始めに(特徴紹介)
ACIDMANのギターボーカルであり、サウンドの要を担うのが大木伸夫さんです。彼のプレイは情緒的かつ力強く、浮遊感のあるディレイやファズサウンドを駆使した独特の音像が特徴です。特に「赤橙」「Your Song」「ある証明」といった代表曲では、リッケンバッカー特有のシャープな輪郭と、オレンジアンプのエッジの効いたドライブサウンドが組み合わさり、唯一無二の世界観を作り出しています。
ACIDMANの音作りにおいて重要なのは、クリーントーンの透明感と歪みの厚みを両立させるバランス感覚です。ライブではRickenbackerを主体としつつ、Fenderの多様なモデルを状況に応じて使い分け、繊細なアルペジオから轟音のリフまで表現しています。さらに、Line6 DL4を中心としたディレイサウンドが彼らの音楽に広がりと奥行きを与えており、ビッグマフによる荒々しいファズサウンドが楽曲の爆発力を支えています。
大木伸夫さんのギタープレイは、シンプルなコードストロークの中にも深い感情を込められる点が魅力であり、その音作りは多くのギタリストに影響を与えてきました。この記事では、アンプ、ギター、エフェクターの実使用機材を中心に、ACIDMANらしいサウンドを再現するためのポイントを徹底解説していきます。
以下のリンクから、ACIDMANの公式MVを探して実際の音を体感してみてください。
使用アンプ一覧と特徴【ACIDMAN・大木伸夫】
ACIDMANのサウンドの核となるのは、英国ブランド「ORANGE」の真空管アンプです。特に大木伸夫さんは「ORANGE AD140HTC」を愛用しており、ライブでもこのアンプを中心にしたセッティングが確認されています。ORANGE特有の図太くエッジのあるドライブサウンドは、ACIDMANの楽曲に漂う重厚感や壮大なスケール感を支えています。
ORANGE AD140HTCは、クリーントーンから荒々しい歪みまで幅広く対応できるモデルです。大木さんのプレイでは、透明感のあるクリーントーンでアルペジオを響かせたり、Big Muffと組み合わせて荒々しい爆音リフを鳴らすなど、表現の幅を大きく広げています。特に「赤橙」や「ある証明」といった楽曲では、オレンジアンプならではの中低域が強調された分厚いトーンが印象的です。
また、過去のインタビューやライブ映像からは、スタジオ録音ではFender系アンプやMarshall系アンプが併用されていた可能性も指摘されています。例えばクリーントーンの楽曲ではFender Twin Reverb系のきらびやかさ、荒々しい楽曲ではMarshall系の攻撃的な歪みを組み合わせることで、音源ごとに最適な音作りをしていると考えられます。ただし、ライブにおいてはほとんどの場面でORANGE AD140HTCが使用されており、メインアンプとみて間違いないでしょう。
さらに、スタジオワークではライン録りやマイクの立て方でニュアンスを調整していると推測されます。例えば、57系マイクをキャビ正面に立てつつ、アンビエンス用マイクで空気感を収録することで、広がりのあるギタートーンを実現していると思われます。こうした工夫はACIDMANの「宇宙的」とも形容されるサウンドスケープに直結しています。
総じて、大木伸夫さんのアンプ選びは「ライブではORANGE AD140HTCを軸に、スタジオでは状況に応じてFenderやMarshallを補助的に使用」といったスタイルであり、楽曲ごとに最適な音を生み出す柔軟な運用がなされている、と想定されます。
使用ギターの種類と特徴【ACIDMAN・大木伸夫】
ACIDMANのサウンドを語る上で欠かせないのが、フロントマン大木伸夫さんが愛用するリッケンバッカー(Rickenbacker)です。特に「Rickenbacker 330」「Rickenbacker 360FG」「Rickenbacker 381MG」などを使い分けている様子がライブ映像や写真から確認できます。リッケンバッカー特有のシャープで輪郭のはっきりしたサウンドは、クリーンでも歪ませてもバンドサウンドに埋もれず、ACIDMANの音楽性と非常に相性が良いといえます。
「Rickenbacker 330」は、大木さんのメインギターのひとつで、コードの分離感やアルペジオの美しさが際立ちます。「赤橙」や「Your Song」のような透明感のある楽曲では、そのバランスの良さが特に活かされています。「Rickenbacker 360FG」ではステレオアウトプットを活用することで空間系エフェクトと組み合わせやすく、ACIDMAN特有の広がりのあるサウンドスケープに貢献しています。そして「Rickenbacker 381MG」はアーチドトップ構造による豊かな鳴りが特徴で、ライブでの存在感をさらに引き立てています。
また、リッケンバッカー以外にFenderのモデルも複数所有していることが確認されています。「Fender Telecaster」は鋭く抜けるサウンドを持ち、楽曲のアタック感を際立たせる場面で使用されます。「Fender Telecaster Deluxe」はハムバッカーを搭載しているため、甘く太いサウンドを生み出し、バラードや壮大なアレンジの楽曲に適しています。「Fender Jazzmaster」や「Stratocaster」も、音源やライブで使われることがあり、多彩なトーンを実現する要となっています。
さらに、アコースティックでは「Martin D-18 Golden Era」を使用。煌びやかな高音とまろやかな低音が特徴で、ACIDMANのアコースティックセットやスタジオでのレコーディングでその存在感を発揮しています。特にアンプラグドのライブや弾き語りのシーンでは、このMartin特有の伸びやかさが観客を魅了しています。
大木伸夫さんのギターセレクトは、「リッケンバッカーでACIDMANらしい空間感を支えつつ、Fenderでサウンドバリエーションを補い、アコースティックで温かみを加える」というスタイルに整理できるでしょう。こうした組み合わせによって、ライブごとに異なるダイナミズムを生み出し、音源制作では曲調に合わせた柔軟な音作りを行っていると考えられます。総じて、リッケンバッカーが中核であることは間違いなく、その響きこそがACIDMANの音楽的アイデンティティの中心にある、と想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
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Rickenbacker 330 | Rickenbacker | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | エレキギター | メイン使用、透明感のあるコードワークに最適 |
Rickenbacker 360FG | Rickenbacker | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | エレキギター | ステレオアウトプット搭載、空間系との相性良好 |
Rickenbacker 381MG | Rickenbacker | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | エレキギター | チェッカーバインディング、豊かなアーチトップ鳴り |
Fender Telecaster | Fender | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | エレキギター | 鋭いアタック、ロック系楽曲で使用 |
Fender Telecaster Deluxe | Fender | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | エレキギター | ハムバッカー搭載、太く甘いサウンド |
Fender Jazzmaster | Fender | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | エレキギター | 切れ味のあるサウンド、多彩な楽曲で使用 |
Fender Stratocaster | Fender | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | エレキギター | オールマイティに使用可能、補助的に活用 |
Martin D-18 Golden Era | Martin | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | アコースティックギター | 伸びやかで煌びやかなアコギサウンド、弾き語りで使用 |
使用エフェクターとボード構成【ACIDMAN・大木伸夫】
大木伸夫さんのエフェクターボードは、シンプルでありながらもサウンドの幅を大きく広げる構成となっています。特に特徴的なのは、ファズやオーバードライブ系とディレイ系を巧みに組み合わせ、クリーンから轟音まで自在に操るスタイルです。ACIDMANの楽曲に漂う浮遊感や壮大な音像は、このエフェクターボードに大きく支えられています。
まずブースター/オーバードライブ系では「MXR Micro Amp」をプリアンプ的に使用し、基本的な音圧を底上げ。「HUGHES & KETTNER TUBE FACTOR」や「BOSS BD-2」を併用することで、ナチュラルなドライブ感から激しいディストーションまで幅広く対応しています。また「Marshall Drive Master」や「Electro-Harmonix Big Muff Pi Original」は、轟音ファズ/ディストーションの要であり、特に「ある証明」「FREE STAR」といった楽曲ではこの爆発力ある音が印象的です。
空間系エフェクターとしては「Line6 DL4」と「BOSS DD-5」を使用。DL4は多彩なディレイパターンを駆使して楽曲に奥行きを与え、ルーパーとしても活用されています。一方、DD-5はタイトで扱いやすいディレイを提供し、細かいアルペジオやリフに深みを加えています。この2つを組み合わせることで、幻想的で立体的な音場を作り出すことができます。
モジュレーション系では「BOSS CH-1 Super Chorus」と「BOSS TR-2 Tremolo」が確認されています。CH-1はリッケンバッカー特有のシャープなトーンに厚みを加え、透明感のあるクリーントーンを強調。TR-2は楽曲の静と動を際立たせる揺れ感を演出し、幻想的な場面を彩ります。また、シグナルの切り替えには「Sobbat A/B Breaker」が使用され、複数アンプやエフェクトループを効率よく操作できる構成となっています。
総じて、大木伸夫さんのエフェクト構成は「リッケンバッカーのシャープな基音を活かしつつ、Big MuffやDL4で空間と爆発力を付与する」という方向性に集約されます。ライブごとの映像からも、同じ基本構成を維持しつつも微調整で楽曲に合わせたセッティングを行っている様子が見て取れます。シンプルながら奥深いボード構成は、まさにACIDMAN特有のサウンドを生み出す源泉と言えるでしょう。と、想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
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MXR Micro Amp | MXR | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | ブースター | クリーンブーストや音圧強化に使用 |
HUGHES & KETTNER TUBE FACTOR | HUGHES & KETTNER | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | オーバードライブ | チューブ感のあるブースト/OD |
Marshall Drive Master | Marshall | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | ディストーション | 荒々しいディストーションサウンドを実現 |
Electro-Harmonix Big Muff Pi Original | Electro-Harmonix | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | ファズ | 轟音リフの要、代表的なファズサウンド |
BOSS BD-2 | BOSS | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | オーバードライブ | ナチュラルな歪み、ブースト用途でも活躍 |
Line6 DL4 | Line6 | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | ディレイ | 多彩なディレイとルーパー機能を活用 |
BOSS DD-5 | BOSS | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | ディレイ | コンパクトで扱いやすいディレイ、アルペジオ向き |
BOSS CH-1 Super Chorus | BOSS | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | コーラス | 透明感のある揺れを加える |
BOSS TR-2 Tremolo | BOSS | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | トレモロ | 楽曲の動静を際立たせる揺れ感を演出 |
Sobbat A/B Breaker | Sobbat | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | スイッチングシステム | A/B切替、複数ループやアンプ操作に使用 |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【ACIDMAN・大木伸夫】
大木伸夫さんの音作りは、使用機材そのものだけでなく、EQやアンプの設定、さらにはPA・ミックス段階での調整によって完成されています。ACIDMANの楽曲は、壮大な空間性と力強いドライブ感が共存しており、その秘密は細部のセッティングに隠されています。
アンプの基本設定については、ライブ映像や音源から推測するに、ORANGE AD140HTCの特性を活かしつつ、ミドルをやや強調する傾向が見られます。これによりリッケンバッカーのシャープな基音が埋もれることなく前に出て、全体のバンドサウンドの中でも存在感を発揮しています。ベースは50〜60%程度、トレブルはやや控えめ(40〜50%)、ミドルは高め(60〜70%)といった設定が多いと想定されます。ゲインは楽曲に応じて調整され、クリーン時には30%前後、歪みを前面に出す楽曲では70%以上に設定されているでしょう。
エフェクターの使い分けも大木さんの音作りにおいて重要です。例えば、クリーントーンでは「MXR Micro Amp」で音圧を補強しつつ、コーラス(BOSS CH-1)を軽くかけることで透明感を強調。アルペジオパートでは「BOSS DD-5」を使い、ショートディレイで深みを与える場面もあります。一方、力強いリフやサビでは「Electro-Harmonix Big Muff Pi」を中心に据え、ファズ特有の荒々しさを加えることでダイナミックな展開を演出しています。特に「ある証明」ではこのセッティングが顕著で、轟音ながらも音が潰れずバランスを保っているのが特徴です。
Line6 DL4の使用法も大きなポイントです。DL4は単なるディレイとしてだけでなく、リバースディレイやルーパー機能を活かし、幻想的で宇宙的な音空間を構築しています。楽曲中でループを重ねて厚みを作り出したり、リバースを使って浮遊感を強調するなど、曲の世界観に合わせた実験的な使い方も確認されています。
スタジオでの録音においては、アンプのマイキングが重要な要素になります。ACIDMANの作品では、SM57などのダイナミックマイクをキャビネット正面に設置しつつ、コンデンサーマイクを少し離れた位置に立て、空間の響きを収録していると考えられます。これにより、バンドサウンド全体に溶け込む自然な広がりを持ったギタートーンが得られています。さらに、ミックス段階ではEQで200Hz〜400Hzのローエンドを整え、3kHz付近をブーストすることでリッケンバッカーらしいジャングリーなアタックを強調しています。
また、ライブにおけるPAではギターが埋もれないように工夫が施されています。特に大木さんはボーカルも兼任しているため、声とのバランスを取ることが重要です。そのためギターの帯域は中域を厚く残しつつ、ボーカル帯域とぶつからないよう2kHz付近を軽くカットするなど、緻密な調整が行われていると考えられます。こうしたPA的なアプローチは、壮大でありながらも歌がしっかり届くACIDMANのライブサウンドを支えています。
総じて、大木伸夫さんの音作りは「リッケンバッカーのシャープなトーン+ORANGEの分厚いミドル+ファズとディレイによる空間演出」という3つの要素が軸となっています。楽曲ごとにEQやゲインを微調整し、ミックスやPAでバンド全体とのバランスを取ることで、唯一無二のサウンドが完成されている、と想定されます。
比較的安価に音を近づける機材【ACIDMAN・大木伸夫】
大木伸夫さんのサウンドを完全に再現するにはリッケンバッカーやORANGEアンプといった高価な機材が必要ですが、初心者や中級者が比較的安価に近づける方法も存在します。ここでは、実際の機材を模したトーンを得られるコストパフォーマンスの高い代替機材を紹介します。
まずギターに関しては、リッケンバッカーは30万円以上することが多いため、入門機としては厳しいです。その代わりに「YAMAHA Revstar」シリーズや「Epiphone Casino」など、ジャングリーで中域がしっかりしたモデルを使うことで雰囲気を近づけることが可能です。特にCasinoはビートルズで有名なモデルでもあり、リッケンバッカーに似た煌びやかさを表現できます。
アンプに関しては、ORANGE AD140HTCは高額で入手が難しいため、「ORANGE Crush Proシリーズ」や「Blackstar HT Club」などの中価格帯アンプで代用可能です。これらは真空管の質感を意識した設計がなされており、オレンジ特有のミドルの押し出し感に近いトーンを得られます。また、自宅練習であれば「BOSS Katana」シリーズも強力で、多彩なアンプモデリングによりライブ〜練習まで幅広く対応できます。
エフェクターは比較的安価で揃えやすいです。大木さんが使用する「Electro-Harmonix Big Muff Pi」は実際に1〜2万円程度で購入可能で、音作りにおいて最重要ともいえるファズサウンドをそのまま再現できます。また、「BOSS BD-2」はオーバードライブの定番であり、リッケンバッカー的なシャープさを補うことができます。ディレイでは「BOSS DD-8」が現在入手しやすい後継モデルで、ACIDMANの立体的な空間感を表現するのに適しています。
さらに、マルチエフェクターを活用する方法もあります。特に「LINE6 POD GO」や「ZOOM G5n」などは、アンプシミュレーションと空間系エフェクトが充実しており、ORANGE+DL4的な組み合わせを1台で実現できます。初心者でもセッティングが容易で、スタジオでも即戦力となる機材です。
総じて、「ギターはミドルに特徴のあるセミアコ系」「アンプは中域の押し出しが強いモデル」「Big Muff+ディレイを中心としたエフェクト構成」があれば、大木伸夫さんに近いサウンドを比較的低予算で作ることが可能です。まずはこれらの代替機材から入門し、余裕が出たらリッケンバッカーやORANGEにステップアップしていくのが現実的なアプローチといえるでしょう。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
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ギター | Epiphone Casino | Epiphone | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | リッケンバッカーのジャングリー感に近いトーン |
アンプ | ORANGE Crush Pro CR120 | ORANGE | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | 真空管ライクなサウンドでライブ対応可能 |
アンプ | BOSS Katana-50 MkII | BOSS | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | モデリングアンプ、練習〜小規模ライブに最適 |
エフェクター | Electro-Harmonix Big Muff Pi | Electro-Harmonix | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | 代表的な轟音ファズ、実機と同じモデル |
エフェクター | BOSS BD-2 | BOSS | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | ナチュラルなドライブでブーストにも活用可能 |
エフェクター | BOSS DD-8 | BOSS | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | DD-5の後継モデル、多彩なディレイを再現 |
マルチエフェクター | LINE6 POD GO | LINE6 | Amazonで探す | ACIDMAN | 大木伸夫 | ORANGEアンプシミュやDL4的ディレイを1台で再現 |
総括まとめ【ACIDMAN・大木伸夫】

大木伸夫さんのサウンドは、一見するとシンプルな機材構成から生まれているように見えますが、その実態は非常に緻密な設計とプレイスタイルの工夫に支えられています。リッケンバッカーを基調にしたシャープで輪郭のあるトーン、ORANGEアンプが持つ中域の押し出し、そしてBig MuffやDL4を中心とした空間系エフェクトの使い方。この三位一体の組み合わせが、ACIDMAN特有の「宇宙的」とも形容される壮大な音像を作り上げています。
また、彼の音作りにおいて特筆すべきは「引き算の美学」です。多くのエフェクターを並べるのではなく、必要最低限の構成で最大限の表現力を引き出している点にこそ真価があります。ディレイやファズを使う場面でも、ただの派手さではなく、楽曲全体の流れやメッセージ性に沿った音作りが行われています。そのため、ACIDMANの楽曲を聴くと、常に「曲そのもの」と「世界観」に耳が向くように構成されているのです。
さらに、スタジオ録音とライブではアプローチが異なり、スタジオではマイキングやEQ処理によって立体感を演出し、ライブではPAとの調和によって歌とギターのバランスを最適化しています。これは単なるギタリストとしての工夫にとどまらず、ボーカリストとしての視点を持つ大木さんならではの音作りの哲学といえるでしょう。
初心者や中級者が大木さんの音を目指す場合は、まず「リッケンバッカーに近い中域の強いギター」「中域が厚いアンプ」「Big Muff+ディレイを中心としたシンプルなボード」を揃えるところから始めると良いでしょう。大切なのは機材そのものよりも、「音をどのように使うか」「どのタイミングで音を響かせるか」という視点を持つことです。彼の音作りの本質は、テクニカルな派手さではなく、感情や情景を音に乗せる繊細なアプローチにあります。
総括すると、大木伸夫さんのサウンドは「リッケンバッカーの透明感」「ORANGEアンプの中域」「ファズ+ディレイの空間演出」という3つの柱で構成されています。これを再現するには高価な機材も必要ですが、音作りに対する哲学や引き算の美学を意識すれば、手持ちの機材でも十分に近づけることが可能です。ACIDMANの楽曲をコピーする過程で、単なる音の再現以上に「音で情景を描く」という彼の哲学に触れられるでしょう。
ぜひこの記事を参考に、大木伸夫さんの音作りを研究し、あなた自身のギタートーンに活かしてみてください。その過程で得られる気づきは、単なるコピーを超えて、新たな音楽表現へとつながっていくはずです。
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下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
ACIDMAN 大木伸夫 使用機材リスト
ギター
Rickenbacker(メイン使用)
Rickenbacker 330
特徴:輪郭があるサウンド、コードバランスが絶妙
Rickenbacker 360FG
特徴:シャープなサウンド、ステレオアウトプット標準搭載
Rickenbacker 381MG
特徴:チェッカーバインディング、ジャーマンカーブ(美しいアーチ)
Fender
Fender Telecaster
特徴:鋭いサウンド、世界初の量産型ギター
Fender Telecaster Custom Shop
Fender Telecaster Deluxe
特徴:ハムバッカー搭載、甘く太いサウンド
Fender Jazzmaster
特徴:切れ味の良いサウンド
Fender Stratocaster
特徴:オールマイティ、ジャンルを問わず使用可能
アコースティック
Martin D-18 Golden Era
特徴:伸びのある抜けの良いサウンド、まろやかなローエンド、煌びやかなハイエンド
アンプ
ORANGE AD140HTC(アンプヘッド)
特徴:エッジ感のあるサウンド、過激なドライブサウンドまでカバー
エフェクター(画像とテキストから確認できる機材)
ブースター・オーバードライブ系
MXR Micro Amp(プリアンプ)
HUGHES & KETTNER TUBE FACTOR(ブースター/オーバードライブ)
Marshall Drive Master(ディストーション)
Electro-Harmonix Big Muff Pi Original(ファズ/ディストーション)
BOSS BD-2(オーバードライブ)
ディレイ系
Line6 DL4(ディレイ)
BOSS DD-5(コンパクトディレイ)
モジュレーション系
BOSS CH-1(コーラス)
BOSS TR-2(トレモロ)
その他
Sobbat A/B Breaker(A/B BOX)
サウンドの特徴
Rickenbackerを基本として愛用
輪郭のはっきりしたサウンドメイキング
Big Muff Piによるファズサウンドが重要な要素
Line6 DL4による多彩なディレイエフェクト
ORANGEアンプによるエッジの効いたドライブサウンド
画像のペダルボードからは、シンプルながらも各系統のエフェクターがバランス良く配置されていることが確認でき、ACIDMAN特有の空間系を活かしたサウンドメイキングに対応した構成となっています。
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