始めに(特徴紹介)
クイーン(Queen)のギタリストであるブライアン・メイは、唯一無二のギターサウンドで世界中のリスナーを魅了し続けています。彼の象徴である自作ギター「Red Special」から生み出されるサウンドは、クラシカルでありながらも重厚、かつオーケストラのような広がりを持っています。
「Bohemian Rhapsody」における重厚な多重録音のリード、「Brighton Rock」で披露される壮大なディレイプレイ、「We Will Rock You」の鋭くシンプルなソロなど、楽曲ごとに巧みにサウンドを変化させる柔軟性もブライアンの大きな魅力です。
また、彼の演奏はギター単体の音色だけでなく、アンプ(VOX AC30)やトレブルブースターを組み合わせた独自の音作りが大きな役割を果たしています。さらに、ピックとしてイギリスの6ペンス硬貨を使用することで、硬質でありながらも歌心のあるアタックを実現しています。
このように、ブライアン・メイのサウンドは「クラシカルな旋律性」「実験的なエフェクト使い」「圧倒的な個性」という三本柱で構成されていると言えるでしょう。彼の音作りを研究することは、単なるコピープレイ以上に、音楽そのものへのアプローチを学ぶ貴重な手がかりとなります。
使用アンプ一覧と特徴【クイーン・ブライアン・メイ】
ブライアン・メイといえば、デビュー当初から現在に至るまで一貫して使用している「VOX AC30」が代名詞です。このアンプはイギリス発祥のクラシックなチューブアンプで、独特のベルのようなクリーントーンから、フルボリューム時の独自のコンプレッション感を伴った歪みまでを生み出します。ブライアンはこのアンプをフルアップで駆動させ、そこにトレブルブースターを組み合わせることで、伸びやかでサステイン豊かなリードトーンを実現しています。
特筆すべきは、彼のAC30が標準仕様ではなく、長年にわたりピート・コーニッシュやグレッグ・フライヤーといった技術者によってモディファイされてきた点です。整流管をトランジスタに置き換えたり、不要な真空管を除去したりすることで耐久性を向上させ、ステージの過酷な環境に耐える仕様になっています。また、アンプ内部の換気口を広げ、部品を交換するなどして冷却性を確保し、長時間のライブでも安定して動作するように工夫されています。
ライブでは最大9台のAC30をステージ上に並べ、3台を基本稼働させながら、その上にさらに2段積み重ねるという圧巻のセットアップを採用しています。そのうちの一部はリピートディレイ専用として使われ、空間的に広がる「Brighton Rock」などのディレイサウンドを再現するために活用されています。このマルチアンプの使い方こそが、ブライアン独自の“ギターオーケストレーション”を支える重要なポイントです。
さらに、後年には「VOX AC30 BM Custom」というシグネチャーモデルも登場しました。これはブライアンの要求を反映した限定版で、ファンやプレイヤーにとっても「本物のメイサウンド」に近づける貴重なアイテムとなっています。
また、一部のスタジオ作業ではMarshallのプリアンプ「JMP-1」や「EL34 100/100」パワーアンプも使用されたとされ、レコーディングでの補助的な役割を果たしていた可能性があります。ただし、これらはメインのVOX AC30に比べると使用頻度は少なく、限定的なケースに留まると想定されます。
総じて、ブライアン・メイの音作りは「VOX AC30」と「トレブルブースター」の組み合わせが核であり、それにライブ環境に合わせた工夫や補助的な機材を加えることで完成されています。こうしたセッティングが彼の代名詞ともいえる立体的で壮大なクイーンサウンドを支えている、と想定されます。
使用ギターの種類と特徴【クイーン・ブライアン・メイ】
ブライアン・メイの音作りを語る上で欠かせないのが、自作ギター「Red Special(レッド・スペシャル)」です。14歳のときに父ハロルド・メイと共に制作されたこのギターは、暖炉のオーク材や古いバイクの部品を使用し、セミホロー構造と独自のトレモロユニットを搭載しています。さらに、ピックアップにはBurns Tri-Sonicを搭載し、24フレット仕様かつ0フレットを持つ独特な設計です。ピックにはイギリスの6ペンス硬貨を使用し、独特の硬質でありながらも滑らかなアタック感を生み出しています。このギターこそが、クイーンのサウンドの中核を担う存在です。
また、ブライアンは特定の楽曲に応じてFenderのギターを使用することもあります。たとえば「Crazy Little Thing Called Love」では、ロカビリー調の軽快なサウンドを狙い、1978年製のFender Telecasterを使用しました。これはクイーンの楽曲の中でも異色のロックンロールテイストを持つ一曲で、当時の音楽的トレンドを取り入れた実験的な試みとも言えるでしょう。
さらに、「Somebody to Love」のレコーディングでは1967年製Fender Esquireを使用。シングルコイルによる鋭いエッジ感と抜けの良さを活かし、ソウルフルで厚みのあるアンサンブルの中でも埋もれない存在感を発揮しました。ブライアンは必要に応じてRed Special以外のギターを柔軟に取り入れることで、楽曲ごとのカラーを際立たせていたのです。
このように、ブライアン・メイのギター選びは「Red Specialを軸にしつつ、必要な場面で適材適所にセカンドギターを使用する」という戦略に基づいています。ライブではほぼRed Special一本で通すことが多いですが、スタジオ作業では複数のギターを使い分けることで音の幅を広げていました。総じて、彼のギターコレクションは“実用性”に重きを置いたラインナップだと言えるでしょう。
これらのギターを駆使することで、ブライアンは「ギターオーケストレーション」とも呼ばれる立体的で豊潤な音像を実現しています。特にRed Specialは唯一無二の存在であり、現在でも多くのファンやギタリストにとって憧れの楽器です。その独自性は、彼の音楽キャリアとともに語り継がれていくもの、と想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
Red Special | 自作(メイ父子製作) | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | エレキギター | 自作ギター。Burns Tri-Sonic搭載、独自トレモロ、セミホロー構造、6ペンス硬貨をピックに使用 |
1978 Fender Telecaster | Fender | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | エレキギター | 「Crazy Little Thing Called Love」で使用。軽快なロカビリー調サウンド |
1967 Fender Esquire | Fender | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | エレキギター | 「Somebody to Love」のレコーディングで使用。鋭くエッジの効いたサウンド |
使用エフェクターとボード構成【クイーン・ブライアン・メイ】
ブライアン・メイの音作りにおいて、エフェクターの存在は欠かせません。特に「トレブルブースター」は、VOX AC30をフルアップで駆動させる際に高域を強調し、芯のある伸びやかなサウンドを生み出すための必須アイテムです。初期にはDallas Rangemasterを使用していましたが、紛失後は自作のモデルやピート・コーニッシュ製のTB-83、さらにデュプレックス仕様のTB-83Xを愛用しました。90年代後半にはGreg Fryer製、そして2010年代にはKAT製ブースターへと移行しており、時代ごとに愛用品を変えつつも、サウンドの根幹は常に「ブースター+AC30」で形成され続けています。
空間系ではディレイの使用が特に重要です。「Brighton Rock」でのギターソロの多重ディレイは伝説的で、初期にはMaestro Echoplex EP-3を使用。その後、1985年以降はMXR Delay System IIを導入し、安定したロングディレイを実現しました。これにより、ライブでの重層的なサウンドスケープが可能になっています。
モジュレーション系では、Foxx Foot Phaserを「Keep Yourself Alive」など初期の楽曲で活用。さらに70年代後半からはBOSS CE-1を導入し、その後期にはBOSS CE-3も使用されています。これらのコーラス効果は、クイーン特有の立体的なギターサウンドに厚みを加える役割を果たしました。
ワウペダルは、初期にJen Crybabyを使用しており、「Great King Rat」などの楽曲で確認されています。後年はJim Dunlop GCB-95 Crybabyへ移行し、安定した操作性を得ています。さらに、1985年の来日公演ではIbanez Auto Filter AF-9(オートワウ)が確認され、よりファンキーで実験的な表現に挑戦していました。
また、特殊効果として特注のハーモナイザーを使用し、「Get Down Make Love」などのライブで大胆な音響効果を加えています。ディレイやハーモナイザーとの組み合わせは、まさに「ギターオーケストレーション」と呼ばれる所以です。
ノイズ対策としては、Rocktron Hush II CをMXR Delay System II導入以降に使用しており、複雑なエフェクトチェーンにおける不要なノイズを効果的に抑制していました。さらに、コーニッシュ製のLine Driver(ストラップに取り付けるバッファ)を導入することで、長いシグナルチェーンでも音質を保ち、ライブでの安定性を確保しています。
初期は床置きのペダルを個別に操作していましたが、70年代半ば以降はピート・コーニッシュによるカスタムペダルボードへ移行し、ライブでの操作性と安定性を大幅に向上させました。こうしたシステム構築の工夫により、壮大かつ緻密なクイーンサウンドが成立していた、と想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
Dallas Rangemaster | Dallas | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | ブースター | 初期に使用した伝説的トレブルブースター。紛失後は代替品へ |
Cornish TB-83/TB-83X | Pete Cornish | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | ブースター | 1980年代以降の愛用品。デュプレックス仕様も導入 |
Greg Fryer Treble Booster | Greg Fryer | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | ブースター | 90年代後半以降の使用モデル |
KAT Booster | KAT | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | ブースター | 2014年以降のライブで使用 |
Maestro Echoplex EP-3 | Maestro | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | ディレイ | 「Brighton Rock」での多重ディレイに使用 |
MXR Delay System II | MXR | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | ディレイ | 1985年以降に使用された安定性の高いディレイ |
Foxx Foot Phaser | Foxx | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | フェイザー | 「Keep Yourself Alive」などで使用 |
BOSS CE-1 | BOSS | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | コーラス | 70年代後半から導入。立体的なサウンドに貢献 |
BOSS CE-3 | BOSS | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | コーラス | 後期に使用されたモデル |
Jen Crybaby | Jen | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | ワウペダル | 初期ライブで使用。「Great King Rat」など |
Jim Dunlop GCB-95 Crybaby | Jim Dunlop | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | ワウペダル | 後年の標準的なワウペダル |
Ibanez Auto Filter AF-9 | Ibanez | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | オートワウ・エンベロープフィルター | 1985年の来日公演で確認 |
Rocktron Hush II C | Rocktron | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | ノイズリダクション | ディレイ導入以降に使用。ノイズ低減に貢献 |
Cornish Line Driver | Pete Cornish | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | バッファー | ストラップ装着型バッファ。シグナル補正用 |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【クイーン・ブライアン・メイ】
ブライアン・メイの音作りは、単なる機材の選択にとどまらず、アンプ設定やEQバランス、そしてミックスでの工夫によって完成されています。まずアンプの基本設定ですが、VOX AC30をフルボリュームに設定し、そこにトレブルブースターを組み合わせることが最も重要です。AC30を限界までドライブさせることで独特のコンプレッション感が得られ、トレブルブースターが不足しがちな高域を補完し、抜けの良いサウンドを実現しています。このセッティングはライブでもスタジオでも一貫しており、まさに「ブライアン・メイ・トーン」の核を形成しています。
EQに関しては、中域を厚めに残しつつ、高域を強調するのが基本です。Red SpecialのBurns Tri-Sonicピックアップは出力が強く、やや中域寄りのキャラクターを持っているため、トレブルブースターによってブライト感を加えることでバンドアンサンブルの中でも埋もれない音が作られます。低域はあえて抑え気味にすることで、ジョン・ディーコンのベースラインやロジャー・テイラーのドラムサウンドと干渉せず、全体のミックスにおいてもクリアな分離を保てるよう工夫されています。
曲ごとの使い分けも特徴的です。「Bohemian Rhapsody」ではマルチトラックでギターオーケストレーションを構築し、EQを細かく調整して音域を分散させることで、オーケストラのような重厚な音像を作り上げています。一方で「We Will Rock You」では余計なエフェクトを排除し、ギター本来の荒々しさを強調したシンプルな設定にすることで、楽曲全体の力強さを際立たせています。「Brighton Rock」ではディレイタイムを複数設定し、左右に振り分けたアンプから異なる遅延音を出すことで、ライブでもスタジオ音源に近い立体感を再現しています。
PAやエンジニア視点から見ると、ブライアンの音作りは非常にユニークです。例えばライブでは複数台のVOX AC30を同時に鳴らし、それぞれに異なる役割を与えることで立体的なミックスを実現しています。メインリード用、リズム補強用、ディレイ専用といった具合に分けることで、ソロやバッキングの切り替えがスムーズに行われるのです。また、アンプの配置によっても音の広がりが変化し、観客にとって“壁のようなギターサウンド”を体感できるよう工夫されています。
レコーディングにおいては、Red Specialの特性を活かしつつも、複数のマイクを使った録音手法やオーバーダブを駆使しています。例えば1台のアンプに対してダイナミックマイクとコンデンサーマイクを組み合わせて録音し、それぞれの帯域をミックスすることで奥行きのあるサウンドを作り出しています。また、トラックを左右に大きくパンすることで、ギターだけで“オーケストラ的”な効果を演出しているのです。
さらに、ブライアンはピッキングのニュアンスを活かすため、演奏時の右手のアタック感と弦の共鳴を大切にしており、これはミックス段階でも重要な要素となります。6ペンス硬貨による硬質なピッキングはEQで強調されやすく、サステインが長く伸びるため、リバーブやディレイとの相性も抜群です。
総じて、ブライアン・メイの音作りは「アンプをフルアップで鳴らす大胆さ」と「EQ・エフェクトでの緻密な調整」の両立にあります。こうした工夫があるからこそ、彼のギターはソロでもバンド全体の中でも強烈な存在感を放ち、唯一無二のトーンとして認識されるのです。これらは確定的な情報だけでなく、ライブ写真や音源の分析から推測される部分も含みますが、総合的に見るとこのようなセッティングであったと想定されます。
比較的安価に音を近づける機材【クイーン・ブライアン・メイ】
ブライアン・メイのサウンドを完全に再現するのは難しいですが、初心者や中級者でも比較的安価な機材を組み合わせることで近いトーンを楽しむことができます。ポイントは「VOX系アンプ」「トレブルブースター」「ディレイ」の3要素を軸にすることです。これらを揃えるだけでも、あの独特の伸びやかで歌うようなギターサウンドにグッと近づけます。
まずアンプに関しては、VOX AC30本体は高額ですが、その弟分にあたるVOX AC15や、より手頃なVOX Pathfinder 10などを使うと良いでしょう。これらは真空管モデルやモデリング技術でAC30の「チャイミーな高域」を再現しており、自宅練習や小規模ライブでも十分に活躍します。
次にトレブルブースターですが、オリジナルのDallas Rangemasterは入手困難で高額です。その代わりにBOSS BD-2 Blues Driverや、より本格的にはCatalinbread Galileo(ブライアン・メイのトーンを意識したペダル)が候補になります。特にBD-2は価格帯が手頃で、多くのプレイヤーにとって入手しやすい選択肢です。アンプをクランチに設定してBD-2を踏めば、メイのような艶やかで抜けのあるリードトーンが再現しやすくなります。
ディレイに関しては、BOSS DDシリーズ(DD-7や現行のDD-8)が最も扱いやすいでしょう。複数ディレイを設定して「Brighton Rock」のような多重エコーを完全に再現するのは難しいですが、シンプルなロングディレイを設定するだけでも十分に雰囲気を味わえます。また、安価なマルチエフェクター(ZOOM G1 FOURやBOSS GT-1)を活用すれば、トレブルブースターからディレイ、リバーブまで一括で再現可能です。
さらにピックの選択も意外に重要です。ブライアンはイギリスの6ペンス硬貨を使用していましたが、日本では硬貨を使うのは現実的でない場合もあるため、ステンレス製や金属製のピックを試すと近いアタック感が得られます。これを組み合わせることで、安価でもかなり“それっぽい”サウンドを体感できます。
総合すると、「VOX系アンプ+トレブルブースター系エフェクト+ディレイ+メタルピック風のアタック」が揃えば、初心者でも十分にクイーンの名曲をブライアン風にプレイすることが可能です。大掛かりな機材を揃えなくても、工夫次第で十分に楽しめる、と言えるでしょう。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
アンプ | VOX AC15C1 | VOX | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | AC30の弟分。自宅や小規模ステージ向け |
アンプ | VOX Pathfinder 10 | VOX | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | 低価格でVOXらしいチャイミートーンが得られる |
ブースター | BOSS BD-2 Blues Driver | BOSS | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | 安価ながらトレブルブースター的に使える |
ブースター/オーバードライブ | Catalinbread Galileo | Catalinbread | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | ブライアン・メイのVOX+ブースターサウンドを再現する設計 |
ディレイ | BOSS DD-8 | BOSS | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | 多機能ディレイ。ロングディレイで「Brighton Rock」風を再現可能 |
マルチエフェクター | ZOOM G1 FOUR | ZOOM | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | 低価格で複数エフェクトを一括再現可能 |
マルチエフェクター | BOSS GT-1 | BOSS | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | 安価で初心者でも扱いやすい多機能マルチエフェクター |
ピック | 金属製ピック(ステンレス/真鍮) | 各社 | Amazonで探す | クイーン | ブライアン・メイ | 6ペンス硬貨の代替として硬質なアタック感を得られる |
総括まとめ【クイーン・ブライアン・メイ】

ブライアン・メイの音作りの本質は、「唯一無二の個性を徹底的に貫いた結果」だと言えます。自作ギター「Red Special」に代表されるように、彼は既存の製品に頼らず、自分が欲しい音を生み出すために工夫を重ねてきました。アンプではVOX AC30をフルボリュームで鳴らし、トレブルブースターを組み合わせることで得られるサステインと煌びやかな高域。そしてディレイを駆使した「ギターオーケストレーション」による立体的なサウンドは、他の誰も真似できない領域に達しています。
また、彼のアプローチは「システムを複雑化する」方向性ではなく、むしろシンプルな構成を徹底的に使いこなすものです。Red Special+VOX AC30+トレブルブースターという限られた要素を、場面に応じたEQやエフェクトの微調整によって最大限に活かしています。その結果、シンプルながらも奥行きのある音像が生まれ、バンド全体のサウンドを支配する存在感を放っています。
現代のギタリストがブライアン・メイの音を目指す際には、機材を完全にコピーする必要はありません。むしろ「なぜその機材を選んだのか」「どういう背景でそのセッティングに至ったのか」を理解することが重要です。例えば、Red Specialは単なる自作ギターではなく、「既製品では理想の音が得られなかったからこそ作った」結果であり、その姿勢自体が音楽に対する哲学を示しています。
読者の皆さんにとって重要なのは、単にブライアンのセッティングを真似ることではなく、その「考え方」を自分の演奏や音作りに取り入れることです。自分の理想のトーンを突き詰め、必要であれば機材を工夫する。こうした姿勢こそが、彼の音を唯一無二のものにしている最大の理由なのです。
総じて、ブライアン・メイのサウンドを再現するためには、「Red Special」「VOX AC30」「トレブルブースター」「多重ディレイ」という核を押さえることが第一歩となります。しかしその先にある本質は、「創意工夫と独自性へのこだわり」。この視点を持つことで、誰しもが自分だけの“ギターオーケストレーション”を作り出すヒントを得られるでしょう。
下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
🎸 ギター
Red Special(レッド・スペシャル)
14歳の時に父と共同制作。暖炉のオーク材やバイク部品を使用した自作ギター。セミホロー構造、独自のトレモロユニット、ローラーブリッジ、Burns Tri-Sonicピックアップ搭載。0フレット仕様・24フレット。ピックには6ペンス硬貨を使用。
1978 Fender Telecaster
「Crazy Little Thing Called Love」で使用。ロカビリー調に合わせ軽快なサウンドを狙った。
1967 Fender Esquire
「Somebody to Love」のレコーディングで使用。鋭くエッジの効いたサウンドが特徴。
🔊 アンプ
VOX AC30
デビュー前から一貫して愛用。フルボリューム+トレブルブースターで独特の歪みを獲得。
改良:整流管をトランジスタ化、不要管除去、換気口拡大、パーツ交換などで耐久性・冷却性を向上。
ピート・コーニッシュ、グレッグ・フライヤーらがモディファイ。
ステージでは3台を稼働+上に2段積み(合計9台)で「壁」を形成。リピート音専用アンプも使用。
VOX AC30 BM Custom(シグネチャーモデル)
限定販売されたブライアン・メイ仕様のカスタムモデル。
🎚 エフェクター
トレブルブースター
Dallas Rangemaster(初期使用、紛失後は自作やコーニッシュ製に移行)
Cornish製 TB-83/TB-83X Duplex(1980年代以降愛用)
Greg Fryer製トレブルブースター(90年代後半以降)
KAT製ブースター(2014年以降のライブで使用)
ディレイ
Maestro Echoplex EP-3(初期。Brighton Rockのロングディレイなど)
MXR Delay System II(1985年以降)
フェイザー
Foxx Foot Phaser(「Keep Yourself Alive」などで使用)
コーラス
BOSS CE-1(70年代後半〜)
BOSS CE-3(後期)
ワウペダル
Jen Crybaby(初期ライブで使用。「Great King Rat」など)
Jim Dunlop GCB-95 Crybaby(後年確認)
オートワウ
Ibanez Auto Filter AF-9(1985年の来日公演で確認)
ハーモナイザー
特注品。ライブで「Get Down Make Love」など特殊効果に使用。
ノイズリダクション
Rocktron Hush II C(MXR Delay System II導入以降)
その他(備考)
弦:Rotosound(.009–.042)
ピック:イギリス6ペンス硬貨を使用
信号補正:コーニッシュ製 Line Driver(ストラップ装着型バッファ)
ペダルボード:初期は床置き→70年代半ば以降はCornish製ペダルボードシステムへ移行
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