始めに(特徴紹介)
Tool(トゥール)のギタリスト、アダム・ジョーンズ(Adam Jones)は、独創的なリフ構築と空間的で重厚なサウンドで知られています。彼のプレイスタイルは、プログレッシブ・メタルの複雑さと、ドゥーム/オルタナの暗さを融合させたものであり、ただの「リフメーカー」ではなく、バンド全体のサウンドスケープを支える存在です。
代表的な楽曲「Schism」ではポリリズムを活かしたクリーントーンとヘヴィリフの対比が顕著であり、「Lateralus」や「Jambi」では壮大な構築美とサウンドのうねりが際立ちます。特に「Jambi」ではトークボックスを使用し、人間的な声質を帯びたギターサウンドが強烈な印象を残します。
アダムの音作りは、複数のアンプを同時に鳴らし、ローからハイまでの帯域を分担させる独自のセットアップが特徴です。そのため、彼のギターはただの歪みやクリーンではなく、音の層が重なったような奥行きを持っています。また、ヴィンテージとモダン機材を両立させる点も注目で、1970年代のMarshallと現行Diezelをミックスすることで唯一無二のトーンを獲得しています。
アダム・ジョーンズのサウンドは、ヘヴィメタル・オルタナティブ・プログレッシブといったジャンルの垣根を越え、リスナーを没入させる「音響芸術」に近いものだといえるでしょう。
以下では、彼が実際に使用するアンプ、ギター、エフェクターを整理し、どのようにしてあのサウンドが構築されているのかを解説していきます。
使用アンプ一覧と特徴【Tool・Adam Jones】
アダム・ジョーンズのアンプセッティングは、彼の独特なトーンを形成する上で極めて重要な要素です。彼は1台のアンプに頼るのではなく、複数のアンプを同時に駆動し、それぞれに異なる役割を与えることで音の奥行きとレンジ感を実現しています。以下は確認されている実使用アンプとその特徴です。
まずメインに使用されているのがDiezel VH4です。1994年頃から導入されており、100W出力・4チャンネル仕様のハイゲインアンプとして知られています。このVH4はToolの重厚かつ立体的なリフの基盤を担い、「Schism」や「The Pot」などでも確認されます。
続いて重要なのが1976 Marshall Super Bass(Friedman改造済み)です。Diezelと併用され、低音域の厚みを強化する役割を果たしています。ヴィンテージ特有の倍音感と温かみが加わり、モダンなVH4と融合することで「硬さと柔らかさの共存」が実現しています。
さらに1990年代半ばから2010年代まで使用されていたのがMesa Boogie Dual Rectifier。3チャンネル仕様で、荒々しいアタックと分厚い歪みが特徴です。「Ænima」期のToolサウンドを支えた重要機材として知られています。
また、初期から現在まで長く使われているのがBogner ÜberschallとRivera K120TRE Knucklehead Tre。両者ともに120Wクラスの強力なアンプで、Diezelとの組み合わせにより幅広いゲインとダイナミクスを確保しています。
クリーントーンには定番のRoland JC-120 Jazz Chorusが登場します。Toolのクリーンパートはただの「静かな音」ではなく、透明感と広がりを持つサウンドであり、JC-120のステレオコーラスがその世界観を支えています。
過去にはSunn Beta Lead(1994〜2003年頃使用)、小型のRoland Cube 15(トークボックス専用)も確認されており、さらに詳細不明ながらPeavey Ampも一部使用歴があるとされています。
これらのアンプは単体での完成度も高いですが、アダムの場合は「役割分担」が最大の鍵です。Diezelでメインのモダンゲインを、Marshallでローを補強、JC-120でクリーンを補う、といった形で複層的に音作りを行っています。これにより、ライブでも圧倒的な音圧と解像度を両立しています。
総合すると、アダム・ジョーンズはヴィンテージとモダン、チューブとソリッドステートを組み合わせる稀有なスタイルを持っており、その結果として唯一無二のToolサウンドが構築されていると想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
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Diezel VH4 | Diezel | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | 1994年頃から使用。4ch仕様、モダンハイゲインの基盤。 |
1976 Marshall Super Bass | Marshall | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | Friedman改造済み。ロー強化のためDiezelと併用。 |
Mesa Boogie Dual Rectifier | Mesa Boogie | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | 1990年代半ば〜2010年代に使用。3ch仕様。 |
Bogner Überschall | Bogner | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | 1993年頃〜現在まで使用。高ゲイン担当。 |
Rivera K120TRE Knucklehead Tre | Rivera | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | 1993年頃〜現在。Diezelと併用し幅広いレンジを確保。 |
Roland JC-120 Jazz Chorus | Roland | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | 1995年頃〜現在。クリーンパート専用。 |
Sunn Beta Lead | Sunn | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | 1994〜2003年頃使用。ソリッドステート特有の力強い音。 |
Roland Cube 15 | Roland | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | 小型アンプ。トークボックス用に使用。 |
Peavey Amp (モデル不明) | Peavey | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | 詳細不明。スタジオや一部ライブで確認。 |
使用ギターの種類と特徴【Tool・Adam Jones】
アダム・ジョーンズのギターコレクションは、彼のサウンドを語る上で欠かせない存在です。特に象徴的なのが1979 Gibson Les Paul Custom Silverburstで、Toolのサウンドの代名詞ともいえるギターです。銀黒のバーストカラーは視覚的にもインパクトがあり、ライブでもひときわ目を引きます。この個体にはGibson Custom Custombucker™とSeymour Duncan® Distortion™が搭載され、CTSポットやOrange Dropコンデンサーなど細部までこだわり抜かれています。過去にはSeymour Duncan JB4やCustom DDJなどを使用していたことも確認されています。
2022年にはGibson Custom ShopからReverse Silverburst Murphy Lab Flying Vが登場しました。リバースヘッドや非典型的なコントロール配置など、通常のFlying Vとは一線を画す仕様で、ツアー専用のプロトタイプとして話題になりました。アダムのトーンを象徴するSilverburstカラーをそのままVシェイプに落とし込んだ点は、まさに彼らしい選択といえるでしょう。
他にも、シルバーバーストの複数個体(Duplicates)を所有しており、ライブではメイン機のバックアップとして使い分けています。さらに、自然木目が特徴的なLes Paul Custom Natural Finish (Quilted Maple Top)も使用されており、特殊チューニング曲に登場します。また、ブラックカラーのLes Paul Customも確認されており、こちらは’79 Silverburstのスペアとして役割を担っています。
Toolのダイナミックな楽曲には曲ごとに異なるギターが必要で、ダブルネックのGibson EDS-1275は「No Quarter」のライブ演奏で登場。さらに、スタジオでは正確なモデル不明ながらGibson SGやGuild Acousticが用いられており、楽曲に応じて音の幅を広げています。
弦にはErnie Ball Skinny Top/Heavy Bottom (10-52)を愛用。これはクリーンから重低音リフまで幅広く対応するために選ばれており、アダムのリズミカルなカッティングや分厚いドロップチューニングに最適なセットといえます。
総合すると、アダム・ジョーンズのギターは「視覚的な存在感」と「音の厚み」を兼ね備えており、Silverburst Les Paulを中心に多様なバリエーションを持ち込むことで、Tool特有の深遠でヘヴィなサウンドを支えていると想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1979 Gibson Les Paul Custom Silverburst | Gibson | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | エレキギター | 象徴的なメインギター。Custombucker™+Seymour Duncan Distortion™搭載。 |
Gibson Custom Shop Reverse Silverburst Murphy Lab Flying V | Gibson | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | エレキギター | 2022年ツアー用。リバースヘッド仕様。 |
Gibson Les Paul Custom Silverburst Duplicates | Gibson | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | エレキギター | 複数所有し、メインのバックアップとして使用。 |
Gibson Les Paul Custom Natural Finish (Quilted Maple Top) | Gibson | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | エレキギター | 特殊チューニング用。ライブで使用。 |
Black Gibson Les Paul Custom | Gibson | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | エレキギター | ’79 Silverburstのスペア。 |
Gibson EDS-1275 (Cherry Red) | Gibson | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | ダブルネックギター | 「No Quarter」ライブ演奏で使用。 |
Gibson SG (モデル不明) | Gibson | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | エレキギター | スタジオで使用。詳細不明。 |
Guild Acoustic Guitar (モデル不明) | Guild | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | アコースティックギター | アコースティックパートで使用。 |
Ernie Ball Skinny Top/Heavy Bottom (10-52) | Ernie Ball | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | ギター弦 | 低音の迫力を確保しつつ高音も弾きやすい。 |
使用エフェクターとボード構成【Tool・Adam Jones】
アダム・ジョーンズのエフェクターボードは、シンプルながらも非常に戦略的に構築されています。彼は「歪みの壁」を作るためにアンプを複数組み合わせていますが、エフェクターはそのサウンドに質感や特殊効果を加える役割を担っています。特に特徴的なのはトークボックスやシンセ的な要素を組み込む点で、Toolの音響的な世界観に直結しています。
代表的なものとしてDunlop Heil HT1 Talk Boxが挙げられます。「Jambi」で使用されるこの機材は、口腔の形状によってギターの音を人間の声のように変化させるもので、Toolのライブにおける最大の見せ場の一つとなっています。また、これを支えるためにRoland Cube 15とMXR Dyna Compを組み合わせた専用ルーティングが構築されています。
歪み系ではAbominable Electronics HellmouthやGamechanger Audio Plasmaといった個性的なディストーションを使用。Hellmouthはトレブルカットやクリーンブレンド機能を備え、Plasmaはキセノン管を用いた独特なサウンドで、通常の歪みペダルでは得られない倍音を付加します。さらにファズ系としてFoxx Tone Machine Reissueを導入し、より過激で厚みのある音色を作り出しています。
モジュレーション系ではBoss BF-2 / BF-3 Flangerをキャリア全般で愛用し、Tool特有のサイケデリックな質感を演出。さらにBoss CE-5 Chorus Ensembleも2011年以降のライブで確認されており、低域と高域を独立して調整できるため、JC-120のクリーンと組み合わせて広がりのあるサウンドを構築しています。
ディレイはBoss DD-3 / DD-5に加えて、2016年以降はMXR Carbon Copy Deluxeを採用。最大1.2秒のディレイタイムとタップテンポ機能により、楽曲のリズムに応じた緻密な残響を実現しています。
その他の補助的な役割として、MXR Micro AmpやXotic RC Boosterによるクリーンブースト、Boss GE-7やMXR M108SによるEQ補正、Dunlop Cry Baby BB-535 Wahによるワウ操作などがあります。また、GoodrichやErnie Ballのボリュームペダル、Peterson StroboStompによるチューニング精度の高さもステージでの安定感につながっています。
さらにライブでは、Roland PK-5 MIDIペダル+VK-8MモジュールやAccess Virus B/Indigo、Moog Taurusといったシンセ機材も組み込まれ、ギターの役割を超えて低音やアンビエント要素までカバーしています。これにより、Toolの音は単なる「ギター+バンドサウンド」ではなく、壮大なサウンドスケープへと昇華されているのです。
総合すると、アダム・ジョーンズのエフェクト構成は、歪み・揺らぎ・空間系をバランス良く配置しつつ、特殊効果を要所で導入することで、楽曲における「必然的な音響効果」を作り出していると想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
Dunlop Heil HT1 Talk Box | Dunlop | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | ボコーダー | 「Jambi」で使用。口の動きを反映。 |
Abominable Electronics Hellmouth | Abominable Electronics | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | ディストーション | トレブルカット、クリーンブレンド機能付き。 |
Gamechanger Audio Plasma | Gamechanger Audio | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | ディストーション | キセノン管を使用。独自の倍音を生成。 |
Boss BF-2 / BF-3 Flanger | BOSS | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | フランジャー | キャリアを通じて使用。BF-3は追加モード搭載。 |
Boss CE-5 Chorus Ensemble | BOSS | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | コーラス | 2011年以降使用。低域/高域を独立調整可能。 |
Boss DD-3 / DD-5 Digital Delay | BOSS | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | ディレイ | 定番のデジタルディレイ。DD-5は生産終了モデル。 |
MXR Carbon Copy Deluxe Delay | MXR | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | ディレイ | 最大1.2秒。タップテンポ機能付き。 |
MXR Dyna Comp | MXR | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | コンプレッサー | クリーンやトークボックス用に2012年から使用。 |
MXR Micro Amp / Micro Amp Plus | MXR | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | ブースター | クリーンブースト。PlusはEQ付き。 |
Boss GE-7 Equalizer | BOSS | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | イコライザー | 2018年以降使用。中域補正に使用。 |
Dunlop Cry Baby BB-535 Wah | Dunlop | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | ワウペダル | 2013年以降使用。6段階の周波数幅切替が可能。 |
Peterson StroboStomp Tuner | Peterson | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | チューナー | 高精度ストロボチューナー。ライブ用。 |
Goodrich 120 Volume Pedal | Goodrich | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | ボリュームペダル | 2010年代以降使用。音量調整用。 |
Roland PK-5 Dynamic MIDI Pedal + VK-8M Organ Module | Roland | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | ギターシンセサイザー | オルガン音源としてライブ使用。 |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【Tool・Adam Jones】
アダム・ジョーンズの音作りは、単純な歪みやクリーンの切り替えにとどまらず、「帯域の分担」「空間の奥行き」「楽曲ごとの構成」に徹底的にこだわっているのが特徴です。Toolの音楽はポリリズムや変拍子、重厚なベースラインと複雑なドラムに支えられているため、ギターが埋もれることなく存在感を放つには非常に緻密な調整が求められます。
まずEQの基本設定として、Diezel VH4やBogner Überschallでは中域を厚めに残し、ローをMarshall Super Bassで補強する形が多く見られます。Diezel単体で鳴らすとモダンで切れ味のあるサウンドになりますが、これにMarshallの低域を重ねることで「重さ」と「深み」が生まれます。特にLateralus期以降はこの帯域分担が重要で、ギターがバンド全体を支配するのではなく、あくまで「音響的な柱」として存在しているのがポイントです。
クリーントーンについては、Roland JC-120とBoss CE-5 Chorus Ensembleの組み合わせが鍵を握っています。ここでは低域をややカットし、中高域を際立たせるEQ設定を採用。これによりベースやドラムと衝突せず、透明感のあるクリーンが前面に出てきます。「Schism」のイントロで聴ける立体的なクリーンはまさにこの組み合わせによるものです。
ディレイに関しては、Boss DD-3やMXR Carbon Copy Deluxeを使用し、楽曲ごとに設定を変更しています。「Right in Two」などではタップテンポを活用し、曲のリズムに完全に同期させたディレイをかけています。ディレイタイムは400〜600msを基準に、空間を埋めるためにフィードバックを浅めに設定することが多いと想定されます。一方で、アンビエント的に音を広げる場面ではフィードバックを強め、ステレオ感を意識した処理を行っています。
さらにミックスにおける工夫も特徴的です。アダムのギターはライブでもスタジオでも、左右に大きくパンニングされるのではなくややセンター寄りに定位させる傾向があります。これはベースのジャスティン・チャンセラーとのリフユニゾンを際立たせるためであり、ギターが単独で主張するのではなく、リズムセクションとの「融合」に重きを置いているのです。エンジニアの報告によれば、Toolのギターは通常よりも低域を強調した状態でミックスされることが多く、これはMarshall Super Bassの存在感を反映した処理といえます。
曲ごとのセッティング例として、「Jambi」ではトークボックス用の専用ルーティングを組み、MXR Dyna Compでコンプレッションをかけた後にCube 15を通しています。これによりトークボックス特有の音量の不安定さを補正しています。また「The Pot」や「Vicarious」では高域を強調し、リフの切れ味を際立たせています。一方で「Pneuma」や「Descending」ではローを前に出し、壮大な音像を作るために空間系エフェクトを積極的に取り入れています。
エンジニアリングの観点から見ても、Toolのレコーディングは特殊です。複数アンプを同時録音し、後からブレンドすることが多いため、ギターのトラック数は少なくてもサウンドの厚みが圧倒的です。EQ処理では200Hz付近のローをやや削り、500Hz〜1kHzを強調するのが定石とされており、これによりギターがミッドレンジで際立ちながらも、ベースやドラムのローを邪魔しないバランスが保たれています。
総合すると、アダム・ジョーンズの音作りは「帯域分担によるバンド内での役割明確化」と「楽曲ごとの空間処理」によって成立しており、PAやミックス段階でもその哲学が徹底されていると想定されます。これこそがTool特有の没入感を生み出す源泉なのです。
比較的安価に音を近づける機材【Tool・Adam Jones】
アダム・ジョーンズの音を完全に再現するには、Diezel VH4や1979年製Gibson Les Paul Custom Silverburstといった高額で希少な機材が必須ですが、現実的には数百万円単位の投資が必要です。そこでここでは、比較的安価に、かつ市販の機材で「Toolらしい音」に近づけられる選択肢を紹介します。目安は1〜10万円程度の範囲で揃えられるものを選びました。
まずギターについては、Gibson Les Paul Customは高価ですが、EpiphoneのSilverburstモデルであれば10万円以下で入手可能です。見た目も音もアダムの象徴であるSilverburstにかなり近く、ハムバッカーの厚みのあるサウンドでTool的なリフを体感できます。弦は必ずErnie Ball Skinny Top/Heavy Bottom (10-52)を導入することで、ダウンチューニングのリフにも耐えられるテンション感を得られます。
アンプでは、DiezelやMesa Boogieは非常に高価で入手困難ですが、BOSSやLine 6などのマルチエフェクターのアンプシミュレーション機能を利用することで再現度を高められます。特にBOSS Katanaシリーズはモダンハイゲインからクリーンまで幅広くカバーでき、価格帯も手頃で、Tool的な音作りを始めたい人にはおすすめです。
エフェクターに関しては、フランジャーやディレイといった「揺らぎ」と「空間」を作る機材が重要です。Boss BF-3 Flangerは実機と同じモデルが新品でも手に入り、CE-5 ChorusやDD-3 Delayも現行品として流通しています。これらを組み合わせることで「Schism」や「Lateralus」のクリーンの質感に近づけることが可能です。さらにCry Baby Standard Wahを導入すれば、「The Pot」などのワウを活かしたフレーズを再現できます。
初心者向けには、マルチエフェクター(Line 6 HX StompやBOSS GT-1000CORE)も非常に有効です。アンプシミュレーションと空間系をまとめて搭載しているため、ライブや自宅練習で即戦力になります。特にHX StompはDiezelやMesa系のアンプモデリングを含み、比較的リアルなTool風サウンドを作り込むことができます。
まとめると、「ギターはEpiphone Silverburst」「アンプはBOSS Katana」「エフェクターはBF-3+DD-3+CE-5+Cry Baby」を基盤にすると、10万円以下でもTool的な分厚いサウンドに近づけることができます。さらに余裕があればHX Stompのようなマルチを導入し、アンプモデルを細かく調整すれば、より本格的なアダム・ジョーンズの音に迫れるでしょう。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
エレキギター | Epiphone Les Paul Custom Silverburst | Epiphone | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | 見た目・構造ともにSilverburstに近い。10万円以下で入手可能。 |
ギター弦 | Ernie Ball Skinny Top/Heavy Bottom (10-52) | Ernie Ball | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | アダム実使用と同じ弦。重低音リフに必須。 |
アンプ | BOSS Katana-100 MkII | BOSS | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | DiezelやMesaを模したハイゲイントーンも再現可能。 |
フランジャー | Boss BF-3 Flanger | BOSS | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | 実使用モデル。Toolのサイケデリックな揺らぎを再現。 |
ディレイ | Boss DD-3T Digital Delay | BOSS | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | シンプルなデジタルディレイ。クリーンやソロで活躍。 |
コーラス | Boss CE-5 Chorus Ensemble | BOSS | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | 透明感のあるクリーンに必須。実使用モデル。 |
ワウペダル | Dunlop Cry Baby Standard Wah | Dunlop | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | 実機BB-535の廉価版。Toolのリフに最適。 |
マルチエフェクター | Line 6 HX Stomp | Line 6 | Amazonで探す | Tool | Adam Jones | DiezelやMesaのアンプモデルを内蔵し、再現度が高い。 |
総括まとめ【Tool・Adam Jones】

アダム・ジョーンズ(Adam Jones)の音作りを振り返ると、その本質は「単なるギターサウンド」ではなく、バンド全体の音響を支配する「建築的な音響設計」にあるといえます。彼はギタリストでありながら、彫刻家や映像クリエイターとしての感覚を持ち込むことで、音そのものを立体的にデザインしているのです。Toolの楽曲を聴くと、ギターが主張しすぎるのではなく、ドラム、ベース、ボーカルと融合しながら巨大な音の彫刻を形成しているのがわかります。
そのために彼が選んだのは、ヴィンテージとモダンのアンプを複数組み合わせ、帯域を分担させる独自の方法でした。Marshallのローと倍音、Diezelのモダンな歪み、JC-120の透明感を組み合わせることで、どの帯域でも隙間がなく、ライブ会場を包み込むようなトーンが生まれます。これに加え、FlangerやChorusといったモジュレーション系、トークボックスやシンセといった特殊なエフェクトを要所で用いることで、リフやアルペジオが単なる伴奏ではなく「体験」へと昇華されています。
また、彼のプレイスタイルはテクニカルさよりも「精密なリフの配置」と「音の質感の選択」に重きが置かれています。Schismの変拍子リフ、Lateralusのビルドアップ、Jambiのトークボックスなど、いずれも派手な速弾きではなく「音がどう響くか」を考え抜いたプレイです。つまり、アダムの音を再現するには、機材そのもの以上に「バンド全体の中での役割をどうデザインするか」という視点が必要なのです。
初心者が彼のサウンドを追いかける場合、すべての機材を揃えるのは現実的ではありません。しかし、Epiphone Silverburst+BOSS系のエフェクター(BF-3, CE-5, DD-3, Cry Baby)という組み合わせだけでも、Tool的な雰囲気は十分に味わえます。さらにLine 6 HX StompやBOSS GT-1000COREのようなマルチを活用すれば、アンプや空間系をまとめてシミュレートでき、スタジオや自宅での音作りも容易です。
総合すると、アダム・ジョーンズの音作りは「機材の豪華さ」ではなく「音響デザインの思想」にこそ価値があります。帯域の使い分け、空間処理、リフの配置を意識しながら、自分の環境に合った機材でアプローチすることが、Toolの世界観を体感する最短ルートでしょう。最終的に重要なのは、「音を彫刻する感覚」でギターを鳴らすこと。それこそがアダム・ジョーンズがToolで提示し続けている、唯一無二のサウンドアートなのです。
下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
ギター
1979 Gibson Les Paul Custom Silverburst
◦ 備考:最も象徴的なギター。ネック:Gibson Custom Custombucker™、ブリッジ:Seymour Duncan® Distortion™。CTSポテンショメーター、Orange Dropキャパシター、Switchcraft 3ウェイセレクター使用。過去にはSeymour Duncan JB4、Custom DDJ、Hot Rodded pickupsも使用。
Gibson Custom Shop Reverse Silverburst Murphy Lab Flying V
◦ 備考:2022年ツアー用プロトタイプ。リバースヘッド、非典型的コントロール、リバースシルバーバースト。
Gibson Les Paul Custom Silverburst Duplicates
◦ 備考:複数所有。
Gibson Les Paul Custom Natural Finish (Yellow / Quilted Maple Top)
◦ 備考:特殊チューニング曲用。ライブ映像で確認。
Black Gibson Les Paul Custom
◦ 備考:’79 Silverburstのスペアとして使用。
Gibson EDS-1275 (Cherry Red)
◦ 備考:ダブルネック。Led Zeppelin「No Quarter」ライブ用。
Gibson SG (Exact Model Unknown)
◦ 備考:スタジオで使用。詳細不明。
Guild Acoustic Guitar (Exact Model Unknown)
◦ 備考:アコースティック使用。
Ernie Ball skinny top/heavy bottom strings (10-52 gauge)
◦ 備考:弦。
アンプ
Diezel VH4
◦ 備考:1994年頃から使用。4チャンネル、100W、モダンハイゲイン。
1976 Marshall Super Bass
◦ 備考:ヴィンテージ。Diezel VH4と併用。低音域担当。Friedman改造済み。
Mesa Boogie Dual Rectifier
◦ 備考:1990年代半ば〜2010年代まで使用。3チャンネル。
Bogner Überschall
◦ 備考:1993年頃〜現在。高ゲイン。
Rivera K120TRE Knucklehead Tre
◦ 備考:1993年頃〜現在。120W。Diezelと併用。
Roland JC-120 Jazz Chorus
◦ 備考:1995年頃〜現在。クリーン向け。
Sunn Beta Lead
◦ 備考:1994〜2003年頃。パワフルなソリッドステート。
Roland Cube 15
◦ 備考:小型ソリッドステート。Talk Box用。
Peavey Amp (Exact Model Unknown)
◦ 備考:詳細不明。
スピーカーキャビネット
Mesa Boogie Rectifier Standard 4×12
◦ 備考:1992年頃〜使用。ライブ標準。
Mesa Boogie 2×15 Bass Cabinet
◦ 備考:2014年ライブ。低音域強化。
Marshall 4×12 Cabinet
◦ 備考:使用されることあり。
エフェクター
Dunlop Heil HT1 Talk Box
◦ 備考:「Jambi」で使用。口の動きをギター音に反映。
Abominable Electronics Hellmouth
◦ 備考:ディストーション。トレブルカット&クリーンブレンド。
Gamechanger Audio Plasma
◦ 備考:キセノン管ディストーション。独特なトーン。
Boss BF-2 / BF-3 Flanger
◦ 備考:キャリア通して使用。BF-3は追加モードあり。
Boss CE-5 Chorus Ensemble
◦ 備考:2011年頃〜使用。低域・高域別設定可能。
Boss DD-3 / DD-5 Digital Delay
◦ 備考:DD-3クラシック。DD-5は生産終了。
MXR M292 Carbon Copy Deluxe Delay
◦ 備考:2016年頃〜使用。最大1.2秒。タップスイッチ付。
MXR M102 Dyna Comp Compressor
◦ 備考:クリーン&トークボックス用。2012年〜使用。
MXR M133 Micro Amp / M133 CSP233 Micro Amp Plus
◦ 備考:クリーンブースト。M133 Plusはベース/トレブルEQ追加。
Boss GE-7 Equalizer / DOD FX40B Equalizer
◦ 備考:GE-7は2018年〜、DOD FX40BはGE-7導入前に使用。
Dunlop Cry Baby BB-535 Wah
◦ 備考:2013年〜使用。マルチワウ、6周波数幅切替。
Peterson VS-S StroboStomp Tuner / Korg DTR Tuner
◦ 備考:高精度ストロボチューナー。
Boss PSM-5 Power Supply and Master Switch
◦ 備考:2010年〜ツアーで使用。
Gig-Fx Chopper CH-1
◦ 備考:2003年頃。マルチエフェクト。
Goodrich 120 Volume Pedal / Ernie Ball Standard Volume Pedal
◦ 備考:ボリュームペダル。Goodrichは2010年代〜。
Roland PK-5 Dynamic MIDI Pedal / VK-8M Organ Module
◦ 備考:MIDI/オルガン用。2010年頃〜。
Xotic RC Booster
◦ 備考:クリーンブースト。
Boss SYB-5 Bass Synthesizer
◦ 備考:ベースシンセ。11パターン。
MXR M108S
◦ 備考:10バンドイコライザー。ブースターにも使用可。
Systematic System Splitter
◦ 備考:複数アンプへの信号分岐用。
Access Virus B / Virus Indigo Synthesizer / Moog Taurus Pedals
◦ 備考:シンセサイザー、ベースシンセペダル。
Dunlop Slide
◦ 備考:スライドバー。
Ibanez Flanger / Ibanez Digital Delay
◦ 備考:詳細不明モデル。
Foxx Tone Machine Reissue
◦ 備考:ファズ。
EHX Tri Parallel Mixer / JHS Angry Charlie V3
◦ 備考:ユーザーによる再現用。直接使用ではない。
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