① 始めに(特徴紹介)
eastern youthの吉野寿サウンドを一言で言うなら、「爆音の壁」なのに、歌の言葉がちゃんと前に出てくる不思議なバランスです。3ピースの密度を極限まで上げるために、ギターは”伴奏”というより”もう一つの打楽器+もう一人の歌”みたいに振る舞う。コードを鳴らした瞬間に空気が押し返してくるような圧と、フィードバックを制御しながら歌に寄り添う繊細さが同居しています。
音の芯は、デビュー前から使い続けるYAMAHA SG-1000を軸にした「太い低域と、必要十分な高域の抜け」。本人インタビューでも「高音域は絶対必要」「さらにボトムがドーンと出てほしい」と語っており、開放弦コードを多用するプレイスタイルと直結しています。加えてライブ中に手が当たるため、ピックアップセレクターを撤去しているのも象徴的。機材は”美学”より”戦闘力”で選ばれているのが、吉野寿らしさです。
代表曲の聴きどころは、歪みの質感が「ザラついてるのに輪郭が残る」点。オーバードライブで中域の芯を作り、必要な場面でファズ的な飽和を足して、ディレイやリバーブは”広げる”というより”残響で孤独を描く”方向に効いてくる……この設計思想が、あの「ニッポンのパンク」らしい情緒の濃さを生みます。まずは”歪ませ方”より先に、「音量」「中域」「フィードバックの扱い」を主役に置くのが近道です。
そして近年はソロ制作でMac(Logic Pro)を使ったDTM環境もあるため、ライブの爆音だけでなく、録音での質感コントロール(ローの整理、歪みのレイヤー、空間の置き方)まで含めて”吉野寿っぽさ”が更新され続けています。ここから先は、アンプ/ギター/エフェクター/EQとミックスの順に、再現しやすい形へ分解していきます。
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②使用アンプ一覧と特徴【eastern youth・吉野寿】
吉野寿のアンプ観は「歪みは基本エフェクターで作り、アンプは音量と土台のレンジを稼ぐ」という発想が軸にあります。実際、YAMAHA公式インタビュー(2006年)でも”エフェクターで歪ませる方なのでフロント(アンプ側)は抑えている”趣旨の発言があり、アンプを過度に歪ませるよりも、ペダルで歪みのキャラクターを決め、アンプで鳴らし切る方向が読み取れます。ここが、あの「爆音なのに芯が残る」サウンド設計の根っこです。
近年のソロではVOX AC15(15W)を使う場面もあるとされ、「なかなかいい音がする」と評価しているという情報が流通しています。AC15は中域の粘りとコンプレッション感が強く、歌の帯域(中域)を邪魔しにくい。爆音バンド文脈の”壁”とは別に、ソロや小規模会場で「吉野寿のニュアンス」を成立させる選択として理にかなっています。
また、1W真空管アンプの導入を試みた話として「Beyond Tube Amplifier(株式会社シングラー)」が候補に挙げられることがあります。製品情報としては”Beyond Tube Amplifier 18″が公開されており、設計思想は余計な回路を排して純度を優先する方向性です。ただし、この1W系がメインに定着した確度の高い裏付けは強くなく、少なくとも吉野寿が追求してきた”凄まじい音圧とフィードバック”の再現には出力的に不利なので、試行段階で終わった可能性が高い——という整理が現実的です。
一方で、検索上位の機材解説ではFender Twin Reverb(とくに’65系の文脈)や、VHT、Sunnなどの大出力アンプが語られることが多く、「大きいクリーンヘッドルーム+ペダル歪み」の王道に合致します。Twin Reverbは低域の土台が太く、強い歪みを前段で作っても輪郭が崩れにくい。VHTやSunnは”壁の硬さ”や”音圧の押し出し”を作りやすく、3ピースでも空間を埋め切る発想と相性が良いです。
まとめると、吉野寿のアンプは「歪みのキャラを決める装置」ではなく「歪みを受け止めて前に飛ばす土台」として選ばれてきた、と整理できます。大出力クリーン系(Twin/VHT/Sunn)を基軸に、ソロや小規模ではAC15のような”歌に寄る”選択肢もあり得る——という構図で、現状の情報からはそう捉えるのが妥当で、と、想定されます。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| AC15 | VOX | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 近年のソロライブ等で使用とされる。中域の粘りとコンプレッションで歌を前に出しやすい。 |
| ’65 Twin Reverb | Fender | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 大出力クリーン基盤+ペダル歪みの定番。検索上位記事で言及が多いが、時期や個体は要追加確認。 |
| Deliverance / Pittbull(代表モデル) | VHT | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | “硬い壁”を作れる大出力系として語られがち。実使用の確度は情報源によって差があるため要注意。 |
| Model T / Concert Lead(代表モデル) | Sunn | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 爆音文脈で定番の”押し出し”。吉野寿の音圧志向と相性は良いが、実機写真等の裏付けは要確認。 |
| Beyond Tube Amplifier(1W系候補) | シングラー(Things Inc.) | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 導入を試みた可能性が語られる。純度志向の設計だが、メイン運用の裏付けは弱く”候補”扱いが安全。 |
③使用ギターの種類と特徴【eastern youth・吉野寿】

吉野寿のギター観は、シンプルにして過激です。長年のメインはYAMAHA SG-1000。しかも”普通に使う”のではなく、ライブで手が当たるという実戦上の理由でピックアップセレクターを撤去するという割り切りがある。これは改造自慢ではなく、演奏中のミスを物理的に潰すための仕様変更で、音作りの思想そのものが「現場で勝つため」に組まれている証拠です。
YAMAHA公式インタビュー(2006年)では、デビュー前からSG-1000を愛用していること、そして新しいSG-1000(IRA仕様)を試した際に「ボトムがより強い」「高音がモコモコせずクリアなまま低域に厚みが出た」といった具体的な印象が語られています。さらに、本人により新個体でもセレクターをすぐ外したという話まで出てくる。ここまで”本人証言で固い”ギター情報は珍しく、吉野寿=SG-1000は事実として押さえてよい領域です。
そして重要なのは、SG-1000のキャラクターが「中域が太いだけ」ではなく、開放弦コードの低域を”ドーン”と支えつつ、高域の輪郭も失わない点。吉野寿は「高音域は絶対必要」と明言しており、爆音でも歌の子音が潰れないように、ギター側で帯域のバランスを成立させる必要がある。SG-1000は重量級で、ボディ鳴りの密度が出やすいので、フィードバック耐性と音圧の土台づくりにも向きます。要するに、あの壁サウンドは”歪みペダル”だけでなく、ギターの物理特性から立ち上がっているわけです。
一方で、ソロプロジェクト(bedside yoshino)などではFender Mustangを使用し、2本所有して自分でパーツ交換やはんだ付けまで行うという情報があります。SGの重戦車感とは違い、ムスタングは取り回しが良く、中域の出方やアタックが少し軽やかになるため、歌の隙間を作りたい時や、音像を”壁”から”線”へ寄せたい時に理にかなっています。さらにソロライブでTelecasterを使い、PU交換など試行錯誤を繰り返しているという話もあり、バンド本隊とは別軸で「より前に出るミッド」「より硬いアタック」を探っている可能性が高いです。
加えて、YAMAHAのセミアコ(SAシリーズ等)をレコーディングや初期ソロで使う、という文脈も語られます。SGとは違う空気感(箱鳴り)を必要とする場面で、帯域の埋め方を変える選択として自然です。まとめると、バンドの核=SG-1000(複数個体、IRA仕様含む)。ソロ/制作のニュアンス=ムスタング、テレキャス、セミアコを状況で使い分けている——この構図で整理するのが最も整合的で、と、想定されます。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | ギターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| SG-1000(通称:1号機) | YAMAHA | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | レスポール系(マホガニー系/セットネック系) | デビュー前から愛用するメイン。激しい演奏で手が当たるためPUセレクター撤去が最大の特徴。 |
| SG-1000(IRA仕様・新型) | YAMAHA | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | レスポール系(マホガニー系/セットネック系) | 2006年頃から導入とされる。ボトムの強化・レンジ拡大を本人が言及。現在は複数所有の可能性。 |
| Mustang | Fender | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | オフセット/ショートスケール系 | ソロ『bedside yoshino』等で使用。2本所有し自分で改造・修理(パーツ交換/はんだ付け)も行うとされる。 |
| Telecaster | Fender | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | テレキャスター系 | ソロライブで使用とされ、PU交換など試行錯誤を継続している一台。 |
| SAシリーズ等(セミアコ) | YAMAHA | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | セミアコ | レコーディングや初期ソロで、SGとは異なるキャラクターが必要な際に使用とされる。 |
④使用エフェクターとボード構成【eastern youth・吉野寿】

吉野寿のエフェクターは、「音色のコレクション」ではなく「戦場のスイッチ群」です。核となる歪みをまず作り、それを”音量とフィードバック”で巨大化させ、必要な場面で空間を足して世界観を描く。検索上位の機材解説では、BOSS BD-2(Blues Driver)とElectro-Harmonix BIG MUFFの組み合わせが”吉野サウンドの核”として語られることが多く、これは理屈としてもかなり筋が通っています。
BD-2は、単体だとローが暴れすぎず、アタックの粒が残るオーバードライブです。歌の言葉を潰しにくい中域が作りやすく、SG-1000の太いボトムを”濁り”にせず”推進力”へ変換しやすい。つまり、爆音で鳴らしてもギターがベースの邪魔をしにくい。これが3ピースでの生存戦略になります。
そこへBIG MUFFを足すと、象徴的な”爆音ファズの壁”が出せます。muff系は中域が凹みやすいと言われますが、吉野寿文脈ではアンプが大出力クリーンで受け止め、バンド全体の中域はボーカルとベースで埋める設計に寄せれば成立します。さらにBD-2を前段に置いてmuffの入力を調整すれば、中域の芯を足しながら飽和を得る運用も可能で、「壁なのに輪郭が残る」方向へ寄せられます。
空間系ではBOSS DD-2/DD-3(デジタルディレイ)とElectro-Harmonix Holy Grail(リバーブ)が定番として語られます。DD-2/DD-3は反復がハッキリして、テンポの中で”残響がリズムになる”作り方に向きます。Holy Grailは質感がシンプルで、歪みの後段でも空間が濁りにくい。吉野寿の場合、空間を”広げる”より”余韻で孤独を強調する”使い方が似合うので、短めディレイ+薄いリバーブ、あるいは曲間だけ深くする運用がハマります。
そして独特なのがAB BOX / PARA BOX(知人のハンドメイド品)という情報。これは単なる切替ではなく、ルーティング(2系統、送り返し、レベル調整、位相や帯域の整理)を現場で成立させるための装置として重要です。YAMAHAインタビューでも”アンプを2系統に分ける”話が出てくるため、ABやパラ箱は「爆音を整理して前に出す」ための裏方機材として筋が通ります。
まとめると、吉野寿のボードは”歪みの質感を作るBD-2+壁を作るBIG MUFF”、そこに”時間軸を作るDD-2/DD-3とHoly Grail”、さらに”現場のルーティングを成立させるAB/PARA”で骨格ができる。年代や個体は変わっても、この設計思想はかなり長く一貫している——という見立てが妥当で、と、想定されます。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | エフェクターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| BD-2 Blues Driver | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | オーバードライブ | 吉野サウンドの核とされる歪み。中域の芯を作り、爆音でも輪郭を残しやすい。 |
| Big Muff(各種) | Electro-Harmonix | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ファズ | 象徴的な爆音ファズサウンドに使用とされる。BD-2前段で芯を足す運用も再現性が高い。 |
| DD-2 / DD-3 | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ディレイ | 定番デジタルディレイ。反復が明瞭で、爆音の中でも”残響がリズムになる”作りに向く。 |
| Holy Grail | Electro-Harmonix | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | リバーブ | リバーブ。歪み後段でも濁りにくく、曲間や余韻で世界観を作りやすい。 |
| AB BOX / PARA BOX(ハンドメイド) | 不明(知人制作) | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | スイッチングシステム | 知人ハンドメイド品を使用とされる。2系統運用やルーティング整理の要として重要。 |
⑤音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【eastern youth・吉野寿】
吉野寿の音作りは、つまるところ「帯域設計」と「音量設計」です。歪み量を増やして壁を作るのではなく、”鳴らし方”と”混ざり方”で壁にする。ここを外すと、ただのモコモコ爆音になってしまいます。鍵は3つで、(1)低域の整理、(2)中域の前進、(3)フィードバックを音楽にする運用です。
まずギター側の基本。SG-1000はボトムが強い個体が多いので、歪みペダル前でローが膨らみすぎると、ベースとぶつかって”壁”ではなく”団子”になります。そこでBD-2のトーンは上げ気味(例えば12時〜2時)、ゲインは上げ過ぎず(10時〜1時)、レベルはバンド内で前に出るように高め(1時〜3時)にして「中域の芯とアタック」を先に作る。ここで作るのは”歪み量”ではなく”押し出し”です。
BIG MUFFは単体で踏むより、「BD-2で前段を整えてからmuffへ入れる」か、「muffを主役にするならアンプ側をクリーンで受け止め、muff側のトーンを上げて輪郭を残す」方が吉野寿的にハマります。muffのセッティング例としては、サステインは12時前後、トーンは1時〜3時、ボリュームはバンドの中で”壁の高さ”が足りるまで上げる。重要なのは、muffのローが増えたらPA側(または録音側)で80〜120Hzあたりをハイパスし、200〜350Hzの”濁り帯域”を少し引いて、1.5〜3kHzの”言葉の輪郭帯域”を少し足す発想です。
具体的なEQ例(ライブPA/録音共通の考え方)を置きます。ギターは原則ハイパス必須で、目安は80〜120Hz(バンドが重いほど高め)。次に200〜300Hzが膨らむなら-2〜-4dB程度のカット。逆に”前に出ない”なら1kHz付近を少し持ち上げ、さらに2〜3kHzを少し足す。ただし上げ過ぎると耳に痛いので、4〜6kHzは状況次第でほんの少し抑える。これで「爆音でも歌が死なない」バランスに寄せられます。
次にディレイ/リバーブの運用。吉野寿的には”広がり”より”残響の意味”が大事なので、DD-3ならディレイタイムは短め〜中間(例:250〜380ms)、フィードバックは少なめ(2〜4回程度)、エフェクトレベルは控えめ(原音8:残響2くらい)から始めるのが安全です。曲の終わりや間奏でだけ上げると、余韻がドラマになります。Holy Grailは薄め常時か、曲間だけ深め。歪みの上に深いリバーブを常時載せると、壁は厚くなりますが言葉が溶けるので、”必要な瞬間だけ深く”が再現性高いです。
アンプのチャンネル切り替えについては、Twin系や大出力クリーン系なら基本クリーン運用で、歪みはペダルに任せるのが吉野寿的です。AC15を使う場合は、アンプ自体がコンプレッションするので、ペダルのゲインは少し下げ、ローを整理して”歌の帯域”を開ける。つまり、アンプが歪み始めるところにペダル歪みを足していくと、音像が一気に密度を増します。
ミックス目線では、ギターを”ステレオで広げる”より、”センター寄りの密度”で圧を作る方がeastern youthっぽさに寄ります(3ピースの正面衝突)。録音なら、同じフレーズを2回弾いてL/Rに振る王道もアリですが、吉野寿らしさを出すなら、片側を”芯のBD-2″、もう片側を”muff混じりの壁”にしてキャラを分けると、歌が前に出やすいまま壁が立ちます。さらにフィードバック成分はオートメーションで残すと、あの”生々しい危うさ”が音源でも成立します。
総合すると、「低域を整理して中域を前に出し、音量で壁を作り、残響は意味のある場所に置く」。これが吉野寿サウンドの再現の核心です。機材の型番が多少違っても、この設計で組めば”あの感じ”はかなり近づく——と、想定されます。
⑥比較的安価に音を近づける機材【eastern youth・吉野寿】
吉野寿サウンドの再現で大事なのは、「高額ヴィンテージ」より「設計が似ていること」です。つまり、(1)中域の芯を作れる歪み、(2)muff系の壁、(3)明瞭ディレイ、(4)シンプルなリバーブ、(5)クリーンで受け止める土台。この要素を、1万〜5万円(上限10万)で”再現性優先”に組みます。
まず中核の歪み。BD-2が指定機材なので、ここは素直にBOSS BD-2(またはBD-2WでもOK)を最優先にします。理由は「中域の芯」「アタックの粒」「ローが暴れにくい」という性格が、SG系でもストラト系でも成立しやすく、初心者でも”破綻しにくい”から。吉野寿のような爆音方向でも、家練〜スタジオで破綻しにくいのが強みです。
次に”壁”。BIG MUFFはバリエーションが多く、価格帯も幅がありますが、再現性重視ならElectro-HarmonixのNano Big MuffやTriangle/Green Russian系の現行リイシューが狙い目です。理由はシンプルで、muff系は「踏んだ瞬間に壁が立つ」再現性が高いから。細かな個体差はあっても、muffの”飽和の仕方”はジャンル記号として強い。BD-2→muffの順で繋ぎ、BD-2で芯を足してからmuffで壁を作ると、歌が埋もれにくい方向へ寄せられます。
ディレイはBOSS DD-3Tや中古のDD-3が鉄板です。理由は、反復が明瞭で”残響がリズムになる”タイプのディレイだから。eastern youthっぽい残響は、モジュレーション入りの揺れより「硬い反復」が似合います。さらに操作が分かりやすいので、初心者でも”曲の間で踏んで効果が分かる”という実用面が大きい。
リバーブはHoly Grailが指定機材ですが、安価に寄せるならTC Electronic Skysurfer ReverbやBOSS RV-6なども候補になります(ただし”完全一致”ではないので、Holy Grailの現行中古が見つかるならそれが最短)。狙いは”歪み後段でも濁りにくい、シンプルな空間”。吉野寿的には、常時深い残響より「必要な瞬間だけ深く」なので、プリセット数よりも扱いやすさを優先します。
アンプについては、Twin Reverb級の大出力は予算的に厳しいことが多いので、現実的には「クリーンが強いアンプ」か「クリーンヘッドルームのあるアンプシミュ」を選ぶのが近道です。例えばBOSS Katanaシリーズは、クリーンの土台が作りやすく、EQも細かく触れるので”低域整理と中域前進”がやりやすい。さらに宅録なら、Line 6 POD GoやHX Stomp(上限10万に近いですが)で、Twin系クリーン+BD-2系OD+muff系を組むと、かなりの再現性が出ます。
最後に「音量問題」。吉野寿サウンドは本質的に”音量で壁を作る”ので、家で同じ音圧は出ません。ここを現実解にするなら、録音/ラインではIR(キャビネットシミュ)を使って”前に出る帯域”を作り、スタジオでは小音量でも中域が立つように、ギター側をハイパス気味にしてベースと住み分ける。これで「爆音じゃないのに吉野寿っぽい」方向へ寄せられます。
| 種類 | 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 歪み(芯) | BD-2 Blues Driver | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 指定機材そのもの。中域の芯とアタックを作りやすく、爆音方向でも破綻しにくい。 |
| 歪み(壁) | Nano Big Muff / Triangle Big Muff(現行) | Electro-Harmonix | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | muff系は”壁が立つ”再現性が高い。BD-2前段で芯を足すと歌が埋もれにくい。 |
| ディレイ | DD-3T Digital Delay | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 反復が明瞭で、残響がリズムになりやすい。操作も簡単で初心者向き。 |
| リバーブ | Skysurfer Reverb | TC Electronic | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | シンプルで歪み後段でも扱いやすい空間。Holy Grailの”簡潔さ”に近い方向へ寄せやすい。 |
| アンプ/土台 | Katana-50 MkII | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | クリーン土台とEQが作りやすく、低域整理と中域前進がやりやすい。爆音方向の”設計”を学べる。 |
⑦総括まとめ【eastern youth・吉野寿】

吉野寿(eastern youth)の音作りは、機材スペックの勝負というより「設計思想の勝負」です。SG-1000をデビュー前から握り続け、ライブで邪魔になるならセレクターを外す。歪みはアンプ任せにせず、ペダルで質感を決めて、アンプは”受け止めて飛ばす土台”にする。ここまで徹底しているから、あの「爆音なのに言葉が残る」サウンドが成立します。
再現のコツは3つに圧縮できます。1つ目は、低域を削って”壁の輪郭”を作ること。ギターのハイパス(80〜120Hz目安)と200〜300Hzの整理で、ベースと住み分ける。2つ目は、中域を前に出して”歌を殺さない”こと。BD-2的な歪みで1kHz〜3kHzの帯域を整え、必要以上にローを増やさない。3つ目は、音量とフィードバックを”ノイズ”ではなく”表現”として扱うこと。吉野寿っぽさは、音が割れる瞬間の危うさを、ちゃんと音楽に回収している点にあります。
機材的には、SG-1000(1号機/IRA仕様)が核で、ムスタングやテレキャス、セミアコは”別の物語”を作るための道具。エフェクターはBD-2とBIG MUFFで骨格ができ、DD-2/DD-3とHoly Grailで時間と余韻を描き、AB/PARAのような裏方で現場の成立を支える。つまり、派手な新兵器より、定番を”正しく爆音で鳴らす”方向が正解に近いです。
そして最後に、いちばん大事な視点を言うなら——「爆音=ローが多い、ではない」です。むしろローを整理して、ミッドの密度と音量で壁を作る。その壁の中で、歌が刺さる帯域を空ける。これができた瞬間、吉野寿の”あの感じ”は急に現実になります。機材はあくまで手段で、設計と運用が本体。ここを押さえて組むのが、最短距離で、と、想定されます。


