始めに(特徴紹介)
秦基博さんは、シンガーソングライターとして唯一無二の存在感を放つギタリストです。彼の音作りは、シンプルでありながらも深い余韻を持ち、アコースティックギターを中心に温かみと透明感を兼ね備えています。
代表曲「鱗(うろこ)」「アイ」「ひまわりの約束」などでは、柔らかいアルペジオと力強いストロークが巧みに使い分けられ、彼独自の“包み込むようなサウンド”が生まれています。ライブでは歌声とギターが一体となり、観客を物語世界へ引き込む力を持っています。
秦基博さんの特徴は、ヴィンテージGibsonをはじめとする個性的なアコースティックギターを多数所有し、それぞれの楽曲やシーンに応じて使い分けている点です。さらに、ピックアップはL.R.Baggs Anthemを中心に統一することで、PAやレコーディングにおいて安定感のあるサウンドを確保しています。
そのため、弾き語りライブから大規模アリーナ公演まで、変わらぬクオリティで表現できるのが大きな魅力です。また、細身のナローネック仕様や独自ピック、John Pearseの弦選びなど、プレイスタイルに直結する要素も多く、音楽的なこだわりの強さがうかがえます。
本記事では、秦基博さんのギター・アンプ・エフェクターを徹底的に紹介し、その音作りを解説していきます。これを参考にすれば、自宅での弾き語りからステージでの音作りまで、秦基博サウンドに近づけるはずです。
彼のサウンドを研究する上で、まずは実際の公式MVを観察することが最も参考になります。
使用アンプ一覧と特徴【秦基博】
秦基博さんの音作りにおいて特徴的なのは「アンプに強く依存しない」点です。多くのロックギタリストと異なり、彼のサウンドはアコースティックギターを中心とした弾き語りスタイルが軸になっているため、スタックアンプやハイゲインアンプはほとんど使用されていません。代わりに、プリアンプやPAシステムとの相性を重視してセッティングを行っています。
ライブでの基本構成は、アコースティックギターに搭載されたL.R.Baggs Anthemを経由し、プリアンプであるSummit Audio TD-100に入力。その後PAシステムに送られ、エンジニアによるEQ調整やリバーブ付加によって完成形のサウンドが作られています。この方法は音の透明感を損なわず、観客に対して生々しいアコースティックの響きを届けることを可能にしています。
また過去には、L.R.Baggs Venue D.I.を使用していた時期も確認されています。Venue D.I.はコンパクトで機動性が高いため、ライブハウスや小規模な弾き語り公演では特に重宝されたと考えられます。
エレキギター使用時には、明確な専用アンプが紹介されたケースは少ないですが、フェンダー系のクリーンアンプ(Fender Twin Reverbなど)やRoland JC-120のような透明感のあるアンプが使用されたと推定されます。秦さんのエレキは歪みよりもクリーントーン主体のアンサンブル用サウンドであるため、こうしたアンプとの相性が良いと考えられます。
スタジオレコーディングでは、アンプを通さずにライン録音を行い、プリアンプ+オーディオインターフェース(RME Fireface UFX)を通じて録音するケースも多いとされています。これは近年のアコースティックギタリストに広く見られる方法で、ノイズの少なさと扱いやすさが魅力です。
総合すると、秦基博さんは「ヴィンテージGibsonのキャラクターを活かしつつ、プリアンプとPAで音を整える」スタイルを徹底しており、アンプそのものはサウンドの主役というよりもサポート的存在となっています。よって、「アンプそのものよりも、ピックアップ+プリアンプ+PA」というシステム全体で音作りを完結させている、と想定されます。
使用ギターの種類と特徴【秦基博】
秦基博さんの音作りにおいて最も重要な要素は、間違いなく「ギターの選択」です。彼はGibsonを中心としたヴィンテージアコースティックを複数所有しており、楽曲の雰囲気やライブ会場の規模に応じて持ち替えています。そのこだわりは弦の太さ、ピックアップの搭載方法、さらにはサドル交換にまで及び、秦サウンドの基盤を形成しています。
代表的なのは、Gibson J-45(1966年製)です。チェリーサンバースト最終年の個体で、ナローネック仕様(約40mm)、14度角ネックという特徴を持ちます。サドルは牛骨ストレートに交換され、さらにL.R.Baggs Anthemを搭載。このギターは「鱗」「ひまわりの約束」などの代表曲のMVやライブで頻繁に登場し、秦さんのシグネチャーサウンドを作り出しています。
加えて、Gibson J-50(1968年製)は、J-45のナチュラル版でレコーディング専用として活躍。ピックアップを搭載せずにマイク録音され、アルバム『Signed POP』などで使用されています。この“マイク収録ならではの生音”が、スタジオ作品に深みを与えています。
さらに、Gibson J-160E(1998年製)はビートルズ仕様リイシューとして知られるモデルで、合板トップ+P-90搭載という異色の構成を持ちます。2006年に入手し、「シンクロ」ジャケットなどで確認されています。
Gibson Southern Jumbo(1960年代末期)は希少なスクエアショルダー期のモデル。MV「Girl」「グッバイ・アイザック」で使用され、独特の鳴りが印象的です。加えて、自宅用としてはスーパージャンボのGibson J-200や、小型ボディで反応が早いGibson L-00も所有しています。
また、エピソード的に有名なのは、俳優・大沢たかお氏から譲り受けたEpiphone Texan(1966年製)。ロングスケールならではの伸びやかな響きが特徴で、秦さんのサウンドに新しいニュアンスを加えています。
秦基博シグネイチャーモデルとして特筆すべきは、Maton EBG808MH。2013年のツアーで使用され、ネック幅42mm指定、AP5-Pro搭載という特注仕様です。さらにサブギターとしては、Martin D-28(1974年製)も登場。こちらもL.R.Baggs Anthemを搭載し、安定感のあるサブとして機能しています。
エレキギターは使用頻度こそ少ないものの、KAMINARI GUITAR SUNRISE(テレキャスタータイプ)やGibson ES-335(1978年製)をバンド編成時に使用。Green Mind 2009でもES-335が登場しています。いずれもクリーントーン主体の使用で、シンガーソングライターとしての表現幅を広げています。
総合すると、秦基博さんは「ヴィンテージGibsonを中核に、楽曲や用途に応じて選択肢を広げる」スタイルを徹底しており、シンガーソングライターの音作りの理想形を体現している、と想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
Gibson J-45(1966年製) | Gibson | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | アコースティックギター | 代表曲「鱗」「ひまわりの約束」で使用。メインギター。 |
Gibson J-50(1968年製) | Gibson | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | アコースティックギター | レコーディング専用。ピックアップなし。 |
Gibson J-160E(1998年製) | Gibson | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | エレアコ | ビートルズ仕様リイシュー。ジャケットで使用。 |
Gibson Southern Jumbo(1960年代末期) | Gibson | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | アコースティックギター | MV「Girl」「グッバイ・アイザック」で使用。 |
Gibson J-200 | Gibson | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | アコースティックギター | 自宅用。スーパージャンボ。 |
Gibson L-00 | Gibson | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | アコースティックギター | 小型ボディ。自宅用。 |
Epiphone Texan(1966年製) | Epiphone | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | アコースティックギター | 俳優・大沢たかお氏から譲り受け。 |
Maton EBG808MH(秦基博シグネイチャー) | Maton | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | アコースティックギター | 2013年ツアーで使用。特注仕様。 |
Martin D-28(1974年製) | Martin | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | アコースティックギター | L.R.Baggs Anthem搭載。サブギター。 |
KAMINARI GUITAR SUNRISE | KAMINARI GUITARS | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | エレキギター | テレキャスタータイプ。バンド編成で使用。 |
Gibson ES-335(1978年製) | Gibson | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | エレキギター | Green Mind 2009で使用。クリーントーン主体。 |
使用エフェクターとボード構成【秦基博】
秦基博さんの音作りは、一般的なロックギタリストのように歪み系エフェクターを多用するスタイルではなく、アコースティックサウンドをいかにナチュラルに増幅し、ステージ全体に届けるかという方向に重点が置かれています。そのため、エフェクターボードの構成はシンプルでありながら、音質を損なわない高品質な機材が中心となっています。
最も重要な役割を担っているのがプリアンプ兼D.I.です。秦さんは現在Summit Audio TD-100を使用しており、ここでインピーダンスを整え、アコギ本来の倍音を豊かに保ちながらPA卓へ送ります。過去にはL.R.Baggs Venue D.I.を使用していた時期も確認されており、こちらはライブハウスや小規模イベントなどでの手軽さから選ばれていたと考えられます。
アコースティックギター用のチューナーとしてはBOSS TU-3を愛用。ステージ上での視認性や安定感に優れており、プロフェッショナルの定番機材です。また、エレキ用にはKORG Pitchblack PB-01(生産終了)を使用していたこともあり、現在は後継機種であるPB-ADが代替として使われている可能性があります。
リバーブやディレイなど空間系のエフェクトは、足元のペダルではなくPA側やスタジオ処理に任せるケースが多いとされます。これは弾き語りライブで音の粒立ちを崩さず、自然な響きを残すための選択であり、秦さんの透明感あるサウンドの秘密のひとつといえるでしょう。
その他の周辺機材として、Paige Capo PC-6やPlanet Wavesのカポを曲に応じて使い分け、また弦はJohn Pearse 80/20 Bronzeを使用。ライトゲージ(200L)とミディアムゲージ(300M)をナローネックやMatonに応じて使い分けています。ピックはオリジナルのトライアングル型0.6mmを使用しており、過去にはDragonfly製のピックを愛用していました。
総合的に見ると、秦基博さんのエフェクトボードは「音を加工する」というより「音を守る」方向に設計されているといえます。不要なエフェクトを排し、シンプルな構成で最大限の音質を維持することが、彼のライブで聴けるあのクリアで深みのあるアコースティックサウンドにつながっている、と想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
Summit Audio TD-100 | Summit Audio | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | プリアンプ/アンプシミュレーター | 現行メインのプリアンプ。音質を保ちながらPAへ送る。 |
L.R.Baggs Venue D.I. | L.R.Baggs | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | ダイレクトボックス | 過去使用。コンパクトでライブ向け。 |
BOSS TU-3 | BOSS | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | チューナー | アコギ用の定番ペダルチューナー。ライブで視認性良好。 |
KORG PB-01 Pitchblack | KORG | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | チューナー | エレキ用。現在は後継PB-ADが代替として推定。 |
Paige Capo PC-6 | Paige | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | アコースティック用エフェクター | 現行推定のカポ。移動もスムーズ。 |
Planet Waves PW-CP-05(現行PW-CP-10) | Planet Waves | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | アコースティック用エフェクター | 過去使用のカポタスト。 |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【秦基博】
秦基博さんの音作りにおける本質は「シンプルでありながら奥行きを持たせる」ことにあります。エフェクターを多用せず、ギターと歌声の一体感を最大限に引き出すため、EQやミックスの工夫は非常に繊細です。ここではライブとレコーディングにおける具体的なアプローチを整理します。
① ライブでのEQセッティング
ライブではL.R.Baggs Anthemからの信号をSummit Audio TD-100でプリアンプ処理し、PAへ送ります。PA卓でのEQは基本的に以下の傾向があります。
- ロー(80Hz以下):カット気味に調整。アコギ特有のハウリングを抑え、低域の濁りを防ぐ。
- ローミッド(200〜400Hz):軽く削ることで、歌声とギターの分離感を確保。
- ハイミッド(2kHz前後):ピックのアタック感を少し持ち上げ、ストローク時のリズム感を前面に出す。
- ハイ(10kHz以上):ほんのりブーストして空気感を演出。ただし過剰なシビランスは抑える。
このセッティングによって、観客には「声とギターが溶け合いながらも分離して聴こえる」理想的なサウンドが届けられます。
② 曲ごとの使い分け
「鱗」や「ひまわりの約束」などバラード系では、EQをフラット寄りにし、弦の倍音を活かしたクリアなサウンドを重視します。一方で「Girl」や「グッバイ・アイザック」のようなリズム感のある楽曲では、ミッドを強調してストロークの迫力を強調する傾向があります。
また、カポタストを使用することで音域を変え、曲ごとに「声とギターの響きの重なり」を調整する工夫も見られます。Paige CapoやPlanet Wavesのカポを使い分ける理由は、この「移調のしやすさ」と「サウンドバランスの変化」を考慮してのことです。
③ レコーディングでの工夫
スタジオではアンプを使わず、ライン録音+マイク録音を併用することが多いです。マイクにはNEUMANN TLM 67やヴィンテージのU67が使用され、ギターの生鳴りとピックアップ音をミックスすることで、ライブでは得られない立体感を生み出しています。
例えば、「Signed POP」のレコーディングではGibson J-50をマイクで収録する手法が取られました。この方法は、マホガニーの柔らかな響きを最大限に引き出すことに繋がっています。マイク録音では、コンプレッサーを軽くかけてダイナミクスを整え、リバーブで空間感を演出するのが定石です。
④ ピックアップの統一による安定感
秦さんはL.R.Baggs Anthemをメインとし、MartinやGibsonなど複数のギターに統一的に搭載しています。この結果、ギターを持ち替えても「音のキャラクターが大きく変わらない」安定感が得られ、PA側での調整もスムーズになります。
⑤ ミックス全体の思想
秦基博サウンドのミックスは、「声とギターを同列で扱う」という点に特徴があります。通常、弾き語りではボーカルが主役でギターは伴奏的に扱われがちですが、秦さんの場合は「ギターがもう一人の歌い手」として配置されます。エンジニアは声とギターの帯域がぶつからないようEQで調整しつつ、同じリバーブ空間に配置することで一体感を出しています。
このように、アンプに依存せずともプリアンプ・EQ・マイク処理で完成度の高い音を作るのが秦基博さん流の音作りです。シンプルでありながら徹底した工夫により、あの「包み込むような響き」が実現している、と想定されます。
比較的安価に音を近づける機材【秦基博】
秦基博さんの音作りは、ヴィンテージGibsonや高級プリアンプに支えられているため、そのまま再現するのは難しい面があります。しかし、工夫次第で比較的安価な機材でも「秦サウンド」に近づけることは可能です。ここでは、初心者〜中級者が導入しやすい市販機材をピックアップし、その理由を解説します。
① アコースティックギター
本家はGibson J-45やJ-50など数十万円〜100万円級のヴィンテージですが、Epiphoneの「Inspired by Gibson」シリーズやYAMAHAのFG/FSシリーズであれば、5〜10万円程度で近いキャラクターが得られます。特にEpiphone J-45は、秦さんのメイン機材のDNAを受け継いでおり、コストパフォーマンスに優れています。
② ピックアップシステム
L.R.Baggs Anthemはプロ仕様のためやや高価(5万円前後)ですが、同社のM1 Active(マグネティックタイプ)は2〜3万円台で導入可能です。自然なアコースティックサウンドとハウリング耐性を両立でき、ライブや小規模PA環境でも十分に実用的です。
③ プリアンプ・DI
Summit Audio TD-100はスタジオグレードで手が届きにくいですが、BOSS AD-2(Acoustic Preamp)やL.R.Baggs Para Acoustic DIは2〜3万円台で入手でき、音質を整える効果があります。特にBOSS AD-2はリバーブも搭載しており、弾き語りに適しています。
④ チューナー
秦さんが使用するBOSS TU-3は1万円以下で購入可能で、ライブでも定番。ステージに立つ人はもちろん、自宅練習でも役立ちます。
⑤ 弦・ピック
John Pearse弦は国内でも入手可能で、価格も1,500円前後と手頃。ライトゲージを選べば初心者でも扱いやすく、秦サウンド特有の柔らかさに近づけます。ピックはトライアングル型の薄め(0.6mm程度)を選ぶと、ストローク時に音が散らばらず安定した響きを得られます。
⑥ カポタスト
Paige Capoはやや高価ですが、ShubbやKyserのカポは3,000円前後で手軽に入手可能です。特にShubbは押弦感が自然で、音質の劣化が少ないためおすすめです。
総じて、秦基博さんのサウンドを再現する際は「ヴィンテージGibsonを買う」のではなく「自然な響きのアコギ+信頼できるピックアップ+安定したDI」の3点を揃えることが近道です。これらの機材を選べば、5万円〜10万円程度の予算でも「温かく包み込むようなアコースティックサウンド」に近づけるでしょう。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
アコースティックギター | Epiphone Inspired by Gibson J-45 | Epiphone | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | 本家Gibson J-45の廉価版。5〜6万円台で入手可能。 |
ピックアップ | L.R.Baggs M1 Active | L.R.Baggs | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | Anthemより安価で導入可能。自然なアコースティックサウンド。 |
プリアンプ/DI | BOSS AD-2 Acoustic Preamp | BOSS | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | リバーブ搭載で弾き語りに最適。価格は約2万円。 |
プリアンプ/DI | L.R.Baggs Para Acoustic DI | L.R.Baggs | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | 中音域の補正に強く、ライン録音でも安定感あり。 |
チューナー | BOSS TU-3 | BOSS | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | プロから初心者まで愛用。視認性が高い。 |
弦 | John Pearse 80/20 Bronze Light | John Pearse | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | 柔らかい響き。秦サウンドに近づける標準弦。 |
カポ | Shubb Capo C1 | Shubb | Amazonで探す | 秦基博 | 秦基博 | 3,000円前後。自然な押弦感で初心者にもおすすめ。 |
総括まとめ【秦基博】

秦基博さんの音作りを総合すると、その本質は「シンプルであること」と「細部への徹底したこだわり」の両立にあります。彼はヴィンテージのGibsonやEpiphoneを中心に据えながら、決して装飾的な音作りはせず、アコースティックギター本来の響きを大切にしています。そこにL.R.Baggs AnthemやSummit Audio TD-100といった信頼できるプリアンプ/ピックアップを組み合わせ、ライブでもスタジオでも安定した音を再現できるようにしているのです。
特徴的なのは、「ギターと声が同列に扱われる」点です。通常、弾き語りではボーカルが主役でギターは伴奏に徹することが多いですが、秦さんの場合はギター自体がもう一人の歌い手のように存在感を放ちます。そのためエンジニアもEQやリバーブの処理で両者を同じ空間に配置し、観客が「声とギターがひとつに溶け合ったような音」を感じられるように仕上げています。
また、ギターごとのキャラクターを使い分ける姿勢も重要です。J-45で作る王道の温かい音、J-50で収録する繊細な生音、Southern Jumboで表現する力強いストローク、そしてTexanの伸びやかなロングスケール感。それぞれの楽曲に合わせて最適な一本を選ぶことで、レパートリーの幅を広げています。ここには「どのギターを選べば自分の歌が最も自然に響くか」という深い洞察が見て取れます。
さらに周辺機材は最小限に抑えつつ、信頼性の高いチューナー、カポ、弦を選び抜いています。ピックやゲージ選びにも強いこだわりがあり、それがプレイフィールや表現力に直結しています。つまり、彼のサウンドは高級機材の多用ではなく、必要最小限の機材を丁寧に扱い、自分の歌と向き合う姿勢から生まれているといえるでしょう。
初心者が秦基博サウンドを目指す際は、まずは「自然な響きのアコギ」と「安定したピックアップ+プリアンプ」を揃えることから始めるのが近道です。高価なヴィンテージを持たずとも、EpiphoneやYAMAHA、BOSSなどの機材で雰囲気を掴むことができます。そして最も大切なのは、機材の数ではなく「声とギターが同じ物語を語っているか」という視点です。
総括すると、秦基博さんの音作りは「歌を引き立てるギター」「ギターと共鳴する歌」という二面性を併せ持つ独自の世界観に支えられています。その本質を理解し、自分の演奏に活かすことで、多くの人が「包み込むような温かい響き」に近づけるはずです。シンプルでいて深みのある秦基博サウンドは、まさに“弾き語りの理想形”と呼べるでしょう。
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下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
🎸 使用ギター
アコースティックギター
Gibson J-45(1966年製)
チェリーサンバースト最終年の個体(経年で色褪せ)。ナローネック(約40mm)、14度角ネック。サドルを牛骨ストレートに交換し、L.R.Baggs Anthem搭載。多数のMV(「鱗」「ひまわりの約束」など)で使用。
Gibson J-50(1968年製)
J-45のナチュラル版。レコーディング専用、ピックアップなし。アルバム「Signed POP」などで使用。
Gibson J-160E(1998年製)
合板トップ+P-90搭載モデル(ビートルズ仕様リイシュー)。2006年入手。「シンクロ」ジャケットで使用。
Gibson Southern Jumbo(1960年代末期)
希少なスクエアショルダー期。サドル交換+ピックアップ搭載。MV「Girl」「グッバイ・アイザック」で使用。
Gibson J-200
自宅用と語るスーパージャンボ。ライブでは未使用。
Gibson L-00
小型ボディで反応が速い。自宅用。
Epiphone Texan(1966年製)
大沢たかお氏から譲り受け。ロングスケールで伸びのある音。
Maton EBG808MH(秦基博シグネイチャー)
AP5-Pro搭載、ネック幅42mm指定。2013年ツアーで使用。
Martin D-28(1974年製)
サブギターとして使用。L.R.Baggs Anthem搭載。
エレキギター
KAMINARI GUITAR SUNRISE(テレキャスタータイプ)
バンド編成曲で使用。
Gibson ES-335(1978年製)
弾き語りで使用。Green Mind 2009でも登場。
🎼 ピックアップシステム
L.R.Baggs Anthem(現行メイン/Gibson各種・Martinに搭載)
過去使用:L.R.Baggs M1(マグ)+ブリッジピエゾ、Fishman ピエゾ
Matonはメーカー標準AP5-Pro
🧰 周辺機材・アクセサリー
弦
John Pearse 80/20 Bronze
LIGHT(200L)…標準ネック用
MEDIUM(300M)…ナローネックやMaton用
ピック
オリジナル・トライアングル型 0.6mm
過去はDragonfly TR 0.6mmを使用
カポタスト
現行推定:Paige Capo PC-6(6弦用)
過去使用:Planet Waves PW-CP-05(現行品PW-CP-10)
プリアンプ
Summit Audio TD-100(現行メイン)
過去:L.R.Baggs Venue D.I.
チューナー
アコギ用:BOSS TU-3(ペダル型)
エレキ用:KORG PB-01(生産終了/現行PB-AD)
シールド
KAMINARI GUITARS K-AC3LS(エレアコ用推定)
過去:BELDEN製シールド(型番不明)、MICRO CRACK #9395
オーディオインターフェース
RME Fireface UFX
マイク
自宅:NEUMANN TLM 67
スタジオ:ヴィンテージ NEUMANN U67
キーボード
Roland A-800PRO(61鍵MIDIコントローラー)
この構成を見ると、秦基博さんはGibsonヴィンテージJシリーズを中核に、楽曲や会場に応じてマホガニー系〜スプルース/ローズウッド系まで幅広く持ち替えています。
ピックアップはL.R.Baggs Anthemに統一し、PA・レコーディング双方で安定した音質を確保するセッティングが特徴です。
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