【Ben Weinman(ベン・ワインマン)・The Dillinger Escape Plan(ザ・ディリンジャー・エスケープ・プラン)】風サウンドの作り方+ギター機材音作りセッティングのまとめ【エフェクター・アンプ】

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The Dillinger Escape Plan Ben Weinman 音作り解説

① 始めに(特徴紹介)

カオスティック・ハードコアの代名詞、The Dillinger Escape Plan(Dillinger/DEP)の心臓部であり、唯一のオリジナルメンバーとしてバンドを牽引し続けたのがベン・ワインマン(Ben Weinman)です。
彼のプレイスタイルは、ジャズ・フュージョンの高度な理論と、ハードコアの破壊的なエネルギーを融合させた唯一無二のもの。予測不能な変拍子、不協和音を多用した複雑なタッピング、そしてステージを縦横無尽に暴れ回る過激なパフォーマンスは、世界中のギタリストに衝撃を与え続けています。

ベンのサウンドの核となるのは、単なる「歪み」ではなく、音の粒立ちが極めて明瞭で、かつ暴力的なまでのアタック感です。速いパッセージでも音が潰れず、一音一音がナイフのように鋭く突き刺さるそのトーンは、複雑なコードボイシングを多用するDEPの楽曲において不可欠な要素です。
「Calculating Infinity」から「Dissociation」まで、時代ごとに進化を遂げつつも一貫しているのは、ミッドレンジを強調した「不快で、しかし太い」独特のディストーションサウンドです。

この記事では、彼が長年愛用してきたESPのシグネチャーモデルから、Mesa/Boogieのアンプ、そしてカオスな空間を演出するエフェクター群まで、ベン・ワインマンの音作りの真髄を徹底的に解説します。緻密に計算された「混沌」を再現するためのヒントを、ぜひ自身の機材選びに役立ててください。

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②使用アンプ一覧と特徴【The Dillinger Escape Plan・Ben Weinman】

ベン・ワインマンのアンプ選びは、ライブでの圧倒的な音圧と、レコーディングでの繊細なスナップ感の使い分けが特徴です。彼のメインアンプとして最も象徴的なのがMesa/Boogie Mark Vです。
このアンプについてベンは「下品で不快、しかし非常に太い」と表現しており、3チャンネル構成と5バンドEQを駆使して、中音域に独特の粘りと攻撃性を持たせています。特にDEPのタイトなリフワークを支えるのは、このMark Vが持つ高速なレスポンスです。

また、キャリアの初期や特定の時期にはMesa/Boogie Triple Rectifierも使用されていました。Rectifier特有の地響きのようなローエンドは、ダウンチューニングではなくスタンダードチューニングで重厚感を出すための武器となっていました。
一方で、レコーディングでは意外にもVox AC30のような小出力アンプを使用することがあります。これはスピーカーを限界まで鳴らすことで得られる「スナップ感」や「分離の良さ」を狙ったもので、巨大なスタックアンプだけでは得られない立体的なギターサウンドを構築しています。

近年の25周年ライブ等では、機材の可搬性と再現性を重視し、Neural DSP Quad Cortexを導入。過去の膨大なアンプサウンドをプロファイリングし、デジタル環境でも妥協のない「Dillingerサウンド」を鳴らしています。ステージモニターにはLaneyのキャビネットを配置するなど、伝統的な真空管の空気感と最新技術をハイブリッドに使い分けているのが現在のスタイルです。

機材名 メーカー Amazon 楽天 Yahoo! メルカリ 石橋楽器 サウンドハウス 備考
Mark V Head Mesa/Boogie 検索 検索 検索 検索 検索 検索 現在のメインアンプ。ミッドレンジを強調した不快かつ太い歪みが特徴。
Triple Rectifier Solo Head Mesa/Boogie 検索 検索 検索 検索 検索 検索 一時的に使用。ローミッドの厚みがあり、重厚な質感を加える際に重宝。
GH50L Laney 検索 検索 検索 検索 検索 検索 エッジの効いたブリティッシュサウンドを提供。
AC30 Vox 検索 検索 検索 検索 検索 検索 レコーディングで使用。分離感とスナップ感の演出。

これらを中心に、楽曲の質感に合わせて様々なキャビネットを組み合わせて使用していると想定されます。


③使用ギターの種類と特徴【The Dillinger Escape Plan・Ben Weinman】

ベン・ワインマンのギター選びにおいて最も重要なキーワードは「信頼性」と「安定性」です。激しいライブパフォーマンス中にギターを投げたり、観客に飛び込んだりすることで知られる彼にとって、ピッチが狂わないことは絶対条件です。
そのため、メインギターであるシグネチャーモデル「ESP LTD BW-1 FM/ET」には、画期的なブリッジシステム「EverTune」が搭載されています。これにより、どんなに激しいチョーキングやアタック、さらには温度変化があっても完璧なチューニングを維持します。

ピックアップにはFishman Fluence Modern Humbuckerを採用。これはプッシュプルスイッチでアクティブとパッシブの質感を切り替えられる多機能なもので、EMG 81/85を愛用していた時期からさらに一歩進んだ、よりダイナミックな表現を可能にしています。
ボディ構造はセミホロウをベースにした「LTD Xtone PS-1」の流れを汲んでおり、軽量化が図られています。これはステージでの機動性を高めるだけでなく、独特の箱鳴り感をわずかに加えることで、音の太さに寄与しています。

ベンの特徴的な点として、変拍子やテクニカルなリフを多用するにもかかわらず、チューニングは基本的に「スタンダード(EADGBE)」を貫いていることが挙げられます。ドロップチューニングに頼らず、運指の工夫と機材のセッティングでヘヴィネスを表現する手法は、彼の音楽的背景を感じさせます。
また、初期にはLTD HorizonsやEC-1000など、ESPのフラッグシップモデルを長年使い倒しており、その信頼性が現在のシグネチャーモデルの設計思想に直結しています。

機材名 メーカー Amazon 楽天 Yahoo! メルカリ 石橋楽器 サウンドハウス ギターの種類 備考
LTD BW-1 FM/ET ESP 検索 検索 検索 検索 検索 検索 ソリッド(セミホロウ構造) シグネチャーモデル。EverTuneブリッジとFishman PUを搭載。
LTD Deluxe H-1001FM ESP 検索 検索 検索 検索 検索 検索 ソリッド EMG搭載。中期から後期にかけてのレコーディングやライブで多用。
LTD EC-1000 EverTune ESP 検索 検索 検索 検索 検索 検索 ソリッド(シングルカッタウェイ) LPシェイプながら安定性抜群。ヘヴィなリフに適したモデル。
LTD Xtone PS-1 ESP 検索 検索 検索 検索 検索 検索 セミホロウ シグネチャーモデルBW-1のベースとなった独創的なモデル。

これらのギターを楽曲やツアーのコンセプトに応じて使い分けていると想定されます。


④使用エフェクターとボード構成【The Dillinger Escape Plan・Ben Weinman】

ベン・ワインマンのエフェクターボードは、「カオスとコントロールの両立」を体現しています。まず、激しいリフの合間にある「静寂」を担保するために、Boss NS-2 Noise Suppressorは必須の機材であり、常時ONの状態で使用されています。DEPの楽曲におけるタイトなブレイクは、このノイズゲートの徹底した管理によって生まれます。

歪みのバリエーションとして重要なのがWay Huge Swollen Pickle MKII Fuzzです。「One of Us is the Killer」のコーラス部分などで聴ける、地鳴りのような分厚い歪みはこのペダルによるものです。また、Guyatone TZ-2 The Fuzzなども併用されており、あえてチープで破壊的な音色を混ぜることで、デジタルでは出せない生々しさを演出しています。

空間系や飛び道具も彼のサウンドの大きな特徴です。T-Rex Tap Toneは、楽曲のテンポに合わせた精密なディレイとしてだけでなく、「Widower」や「Farewell, Mona Lisa」のイントロで見られるような幻想的なテクスチャを作るために使用されます。ワウペダルにはDunlop Dimebag Signature Cry Babyを使用。これはダイムバッグ・ダレルのファンであるベンの嗜好だけでなく、ブースト機能やQ(帯域)の調整幅の広さが、DEPの多様な楽曲に対応するために選ばれています。

機材名 メーカー Amazon 楽天 Yahoo! メルカリ 石橋楽器 サウンドハウス エフェクターの種類 備考
Swollen Pickle MKII Fuzz Way Huge 検索 検索 検索 検索 検索 検索 ファズ 重厚な壁のようなサウンドを作るためのメインファズ。
Dimebag Cry Baby (DB-01) Dunlop 検索 検索 検索 検索 検索 検索 ワウペダル 多彩な調整が可能なワウ。ソロや強調したいセクションで使用。
Tap Tone T-Rex 検索 検索 検索 検索 検索 検索 ディレイ タップテンポ対応。クリーンパートやイントロの幻想的な演出に。
NS-2 Boss 検索 検索 検索 検索 検索 検索 ノイズリダクション 常時ON。超高速なリフとブレイクを際立たせる守護神。
Quad Cortex Neural DSP 検索 検索 検索 検索 検索 検索 マルチエフェクター 25周年ツアーで導入。全キャリアのトーンをこれ一台で再現。

この他にもGuyatoneの小型ペダルシリーズなど、時期によって多様なエフェクターを組み合わせていると想定されます。


⑤音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【The Dillinger Escape Plan・Ben Weinman】

ベン・ワインマンの音作りにおける最大の秘訣は、「ゲイン(歪み)の量」と「中音域のコントロール」にあります。一聴すると非常に深く歪んでいるように聞こえますが、実はアンプ側のゲインは意外にも控えめ(アンダーゲイン気味)に設定されています。
これは、あまりに歪ませすぎるとDEP特有の複雑なテンション・コード(9thや13thなど)の分離が悪くなり、単なるノイズになってしまうからです。アンプの歪みは芯を残す程度に留め、ピッキングの強弱でエッジを出すのがベンの基本姿勢です。

具体的なEQセッティングとしては、Mesa/Boogie Mark Vの5バンドEQで「V字」を少し崩したような設定、あるいはミッドをあえて強調する設定が好まれます。
特に250Hz付近のローミッドを削りすぎず、800Hz〜1kHzあたりの「鼻につく」ような帯域を強調することで、バンドアンサンブルの中でドラムの激しい連打に埋もれない、貫通力のあるトーンを作っています。本人が語る「不快な音」とは、この耳に痛い絶妙なミッドレンジの強調を指しているのでしょう。

レコーディングやミックスの段階では、ギターサウンドにさらなる工夫が施されます。DEPのアルバムでは、メインのハイゲインギターの裏で、クリーンに近い音や、極端に細い音のアンプ(Vox AC30など)を薄く重ねる手法が取られています。
これにより、歪みの厚みは保ちつつも、弦が弾ける「アタック音」だけを際立たせ、超高速なタッピングフレーズをリスナーの耳に届きやすくしています。また、PAエンジニアとの連携においては、ダイレクトボックス(Radial JDX)を使用し、スピーカーを通る前の信号も確保することで、トラブル時のバックアップと、ミックス時の芯の補強を同時に行っています。

さらに、ライブでは「トラブルを想定したセッティング」も重要です。T-Rex Polyswitch AB Boxを使用して、弦が切れた瞬間に予備のギターへ瞬時に切り替えられるようにしたり、ワイヤレスシステムをギター内部に収納できるように改造したりと、パフォーマンスを途切れさせないための徹底した工夫が見られます。
ベンの音作りは、単なる「カッコいい音」の追求ではなく、過激なパフォーマンスという極限状態において「いかに音楽的な情報を正確に伝えるか」という機能美に基づいていると想定されます。


⑥比較的安価に音を近づける機材【The Dillinger Escape Plan・Ben Weinman】

ベン・ワインマンのような、タイトでありながら暴力的なサウンドを予算10万円以内の「現実的な価格」で再現するための機材を紹介します。本人の使用機材が高価なMesa/BoogieやESPのカスタムモデルであるため、同系統のキャラクターを持つコンパクトペダルやマルチエフェクターを活用するのが近道です。

まず歪みの核として推奨したいのが、Mesa/Boogieサウンドをシミュレートしたペダルです。特に「Joyo California Sound」や「Wampler Triple Wreck」のようなペダルは、Mark VやRectifierが持つ、独特の重厚なミッドレンジを再現するのに適しています。
さらに重要なのが、ノイズゲートです。ベンのような「止まる・動く」の激しいリフを再現するには、Boss NS-2は必須と言えます。これを導入するだけで、音の締まりが劇的に改善され、DEP風のタイトなニュアンスに近づきます。

また、近年のベンがQuad Cortexへ移行したことを考えると、最新のマルチエフェクター「Hotone Ampero II」や「Line 6 HX Stomp」も強力な選択肢です。これらはMesa/Boogieのアンプモデルが非常に優秀で、かつベンの多用するディレイやワウ、ノイズリダクションを一台で完結させられるため、トータルでの再現性は非常に高いと言えます。

種類 機材名 メーカー Amazon 楽天 Yahoo! メルカリ 石橋楽器 サウンドハウス 備考
プリアンプ/アンプシミュレーター California Sound JOYO 検索 検索 検索 検索 検索 検索 格安ながらMesa系の箱鳴り感を再現。アンプの前に繋ぐだけでDEP風の歪みの基礎が作れます。
ノイズリダクション NS-2 Noise Suppressor BOSS 検索 検索 検索 検索 検索 検索 本人使用の必須機材。これがないとカオスなリフの中にある「静寂」が再現できません。
ギター用マルチエフェクター Ampero II Stomp HOTONE 検索 検索 検索 検索 検索 検索 Quad Cortexは高価すぎますが、これなら約7万円で本格的なMesaアンプモデルとIRを活用でき、現行のベンの環境に近い音作りが可能です。

これらの代用機材を組み合わせることで、高価なプロ機材を使わずとも、ベン・ワインマンのエッセンスを十分に抽出したサウンドを構築できると想定されます。


⑦総括まとめ【The Dillinger Escape Plan・Ben Weinman】

ベン・ワインマンの音作りの本質とは、一見すると「破壊と混沌」にあるように見えて、その実は「極限までの制御と情報の伝達」にあります。カオスティック・ハードコアというジャンルにおいて、ただ歪ませて叫ぶだけなら誰にでもできますが、ベンが特別なのは、そのノイズの中に緻密な理論と音楽的な美しさを共存させている点です。

彼のサウンドを再現するために最も必要な視点は、機材のスペックを追うこと以上に、「音の分離感」への執着です。どんなに激しく歪ませても、不協和音の響きが潰れないこと。どんなに速く弾いても、アタックがボヤけないこと。そのために彼はEverTuneブリッジを選び、ノイズゲートを徹底し、中音域のピークを慎重にコントロールしています。ベンの音は「太い」ですが、決して「ルーズ」ではないのです。

もしあなたがベン・ワインマンのトーンを目指すなら、まずはノイズゲートを手に入れ、次に自分のピッキングを最も鋭利に伝えてくれるアンプやペダルを探してみてください。そして、スタンダードチューニングでどこまでヘヴィな世界観を表現できるかに挑戦してみてください。彼の機材セットアップを紐解くことは、ギターという楽器がいかに自由に、かつ論理的に表現の限界を超えられるかを知るプロセスでもあります。ベンのように、ステージでギターを投げ捨てる覚悟ができるほどの信頼できるサウンドを、ぜひ構築してください。


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