始めに(特徴紹介)
大賀好修さんは、B’z、ZARD、倉木麻衣といったJ-POP/ロックを代表するアーティストのライブおよびレコーディングにおいて、サポートギタリストとして長年にわたり活躍してきた名プレイヤーです。
そのプレイスタイルは、あくまでボーカルを引き立てることを最優先にしつつも、楽曲に必要不可欠なエッジやグルーヴを加えるプロフェッショナルそのもの。圧倒的な引き出しの多さと、場面に応じた音色の切り替え、繊細なクリーントーンから分厚いハイゲインまで、シームレスにコントロールするサウンドセンスが特徴です。
特にB’zの「RED」や「Black Coffee」など、ロック色の強いナンバーでは、Gibson Les PaulやFATアンプによる太く鋭いドライブサウンドが際立ちます。一方でZARDや倉木麻衣の楽曲では、TaylorのエレアコやFender Stratocasterなどを駆使し、透明感のあるトーンや空間系エフェクトを活用したミックスに溶け込む美しいプレイを展開しています。
注目すべきは、常に音楽全体の完成度を優先するそのアプローチです。ライブではBOSS MS-3やMorningstar FX ML5を用いて、瞬時に音色を切り替え、的確なタイミングで空間系やドライブ系を駆使。その背後にはCustom Audio JapanやFAT製のペダル、Eventide H9やNova Delayなど、プロ仕様のハードウェアが控えており、これらをシステマチックに制御する設計にもプロフェッショナルの矜持が表れています。
派手なソロプレイではなく、あくまで「名脇役」としてバンド全体の音楽的価値を最大化するギタリスト。だからこそ、多くの一流アーティストから信頼を寄せられているのでしょう。
本記事では、大賀好修さんの音作りを深掘りし、どのようにそのサウンドが構築されているのかを解説。再現に役立つ機材や設定例も併せて紹介していきます。
使用アンプ一覧と特徴【B’z・ZARD・倉木麻衣サポート・大賀好修】
大賀好修さんの使用アンプは、FAT製の高品位なチューブアンプを中心に構成されています。特にB’zのサポート時には、松本孝弘さんと同じくFATカスタムアンプを愛用しており、その音色は厚みとレスポンスに優れ、ステージ上でのバンドサウンドを強力に支えています。
FAT13は歪み専用アンプで、ハイゲインながら音が潰れすぎず、コード感を保ったまま押し出しの強いトーンを出力。特に「RED」や「ultra soul」など、B’zらしいドライブサウンドに最適化されています。
一方で、クリーントーンにはFAT12を使用。こちらは100W出力の2チャンネル仕様で、レンジが広く、Taylorのエレアコやストラトタイプとの相性も抜群。アコースティック系や倉木麻衣のサポート時には、このアンプの繊細なクリーンが多く使われていたと推測されます。
スピーカーキャビネットも歪み用とクリーン用で分けられており、歪み側はCelestion Vintage 30を2基搭載したFAT212、クリーン側はJensen C12Kを2基使用したキャビネットを使用。用途ごとに最適なキャビネットを組み合わせて、音の分離と明瞭度を高めています。
ラックには、RJM Mini Effect GizmoやCustom Audio Japan RS616などのMIDI対応コントローラーを配し、瞬時にアンプチャンネルやエフェクトループを切り替え可能な設計がなされています。
スタジオやリハーサルなどではMS-3単体を中心とした軽量構成も見られ、柔軟にシステムを使い分けていることが伺えます。
総じて、大賀さんのアンプ選びは「クリアな分離感」と「的確なダイナミクスコントロール」を重視したものと言えるでしょう。ステージ環境や楽曲の雰囲気に応じて、的確に出音を調整するプロフェッショナルな姿勢が反映されています。
使用ギターの種類と特徴【B’z・ZARD・倉木麻衣サポート・大賀好修】

大賀好修さんのギター選びは、サウンドの多様性と演奏性を兼ね備えたラインナップで構成されています。メインとして長年使用しているのはGibson Les Paul Standardで、その太く芯のあるサウンドはB’zの重厚なバンドサウンドにもマッチしています。「ultra soul」や「RED」など、ロックナンバーでの迫力あるディストーションサウンドは、このギターによって支えられています。
さらに、2015年の「B’z LIVE-GYM 2015 -EPIC NIGHT-」では、Gibson Les Paul Standardの他にもLes Paul Customや’58リイシューなど、計3本以上のレスポールタイプをスタンバイしており、楽曲やチューニングに応じて使い分けていたことが確認されています。
一方、アコースティックセクションではTaylor 814eを愛用しており、「君を気にしない日など」や「Exit To The Sun」といったバラード系ではその美しい鳴りが活かされています。Taylor 800シリーズのバックアップ機も確認されており、ステージでのトラブルにも備えた堅実なセッティングが組まれています。
また、Fender Custom Shop製のStratocasterも登場しており、よりシャープでヌケの良いトーンを求められる楽曲(例:”Black Coffee”や”EPIC DAY”)では、このギターが使われていたようです。
特徴的なところでは、Diamond製のダブルネックギターもツアー中に使用され、「RED」など半音下げチューニングが必要な曲において、瞬時の切り替えと見た目のインパクトを両立しています。
これらのギターはいずれも、B’z、ZARD、倉木麻衣といったアーティストの幅広い音楽性をカバーするために選ばれたものであり、大賀さんの演奏スタイルと高い音楽的柔軟性が反映されたセレクションとなっています。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
Les Paul Standard | Gibson | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | エレキギター | メイン使用。B’z楽曲での力強い歪みに対応。 |
Les Paul Custom | Gibson | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | エレキギター | サブギター。落ち着いたトーンが特徴。 |
Les Paul ’58 Reissue | Gibson | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | エレキギター | ツアー時期より導入されたビンテージモデル。 |
814e | Taylor | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | エレアコ | バラードなどで使用。クリアでリッチな鳴り。 |
800 Series (Backup) | Taylor | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | エレアコ | 814eのバックアップとして使用。 |
Stratocaster (Custom Shop) | Fender | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | エレキギター | シャープで明るいトーン。特定楽曲用。 |
Double Neck | Diamond | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | エレキギター | 半音下げ用チューニングギター。「RED」で使用。 |
使用エフェクターとボード構成【B’z・ZARD・倉木麻衣サポート・大賀好修】
大賀好修さんのエフェクターボードは、ライブごとにアップデートが加えられており、特に近年ではコンパクトながら非常に洗練された構成が特徴です。メインスイッチャーにはBOSS MS-3を採用しており、内蔵エフェクトと外部エフェクトを柔軟に組み合わせた設計。さらに、Morningstar FX ML5によって外部ループをMIDI制御し、プレイ中でも自在なパッチ切り替えが可能となっています。
このセットアップは、ライブ現場でのスムーズな操作性と多彩な音作りを両立するための工夫であり、コンパクトながらも高機能なペダルボードとして、多くのプロギタリストからも注目を集めています。
2015年のB’zツアー「EPIC NIGHT」では、さらに大規模なラックエフェクトシステムを展開。Custom Audio Japan RS616を中心に、RJM Mini Effect Gizmoなどを組み合わせたMIDI制御のシステムを構築していました。これにより、瞬時に複雑なエフェクトチェンジが可能なだけでなく、音色の再現性と安定性を大きく高めています。
使用されているペダルは、FAT製のカスタムモデル(FAT214.K、FAT514.D、FAT314.C)をはじめ、Ibanez BB9 Bottom BoosterやFree The Tone FT-1Y Digital Delayなど、高品質でプロユースなものが目立ちます。特にOvaltone HARMONICS BOOSTなどは、ブースターとしての役割だけでなく、倍音の補正や補強にも寄与しており、音の立体感を支える重要な役割を担っています。
空間系エフェクトでは、t.c. electronicのNova DelayやNova Reverb、そしてEventide H9が使用されており、ディレイセクションをエレキ用とアコースティック用に分けて運用するという非常に緻密な設計が施されています。Mackie Onyx 820iなどのミキサーも使われており、PAとの連携まで意識された構成です。
また、足元のフットペダルには、FATモディファイのBOSS製ボリュームペダル(ステレオ対応)や、Jim Dunlop製のTak Cry Baby(TM95)ワウペダルがラインナップされており、表現力豊かなダイナミクスコントロールも大賀さんのサウンドを支える要素となっています。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
MS-3 Multi Effects Switcher | BOSS | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | ギター用マルチエフェクター | 近年のメインスイッチャー。内蔵エフェクトも使用。 |
ML5 | Morningstar FX | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | スイッチングシステム | BOSS MS-3と連携。5ループ制御を担当。 |
Mini Effect Gizmo | RJM Music | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | スイッチングシステム | ラック内MIDI制御に使用。 |
FT-1Y Digital Delay | Free The Tone | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | ディレイ | 高解像度ディレイ。ラックエフェクトにも組み込み。 |
HARMONICS BOOST | Ovaltone | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | ブースター | 音の厚み・倍音補正に貢献。 |
Nova Delay | t.c. electronic | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | ディレイ | アコギにも使用。音の立体感を演出。 |
Nova Reverb | t.c. electronic | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | リバーブ | 美しい残響を演出する空間系エフェクト。 |
Eventide H9 | Eventide | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | 空間系マルチエフェクター | 高機能空間系ペダル。多くのモジュレーションにも対応。 |
TM95 Tak Cry Baby | Jim Dunlop | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | ワウペダル | 松本孝弘シグネチャー仕様のワウペダル。 |
Pitchblack | KORG | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | チューナー | エレキ・アコギ両対応の定番ペダルチューナー。 |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【B’z・ZARD・倉木麻衣サポート・大賀好修】

大賀好修さんの音作りにおいて最も特徴的なのは、「バンドアンサンブルの中で抜ける中域の調整」と「演奏タッチと一体化した自然なダイナミクス処理」です。特にB’zのようなラウドで情報量の多いバンドサウンドにおいても、彼のギターは決して埋もれることなく、的確な音域で存在感を発揮します。
アンプセッティングでは、FAT13のゲインは5〜6程度に設定し、ギター側のボリューム操作でニュアンスをつけるスタイルを採用。トレブルとプレゼンスをやや強調することで、メインの松本孝弘さんのギターとの帯域かぶりを避けつつ、リードでもバッキングでもバンドを支える役割を果たしています。
一方、クリーンサウンドでは、FAT12のミッドレンジをやや控えめにし、ハイを滑らかに整えることで、Taylorのエレアコの美しい響きをそのまま前に出すようなトーンメイクがされています。ライブではPA卓側で中域に軽くコンプをかけることが多く、ライン直結時でも「潰れずにしっかり鳴る」ギターサウンドを構築しています。
MS-3やML5を使用したエフェクト制御では、ソロセクションでのディレイや、特定楽曲でのモジュレーション(コーラス、フランジャー)のON/OFFをプログラム。ディレイタイムはBPMに合わせた設定がされており、1/4ディレイやDotted 8th(付点8分)などを使い分けるなど、空間系の使い方にもこだわりが見られます。
また、音の分離感を確保するため、ギター→エフェクト→アンプの接続順においても、できるだけ直列接続を避け、ルーティングの最適化を図っています。特にアコースティックセットでは、Nova DelayやNova Reverbといった空間系を専用ルートでまとめ、クリーンなライン信号としてPA卓へ送り出す工夫がなされています。
バンド全体のミックスにおいても、大賀さんのギターは「右寄りに定位」「中域を意識してEQ補正」されることが多く、松本さんのギターやシンセ・ボーカルとの音域住み分けが徹底されています。まさに「バンドを構成する一員としての音作り」が意識された、非常にプロフェッショナルなセッティングです。
比較的安価に音を近づける機材【B’z・ZARD・倉木麻衣サポート・大賀好修】
大賀好修さんのような、プロフェッショナル仕様のギターシステムをすべて再現するのは初心者にとって現実的ではありませんが、ポイントを押さえることで、比較的安価に彼のサウンドのエッセンスに近づけることは可能です。
まずアンプ部に関しては、FAT13やFAT12といったハンドメイドアンプの代用として、BOSSの「KATANA Artist MkII」がおすすめです。モダンでレンジの広いクリーントーンと、粘りのあるミッドゲインの歪みサウンドを搭載しており、MS-3のようなマルチエフェクターとの親和性も高いです。
次にエフェクターですが、彼が使用しているBOSS MS-3は比較的安価ながらも、スイッチャー+マルチエフェクターの機能を兼ね備えています。そのため、この1台を導入するだけで、リバーブ・ディレイ・コーラス・ブースターまでの再現が可能になります。
加えて、ソロ用のブースターとして「Ibanez TS MINI」や「BB Preamp」などのミニブースターを追加すれば、彼のソロトーンに近づけるための粒立ちと中域の粘りを加えることができます。
また、空間系処理ではEventide H9のようなハイエンドマルチは高価ですが、「NUX Atlantic Delay & Reverb」のようなディレイ+リバーブ内蔵のペダルで十分に代用可能です。付点8分ディレイなどの設定も可能で、ライブや宅録にも適しています。
アコースティックギター用には、「YAMAHA A5R」や「TAYLOR Academyシリーズ」などのエレアコが候補に挙げられます。Taylor 814eの持つ豊かな倍音と中域を全ては再現できませんが、近いフィーリングを得ることはできます。
最後にチューナー&ボリュームペダルの代用としては、「KORG Pitchblack X」+「BOSS FV-30H」がコンパクトで安価かつ信頼性も高く、おすすめです。これらの組み合わせによって、大賀さんの機材構成をおおよそ再現したシステムを5〜8万円台で構築することが可能です。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
ギター用マルチエフェクター | MS-3 Multi Effects Switcher | BOSS | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | 実機使用あり。スイッチャー&マルチの融合型 |
プリアンプ/アンプシミュレーター | KATANA Artist MkII | BOSS | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | FAT13/FAT12の代替アンプ。幅広い音作りが可能 |
ブースター | TS Mini | Ibanez | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | 中域を強調し、ソロ時の音抜けを補強 |
空間系マルチエフェクター | Atlantic Delay & Reverb | NUX | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | H9の代替候補。リバーブとディレイの統合モデル |
ボリュームペダル | FV-30H | BOSS | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | ステレオ対応で、エレキ&アコギ両対応 |
チューナー | Pitchblack X | KORG | Amazonで検索 | B’z | 大賀好修 | 実機と同系統。高精度チューナー |
総括まとめ【B’z・ZARD・倉木麻衣サポート・大賀好修】

大賀好修さんのギターサウンドは、まさに“縁の下の力持ち”的存在で、B’z、ZARD、倉木麻衣といった一流アーティストのライブを支える縁の下のプロフェッショナルです。
彼の音作りの本質は、華やかさよりも「確実さ」と「安定感」、そして「楽曲への没入感」にあります。自分を主張しすぎず、しかしどの場面でも楽曲に必要なトーンを瞬時に供給する、その柔軟かつ繊細な対応力こそが、大賀サウンドの最大の特徴です。
機材を見ると、FAT製アンプに代表されるような明瞭なクリーントーン、粘りのある中域重視の歪み、空間系ペダルによる深みあるリバーブやディレイなど、すべてが「プレイヤーの意図を忠実に再現する」方向でチョイスされています。また、BOSS MS-3とMorningstar ML5という柔軟なスイッチャー/コントローラーシステムは、複数のエフェクトを瞬時に切り替える必要があるプロの現場での合理的な判断の現れでもあります。
特筆すべきは、Taylorのエレアコやダブルネックギターなどを使い分けるプレイスタイル。これは“音色ありき”ではなく“楽曲ありき”のアプローチで、ギタリストとしての引き出しの多さを物語っています。
また、実際にライブでの映像を見ると、その安定感と滑らかなフレーズ、アンサンブル重視のコンプ力(コンプレッション力)が際立っており、演奏者としての信頼度の高さが伝わってきます。
これから彼の音を再現したい方は、「派手さ」や「目立つ機材」よりも、「プレイの安定感」「音色の説得力」「切り替えのスムーズさ」など、根本にある“プロフェッショナリズム”を見習うことが大切です。高価な機材に頼らずとも、適切なセッティングや的確なプレイで、彼に近い音を得ることは十分に可能です。
音作りとは、自己表現であると同時に、音楽への理解と共演者とのバランスへの配慮でもあります。大賀好修さんのサウンド哲学は、そういった“裏方の美学”とも言えるもので、多くのギタリストにとって参考になるはずです。
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