【武沢豊】安全地帯風サウンドの作り方＋ギター機材音作りセッティングのまとめ【エフェクター・アンプ】

始めに（特徴紹介）
使用アンプ一覧と特徴【安全地帯・武沢豊】
使用ギターの種類と特徴【安全地帯・武沢豊】
使用エフェクターとボード構成【安全地帯・武沢豊】
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【安全地帯・武沢豊】
比較的安価に音を近づける機材【安全地帯・武沢豊】
総括まとめ【安全地帯・武沢豊】
下記恐らく使用（所持）している機材のまとめです。参考までに！

始めに（特徴紹介）

安全地帯のギタリストとして活動する武沢豊は、玉置浩二の深みある歌声を支える繊細かつ緻密なギターアレンジで知られています。派手なリードプレイよりも、楽曲の雰囲気を彩るコードワークやアルペジオ、空間系エフェクトを駆使したトーンが特徴的です。

代表曲「ワインレッドの心」「悲しみにさよなら」などでは、シンプルながらも温かみと透明感を併せ持つギターサウンドが全体を包み込むように響き渡ります。その一方で、Rick Turner Model 1のような個性的なギターを用いることで、独特な中域の厚みを持ったトーンも聴かせており、彼の音作りは単なる伴奏にとどまらず、楽曲の情感を決定づける大きな要素となっています。

また、エレガットやアコースティックエレクトリックの導入によって、バラードやアコースティック調の楽曲でも繊細な表現が可能。ロック色の強いエレキサウンドと柔らかいガットギターを明確に使い分けることで、楽曲ごとに最適な音色を提供する姿勢が見て取れます。

武沢豊の音作りは、エフェクトやラックシステムを駆使したプロフェッショナルな構築が核にあります。特にtc electronic製品やRockmanユニットを取り入れることで、広がりのある空間系サウンドや厚みのあるドライブサウンドを再現しているのがポイントです。

ギター単体の音色だけでなく、バンド全体のサウンドバランスやミックスを意識したセッティングであるため、「単体で聴いても美しく、バンドに溶け込んでも埋もれない」という稀有なトーンを実現しています。

武沢豊の音作りに触れることで、単なる機材選びを超えて「曲と一体化したサウンドデザイン」の重要性を学ぶことができるでしょう。

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使用アンプ一覧と特徴【安全地帯・武沢豊】

武沢豊が愛用してきたアンプの中でも特に有名なのがVOX AC30です。ブリティッシュサウンドの代表格として知られるこのアンプは、煌びやかで伸びのあるクリーントーンから、軽いクランチまで幅広く対応可能。安全地帯の透明感あるサウンドにぴったりで、玉置浩二のボーカルを邪魔せずに空間を彩ることができる点が魅力です。

VOX AC30はライブシーンでもレコーディングでも定番的に使用され、武沢のアルペジオやクリーン主体のフレーズを美しく再現します。特にコーラスやディレイと組み合わせたときの立体感は、彼の音作りの核を担っているといえるでしょう。

また、自宅練習や小規模スタジオ環境ではVOX Pathfinder 10も使用していたとされます。小型コンボアンプながらもVOXらしい煌びやかなトーンが得られるため、日常的な練習やアイデアのスケッチに活用されているようです。

さらに武沢は、ラックシステムに接続した形での音作りを好んでおり、アンプそのものの歪みよりも、Rockman系ユニットやtc electronicのラックエフェクトを通したサウンドで最終的な質感を仕上げる傾向にあります。したがって、アンプは音作りの土台でありながらも、最終的にはラックシステムでの加工を前提にした運用と考えられます。

こうした背景から、武沢豊のアンプ選びは「ライブでの存在感」「練習用の手軽さ」「ラックとの相性」の3点が軸となっていると推測できます。結果として、ブリティッシュ系クリーンを基盤に、ラックで味付けするというスタイルが彼の音の特徴となっていると想定されます。

機材名	メーカー	Amazon最安値URL	アーティスト	ギタリスト	備考
VOX AC30	VOX	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	ブリティッシュクリーンの代表格。ライブ・レコーディングで定番的に使用。
VOX Pathfinder 10	VOX	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	小型練習用アンプ。自宅やリハーサル向けとされる。

使用ギターの種類と特徴【安全地帯・武沢豊】

a close up of a faucet on a wooden surface

武沢豊のギター遍歴は、安全地帯の音楽性とともに大きく進化してきました。デビュー初期から現在に至るまで、Fender Stratocasterをはじめとした定番モデルから、個性的なRick Turner Model 1、さらにはガットギターやエレアコまで幅広く使い分けています。

まず代表的なのがFender Stratocasterです。煌びやかで歯切れの良いクリーントーンは安全地帯の透明感あるバンドサウンドにマッチしており、特にアルペジオやカッティングでの存在感が強調されます。Stratocasterはライブでもレコーディングでも頻繁に登場し、まさに武沢サウンドの基本を支える一本といえるでしょう。

一方で、Rick Turner Model 1も特徴的な存在です。24フレット仕様、ハムバッカー×2搭載、そして独特な円形ピックガードを持つこのギターは、豊かな中域とパワフルな出力を誇ります。ロック色の強いナンバーや厚みを出したい場面では欠かせない選択肢であり、通常のストラトでは得られない深みと厚みを加えています。

また、アコースティックやガットギター系も欠かせません。S.Yairi YE-50/BKはシングル・ラウンデッド・カッタウェイ構造の黒いエレアコで、バラードやアコースティック編成のライブに最適です。さらにStafford SSC-1000AXはエレガットで、スタンド固定して演奏するスタイルが印象的。クラシカルなフレーズや繊細なバッキングに用いられています。

Morris Groovinは薄胴のテレキャスター形状エレクトリックガットで、持ちやすさと取り回しの良さが特徴。ライブでの持ち替えにもスムーズで、アコースティックとエレキの中間的なサウンドを提供しています。これらのエレガット類は「エレキで表現できない柔らかさ」を補うために導入されていると考えられます。

結果的に武沢のギター選びは「クリーンで煌びやかなエレキ」「厚みあるハムサウンド」「繊細なアコースティック表現」という3つの方向性を曲ごとに使い分ける設計になっていることが分かります。これらを適材適所に組み合わせることで、安全地帯の幅広い楽曲世界を実現していると想定されます。

機材名	メーカー	Amazon最安値URL	アーティスト	ギタリスト	ギターの種類	備考
Fender Stratocaster	Fender	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	エレキギター	基本となるクリーントーン。ライブでも頻出。
Rick Turner Model 1	Rick Turner	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	エレキギター	厚みある中域と独特の存在感。ロック曲で活躍。
S.Yairi YE-50/BK	S.Yairi	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	エレアコ	黒いカッタウェイ仕様。バラードで使用。
Stafford SSC-1000AX	Stafford	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	エレガット	スタンド固定で演奏。クラシカルな楽曲向き。
Morris Groovin	Morris	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	エレガット	薄胴テレキャスター形状。持ち替えしやすい設計。

使用エフェクターとボード構成【安全地帯・武沢豊】

武沢豊の音作りにおいて大きな特徴となるのが、ラックシステムを中心としたエフェクト構成です。特にtc electronic製のラックエフェクト群とRockman系ユニットの組み合わせが核となっており、ギター単体の音を大幅に拡張しています。

代表的なエフェクトはISP Technologies Decimator ProRackGです。デュアルチャンネル仕様のノイズリダクションで、ラックを多用する環境下でも不要なノイズを効果的に抑制。武沢のクリーンで透き通ったトーンを実現するために欠かせない存在です。

次に重要なのがtc electronic TC1140 HS Parametric EQとRockman Instrument EQといったイコライザー群です。これらはギターの帯域を細かくコントロールし、玉置浩二のボーカルを邪魔せずに、かつ埋もれないギタートーンを生み出しています。特に中域の厚みを調整することで、Rick Turner Model 1の豊かなサウンドを活かす工夫がなされています。

空間系では、tc electronic TC 1210（ステレオコーラス／フランジャー）やTC 2290（ディレイ）が導入されています。これらによって立体的で奥行きのあるサウンドが形成され、「ワインレッドの心」や「恋の予感」といった楽曲での浮遊感ある響きが実現されています。

さらにRockman Distortion Generatorは、エッジの効いた独特の歪みを生み出すユニットで、通常のアンプドライブとは異なる中域寄りの厚いトーンを作り出しています。エレキサウンドに独特の存在感を与える要素となっているのが特徴です。

ペダル類では、VOX Tonelab LE（真空管搭載のマルチエフェクター）がステージ上でも使用されており、モダンな楽曲や補助的なサウンド作りに活躍。さらにKORG XVP10（ボリューム／エクスプレッションペダル）やRadial PRO 48（アクティブDI）も組み合わせることで、ライブにおける柔軟なコントロール性を確保しています。

これらを総合すると、武沢豊のエフェクト構成は「ラックを中核に据え、ペダルは補助的に使用する」というスタイルに収束します。繊細なバンドサウンドを成立させるために、過剰な歪みではなく空間系とEQ処理を駆使する点が大きな特徴だといえるでしょう。時期によって使用モデルは多少変動しているものの、こうした構成が武沢サウンドを支えていると想定されます。

機材名	メーカー	Amazon最安値URL	アーティスト	ギタリスト	エフェクターの種類	備考
ISP Technologies Decimator ProRackG	ISP Technologies	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	ノイズリダクション	ラックシステムでの不要ノイズを低減。
tc electronic TC1140 HS Parametric EQ	tc electronic	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	イコライザー	帯域コントロールでギターを埋もれにくく調整。
tc electronic G-Major	tc electronic	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	空間系マルチエフェクター	リバーブ、ディレイなどを統合制御。
Voodoo Lab GCX Guitar Audio Switcher	Voodoo Lab	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	スイッチングシステム	ラック内の複数エフェクトを制御。
Rockman Distortion Generator	Rockman	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	ディストーション	独特な中域の厚みを作るラック型歪み。
Rockman Instrument EQ	Rockman	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	イコライザー	音抜けを補強するラック式グラフィックEQ。
tc electronic TC 1210	tc electronic	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	モジュレーション系	ステレオコーラス・フランジャーで立体感を形成。
tc electronic TC 2290	tc electronic	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	ディレイ	高品位ディレイで奥行きある空間を構築。
VOX Tonelab LE	VOX	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	ギター用マルチエフェクター	真空管搭載。ステージ上で多彩な音作りに対応。
KORG XVP10	KORG	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	ボリュームペダル	エクスプレッション兼用。音量調整や表現幅を拡張。
Radial PRO 48	Radial	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	ダイレクトボックス	アクティブDIとしてKORG XVP10経由で利用。

音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【安全地帯・武沢豊】

a close up of a guitar with a bunch of knobs on it

武沢豊の音作りにおける最大の特徴は、単なる「ギターの音色」ではなく、バンド全体のミックスを見据えたEQと空間処理の徹底です。安全地帯の楽曲は玉置浩二のボーカルを中心に据えつつ、キーボードやストリングスなど多層的なアレンジが施されており、その中でギターは「隙間を埋めすぎず、しかし決して消えない」存在感が求められます。

まずEQに関しては、中域の扱いが非常に重要です。Rick Turner Model 1を用いる際は、アンプ直の出力だけでは中域がやや過剰になる傾向があります。そのため、Rockman Instrument EQやtc electronic TC1140 HS Parametric EQでピークを抑えつつ、必要に応じて2〜3kHz付近をブーストして音抜けを確保。逆にStratocasterを用いる際は、やや薄く感じられる中域を補強し、バンドアンサンブルに溶け込ませる工夫が施されています。

低域についてはアンプ側で控えめに設定されることが多く、AC30のトーンノブを10〜11時あたりでセッティングし、ベースやシンセ低音と干渉しないように調整。高域は12時を基準に、コーラスやディレイのかかり具合で微調整することが多いと想定されます。

空間系エフェクトの使い分けも非常に戦略的です。バラードではtc electronic TC 2290を用いたロングディレイを設定し、ギターがリスナーの耳に残る余韻を演出。対してアップテンポな楽曲ではショートディレイやステレオコーラスを強めにかけ、リズムの流れに沿って音を前に押し出します。TC 1210によるステレオコーラスは、左右の定位を広げてボーカルを中心に据える役割も果たしており、ミックス全体の立体感を大きく向上させています。

歪みの処理に関しては、アンプのドライブを強くかけるのではなく、Rockman Distortion Generatorを主体とした「ラック型の加工歪み」が軸となっています。これにより通常のチューブアンプの荒々しさとは異なる、分離感のある中域重視のトーンを獲得。アンサンブルの中で埋もれず、かつ過剰に主張しない絶妙なバランスを保っています。

ライブ時にはVoodoo Lab GCX Guitar Audio Switcherを用いてラック内の複数エフェクトを瞬時に切り替え、楽曲ごとの空気感を忠実に再現。例えば「ワインレッドの心」では深めのコーラス＋ディレイを組み合わせて幻想的な響きを演出し、「悲しみにさよなら」ではアコースティック系ギターに切り替え、薄いリバーブを加えることでボーカルの温かさを引き立てています。

ミックス面では、ギターをパンで大きく左右に振ることはあまりなく、ボーカルに近いセンター寄りに定位させることが多いと考えられます。これは「存在感を失わずに歌を包み込む」ためであり、ギターが単独で前に出すぎることを避けるための工夫です。EQ処理で余計な帯域を整理し、残った部分をtc electronic製の空間系で広げることで「透明感の中に確かな芯がある」サウンドを実現しているといえるでしょう。

このように武沢豊のセッティングは、ギター単体で聴いた場合にはやや控えめに感じられるかもしれません。しかし実際にバンド全体で聴いたとき、その設計の妙が発揮され、曲の雰囲気を決定づける役割を担っています。結果として「安全地帯サウンドに不可欠な隠し味」としての存在感を放っていると想定されます。

比較的安価に音を近づける機材【安全地帯・武沢豊】

武沢豊のサウンドはラックエフェクトや高級ギターを中心に構築されており、完全再現には相応のコストが必要です。しかし、近年はBOSSやZOOM、Line 6などから手頃な価格帯で多機能なマルチエフェクターが登場しており、比較的安価に「安全地帯風サウンド」を体験することが可能です。

まず重要なのは空間系エフェクトです。武沢が多用するディレイやコーラスを再現するには、BOSSのコンパクトエフェクターやマルチエフェクターが有効です。例えばBOSS DD-8（デジタルディレイ）は、ステレオ出力や豊富なディレイモードを備えており、武沢サウンドの余韻を手軽に実現できます。またBOSS CE-5（コーラスアンサンブル）を組み合わせると、TC 1210的な広がりを再現可能です。

もう一つの鍵はEQです。武沢はラックで細やかに帯域調整を行っていますが、初心者はBOSS GE-7（グラフィックEQ）を導入するだけでも大きな効果が得られます。中域を持ち上げて抜けを作り、低域を整理することでバンド演奏でも埋もれにくい音色に近づきます。

歪みに関しては、Rockman Distortion Generatorを完全に再現するのは難しいですが、BOSS OD-3やBD-2のようなオーバードライブペダルを選べば、ミックスに馴染む自然な歪みが得られます。過剰に歪ませず、クリーン寄りのセッティングで「中域の厚み」を意識するのがポイントです。

また、マルチエフェクターを導入するのも効果的です。BOSS GT-1やLine 6 POD Goなどは、武沢が実際に駆使していたtc electronicやRockman系ラックのシミュレーションも備えているため、1台で「クリーン＋コーラス＋ディレイ＋EQ調整」といった王道の武沢サウンドが作れます。これらは初心者でも扱いやすく、コストを抑えつつ柔軟に音を作り込むことが可能です。

アコースティック／エレガット系の再現には、安価なエレアコを導入し、DIを通して軽くリバーブを加えると雰囲気が近づきます。YAMAHAやIbanezの3〜5万円台のエレアコでも十分に武沢的なバラードサウンドが表現できるでしょう。

総じて、「クリーンを基盤にコーラスとディレイを加え、EQで整理する」ことが最短ルートです。初心者や中級者は以下のような市販機材を導入することで、比較的安価に安全地帯の音世界を追体験できるといえます。

種類	機材名	メーカー	Amazon最安値URL	アーティスト	ギタリスト	備考
ディレイ	BOSS DD-8	BOSS	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	ステレオ対応ディレイ。TC2290風の余韻を再現可能。
コーラス	BOSS CE-5 Chorus Ensemble	BOSS	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	ステレオコーラスでTC1210の雰囲気を再現。
イコライザー	BOSS GE-7	BOSS	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	中域ブーストで抜けを確保。武沢的な帯域調整に有効。
オーバードライブ	BOSS OD-3 OverDrive	BOSS	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	ナチュラルな歪みでRockman風の厚みを再現可能。
マルチエフェクター	BOSS GT-1	BOSS	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	1台でコーラス、ディレイ、EQを統合。初心者に最適。
マルチエフェクター	Line 6 POD Go	Line 6	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	tc electronicやRockman系のサウンドを再現可能。
エレアコ	YAMAHA APX600	YAMAHA	Amazonで探す	安全地帯	武沢豊	3〜5万円台で導入可能。バラード向けの雰囲気再現に有効。

総括まとめ【安全地帯・武沢豊】

武沢豊のサウンドは、単なるギターの音色ではなく「安全地帯」というバンドの世界観を支える重要な要素として成り立っています。派手なソロプレイや過剰な歪みではなく、あくまで楽曲全体の中で「空気を作る」役割を担っているのが大きな特徴です。玉置浩二のボーカルを中心に、ストリングスやシンセなどが重なる厚いアレンジの中で、ギターが過不足なく響くバランス感覚は、武沢の音作りの真髄といえるでしょう。

そのため、彼の機材選びやセッティングは「いかに主張を抑えながら存在感を残すか」という視点で統一されています。VOX AC30による煌びやかなクリーントーン、Rockman系ユニットによる中域の厚み、tc electronicラック群による奥行きと広がり——これらが有機的に組み合わさることで、独特の「透明感と温かみの両立」が実現されています。

また、アコースティックやガットギターの導入も武沢の大きな特徴です。バラードやしっとりとした楽曲では、S.YairiやStaffordといったエレガットを取り入れることで、繊細な表現を可能にしています。エレキとガットを明確に使い分ける姿勢は、曲調ごとに異なる情感を生み出す上で欠かせない工夫です。

現代のギタリストが武沢サウンドを再現するにあたっては、「EQで帯域を整理する」「空間系を適切に加える」「クリーンを基盤に音を構築する」という3つのポイントを意識することが重要です。特に中域のコントロールは音抜けや存在感に直結するため、コンパクトEQやマルチエフェクターを導入するだけでも大きく近づけることができます。

さらに忘れてはならないのは、武沢豊が「ギター単体の音」を追求しているわけではないという点です。彼の音作りは常にバンド全体の響きと調和することを前提としており、そのためにラックエフェクトやスイッチングシステムを駆使して楽曲ごとに最適なトーンを用意しています。この「アンサンブル志向」こそが、ギタリスト武沢豊の最大の特徴であり、多くのプレイヤーが学ぶべき視点だといえるでしょう。

総じて、武沢豊の音作りは「透明感・温かみ・バランス」の三位一体です。クリーンを中心としつつ、EQと空間系で繊細に調整し、必要に応じて中域の厚みを加える。その結果として、安全地帯の楽曲に欠かせない「心地よく包み込むギターサウンド」が完成します。これを理解し再現することで、単に似た音色を得るだけでなく、「バンド全体の音楽を支えるギター」という本質的な役割を体感できるでしょう。

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