン垂涎のコレクターズアイテムとなりました。近年はGibson USA製の量産モデルIommi Signature SGも広く流通しており、ファンが比較的手にしやすい形でそのサウンドを再現可能です。

ステージ写真ではホワイトのSG(3PU仕様)や、レフティ仕様のEpiphone SG Specialを持つ姿も確認されており、楽曲や時期によって複数のSGが使い分けられてきたことが分かります。これらのギターはいずれも、P-90系のシングルコイルによる硬質で切れのある歪みが基盤となっており、Laneyアンプとの組み合わせによって独特のメタルサウンドを完成させました。これらは確定情報が多いものの、一部のホワイトSGやサブ機については使用の詳細が不明な点もあり、推定情報を含むと想定されます。

機材名メーカーAmazon最安値URLアーティストギタリストギターの種類備考
Gibson “Monkey” SG Special(1964/65)GibsonAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiエレクトリックギター(SG)初期サバスの主力。ゼロフレット・改造P-90搭載。
Gibson Custom Shop “Monkey” SG Special Replica(2020)GibsonAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiエレクトリックギター(SG)50本限定。本人サイン入り。ファン垂涎のレプリカ。
Gibson USA Iommi Signature SGGibsonAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiエレクトリックギター(SG)現行量産モデル。P-90×2搭載。
JayDee Custom “Old Boy”JayDee Custom GuitarsAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiエレクトリックギター(SG)十字インレイが特徴の長年のステージ用主力。
John Birch SG(ブラック)John BirchAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiエレクトリックギター(SG)70年代半ば以降に使用されたカスタムSG。
Fender Stratocaster(ホワイト)FenderAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiエレクトリックギター(ストラトキャスター)デビュー作で使用。PU故障を機にSGへ移行。
Gibson SG(ホワイト/3PU)GibsonAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiエレクトリックギター(SG)「Paranoid」で使用と本人発言が報じられる。
Epiphone SG Special(レフティ)EpiphoneAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiエレクトリックギター(SG)レフティ仕様。サブギターとして確認例あり。

使用エフェクターとボード構成【Black Sabbath・Tony Iommi】

Tony Iommiの音作りにおいて特徴的なのは、意外にもエフェクターが少なく、その多くが補助的役割にとどまっている点です。初期Black Sabbathのサウンドは、ほぼギターとLaneyアンプ、そして改造されたDallas Arbiter Rangemasterトレブルブースターで成り立っていました。このRangemasterは高域を強調するだけでなく、アンプを自然にプッシュして独特の咆哮を生み出す重要な要素でした。後年になってもIommiはこの音色を追求し、Laneyと共同開発した「Laney BCC TI-Boost」でRangemaster改造個体のサウンドを再現しました。

さらにステージセットアップが大型化した80年代以降は、Pete Cornishによるカスタム・スイッチングシステムが導入され、複数のエフェクターを安定的に制御可能にしました。この基盤により、パラレルループやバッファーが組み込まれ、ノイズを最小化しつつ多彩な音色を切り替えられるようになったのです。

使用されてきた個別のエフェクターとしては、Tycobrahe Parapedal(ワウ)、Drawmer LX20(コンプレッサー)、BossやDigiTechのOctave Divider(オクターブ)、そしてKorg SDD-1000を2台組み合わせてショート/ロングディレイを使い分ける手法が有名です。また、90年代以降はKorg DL8000R(マルチタップディレイ&コーラス)、Peavey Addverb III(リバーブ)、MXR 15-Band Stereo EQ(イコライザー)、Rocktron Guitar Silencer(ノイズリダクション)など、空間系やノイズ対策が重視されるようになりました。

こうした機材はライブごとに微調整されており、シンプルなリフ主体の曲ではRangemasterとアンプ直結で迫力を出し、叙情的な曲やソロではディレイやコーラスを足すなどのアプローチが取られています。最終ツアー「The End」でも、TI-Boostやコーラス系を組み込んだシステムで彼のサウンドは完成されていました。全体的に「必要最小限のエフェクトで圧倒的な存在感を出す」というのがIommi流の音作りである、と想定されます。

機材名メーカーAmazon最安値URLアーティストギタリストエフェクターの種類備考
Dallas Arbiter Rangemaster(改造個体)Dallas ArbiterAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiブースター初期のトーンを決定づけたトレブルブースター。改造仕様。
Laney BCC TI-BoostLaneyAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiブースター改造Rangemasterの再現として開発されたシグネチャー。
Pete Cornish Custom Switching SystemPete CornishAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiスイッチングシステム複数エフェクトを安定的に制御する基盤。
Tycobrahe ParapedalTycobraheAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiワウペダル独特な周波数レンジを持つワウ。ソロで使用。
Drawmer LX20DrawmerAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiコンプレッサーソロやクリーンパートでの音圧を安定化。
Boss/DigiTech Octave DividerBoss / DigiTechAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiオクターブ低域を厚くするために使用。
Korg SDD-1000(×2台)KorgAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiディレイショート/ロングのディレイを分けて使用。
Korg DL8000RKorgAmazonで探すBlack SabbathTony Iommi空間系マルチエフェクターマルチタップディレイやコーラスを提供。
Peavey Addverb IIIPeaveyAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiリバーブホール感を加えるためのリバーブ。
MXR 15-Band Stereo EQMXRAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiイコライザー帯域調整による音作りの細部コントロール。
Rocktron Guitar SilencerRocktronAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiノイズリダクション高ゲイン環境でのノイズを除去。
Shure ULXP ワイヤレスShureAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiワイヤレスライブでの自由なステージングを実現。

音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【Black Sabbath・Tony Iommi】

black and brown acoustic guitar

Tony Iommiの音作りは、ギターやアンプ以上に「セッティング」と「EQ処理」に大きな特徴があります。彼は指先を失ったことにより軽めの弦を使用しており、一般的なギタリストよりも弦のテンションが低めです。このため、アンプやEQで低域を強調しすぎると音がブーミーになりやすく、実際には中域を主体にして音を抜けさせています。特にLaneyアンプとRangemasterの組み合わせでは、トレブルブーストで倍音を持ち上げつつ、EQで不要なローを削ることが定石です。

例えば「Iron Man」や「War Pigs」などのリフ主体の楽曲では、アンプのBassは12時をやや下回る程度(4〜5)、Middleを強め(6〜7)、Trebleを中庸(5前後)にすることで、低域に引きずられないタイトなトーンが得られます。Presenceは高めに設定されることが多く、ステージではドラムやベースに埋もれないための処理として活用されています。これにより、ギターがバンド全体の中で「壁のように迫る質感」を保ちつつも、輪郭がしっかり残ります。

ソロに入る場合、IommiはワウやEQを活用して帯域を持ち上げ、フィードバックをコントロールすることが多いです。特に「Children of the Grave」や「Heaven and Hell」などのソロでは、ディレイを薄く加えて奥行きを出し、コンプレッサーでサスティンを確保しています。これはステージでの実用性に加え、スタジオ録音でもマイクプリやアウトボードを通すことで補強されていました。

レコーディングにおいては、エンジニアの手によってさらにミックス上の調整が行われています。70年代の作品ではアンプからのキャビ音を複数マイクで収録し、低域をテープコンプレッションで自然に飽和させることが多かったとされます。近年のライブやツアーでは、フロントに57系マイク、補助にリボンマイクを組み合わせ、EQで250Hz前後をカット、1.2kHz〜2kHzを持ち上げることでギターリフを前に出す手法が確認されています。

Iommiのサウンドを再現する上で重要なのは、「過度な歪みに頼らず、ピッキングのニュアンスと中域の強調で重厚さを表現する」という哲学です。メタル=ハイゲインというイメージがありますが、実際の彼の音はゲインを抑えた状態でアンプを押し込むことにより、太く粘りのある質感を得ています。これによりリフの一音一音がしっかりと立ち上がり、ソロでは流れるようなサスティンが実現されています。

PAエンジニア視点では、Tony Iommiのギターは常に「中域主体で抜けを作り、低域はベースと棲み分ける」ことが鍵となります。ドラムのキックやベースギターの帯域を侵食しないように、ギターは100Hz以下をハイパスするケースが多いです。その上で、3〜5kHzを軽くブーストすることでアタック感を加え、バンド全体における迫力を維持しています。これらは本人のアンプセッティングだけでなく、ライブのミックス処理においても徹底されていると言えるでしょう。

結論として、Tony Iommiの音作りは「Laneyアンプ+Rangemaster+P-90系ピックアップ」を軸としつつ、EQやミックスの工夫で中域を際立たせ、ローエンドを整理することに尽きます。これにより、Black Sabbathの重厚なサウンドが成立し、ヘヴィメタルというジャンルの基盤を築いたのです。セッティングの数値は参考程度ですが、「歪ませすぎない勇気」と「中域の確保」が本質だと想定されます。

比較的安価に音を近づける機材【Black Sabbath・Tony Iommi】

Tony Iommiの音を忠実に再現するには、Gibson SG Special“Monkey”やLaneyアンプ、改造Rangemasterなどの組み合わせが理想ですが、どれも高額かつ入手困難です。そこで、初心者や予算に限りがあるギタリストが比較的手軽にIommiサウンドへ近づけるための代替機材を紹介します。ポイントは「P-90系PUを搭載したギター」「中域を前に出すアンプ」「トレブルブースターの代用ペダル」の3つです。

まずギターについては、Epiphone SG SpecialやEpiphone Tony Iommi SG Customが比較的安価に入手可能で、レフティ仕様もあるためIommiファンにはうってつけです。P-90タイプのピックアップを搭載していれば、硬質で切れのある歪みが得やすく、Laney以外のアンプでもそれなりに近いキャラクターを作れます。

アンプに関しては、Laneyの現行エントリーモデル「Laney CUB」シリーズがコストパフォーマンスに優れており、自宅練習から小規模ライブまで使いやすい選択肢です。また、VOX AC15やMarshall Origin 20といった、クリーンからクランチまで幅広く対応できる真空管アンプもIommi的なセッティングを施すことで有効です。中域を強めに出すアンプを選ぶのがポイントです。

エフェクターについては、BOSS SD-1やMXR Micro Ampのようなシンプルなブースターがトレブルブースターの代役としておすすめです。さらに、Catalinbread Naga ViperのようなRangemaster系ペダルは、Iommiのブーストサウンドを現代的に再現するのに役立ちます。ディレイやリバーブはBOSS DD-8やTC Electronic Hall of Fameなど、定番のマルチ空間系ペダルで十分対応可能です。

重要なのは「歪ませすぎないこと」。Laneyやブースターで作られるナチュラルドライブ感を意識し、中域を持ち上げるEQ設定を行うだけで、Black Sabbathのリフを弾いたときに「あの感じ」が出やすくなります。高額なカスタム機材を揃える必要はなく、むしろ身近な機材を活かして「音の作り方」に注力することが、Iommi流サウンドに近づく最短ルートです。

種類機材名メーカーAmazon最安値URLアーティストギタリスト備考
ギターEpiphone SG SpecialEpiphoneAmazonで探すBlack SabbathTony Iommi入門機として最適。P-90搭載モデルを選ぶと近い質感が得られる。
ギターEpiphone Tony Iommi SG CustomEpiphoneAmazonで探すBlack SabbathTony Iommi本人監修のモデル。シグネチャーながら比較的手頃。
アンプLaney CUB-SUPER12LaneyAmazonで探すBlack SabbathTony Iommi小規模ライブ対応の真空管アンプ。Laney特有の中域を再現可能。
アンプMarshall Origin 20MarshallAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiクラシック系のブリティッシュトーン。EQで中域を押し出せば雰囲気が出る。
ブースターBOSS SD-1 Super OverDriveBOSSAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiトレブルブースターの代用として人気。価格も手頃。
ブースターMXR Micro AmpMXRAmazonで探すBlack SabbathTony Iommiシンプルなクリーンブーストでアンプを自然に押せる。
ブースターCatalinbread Naga ViperCatalinbreadAmazonで探すBlack SabbathTony IommiRangemaster系の再現ペダル。Iommi的トーンに直結。
ディレイBOSS DD-8 Digital DelayBOSSAmazonで探すBlack SabbathTony Iommi多彩なディレイモードでソロや空間処理に対応。
リバーブTC Electronic Hall of Fame 2TC ElectronicAmazonで探すBlack SabbathTony Iommi定番リバーブ。ホール感を追加してライブ的な音像を作れる。

総括まとめ【Black Sabbath・Tony Iommi】

まとめイメージ

Tony Iommiの音作りを振り返ると、その本質は「シンプルでありながら圧倒的に重厚」という一点に尽きます。Black Sabbathの黎明期において、彼はFender Stratocasterから偶然手にしたSG Special“Monkey”を軸に、Laneyアンプと改造Rangemasterを組み合わせることで、ロック史上初の「ヘヴィメタルサウンド」を生み出しました。そのスタイルは派手なエフェクトや過度なゲインに依存することなく、リフそのものの力強さと中域の厚みによって存在感を放っています。

Iommiのプレイスタイルは、工場事故で失った指先を補うために生まれた特製フィンガーチップや、軽めの弦ゲージを使った演奏に由来します。この物理的な要素が結果的に独特のトーンをもたらし、他のギタリストにはないサウンドキャラクターを確立しました。つまり、彼の音は単なる機材の選択だけでなく、「演奏者自身の身体的背景」までもが大きく影響しているのです。

また、アンプセッティングやEQの扱いも重要で、「低域を絞り、中域を強調する」という哲学が徹底されています。この考え方により、ベースやドラムとぶつからず、バンド全体を支配するようなギターサウンドが成立します。ライブではPA処理も含め、100Hz以下を整理しつつ、2kHz前後を持ち上げることで、リフのアタックが観客に突き刺さるよう調整されています。

初心者やファンがIommiの音を再現する場合、必ずしも高額なオリジナル機材を揃える必要はありません。Epiphone SGやBOSS SD-1、Laney CUBなどの手頃な機材を用い、「歪ませすぎないブースト」「中域主体のEQ」「リフの粒立ちを大切にする演奏」を意識するだけで、十分に“あの音”に近づけます。むしろ重要なのは「機材そのもの」よりも「音をどう作り込むか」という意識の部分にあります。

結論として、Tony Iommiサウンドの再現に必要なのは、①P-90系ピックアップを搭載したSG系ギター、②中域を強調するブリティッシュアンプ(できればLaney)、③ブースターでの軽いゲインアップ、そして④中低域を整理するEQセッティング。この4点に集約されます。これらを理解すれば、初心者でもBlack Sabbathのリフを鳴らした瞬間に「あの暗く重たい空気感」を体感できるはずです。

Tony Iommiの音作りは、メタルギターの起点であり、今なお数多くのギタリストが手本にしています。その核心は「シンプルさと中域の支配力」。この哲学を学ぶことこそが、Iommi流サウンドを手にするための最大のヒントと言えるでしょう。

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下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!

🎸ギター
• Gibson “Monkey” SG Special(1964/65オリジナル):左利き用SG Special。ブリッジ側は金属カバー入りP-90、ネック側はJohn Birch製P-90系シングル。指板はポリウレタン塗装/ゼロフレット追加。サバス初期~70年代の主戦力。
• Gibson Custom Shop “Monkey” SG Special Replica(2020):50本限定(左右各25)。本人サイン入り。
• Gibson USA Iommi Signature SG(現行量産モデル):マホガニー/ローズ、P-90×2(クロームカバー)、Groverペグ等の仕様。
• JayDee Custom “Old Boy”:John Diggins製のカスタムSG。十字インレイで知られる、長年のステージ用主力。
• John Birch SG(ブラック):70年代半ば以降に使用されたBirch製カスタムSG。
• Fender Stratocaster(ホワイト):デビュー作レコーディング時に所持。ストラトのPU故障を機にSGへ移行。
• Gibson SG(ホワイト/3PU):「Paranoid」曲中で使用との本人発言を報じる記事あり。
• Epiphone SG Special(レフティ)

🔊アンプ
• Laney LA100BL “Supergroup”:初期サバス期の象徴的ヘッド。後年に復刻され「The End」期にも使用。
• Laney GH100TI(シグネチャー/1990s〜):現在のライブ・リグでキャビを駆動。
• Laney TI100(2chシグネチャー):Iommiとの長年の協業から生まれた後期モデル。
• Laney 4×12” キャビ(Celestion G12H搭載)/HH V800(モニター用パワー)等、周辺機材。

🎛️エフェクター
• Dallas Arbiter Rangemaster(改造個体):初期〜の“トレブルブースター”系。後年のシグネチャーLaney BCC TI-Boostはこの改造Rangemasterのボイシングを再現(Black Sabbath最終ツアー用として設計・使用)。
• Pete Cornishカスタム・ルーティング/スイッチング(インライン&パラレル・ループ基盤)。
• Tycobrahe Parapedal(ワウ)、Drawmer LX20(コンプ)、Boss or DigiTech Octave Divider(オクターブ)、Korg SDD-1000 ×2(ショート/ロング・ディレイ)、Korg DL8000R(マルチタップ/コーラス)、Peavey Addverb III(リバーブ等)、MXR 15-Band Stereo EQ、Rocktron Guitar Silencer、Shure ULXP ワイヤレス

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