始めに(特徴紹介)
「すりぃ」は、バンドAoooでのギター&コンポーザーとして活動しながら、ボカロシーンでも絶大な支持を集めるマルチアーティストです。
代表曲には「テレキャスタービーボーイ」や「エゴロック」など、尖ったリズムとエッジの効いたギターサウンドが印象的な作品が並びます。特に、クランチ~ディストーションの中間を狙ったジャズマスター特有の音抜けと歯切れの良さは、すりぃサウンドの核とも言える要素です。
ギターのみならず、DTM環境やボーカロイドを駆使して構築される楽曲の完成度は非常に高く、ギターサウンドもデジタルとアナログの狭間で緻密にデザインされています。
彼の音作りの最大の特徴は「ノスタルジックでありながら、現代的に洗練された質感」です。たとえば、Divided by 13やBognerといったハイエンドなアンプに加え、Neural DSP / Quad Cortexなど最新のフロアモデラーを併用することで、ジャンルを超えたサウンドスケープを実現しています。
使用ギターも非常に幅広く、Fender Jazzmaster(ヴィンテージモデル含む)やTelecaster、Crews Maniac SoundのTele-Gibなど、ジャンルレスな選定が印象的です。アコースティックでもMartinを使用しており、生音にこだわるスタイルも持ち合わせています。
また、すりぃはスタジオ・ライブ双方で積極的にアウトボードや高性能エフェクターを使用しており、ペダルボードの構成も「必要最小限で最大効率を出す」戦略性を感じさせます。
本記事では、そんなすりぃのギターサウンドに近づくためのアンプ、ギター、エフェクター、EQ設定、代替機材の選び方を、丁寧に解説していきます。
使用アンプ一覧と特徴【Aooo・すりぃ】
すりぃの使用アンプには、ハイエンドな真空管アンプから、伝統的なコンボアンプまで幅広いモデルが含まれています。代表的なのは、Divided by 13の「FTR37」とBognerの「Ecstasy 101B」。いずれもプロユースに耐える高品質なトーンを持ち、多彩なジャンルへの適応性があります。
「Divided by 13 / FTR37」は、60年代のFender系アンプをベースにしつつも、ミッドの押し出しが強く、シングルコイルのジャズマスターとの相性も抜群です。ライブではこのFTR37と専用2×12キャビネットを併用することが多く、太く抜けの良いクリーン〜クランチトーンを担っています。
「Bogner / Ecstasy 101B」は、よりゲインの高いリードトーンを要する場面で使用されます。3チャンネル仕様により、クリーン、クランチ、ハイゲインが一台で完結。特にSuhr / Eclipseなどのハイゲインエフェクターと組み合わせることで、非常に立体的な歪みを作り出しています。
また、キャビネットには「ORANGE / PPC212」を用いており、厚みのある中低域と抜けの良い高域が特長です。クローズドバック構造により、リハーサルスタジオやライブハウスでもしっかりとした音圧が得られます。
一方で、録音やコンパクトなセットでの演奏では「Fender ’65 Twin Reverb」も選択肢として使用されています。トラディショナルなブラックフェイス系のサウンドは、ジャズマスターとの相性が良く、あくまでクリアなトーンを保ったまま空間系エフェクトやEQ処理で音を作り込むスタイルが伺えます。
いずれのアンプも、「基礎的なトーンのクオリティ」を大前提としながらも、「楽曲ごとに可変的なEQ処理やモデリングを行う」ことで、デジタル世代らしいハイブリッドな音作りを支えています。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
FTR37/2x12f | Divided by 13 | FTR37+Divided by 13 | Aooo | すりぃ | ライブでメイン使用。ミドル重視の抜けるクランチ。 |
Ecstasy 101B | Bogner | Ecstasy+101B+Bogner | Aooo | すりぃ | 多チャンネル構成で多彩な歪みをカバー。 |
PPC212 | ORANGE | PPC212+ORANGE | Aooo | すりぃ | 中低域が太く、キャビネット選びにも強いこだわりが見られる。 |
’65 Twin Reverb | Fender | ’65+Twin+Reverb+Fender | Aooo | すりぃ | 録音用途に。ナチュラルで空間系との相性が抜群。 |
使用ギターの種類と特徴【Aooo・すりぃ】

すりぃのギター選びには、彼のジャンル横断的な楽曲スタイルと、現代的なポップセンスが色濃く反映されています。代表的な使用ギターには、FenderのJazzmasterやTelecaster、さらにGibsonのES-335などがあり、それぞれの楽器が異なる音楽的役割を担っています。
メインでよく見られるのは「Fender / Jazzmaster」。Surf Greenの個体は視覚的にも個性的で、シングルコイル特有のブライトなトーンが、Voやエレクトロ系アレンジとも絶妙に絡み合います。また、Sunburstカラーのヴィンテージモデルや、国内製の「Made in Japan Traditional」シリーズも使い分けているようで、こちらは温かみあるミッドの質感が魅力です。
Fender / Telecaster(White)は、ジャズマスターと比較してシャープでドライなアタック感があり、よりロック寄りなアプローチやカッティングで活躍します。すりぃのライブアクトでは、タイトでリズミカルな楽曲にこのテレキャスターがマッチすることが多く見られます。
Crews Maniac Soundの「STILL ON THE RUN “Tele-Gib”」も、彼のこだわりが詰まった一本です。これはハムバッカーを搭載したテレキャスター系ギターで、ブリッジの出力が高く、より太く図太いトーンを実現。Suhrの歪み系ペダルと合わせることで、メタリックな質感と歌心を両立しています。
さらに、Gibson / ES-335(Wine Red)はセミアコ特有のウォームな鳴りが特徴。中低域に丸みがあり、空間系エフェクトとの相性も良いため、バラードやスローな楽曲、さらには録音現場などでも重宝されているようです。
アコースティックギターはMartin製のものを使用していますが、モデル名の明確な情報は確認できません。とはいえ、ライブや動画での弾き語りなどで登場しており、ナチュラルで繊細なトーンが魅力的です。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
Jazzmaster (Surf Green) | Fender | Jazzmaster+Fender | Aooo | すりぃ | エレキギター | シングルコイルで明るく鋭い。メイン使用。 |
Jazzmaster (Sunburst / MIJ Traditional) | Fender | Jazzmaster+Fender | Aooo | すりぃ | エレキギター | よりミッド重視。暖かいヴィンテージトーン。 |
Telecaster (White) | Fender | Telecaster+Fender | Aooo | すりぃ | エレキギター | タイトなカッティング向き。 |
STILL ON THE RUN “Tele-Gib” | Crews Maniac Sound | Tele-Gib+Crews | Aooo | すりぃ | エレキギター | ハムバッカー搭載で高出力。重厚な歪みに最適。 |
ES-335 (Wine Red) | Gibson | ES-335+Gibson | Aooo | すりぃ | エレキギター(セミアコ) | 空間系との相性が良く、録音向き。 |
不明(アコースティックギター) | Martin | Martin+acoustic+guitar | Aooo | すりぃ | アコースティックギター | 詳細モデル不明。弾き語りでの使用が確認されている。 |
使用エフェクターとボード構成【Aooo・すりぃ】
すりぃのエフェクトボード構成は、非常に実践的かつ柔軟性の高い内容となっています。基本的にはフロア型マルチ「Neural DSP / Quad Cortex」を中核に据えた構成が中心で、ライブやレコーディングでの再現性の高さと、モダンなプリセット運用が可能な点が特徴です。
Quad Cortexは、複数のアンプ・キャビネット・エフェクトの同時処理が可能で、プロファイリング機能によって愛用アンプの音を取り込んで使うこともできます。すりぃのように、ジャンル横断的なトラックを多く作るアーティストには、この柔軟性は非常に大きなアドバンテージとなります。
加えて、歪み系では「Fulltone / OCD」や「BOSS / BD-2」「DS-1」、そして「Suhr / Eclipse」といった定番を複数導入していることが確認されています。OCDはオーバードライブの中でも深く歪みつつも透明感のあるサウンドが特徴で、クリーン~クランチ間のトーン作りに活躍。BD-2はブルージーなタッチ感、DS-1はエッジの効いた鋭い歪みが欲しい時に使い分けているようです。
さらに、Suhr / Eclipseは2チャンネル構成のディストーションで、ミッドの操作性も良く、重厚なリフとソロどちらにも対応可能です。これにより、ロック寄りなアンサンブルでも明確な存在感を保ちます。
その他、足元の操作性向上のためにMission Engineering / EP1-KP(Kemper対応エクスプレッションペダル)を使用し、ワウやボリューム操作も可能に。KORG / DT-10(定番チューナー)とSHURE / GLXD16(ワイヤレスシステム)も装備されており、ライブパフォーマンスにおける快適性と安定性を実現しています。
こうした構成からも、すりぃがテクノロジーを積極的に取り入れながらも、定番のアナログエフェクターの質感にもこだわっていることがうかがえます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
OCD | Fulltone | OCD+Fulltone | Aooo | すりぃ | オーバードライブ | 深く歪んでも抜けの良い音。クランチ系で活躍。 |
BD-2 Blues Driver | BOSS | BD-2+BOSS | Aooo | すりぃ | オーバードライブ | ナチュラルな歪みとタッチ感が魅力。 |
DS-1 | BOSS | DS-1+BOSS | Aooo | すりぃ | ディストーション | 定番のエッジーな歪み。高音が際立つ。 |
Eclipse | Suhr | Eclipse+Suhr | Aooo | すりぃ | ディストーション | 2ch仕様で音色の幅が広く、ソロでも◎。 |
EP1-KP | Mission Engineering | EP1-KP+Mission | Aooo | すりぃ | エクスプレッションペダル | Kemper向けだが汎用性あり。操作性◎。 |
Quad Cortex | Neural DSP | Quad+Cortex+Neural | Aooo | すりぃ | ギター用マルチエフェクター | 高性能モデリング&プロファイル可能。 |
DT-10 | KORG | DT-10+KORG | Aooo | すりぃ | チューナー(非分類) | ステージ用定番チューナー。 |
GLXD16 | SHURE | GLXD16+SHURE | Aooo | すりぃ | ワイヤレスシステム(非分類) | ライブパフォーマンス向け。ノイズ少。 |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【Aooo・すりぃ】

Aoooのすりぃが生み出すギターサウンドは、単なる「音の良さ」だけでなく、トラック全体のバランスを意識した精密な音作りがなされています。その背景には、自身が作曲家/ボカロP/エンジニアとして活動してきた経験が強く影響しています。
まず、EQ(イコライザー)設定について。すりぃはLogic Proを中心としたDAW環境でミックス作業を行っており、ギターはロー~ローミッド(100~300Hz付近)をややカットして、濁りを抑える傾向があります。一方で、プレゼンス帯域(3kHz〜6kHz)をやや持ち上げることで、アンサンブル内でもギターが抜けやすくなっています。
特にストラト系やジャズマスターのようなシングルコイル系ギターを使う場合、耳に刺さらないよう6kHz以上の高域は軽くロールオフ(徐々に下げる)処理が入ることもあります。これにより、ボーカル帯域(2〜4kHz)と競合せず、楽曲全体の聴きやすさを確保しています。
アンプの設定に関しては、Divided by 13やFender Twin Reverbなどを使用する際、基本的にはクリーン〜クランチの中間を狙ったセッティングが主流です。ゲインは3〜4程度に抑え、EQでは「Treble 6」「Middle 5」「Bass 3」など、ミッド寄りのサウンドが中心。Quad Cortexを使う際も、上記のアンプモデルを再現したプロファイルで似たトーンを構築している可能性が高いです。
また、DAW内でのコンプやサチュレーション処理も特徴的です。Wavesの「MaxxBass」や「Vitamin Sonic Enhancer」を使って中低域に厚みを加えることで、ピック弾きでも音が細くなりにくい工夫がなされています。これらのプラグインにより、レコーディング時の生感を損なわずに存在感のある音像が作られています。
ミックス全体で見ても、ギターは「メイン・リフ」はセンター寄り、「装飾的なアルペジオ」は左右にパンニングされる傾向にあります。これにより、空間の広がりと楽曲展開の動きが明確になります。加えて、リバーブやディレイも楽曲によって多彩に使い分けられ、テンポシンクしたステレオディレイは特に印象的な場面で活躍しています。
すりぃは「ギター単体で良い音」というより「全体に溶け込む最適解」としての音作りを徹底しており、その手法はギターキッズだけでなく、DTMer・ミキシング志向のギタリストにも大いに参考になるでしょう。
比較的安価に音を近づける機材【Aooo・すりぃ】
すりぃのような洗練されたギターサウンドを再現するには、高級な機材が必要と思われがちですが、実際には工夫次第で近い雰囲気を得ることは可能です。ここでは、初心者や中級者向けでも手に入りやすく、Aooo・すりぃ風のトーンを目指せる機材を紹介します。
まずギターは、Fender Jazzmasterの代替として「Squier by Fender / J Mascis Jazzmaster」が非常に優秀です。見た目や構造も近く、ピックアップもファットで抜けの良いサウンドが特徴。アンサンブルでもしっかり主張できます。価格も実売6〜7万円台と手頃で、これからジャズマスターに触れてみたい方にぴったりです。
アンプに関しては、「YAMAHA / THR30II Wireless」がおすすめ。Fender系クリーントーンや軽いクランチまで幅広く対応でき、Bluetooth再生や録音機能も備えており、宅録にも最適。すりぃが意識する「スタジオトーンとミックスの一体感」も作りやすくなっています。
エフェクター面では、すりぃが実際に使うBOSSのBD-2 Blues Driverのようなミドルの強いオーバードライブの代替として、「MOOER / Blues Mood」が優秀です。安価ながら音の立体感もあり、クランチからリードまで柔軟に対応可能です。
また、ディレイやリバーブによる空間演出には、「NUX / Atlantic Delay & Reverb」が最適です。1台でディレイとリバーブをカバーし、プリセット保存機能もありライブでも即戦力。テンポシンクのステレオディレイも再現可能で、Aoooのアレンジに合った音場が作りやすくなります。
モデリングアンプやマルチエフェクターに慣れたい方には、「Line6 / POD GO」もおすすめです。Quad Cortexほどのプロ仕様ではありませんが、FenderやBogner風のアンプモデリング、エフェクトチェイン構築、IR対応など、すりぃのような音を丁寧に追求するには十分な機能があります。
このように、予算5万円〜10万円程度で揃えられる機材でも、音作りや演奏意識を高めればすりぃらしいアーティスティックなトーンに近づくことができます。機材選びは「音色の意図」を理解することが何より大切であり、それこそが再現性を高めるカギです。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
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ギター | J Mascis Jazzmaster | Squier by Fender | Amazonで探す | Aooo | すりぃ | Jazzmasterのトーンや見た目が近く、価格帯も手頃な代替モデル |
アンプ | THR30II Wireless | YAMAHA | Amazonで探す | Aooo | すりぃ | Fender風のクリーンと空間系を簡単に再現できるデスクトップアンプ |
オーバードライブ | Blues Mood | MOOER | Amazonで探す | Aooo | すりぃ | BOSS BD-2のトーンに似た粘りのあるサウンド。価格も1万円台 |
空間系マルチエフェクター | Atlantic Delay & Reverb | NUX | Amazonで探す | Aooo | すりぃ | ディレイとリバーブが1台に集約。ミックス向けの空間処理に最適 |
ギター用マルチエフェクター | POD GO | Line6 | Amazonで探す | Aooo | すりぃ | アンプやIR対応でモダンな音作りをカバー。スタジオでも活躍 |
総括まとめ【Aooo・すりぃ】

Aoooのギタリスト・すりぃのサウンドは、単なるエフェクターやアンプの構成にとどまらず、アレンジ・ミックス・演奏の間合いまで含めた「総合芸術」のようなバランスに支えられています。
その音は、ジャズマスターのような独特な倍音感を持つギターを基点に、真空管アンプの温かさ、適切にコントロールされたオーバードライブの質感、そして空間系の繊細な調整によって成り立っています。そこに、DTMでのEQ処理やコンプ、エンハンス系プラグインによる「音の輪郭付け」が加わることで、非常に立体的で洗練された音像が完成します。
中でも重要なのは「余白の設計」。ギターの音が鳴っていない瞬間に他の音がどう配置されているか、逆にどれだけ空間をあけるか、そういった意識がすりぃの音作りの本質に深く関わっています。これは彼のDTM的センス、つまり作曲家としての視点がギタリストの音に反映されているからこそ生まれるものです。
また、Neural DSPのQuad Cortexを活用することで、現代的なライブ演出にも柔軟に対応しており、従来のペダルボード構成だけではなく「シーンに応じた音作り」を随所に展開しています。ライブ、レコーディング、YouTube用音源など、用途に応じてトーンが変わっているのも見逃せません。
これからすりぃ風の音に挑戦する方は、まず「クリーンを活かした空間作り」から始めるのが良いでしょう。次に、オーバードライブやコンプ、ディレイ、リバーブを使って輪郭を加えていき、最後にEQとミックス処理で整理する。そんな段階的なアプローチを取ることで、より本質に迫ることができます。
すりぃのサウンドは「派手さ」ではなく「緻密さ」によって支えられています。だからこそ、機材の選定も大切ですが、それ以上に「音の居場所を考える耳と感性」を磨くことが、彼のような音作りに近づく鍵となるでしょう。
ぜひ、この記事をきっかけに、自分なりの「すりぃ風サウンド」を模索してみてください。
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