始めに(特徴紹介)
tricotの中嶋イッキュウは、ボーカル兼ギタリストとして独自の存在感を放っています。彼女のギタープレイはテクニカルなリフや変拍子に合わせたカッティング、そして歌と絡み合うメロディアスなフレーズが特徴です。
イッキュウのギターサウンドは「クリーンから歪みまで幅広く対応できる柔軟性」と「鋭く切り込むアタック感」が融合しており、tricotの変則的で複雑な楽曲に彩りを与えています。
代表曲「pool」や「おちゃんせんすぅす」では、鋭くも繊細なストラトのトーンが楽曲全体を引き締めており、ライブでの迫力とレコーディングでの緻密な音作りの両方を感じさせます。
また「模造紙ヒデキちゃん」ではドロップCチューニングの重厚なリフと、空間系エフェクトを組み合わせた立体的なサウンドメイキングが印象的です。
イッキュウのサウンドが注目される理由は、その「ギターボーカル」という立場を超え、1本のギターだけで楽曲のリズム・メロディ・質感をすべて支える力強さにあります。
彼女の音作りを追求することで、単なるコピーではなく、自分のバンドサウンドを進化させるための大きなヒントを得られるはずです。
使用アンプ一覧と特徴【tricot・中嶋イッキュウ】
中嶋イッキュウのサウンドを支える重要な要素のひとつがアンプです。ライブでもレコーディングでも、彼女はクランチからディストーション、クリーンまでを自在に操るために、シンプルながらも芯の強いアンプを選んでいます。特にメインで長年使用しているのが「Bruce Zinky Blue Velvet 25」であり、これがtricotサウンドの核といえる存在です。
「Blue Velvet 25」は12インチスピーカー1発のコンボアンプで、出力25Wという扱いやすいサイズ感ながらも、真空管アンプらしい豊かな倍音とレスポンスの良さを備えています。イッキュウは7年以上にわたって愛用しており、ライブでは常に安定感のあるトーンを提供しています。クリーンは透き通るように澄み切り、ブースターやオーバードライブとの相性も抜群です。
一方で、スタジオやレコーディングではFender BassmanやMatchless DC-30なども使用されることがあります。特に「模造紙ヒデキちゃん」のレコーディングでは、ドロップCチューニングのKTM-AS-IKKYU EDITIONとMatchless DC-30を組み合わせ、分厚く立体的なサウンドを生み出しました。
Fender Bassmanはクラシックロックを思わせる太い中低域が特徴で、バンドサウンドの土台をしっかり支える役割を果たしています。
こうしたアンプの選び方は、イッキュウが「楽曲に合わせた音の表情」を大切にしていることを示しています。ライブでは持ち運びやすく、音抜けの良いBlue Velvetをメインに、レコーディングではレンタルやスタジオ備え付けのアンプを積極的に活用。つまり、彼女の音作りは「状況に応じて最適なアンプを選ぶ」という柔軟さに支えられているといえるでしょう。
使用アンプをまとめると以下のようになります。基本はBruce Zinky Blue Velvet 25が主軸であり、BassmanやMatchlessは必要に応じて補完的に使用されている、と想定されます。
使用ギターの種類と特徴【tricot・中嶋イッキュウ】
tricotの中嶋イッキュウは、ギターボーカルとしてステージに立ちながらも、非常に多彩なギターを使い分けています。メインとなるのはFender Stratocaster 1969で、キャンディ・アップル・レッドにリフィニッシュされ、ピックガードを交換した個体です。弦はErnie Ball Regular Slinky #2221 (.010-.046) を使用し、ライブでもレコーディングでもこの一本が軸になっています。
ストラト特有のシャープなアタックと明瞭な音抜けが、tricotの変拍子を多用するタイトなアンサンブルと完璧にマッチしています。
また、Kanade SOUND DESIGNに特注した「KTM-AS-IKKYU EDITION」も重要な存在です。こちらはドロップCチューニングでも使用されるギターで、トリッキーなリフや重厚感のある楽曲で活躍します。「模造紙ヒデキちゃん」のレコーディングでは、このギターとMatchless DC-30を組み合わせて強烈なサウンドを生み出しました。本人仕様にオーダーメイドされており、トーンの芯が太く、歪ませても音像が崩れにくいのが特徴です。
Altero Custom Guitarsのテレタイプ(稲妻型サウンドホール)もライブで確認されています。独創的な見た目だけでなく、音抜けが良く中域が前に出る特性を持ち、ボーカルを邪魔せずに楽曲に存在感を与える一本です。
さらに、Fender Mustang(ショートスケール&ダイナミック・ヴィブラート搭載)も使用。ショートスケールならではの柔らかさとコード感のふくよかさが、tricotのポップで実験的な側面を補強しています。
アコースティックな質感を取り入れるために、Fender American Acoustasonic Telecasterも導入されています。これはエレアコとソリッドを融合させたモデルで、曲中でアコースティックライクな響きを加える際に有効です。
さらにKanade SOUND DESIGN KTM-AS(テレマスタータイプ)も本人オーダーの一本として確認されており、トーンの選択肢を広げるための重要な役割を果たしています。
このようにイッキュウは「楽曲ごとの最適な音」を重視してギターを使い分けています。ライブのメインは1969 Stratocasterですが、曲ごとにテレタイプやショートスケール、ドロップチューニング対応モデルを切り替える姿勢から、彼女が徹底してサウンドバランスを考えていることがうかがえます。これらはすべて、tricotの独創的なサウンドを支える柱であると想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
Stratocaster 1969 | Fender | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | エレキギター(ストラト) | キャンディアップルレッド、ピックガード交換、メイン使用、Regular Slinky使用。 |
KTM-AS-IKKYU EDITION | Kanade SOUND DESIGN | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | エレキギター(オーダーモデル) | 本人モデル、ドロップC対応。「模造紙ヒデキちゃん」で使用。 |
Tele type | Altero Custom Guitars | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | エレキギター(テレタイプ) | 稲妻型サウンドホール、オーダーモデル、音抜けの良さが特徴。 |
Mustang | Fender | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | エレキギター(ショートスケール) | ダイナミック・ヴィブラート搭載。柔らかいコード感。 |
American Acoustasonic Telecaster | Fender | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | ハイブリッド(エレアコ) | エレアコとソリッドの融合モデル。ライブでアコースティック的質感を追加。 |
KTM-AS | Kanade SOUND DESIGN | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | エレキギター(テレマスタータイプ) | 本人オーダーモデル。トーンの選択肢を広げるために使用。 |
使用エフェクターとボード構成【tricot・中嶋イッキュウ】
中嶋イッキュウの音作りにおいて、エフェクターは欠かせない要素です。ライブやレコーディングでのサウンドの幅を広げるため、彼女はオーバードライブ、ファズ、ディレイといった定番のペダルを組み合わせて独自のボードを構築しています。
基本的な思想は「常時ONの土台+楽曲ごとに色付けする追加エフェクト」であり、シンプルながらも計算し尽くされた構成です。
常時ONとして機能しているのが「Union Tube & Transistor MORE(ブースター)」と「Ryra The Klone(オーバードライブ)」です。MOREはクリーンブースターとして原音を太くし、音量感とダイナミクスを補強。KloneはGAINを2時、TREBLEを2時過ぎに設定し、ギター本来のトーンを保ちながら心地よい倍音を付加します。これらがイッキュウサウンドの基盤を形成しているといえるでしょう。
空間系では「One Control Sea Turquoise Delay」が長年愛用されています。LEVELをMAXにし、DELAYを10時、FEEDBACKを2時に設定することで、アタックは残しつつ奥行きを生み出す工夫がなされています。ライブでもレコーディングでも7年以上使い続けていることから、その信頼度が伺えます。
歪みの幅を広げる役割を担うのが「Way Huge Swollen Pickle MKⅡ(ファズ)」と「MAD PROFESSOR Little Green Wonder(オーバードライブ)」、さらに「BOSS SD-1 SUPER OverDrive」です。Swollen Pickleは爆発的な音量ブーストも可能で、「模造紙ヒデキちゃん」のレコーディングではDelayと組み合わせて強烈なインパクトを出しました。Little Green WonderやSD-1は場面に応じて異なるキャラクターの歪みを提供しています。
その他、チューナーは「KORG Pitchblack Advance」と「KORG DT-10」の2種類をボードに組み込み、確実なピッチ管理を実現。電源には「VITAL AUDIO POWER CARRIER VA-05 ADJ」を使用し、安定した電源供給を行っています。さらにペダルボードには「レギュラー / カポ1 / カポ3」といったチューニングメモが貼られており、ライブでの素早い対応を可能にしています。
全体を俯瞰すると、イッキュウのボードは必要最小限の構成ながらも、常時ONの基盤、空間の奥行き、楽曲ごとに切り替える歪みといった役割が明確に整理されています。派手な多彩さではなく、徹底した実用性とサウンドの安定性を重視した構成であると想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
Pitchblack Advance | KORG | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | チューナー | ライブで使用。精度が高く視認性に優れる。 |
DT-10 | KORG | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | チューナー | 古くからの愛用品。ボードに併用。 |
MORE | Union Tube & Transistor | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | ブースター | 常時ON。原音を太くし存在感を補強。 |
The Klone | Ryra | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | オーバードライブ | GAIN 2時、TREBLE 2時過ぎ。常時ON。 |
Sea Turquoise Delay | One Control | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | ディレイ | LEVEL MAX、DELAY 10時、FEEDBACK 2時。7年以上使用。 |
Swollen Pickle MKⅡ | Way Huge | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | ファズ | 音量ブーストも可能。「模造紙ヒデキちゃん」で使用。 |
Little Green Wonder | MAD PROFESSOR | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | オーバードライブ | 状況に応じてSD-1と使い分け。 |
SD-1 SUPER OverDrive | BOSS | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | オーバードライブ | 定番の歪み。補助的に使用。 |
POWER CARRIER VA-05 ADJ | VITAL AUDIO | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | パワーサプライ | 安定した電源供給。コンパクトなサイズ感。 |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【tricot・中嶋イッキュウ】
中嶋イッキュウのサウンドは、機材の選択だけでなく、セッティングやミックス段階での工夫によって完成されています。単なる歪みや空間系の使用にとどまらず、ギターとボーカルを両立させるためのバランス調整が徹底されているのが特徴です。
ライブでもレコーディングでも「歌を邪魔せず、それでいて存在感を残すギター」を実現するため、EQやゲインの設定は非常に緻密に管理されています。
まずアンプのセッティングですが、メインで使用する「Bruce Zinky Blue Velvet 25」では、クリーン寄りのセッティングを基盤にしています。GAINは控えめで、ギターやエフェクター側でドライブ感を調整。BASSは12時を中心に楽曲によって微調整、MIDは1時付近で中域を強調し、ギターの輪郭を際立たせます。TREBLEは11時〜12時で耳に痛くならない範囲に抑え、PRESENCEを控えめにすることで歌との共存を意識しています。
エフェクターの常時ON設定も重要なポイントです。Ryra The KloneはGAINを2時に設定し、軽く歪ませることで音に太さを加えています。TREBLEをやや強めに設定することで、アンサンブル内で埋もれずに前に出るサウンドを作っています。
さらにUnion Tube & Transistor MOREを常時ONにすることで、クリーンでもアタックが強調され、イッキュウ特有の鋭いカッティングを支えています。
ディレイの設定は特に特徴的です。One Control Sea Turquoise DelayはLEVELをMAX、DELAYを10時、FEEDBACKを2時に設定。これにより、音がぼやけずに奥行きだけを追加する形になります。リズムの細かい楽曲でも輪郭を損なわないため、変拍子が多いtricotにおいても安定した立体感を演出できるのです。
「模造紙ヒデキちゃん」では、このDelayにSwollen Pickle MKⅡ(ファズ)を組み合わせ、分厚い壁のようなサウンドを作り上げました。
PAやミックス面での工夫としては、中域の存在感を常に重視している点が挙げられます。ギターが低域を支配しすぎるとベースと干渉し、高域を強調しすぎるとボーカルの抜けを損ないます。そのため、イッキュウのギターはミックス時に2〜4kHzをやや強めにし、同時に200Hz付近を軽くカットして音の濁りを回避することが多いと考えられます。これにより、歌とギターが自然に重なり合うように調整されているのです。
また、ライブ時にはアンプ直の出音とPAでの補正をうまく融合させることで、アンサンブル全体に厚みを持たせています。特に小さめのハコではアンプの音量を抑えめにし、PAで補強することでバランスを最適化。大規模なステージではアンプ本来のパワーを活かしつつ、低域をタイトに引き締める処理がされていると想定されます。
総じて、中嶋イッキュウの音作りは「シンプルな機材+緻密なEQ・ゲイン管理」によって成り立っています。どの楽曲でも歌とギターのバランスを第一に考え、必要に応じて歪みの種類や空間系の深さを調整する。これが彼女のギターが常に楽曲全体と一体化しながらも存在感を放つ理由だといえるでしょう。こうした徹底した音作りの姿勢は、バンドサウンドの中でギターボーカルとしての立ち位置を確立する大きなヒントになる、と想定されます。
比較的安価に音を近づける機材【tricot・中嶋イッキュウ】
中嶋イッキュウのサウンドを完全に再現するのは難しいですが、比較的安価な機材を用いることでかなり近い雰囲気を出すことが可能です。ポイントは「クリーンを基盤にしつつ、常時ONのブースターと軽いオーバードライブ」「奥行きを加えるディレイ」「場面によって歪みを切り替える」という流れを再現することです。
初心者や中級者が導入しやすい価格帯(1万〜5万円程度)で選べば、バンド練習や小規模ライブでも十分にtricot風の音を体験できます。
まずブースターに関しては、Union Tube & Transistor MOREは高額なため入手が難しい場合もあります。その代わりとして「Xotic EP Booster」や「BOSS GE-7(イコライザー兼用ブースター)」を導入することで、音の芯を太くする効果を得られます。
オーバードライブはRyra The Kloneの代替として「BOSS SD-1」や「JHS 3 Series Overdrive」が手頃でおすすめです。SD-1は本人も実際に使っているため、コストを抑えながら本家に近い質感を得られるという意味で最も現実的です。
ファズについては「Way Huge Swollen Pickle MKⅡ」はやや高価かつ玄人向けなので、代替として「Electro-Harmonix Big Muff Nano」を選べば強烈なファズサウンドを手軽に再現可能です。荒々しい音圧感が出せるため、tricotのヘビーな楽曲にもマッチします。
またディレイはOne Control Sea Turquoise Delayの代わりに「BOSS DD-3T」や「MXR Carbon Copy」を使うことで、奥行きのある空間を簡単に作り出せます。LEVELを高め、FEEDBACKを少し深めにすると、イッキュウ特有の浮遊感あるサウンドに近づきます。
さらに初心者が1台で完結させたい場合は、マルチエフェクターという選択肢もあります。「BOSS GT-1」や「ZOOM G3Xn」であれば、オーバードライブ〜ディレイ〜ブーストまで揃っており、練習用・宅録用として非常にコストパフォーマンスが高いです。特にBOSS GT-1は音作りの自由度が高く、トーンを追い込みやすい点が魅力です。
最後にアンプ環境ですが、Bruce Zinky Blue Velvet 25を模倣するなら「Fender Blues Junior IV」や「Blackstar HT-5R」が現実的な代替になります。どちらも真空管アンプで、クリーンを基盤にエフェクターで音を積み上げるというイッキュウのスタイルに合致します。
以下に、比較的安価に音を近づけられる機材例を表でまとめました。必ずしも完全再現ではありませんが、これらを活用すれば「tricotらしい切れ味と奥行きのあるサウンド」に十分近づくことができるでしょう。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
ブースター | EP Booster | Xotic | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | MOREの代替。原音を太くしアタックを強調。 |
オーバードライブ | SD-1 SUPER OverDrive | BOSS | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | 本人使用モデル。安価で手に入る定番歪み。 |
ファズ | Big Muff Nano | Electro-Harmonix | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | Swollen Pickleの代替。厚みのある荒々しい歪み。 |
ディレイ | DD-3T | BOSS | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | シンプルなデジタルディレイ。奥行き表現に有効。 |
マルチエフェクター | GT-1 | BOSS | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | 1台で歪み〜空間系を再現可能。初心者にも最適。 |
アンプ | Blues Junior IV | Fender | Amazonで探す | tricot | 中嶋イッキュウ | Blue Velvet 25の代替として有力な小型真空管アンプ。 |
総括まとめ【tricot・中嶋イッキュウ】

tricotの中嶋イッキュウの音作りを振り返ると、彼女のスタイルは非常に「シンプルかつ実用的」であることが分かります。アンプは基本的にBruce Zinky Blue Velvet 25をメインに据え、そこに常時ONのブースターとオーバードライブを組み合わせ、空間系を必要最小限に活用。決して派手に多くの機材を並べるわけではなく、どのペダルも明確な役割を持ってボードに組み込まれています。
ギターにおいても、1969 Stratocasterを軸にしつつ、楽曲ごとにテレタイプやショートスケール、アコースティック寄りのモデルを使い分ける柔軟性を見せています。特にドロップC対応のKTM-AS-IKKYU EDITIONの存在は、tricot特有の変則的で力強いリフを成立させるために不可欠な一本であり、彼女が自らの音を追求する姿勢を象徴しています。
エフェクターのセッティングは緻密でありながらも複雑すぎず、常時ONによる基盤作りと、楽曲に応じた色付けが中心となっています。例えばKloneやMOREで常に芯のある音を作り、その上にディレイやファズを重ねることで、必要な場面で一気に表情を変えることが可能になります。これは「歌いながら弾く」という立場だからこそ、煩雑な切り替えを避け、音作りを直感的に保つ工夫だとも言えるでしょう。
また、ミックス面では中域の存在感を徹底的に重視しており、ギターがバンドサウンドに埋もれずに前に出る工夫がなされています。これは単にプレイスタイルの問題ではなく、機材選びやEQ設定、さらにはPAとの連携まで含めたトータルな音作りによって支えられています。
総じてイッキュウの音作りの本質は「状況に応じて最適なサウンドを引き出す柔軟性」と「歌とギターの共存」を両立させる点にあります。バンドサウンドにおけるギターボーカルという難しい立場を、彼女は機材の選択と設定によって見事に乗り越えているのです。
もし読者がtricot風のサウンドを目指すなら、単に同じ機材を揃えるだけでなく、「必要最小限の機材で、自分のバンドに合わせた最適解を導き出す」という姿勢こそが最大のヒントになるでしょう。
tricotの音楽は複雑な拍子や展開を持ちながらも、リスナーに強烈な印象を残します。その根底にあるのは、中嶋イッキュウの確立されたギターサウンドです。プレイスタイルと同じくらい、彼女の「音作りへの哲学」を学ぶことで、自らの演奏にも新しい可能性を加えることができるはずです。
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下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
🎸 Guitars
Fender Stratocaster 1969(キャンディ・アップル・レッド、ピックガード交換済み、メインギター / Ernie Ball Regular Slinky #2221 (.010-.046) 使用)
Kanade SOUND DESIGN KTM-AS-IKKYU EDITION(オーダーモデル、ドロップCチューニングでも使用)
Altero Custom Guitars Tele type(稲妻型サウンドホール、オーダーモデル)
Fender Mustang(ショートスケール、ダイナミック・ヴィブラート搭載)
Fender American Acoustasonic Telecaster(エレアコ融合モデル)
Kanade SOUND DESIGN KTM-AS(テレマスタータイプ、本人オーダーモデル)
🔊 Amplifiers
Bruce Zinky Blue Velvet 25(メイン使用、7年間愛用、12インチ×1、25Wコンボ)
Fender Bassman(59 Bassman LTD など)
Matchless DC-30(レコーディングでレンタル使用)
🎛 Pedals / Effectors
KORG Pitchblack Advance(チューナー)
KORG DT-10(チューナー)
Union Tube & Transistor MORE(ブースター、常時ON)
Ryra The Klone(オーバードライブ、常時ON)
One Control Sea Turquoise Delay(ディレイ、7年愛用)
Way Huge Swollen Pickle MKⅡ(ファズ、音量ブーストあり)
MAD PROFESSOR Little Green Wonder(オーバードライブ)
BOSS SD-1 SUPER OverDrive(オーバードライブ)
VITAL AUDIO POWER CARRIER VA-05 ADJ(パワーサプライ)
📝 備考
ライブでは1969 Stratocasterをメイン使用。
「模造紙ヒデキちゃん」のレコーディングでは、ギターはKTM-AS-IKKYU EDITION(ドロップC)、アンプはMatchless DC-30、エフェクターはSwollen Pickle MKⅡ + Sea Turquoise Delayを使用。
エフェクターのセッティング
Ryra The Klone:GAIN 2時、TREBLE 2時過ぎ
Sea Turquoise Delay:LEVEL MAX、DELAY 10時、F.BACK 2時
ペダルボードにはチューニング・メモ(レギュラー / カポ1 / カポ3)が貼られている。
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