① 始めに(特徴紹介)
サカナクションのギタリスト、岩寺基晴さんは、現代的なデジタルアレンジの中にも有機的なギターサウンドを巧みに溶け込ませる、 極めてセンスフルなプレイヤーとして知られています。 バンドの多彩な音楽性を下支えする「変幻自在なエフェクトワーク」と、 洗練されたトーンメイクは、テクノポップ~オルタナティブ~ポストロックに至るまで幅広く対応しており、 そのバリエーションの豊かさは他の追随を許しません。
岩寺さんのギタープレイの真骨頂は、メロディの補強と空間演出を同時に担う構築美にあります。 コードストロークだけでなく、アルペジオ、フィードバック、トレモロ的なアプローチまで、エフェクトとの親和性を最大限に活かし、 「セリフのようなギター」を意識したプレイが多くみられます。
代表的な楽曲でいえば、『アイデンティティ』『多分、風。』『夜の踊り子』などで見せるディレイとピッチエフェクトのコンビネーションは圧巻で、 ライブやレコーディングにおいても膨大な機材を駆使して作り上げる立体的な音世界が魅力です。
使用機材は、Fenderストラトキャスターを中心に、ジャズマスター、テレキャスターなど複数本のエレキを曲ごとに使い分けており、 VOX AC30アンプとの組み合わせによって「煌びやかだが冷たくない」サウンドが実現されています。 また、エフェクトではT-REXやFulltone、Strymon、BOSS、Electro Harmonixなど、多数のブランドを用途別に使い分け、 さらにラック機材やルーティングシステムも導入した高精度な音像構築を行っています。
特にSNSやインタビューでは、音作りへの徹底したこだわりがたびたび語られており、 「曲の世界をギターで演出する」という姿勢が一貫しています。 Twitterやライブ写真ではペダルボードが詳細に写されることもあり、ファンからの関心も非常に高いギタリストです。
この記事では、そんな岩寺基晴さんのギター音作りを、使用機材・エフェクト構成・アンプ設定・安価な代替機材に至るまで丁寧に解説します。 サカナクションのサウンドを再現したい方、エフェクター選びに悩んでいる方には必見の内容となっています。 まずは、彼らの音の世界に触れてみてください。
②使用アンプ一覧と特徴【サカナクション・岩寺基晴】
岩寺基晴さんのサウンドにおける“音の芯”を支えているのが、VOX AC-30というクラシックなブリティッシュアンプです。 このアンプは1960年代のブリティッシュ・ロックの象徴でもあり、煌びやかな高域とミッドに張りのあるトーンが魅力。 フェンダー系のギターと組み合わせることで、サカナクション特有の“浮遊感がありながらも芯のある音”を作り出しています。
AC-30はクリーン~クランチ領域での音作りに適しており、 岩寺さんの場合は歪みをエフェクター側でコントロールしつつ、アンプは豊かな倍音とレンジ感を提供するベースとして機能しています。 そのため、ライブやレコーディングにおいても“原音を活かしながら拡張する”という方向性の音作りが展開されているのです。
特に注目すべきは、マルチエフェクトやピッチシフターとの相性です。 AC-30の豊かなクリーンヘッドルームにより、StrymonやEventide H9といった高精度な空間系・モジュレーション系エフェクターのニュアンスが非常に繊細に反映され、 結果として“エレクトロニカとバンドサウンドの共存”が可能となります。
また近年、ライブではDV MARK Multiampの使用も一部報告されており、こちらはアンプモデラー&エフェクターを統合したプロ仕様のシステム。 AC-30的な音色を再現するモードも搭載されており、ツアー先やモニター環境に応じて切り替えて使用している可能性があります。
ライブ現場では、AC-30のクリーンCHに、EQやブースターを挿して歪みのレンジを調整。 空間系・ピッチ系・フィルター系を通しても音が崩れず、PAとの相性も非常に良いのが特徴です。
以下に、岩寺さんの使用アンプを表形式でまとめます。
③使用ギターの種類と特徴【サカナクション・岩寺基晴】
岩寺基晴さんのギター選びには、単に音質や演奏性だけでなく、曲のコンセプトに合わせた音のキャラクターづけという明確な意図があります。 サカナクションのようにジャンルレスで、音響的な構成が求められるバンドにおいて、ギターは単なるリード楽器ではなく“音響素材”の一つ。 そのため、岩寺さんは1本のギターで多彩な音を出すのではなく、ギターごとに音の用途を明確化し、それを使い分けています。
代表的な使用モデルは、Fender Stratocaster。 詳細な型番は公表されていませんが、シングルコイル特有のブライトなトーンを活かし、 空間系エフェクトとの親和性が高いプレイスタイルに非常によくマッチしています。 エフェクターとの相性も含め、非常に“加工しやすい原音”を出せるのがストラトの利点で、 特にピッチシフターやディレイとの組み合わせで、幻想的なトーンを作り出しています。
また、最近注目されているのが、Amrita / 60s TL(White Blonde)という日本製のテレキャスター。 このギターは、軽量かつ明瞭な中域が特徴で、歪みエフェクトとのバランスも取りやすく、 ライブやレコーディングでの音抜けが非常に良いモデルです。
Gibson SG Standard(TVイエロー)も特徴的な1本で、力強い低域とミッドレンジにピークを持つ太めの音像が、 サカナクションの中では“厚み”や“存在感”を加える役割を担います。 歪み系エフェクターと組み合わせたときの荒々しさが魅力で、ロック色の強い楽曲で使われる傾向があります。
その他にも、Fender Jazzmasterや、Fender Custom Shop製のテレキャスターなど、 エレキギターだけでも常時5本以上を用途ごとに切り替えている様子が確認できます。 特にCustom Shop製のテレキャスにはミュートスイッチが装備されており、 ライブ中に瞬時に音を切るパフォーマンス性の高さが光ります。
ギターに関しても、岩寺さんはSNS等で愛器の写真を度々投稿しており、 こちらの記事でも詳細が紹介されています。 これらの情報からも、彼がギターに対していかに細やかなこだわりを持っているかがうかがえます。
以下に、使用ギターの一覧を整理します。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
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Stratocaster(型番不明) | Fender | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | ストラトキャスター | 空間系との親和性高。主要使用モデルの一つ |
60s TL White Blonde | Amrita | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | テレキャスター | 軽量&明瞭なトーン。日本製ギター |
SG Standard TVイエロー | Gibson | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | SG | ロック系曲で使用。中低域重視 |
Jazzmaster(型番不明) | Fender | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | ジャズマスター | 多彩なサウンドバリエーションに対応 |
Custom Shop Telecaster(ミュートスイッチ付き) | Fender | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | テレキャスター | ライブ中のミュート操作に対応。2トーンサンバースト仕様 |
④使用エフェクターとボード構成【サカナクション・岩寺基晴】
岩寺基晴さんのエフェクターボードは、もはや一つの“楽器”といっても過言ではないほどの完成度を誇ります。 彼の役割は単なるギタリストではなく、「音響空間の設計者」。 そのため、一般的なギターソロやコードバッキングにとどまらず、 音楽の構成そのものを形作るためのツールとしてエフェクトを駆使しています。
まず歪み系では、Fulltone Full-Drive2 MOSFETが長年メイン。 このペダルはウォームかつレスポンスに優れ、粒立ちの良いオーバードライブが特徴。 歪みをクリーンブースト的に使い、他の空間系ペダルの邪魔をしないように調整されているようです。
初武道館期にはMAXON OD-820も使われており、その後一時外されていたものの、近年復活した模様。 また、KLON KTRも2018年ごろから加わり、ブーストやトーンの整形に使われています。 他にも、BOSS DS-1(WEED Mod)やBD-2など、用途に応じて多種の歪みを使い分けています。
中でも重要なのがMarshall The Guv’nor(黒オリジナル)。 必要最低限の設定で運用されており、クランチからドライブまで、トーンの芯を支える役割を果たします。
モジュレーション系では、サカナクション期に使用されたSmall Clone(コーラス)や Moogerfooger MF-103(フェイザー)を筆頭に、現在はStrymon MobiusやEventide H9にシフト。 1台で複数のモジュレーションエフェクトを網羅でき、かつMIDI制御やプリセット管理が可能な点が決め手です。
ピッチシフターとしては、かつてのBOSS PS-5に代わって、現在はElectro-Harmonix Pitch Forkを最大3台同時使用。 和音にも対応したトラッキング精度と、アナログ感のある変調で、岩寺サウンドの立体感に不可欠な存在です。
空間系も圧巻で、DD-20(WARP機能を多用)、Strymon TimeLine(フィードバックを足元制御)、 TC Electronic D-TwoやM-One XL(ラック)まで含めた重層的な設計。 現在はStrymon BigSkyがリバーブの要であり、粒子の細かい残響がサウンド全体を包み込みます。
ダイナミクス系では、BOSS GE-10(10バンドEQ)を2012年から常設し、帯域コントロールを担う。 加えて、Free The Tone PA-1QGや、BOSS CS-3なども活用。 ルーティングは、CAE GVGA-2 Rev.3というラック型ボリューム/コントローラーで管理。 足元には定番のErnie Ball VPやKORG XVP-10もあり、音量の表現幅を支えます。
以下にエフェクターの構成を表にまとめます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
Full-Drive2 MOSFET | Fulltone | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | オーバードライブ | 長年のメインOD。ナチュラルで粒立ちが良い |
OD-820 | MAXON | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | オーバードライブ | 初武道館期に使用、復活 |
KTR | KLON | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | ブースター | 2018年頃から使用。整音に貢献 |
DS-1 WEED Mod | BOSS | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | ディストーション | DocumentaLy期〜Sakanaction期に使用 |
BD-2 | BOSS | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | オーバードライブ | SAKANATRIBEツアーで使用 |
The Guv’nor(オリジナル) | Marshall | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | オーバードライブ | 必要最低限設定で運用 |
Mobius | Strymon | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | モジュレーション系 | 多機能モジュレーション。ライブ制御に対応 |
H9 | Eventide | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | モジュレーション系 | プリセット管理可能。Mobius以降に導入 |
Pitch Fork | Electro-Harmonix | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | ピッチシフター | 現在は3台使用。和音対応で変調表現に最適 |
⑤音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【サカナクション・岩寺基晴】
岩寺基晴さんの音作りにおける最大の特徴は、「曲の空気感を演出すること」を目的とした、 極めて意図的かつ精緻なトーン設計にあります。 ギターという楽器を“メロディの主役”ではなく、“音響素材の一つ”として機能させることで、 サカナクションの音楽世界に広がりと奥行きをもたらしています。
まず、歪み系のエフェクター設定においては、アンプ側のクリーンを生かす方向で設計されており、 VOX AC-30の持つハイファイかつ粘りのある中域を活かしながら、 Fulltone Full-Drive2やKLON KTRなどを使用して、微細なブーストとトーン整形を行っています。 特にミドルレンジの可変幅を広く取り、モジュレーションやピッチ系エフェクターの前段階として、 輪郭をコントロールする工夫が感じられます。
EQセッティングの妙としては、BOSS GE-10(10バンドEQ)と Free The Tone PA-1QGの2段階EQシステムを用い、帯域の細かい整形を実施。 とくに2kHz〜4kHzの“耳に刺さる帯域”を若干抑えることで、ピッチシフターの変調音が埋もれずに浮かび上がるよう設計されています。 また、ライブ時には空間全体の定位を意識して、高域(6kHz〜)を意図的にカットすることも。
ピッチシフター(Pitch Fork)は最大3台を独立使用し、それぞれに異なる設定が施されている点が特筆すべき点です。 たとえば、「アイデンティティ」ではオクターブ上を混ぜたトーンで厚みを演出、 「ルーキー」ではピッチダウンの変調をかけてベースラインとのユニゾン的アプローチを実現。 これにより、ベースやキーボードとの空間を重ねていく“ギターらしからぬ使い方”ができるのです。
空間系エフェクトにおいては、Strymon TimeLineやBigSkyのセッティングが鍵。 TimeLineではフィードバックの値をエクスプレッションペダルでリアルタイム制御しており、 ライブ中でも残響の深さや発振タイミングを動的に変化させています。 リバーブ側ではBigSkyを深くかけるよりは、Mix値を抑えて原音の明瞭さを残す工夫が確認されています。
また、BOSS DD-20のWARP機能を使い、特定のセクションで音を渦巻かせるような効果を生む演出も重要。 この手法は「夜の踊り子」や「Aoi」など、空間演出が支配的な楽曲で特に用いられています。
リハーサル段階では、PAエンジニアと綿密に音場設計を行い、エフェクト音が歌に被らないよう、 定位や帯域の分離にも配慮。 ギターの定位はセンターではなく、やや左右に振った配置をとることもあり、 これは音の奥行きを作る重要なミキシング手法です。
音作りにおいては“常にバンドの一部であること”が大前提。 その中でギターが「歌を持ち上げる」「雰囲気を牽引する」「余白を埋める」という役割を自在に行き来できるよう、 機材だけでなく音響的設計思想が一貫しています。
結果として、岩寺基晴さんのギターは“聞き取れるが目立ちすぎない”“鳴っているけど存在しないような感覚”という、 非常に特殊な存在感を放つサウンドとなっているのです。
⑥比較的安価に音を近づける機材【サカナクション・岩寺基晴】
岩寺基晴さんの音作りはプロフェッショナルな環境を前提としていますが、要点を押さえれば、手の届きやすい機材でもかなりの再現が可能です。 特に「クリーントーンを軸に、空間系・ピッチ系・モジュレーションで構成された音像」を理解し、 それに対応した市販モデルを選べば、初心者でも十分に“岩寺的サウンド”に近づけます。
まずギターについては、Squier Classic Vibe 60s Stratocasterがコストパフォーマンスの高い選択肢です。 Fender直系の設計と、明るくバランスの良いサウンドにより、空間系エフェクターとの相性も抜群。 また、YAMAHA PACIFICA612V IIなどは、HSS構成でクリーンとドライブの切り替えがしやすく、 多彩な表現力を備えた実用機です。
アンプに関しては、VOX AC-30の代替としては、VOX Pathfinder 10や VOX VT20Xが挙げられます。特にVT20Xはモデリング機能があり、ブリティッシュ系のクリーン~クランチが再現可能です。 コンパクトながら、ライン録音にも対応できるため、自宅練習〜簡易レコーディングにも最適です。
岩寺サウンドの核である空間系エフェクトでは、TC Electronic Flashback 2 Delayや Zoom MS-70CDRが非常に優秀。 Flashback 2はクリアで広がりのあるディレイサウンドが特徴で、TonePrintでサカナクション風の設定も保存可能。 Zoom MS-70CDRはコーラス・ディレイ・リバーブを1台でカバーできる“空間系マルチ”として、最もコスパに優れています。
ピッチシフターは、Donner Harmonyが入門者におすすめ。 本家Electro-Harmonix Pitch Forkほどのトラッキング精度はないものの、単音主体であれば十分代替可能。 また、空間演出としてピッチの揺れを使う程度であれば、Zoom MS-70CDRにも類似機能があります。
オーバードライブには、BOSS SD-1やJoyo Vintage Overdriveがおすすめ。 ミッドに粘りがあり、AC-30系アンプとの相性も良く、岩寺さんのような「歪みはエフェクターで作る」スタイルには非常に向いています。
最後にEQやダイナミクス系として、Caline 10 Band EQや、BOSS CS-3などを導入すれば、 音域の微調整や音圧管理が可能になり、より完成度の高い岩寺的サウンドが作り出せます。
以下に、初心者〜中級者向けにおすすめの再現機材をまとめます。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
ギター | Classic Vibe 60s Stratocaster | Squier | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | クリーントーン向き。空間系との相性が良い |
ギター | PACIFICA612V II | YAMAHA | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | HSS構成で幅広いサウンドが可能 |
アンプ | VT20X | VOX | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | ブリティッシュ系モデリング搭載 |
ディレイ | Flashback 2 | TC Electronic | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | TonePrint対応。WARP的表現も可能 |
空間系マルチ | MS-70CDR | Zoom | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | コーラス・リバーブ・ディレイ内蔵 |
ピッチシフター | Harmony | Donner | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | Pitch Forkの入門代替機 |
オーバードライブ | Vintage Overdrive | Joyo | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | 透明感と粘りのある中域が特徴 |
イコライザー | 10 Band EQ | Caline | Amazonで検索 | サカナクション | 岩寺基晴 | GE-10の代替。帯域調整に対応 |
⑦総括まとめ【サカナクション・岩寺基晴】
サカナクションの音楽において、岩寺基晴さんのギターは単なる伴奏やリードパートを超えた、「空間の演出装置」として機能しています。 彼のサウンドメイキングは、常にバンド全体の音像とシンクロしており、 楽曲ごとに異なる役割を与えられたギターサウンドを、的確に・的を射た形で表現するスキルに長けています。
その中核にあるのが、「加工しやすい原音」を用意するという視点。 VOX AC-30やFender系ギターを軸に、歪み・EQ・空間系を緻密に積み上げ、 そこにピッチシフターやディレイによる“可変要素”を加えることで、 一貫して“歌を引き立てるための音”を構築してきました。
また、ギター本体の選定にも一貫性があり、ストラト・テレキャス・SGといった “キャラクターが明確なギター”を適材適所で使い分ける姿勢が印象的です。 その結果として、1人のギタリストでありながら、まるで複数の楽器が鳴っているかのような音の広がりが生まれています。
一方で、使用機材は決して奇をてらったものではなく、“必要な機能を、必要なだけ使う”という堅実な構成。 だからこそ、初心者〜中級者でも岩寺さんの音に近づくことは十分可能であり、 ピッチシフターや空間系マルチ、EQなどを正しく理解すれば、同様の立体的な音作りが実現できるでしょう。
また、SNSやライブ写真、インタビューからもわかる通り、 「楽曲ありきのギターサウンド」「無理に前に出すぎない姿勢」は一貫しており、 それこそが岩寺サウンドの“深み”を生み出している最大の理由といえます。
ギターという枠にとらわれず、「音楽全体の中でのギターの立ち位置」を常に意識しているからこそ、 どんなに多彩な機材を使っても、“芯の通ったトーン”が崩れない。 この姿勢こそが、サカナクションというサウンドクリエーション集団における、岩寺基晴という存在の証明なのです。
ぜひこの記事を参考に、岩寺さんの音のレイヤー構成や機材選び、そしてその哲学を取り入れて、 あなた自身の音作りに活かしてみてください。
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