始めに(特徴紹介)
花冷え。のギタリストであり、作詞・作曲も手がけるマツリは、破壊力とキレ味を兼ね備えたメタルコア~ポストハードコアスタイルのギタープレイヤーです。
彼女のギターサウンドは「硬質でありながら粘り気のある中域」「切れ味鋭いリフ」「重心の低いロー感」が特徴で、現代的なラウドロックやジェント的要素を含みながらも、どこか日本的でキャッチーなメロディとの共存が見事に成立しています。
代表曲「お先に失礼します。」や「TOUSOU」は、ドロップC~ドロップBといった低チューニングと、常時オンにされたMAXON OD808による鋭いピッキングレスポンスが光る楽曲です。
マツリの音作りは極めてアナログ志向で、「やっぱりどうしてもヘッドには勝てん」「真空管しか勝たない」という発言にも表れているように、PEAVEY 6505ヘッドを軸にした王道メタルリグで構成されています。
さらに、星のカービィのマスコットや高校時代のリストバンドをボードに添えるなど、機材面だけでなくプレイヤーとしてのパーソナリティも強く表れています。
彼女のサウンドは、Hi-STANDARD、マキシマム ザ ホルモン、Pay money To my Painなど、国産ラウド/パンクの血脈を受け継ぎつつ、CurrentsやWhile She Sleepsといった海外ラウドの影響も受けている点で非常にユニークです。
花冷え。が国内外のリスナーから注目される理由の一つが、この「マツリの作る強靭なギターサウンド」にあることは間違いありません。
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使用アンプ一覧と特徴【花冷え。・マツリ】
マツリのギターサウンドの核心に位置するのが、PEAVEYの名機「6505」アンプヘッドです。
この6505は、元々EVH(エディ・ヴァン・ヘイレン)のシグネイチャーモデル5150の系譜にあり、90年代以降のメタルシーンにおいて一時代を築いたアンプです。
その攻撃的で鋭いゲイン特性、そしてタイトなローエンドと中域のパンチ感は、現代のメタルコアやラウドロックにもフィットする仕様となっており、マツリのようなピッキングのニュアンスをしっかり出したいプレイヤーにはまさに最適な選択肢と言えます。
彼女はインタビューの中で「デジタル機材には戻れない」と発言しており、真空管アンプのナチュラルな歪みやレスポンスにこだわっていることが明確に読み取れます。
また、キャビネットにはMesa Boogie製を使用。これも6505との相性が非常によく、特にV30スピーカー(Celestion Vintage 30)との組み合わせは、ラウド系サウンドの黄金パターンとして知られています。
ライブでは自身のキャビネットを会場に持ち込むこだわりも見られ、ステージ上での「鳴り」を非常に重要視していることがわかります。
ちなみにPEAVEY 6505はCH1(リズム)とCH2(リード)でゲイン量が明確に異なり、オーバードライブペダルとの併用でさらに多彩な音作りが可能です。
マツリはこの特性を活かし、OD808を常時オンにすることでリフではタイトに、ソロではサステインを伸ばしたプレイを実現しています。
以下は、マツリが使用する実機とその代替/推定機材を含めたアンプ・キャビネットの一覧表です。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
6505 | PEAVEY | Amazonで検索 | 花冷え。 | マツリ | 真空管100Wの定番メタルアンプ。常時ハイゲイン設定、ライブ用に使用。 |
Rectifier 4×12 Cabinet | Mesa Boogie | Amazonで検索 | 花冷え。 | マツリ | Celestion V30搭載キャビネット。重厚かつ明瞭な出音を実現。 |
Mini Rectifier 25 Head | Mesa Boogie | Amazonで検索 | 花冷え。 | マツリ | 自宅用や小規模ステージの代替候補。真空管仕様。 |
MT15 Mark Tremonti | PRS | Amazonで検索 | 花冷え。 | マツリ | チューブ回路搭載の小型ヘッド。PEAVEY 6505に近いゲイン質。 |
使用ギターの種類と特徴【花冷え。・マツリ】

マツリのギターサウンドを支える核となるのが、E-Ⅱ(旧ESP USA)製のLPシェイプモデル「EC-BB」と「EC-EMG」です。どちらもリアピックアップにはメタルサウンドの定番であるEMG 81(初期型)を搭載しており、強烈なアタックとタイトなローを兼ね備えた仕様となっています。
メインで使用される「E-Ⅱ EC-BB」は黒を基調とした外観で、ステージでも一際存在感を放つモデルです。LPシェイプでありながらモダンな演奏性を持ち合わせており、ラウドロック系の激しいプレイにも耐えるタフなボディ構造とレスポンスを誇ります。
一方、サブとして使用される「E-Ⅱ EC-EMG(白)」も同様にEMG 81をリアに搭載し、バンドサウンドにおける中〜高域の抜けを強調。ライブやMVなどでは、楽曲や衣装の雰囲気に合わせてギターを使い分けることも確認されています。
どちらもアクティブPUであるEMG 81を搭載しているため、激しいリフやブレイクダウンでも音像が潰れず、明瞭に前へ出てくるサウンドが特徴です。特にドロップC~Bといった低チューニングとの相性は抜群で、タイトなローエンドを維持しつつもミックス内で明確な存在感を確保しています。
また、過去にはEpiphone製のレスポールを使用していたことも明らかになっており、ギターを始めた頃から一貫して「LPシェイプ」にこだわっていることがうかがえます。この点からも、音質と演奏感の両立を重視したセレクトをしていると推察できます。
E-ⅡのギターはESP系列ながら価格帯としては比較的抑えられており、ESPカスタムモデルよりも手が届きやすい点も、ライブツアーや動画撮影などでの扱いやすさにつながっています。
以下に、マツリが使用している実機および関連モデルのギター一覧をまとめました。
使用エフェクターとボード構成【花冷え。・マツリ】
マツリのエフェクターボードは、シンプルかつ機能的。必要最小限のアナログ機材を厳選して構成されており、その選び方からも「本当に使うものだけを使う」堅実で直感的なプレイスタイルがうかがえます。
中心となるのはMAXONの定番オーバードライブ「OD808」。これは常時オンで使用されており、PEAVEY 6505の前段でブースト的に使うことで、ピッキングのレスポンスを鋭くしつつ、音の輪郭をより明瞭にしています。
ハイゲインアンプとOD808の組み合わせは、メタルコアやジェント系でも広く使われており、マツリもそれに準じた音作りをしていることがわかります。
また、ノイズ対策として導入されているのがISP TECHNOLOGIESの「DECIMATOR II」。こちらも常時オンで、ライブやレコーディング環境における不要なノイズやハウリングをしっかり抑制します。
7弦を使用していないとはいえ、ドロップC〜Bといった超低音チューニングでプレイするため、しっかりとしたノイズゲートが必要不可欠。DECIMATOR IIはサステインを殺さずに自然なノイズ制御ができるため、狩姦やcoldrainなど他のラウド系アーティストからも愛用されています。
さらに、チューニングの切り替えをリアルタイムで行う目的で使用されているのが「DIGITECH Drop」。ドロップDやドロップBなど、楽曲ごとに異なるチューニングを瞬時にシミュレートできるこのエフェクターは、花冷え。の多彩なアプローチを支える上で非常に有効です。
これらに加えて、ボード内には『星のカービィ』のマスコットや高校時代のバンドのリストバンドが収められており、機能だけでなく本人のキャラクターや思い出が色濃く反映されています。
以下は、マツリが実際に使用しているエフェクターとその詳細を示した一覧表です。
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【花冷え。・マツリ】

マツリのギターサウンドは「ハイゲインでありながら抜ける」「ローが太いのに篭もらない」「パンチとスピードを両立する」など、数々の矛盾を解決した極めて完成度の高いトーンバランスが魅力です。
その音作りの要となるのが、PEAVEY 6505ヘッド+MAXON OD808の組み合わせによるゲイン構造とEQ設計です。
OD808は常時オンで使用されており、これはプリアンプ段の前にブーストを入れることで、余分なロー(特に80〜120Hz)をカットしつつ、ピッキングニュアンスをより明確にします。
この手法により、ミックス内でギターが潰れることなく、鋭く切り込んでくるサウンドを生み出すことが可能になります。
6505側では、通常CH2(LEAD)を使用し、ゲインはそこまで上げずに、OD808で補うスタイル。これにより、サステインは稼ぎながらも過剰にコンプレッションされない、ナチュラルな歪みを得られます。
EQ設定では以下のような傾向が見られます:
- LOW:3〜4(ローエンドを出しすぎず引き締める)
- MID:5〜7(プレゼンスと抜けを調整)
- HIGH:5(ハイはあくまで明瞭さを保つ程度)
- PRESENCE:6〜7(ステージでの抜け感の強調)
- RESONANCE(BASS BOOST):4(ローの押し出し感を微調整)
ピッチシフター(DIGITECH Drop)は楽曲ごとのチューニング切り替えに用いられ、主にドロップC/ドロップB/ドロップDを再現。低音域が重視される楽曲では、ピッチを落とした際の音のダレを防ぐため、エフェクター使用後のアンプ設定も微調整されている可能性があります。
ライブミックスではギターはセンターや若干右寄りに配置され、ベースとの分離を意識したEQ処理が施されています。200〜250Hzあたりは控えめに処理され、代わりに500〜800Hzの中域を強調し、ギターがしっかりと前に出てくるサウンドに仕上げられています。
また、花冷え。のようにテンポが速くセクション展開が激しいバンドでは、ミックスでの定位(パン)・EQ・コンプレッションが音像に大きな影響を与えます。
そのため、ダブルトラッキングによってL/Rにパン振りされたギターを基本にし、必要に応じて「カウンターパート」としてクリーン/ピッチ変更/ノイズ系エフェクトを重ねることで立体的な音場設計が行われています。
レコーディングにおいては、ペダル直での音決めよりも、マイク録りを前提とした「アンプで作った音を素直に収音する」という、非常にオーセンティックな手法が好まれている点も注目すべきポイントです。
このように、マツリの音作りは「機材のスペックに頼らず、自分の出したい音に対して明確な理想を持つ」ことが前提にあります。
結果的に、花冷え。の楽曲はその暴力的なまでのサウンドエネルギーを持ちながら、聴き疲れしない音質として完成されているのです。
比較的安価に音を近づける機材【花冷え。・マツリ】
マツリの音作りは、ハイゲインアンプ+アクティブPU搭載LPシェイプギター+シンプルなエフェクターボードという、いわば王道のメタルサウンド構成です。
このようなプロ仕様の音を、初心者や中級者でも手が届く価格帯(1〜5万円、上限10万円)で再現することは十分に可能です。
まずギターにおいては、アクティブPU(EMG81相当)を搭載したモデルを選ぶことで、タイトでコンプレッションの効いたトーンに近づけます。
ESP系列ではやや高価になりがちですが、Epiphoneの「Les Paul Prophecy」はEMGアクティブPUを標準搭載し、LPシェイプかつ価格も抑えられており、最もおすすめできるモデルです。
もう少し価格を抑えたい場合には、「Jackson JS Series Monarkh SC JS22Q」なども選択肢として有効。こちらはパッシブPUではありますが、ブースターとの組み合わせで硬質なトーンも得られます。
アンプでは、PEAVEY 6505のような真空管の質感を持ちつつ安価な選択肢として、BOSS「Katana-50 MkII」が非常に人気です。
チューブライクな反応と多彩なモデリング、EQセクションを活かすことで、マツリが求めるパンチのあるトーンにも近づけます。
真空管にこだわる場合は、「Bugera 6262 Infinium」がコストを抑えつつ6505に近いゲイン構造を持つため、実戦投入可能な選択肢となります。
エフェクター類では、MAXON OD808の代替として「Joyo Vintage Overdrive」や「BOSS SD-1」がコストパフォーマンスに優れたブースターとして非常に人気です。
ノイズリダクションには「Donner Noise Killer」や「Rowin Noise Gate」なども好評で、5,000円前後でハイゲイン環境下でも実用可能な性能を備えています。
また、DIGITECH Dropの代替としては、同社「Whammy Ricochet」や「Hotone Harmony」など、ピッチを簡易的にコントロールできる製品も存在します。
以下に、花冷え。マツリのサウンドに近づけるためのコスパ重視アイテムを一覧にまとめました。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
エレキギター(LPシェイプ・アクティブPU) | Les Paul Prophecy | Epiphone | Amazonで検索 | 花冷え。 | マツリ | EMG 81/85標準搭載。マツリのE-Ⅱモデルに近い構成。 |
ギターアンプ(モデリング) | Katana-50 MkII | BOSS | Amazonで検索 | 花冷え。 | マツリ | チューブライクなレスポンス。EQとゲイン構成で似たトーンに設定可能。 |
ギターアンプ(真空管) | 6262 Infinium | Bugera | Amazonで検索 | 花冷え。 | マツリ | PEAVEY 6505に非常に近い回路構造。コスパ良好な真空管アンプ。 |
オーバードライブ | Vintage Overdrive | Joyo | Amazonで検索 | 花冷え。 | マツリ | OD808に似た回路設計。価格帯も3,000〜4,000円台。 |
ノイズリダクション | Noise Killer | Donner | Amazonで検索 | 花冷え。 | マツリ | ハイゲイン使用時のノイズをしっかり抑制。コスパ◎。 |
ピッチシフター | Hotone Harmony | Hotone | Amazonで検索 | 花冷え。 | マツリ | DIGITECH Dropの簡易代替に最適。スムーズなドロップ処理が可能。 |
これらの機材をうまく組み合わせることで、花冷え。マツリのような「硬質でパンチのあるサウンド」に近づけることができます。
特に初心者の方は、ギターとブースター、ノイズゲート、アンプの4点に注目して機材を揃えていくのがおすすめです。
総括まとめ【花冷え。・マツリ】

花冷え。のギタリスト・マツリの音作りは、「必要最小限の構成で最大の破壊力を生み出す」ことに成功した実践的かつ明確なコンセプトを持っています。
アンプはPEAVEY 6505、ギターはE-ⅡのLPシェイプ、エフェクトはOD808+ノイズゲート+ピッチシフター。奇をてらうような複雑なセッティングは一切なく、「本当に必要なもの」だけを選び抜いた構成です。
それは、彼女が語る「デジタルよりも真空管の反応が好き」「シンプルな方が音に集中できる」という発言にも表れており、音質・操作性・再現性のすべてをバランスよく統合した設計だと言えます。
また、チューニングの多様性や、メタルコア/ラウド/パンク/ボカロ/電波ソングといった多岐にわたる音楽的影響を吸収している点も、彼女のサウンドの幅広さを支えています。
その結果、「硬くて鋭いのに、キャッチー」「暴力的なのに歌える」――そんな二面性を両立する、現代的で先鋭的なギターサウンドが生まれているのです。
狩姦やMIYAVI、SUGIZOのような“個性派”と比較しても、マツリの音には明確な目的と哲学が存在します。それは単に音の太さや派手さではなく、バンドの楽曲世界を支える“土台”としての信頼感を常に追求しているからでしょう。
初心者にとっても、彼女の機材構成は大きな学びになります。無理に高価な機材を揃えずとも、適切なチューニング、ピッキングニュアンス、EQ処理、そして何より「自分がどんな音を出したいか」を突き詰めることで、十分にプロレベルの音へと近づくことが可能です。
最後に、マツリのようなプレイヤーを目指すなら、まずは彼女の「機材選びの背景」や「曲ごとの音作りの理由」に耳を傾けてみてください。
“音の芯”とは何か? “聴かせる重さ”とは何か?――その問いに対する答えを、マツリは花冷え。のギターで常に提示してくれています。
自分の音を持ちたいあなたにこそ、マツリのセッティングは最高の手本になるはずです。
下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
ギター
E-Ⅱ EC-BB (黒): メインで使用。リアピックアップには初期型のEMG-81を搭載。
E-Ⅱ EC-EMG (白): リアピックアップはEC-BBと同じく初期型のEMG-81を搭載。
Epiphone Les Paul: ギターを始めた当初に使用。
その他、LPシェイプにこだわりがある。
アンプ・キャビネット
PEAVEY 6505: アンプヘッド。
Mesa Boogie: キャビネット。ライブ会場には自身の機材を持ち込んでいる。
エフェクター
MAXON OD808: オーバードライブ。常時オンで使用。
ISP TECHNOLOGIES DECIMATOR Ⅱ: ノイズリダクション。常時オンで使用。
DIGITECH Drop: ピッチシフター。
その他
使用弦: 以前はダダリオの11-56を使用していたが、2023年4月時点ではエリクサーを使用。
エフェクターボードの小物: 『星のカービィ』のマスコット、高校時代に作ったバンドのリストバンド。
マイク: ゼンハイザー evolution900シリーズ e935。
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