① 始めに(特徴紹介)
オジー・オズボーン(Ozzy Osbourne)の初代ギタリストとして、わずか25歳という若さでこの世を去った伝説のギタリスト、ランディ・ローズ(Randy Rhoads)。彼のサウンドは、1980年代のヘヴィメタル・シーンにおいて最も個性的かつ洗練されたものの一つです。クラシック音楽の素養を背景に持つランディのプレイスタイルは、緻密に構成されたソロ、鮮やかなスケールワーク、そして何よりも「ブリザード・オブ・オズ」の名にふさわしい、鋭く突き刺さるようなドライヴサウンドが特徴です。
ランディのサウンドの核となるのは、歪みの粒が細かく、中音域が強調された「クランチとディストーションの中間」のような絶妙な質感です。「Crazy Train」や「Mr. Crowley」などの名曲で聴けるあのサウンドは、単に歪ませているだけでなく、非常にタイトで音の分離が良いのが特徴。これは彼の確かなピッキングテクニックと、Marshallアンプ、そしてMXRのDistortion+を巧みに組み合わせた結果生まれるものです。
また、ランディはダブリング(同じフレーズを2回重ねて録音する手法)の達人としても知られており、スタジオ盤での彼のギターは非常に厚みがありつつも、一糸乱れぬ正確さを誇ります。ライブにおいては、その厚みを補うためにステレオコーラスやフランジャーを隠し味として使用し、広がりのある荘厳な世界観を作り上げていました。
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② 使用アンプ一覧と特徴【Ozzy Osbourne・Randy Rhoads】
ランディ・ローズのサウンドを象徴する最大の要素は、白いトーレックス(外装)を纏ったMarshall 1959 Super Lead、通称「ホワイト・マーシャル」です。当時、多くのギタリストがMarshallを使用していましたが、ランディの個体は特別でした。彼の1959ヘッドは、工場出荷時、あるいはその直後に「カスケード(直列)ゲイン」の改造が施されていたと言われています。
通常、ヴィンテージのMarshall 1959は2つのチャンネルをリンクさせて使用しますが、ランディのアンプはチャンネル1の信号をチャンネル2へ直列で流し込むような回路になっており、標準モデルよりも遥かに深いゲインを得ることが可能でした。これにより、現代のハイゲインアンプに近い歪みを持ちつつも、Marshall特有のコシのある中音域を維持していたのです。
さらに、キャビネットにも拘りがありました。一般的なCelestion製スピーカーではなく、Altec 417-8Hというスピーカーを搭載した4×12キャビネットを使用していました。Altecのスピーカーは非常に高域の伸びが良く、クリアでタイトなレスポンスが特徴。これが、ランディの速いパッセージでも音が潰れず、明瞭に聴こえる理由の一つです。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| JMP 1959 Super Lead (100W) | Marshall | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | メインアンプ。白いトーレックスが特徴。カスケード改造により高ゲインを実現。 |
| 1960A / 1960B Cabinet (Altec Loaded) | Marshall | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | Altec 417-8Hスピーカーを搭載し、非常にクリアで硬質なサウンドを出力。 |
ランディはスタックアンプを複数台並べ、壁のように積み上げたセッティングを好んでいました。これは単なる見た目だけでなく、大音量でのフィードバック制御や、ステージ全体を包み込む音圧を得るためであったと想定されます。
③ 使用ギターの種類と特徴【Ozzy Osbourne・Randy Rhoads】
ランディ・ローズの使用ギターは、そのルックス自体が彼のアイコンとなっています。キャリア初期からメインとして君臨したのは、1974年製のGibson Les Paul Custom。もともとはホワイトでしたが、タバコのヤニや経年変化により深いクリーム色に変色しています。このギターは非常に重厚な中低域を持ち、リフの力強さを支えていました。ピックアップは純正ですが、カバーが取り外されている時期もあり、無骨な美しさを放っています。
次に有名なのが「ポルカドットV」こと、Karl Sandoval製のカスタムVです。黒地に白い水玉模様は、ランディのトレードマーク。このギターは、Gibsonのスケール感を持ちつつ、Fenderスタイルのトレモロユニットを搭載するという、当時の彼の要望を詰め込んだ1本でした。DiMarzioのSuper Distortionピックアップが搭載されており、出力の高さがメタルサウンドに貢献しています。
そして、ランディの死後、彼の名前が冠されることとなったJacksonブランドの「Concorde」。非対称のVシェイプは、彼が理想のギターを求めてJackson(当時はCharvelのスタッフ)と共に設計したものです。1本目のプロトタイプはトレモロ付き、2本目のカスタム(ブラック)は、より鋭い角を持ち、安定性を重視したハードテイル仕様でした。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | ギターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1974 Les Paul Custom | Gibson | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | エレキギター | 生涯のメイン。クリーム色に変色したアルパインホワイト。 |
| Polka Dot V | Karl Sandoval | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | エレキギター | 水玉模様のV。DiMarzio Super Distortion搭載。 |
| Concorde / Rhoads V | Jackson | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | エレキギター | Jacksonブランド誕生のきっかけとなった非対称V。 |
ランディのギター選択は、ステージ映えするアグレッシブなルックスと、テクニカルなプレイを支える演奏性の高さを両立させていたことが伺えます。これらは彼の音楽的なアイデンティティと密接に結びついていたと想定されます。
④ 使用エフェクターとボード構成【Ozzy Osbourne・Randy Rhoads】
ランディ・ローズのエフェクターボードは、当時の最先端であり、かつ非常に洗練されていました。その中心にあるのは、間違いなくMXR M-104 Distortion + です。この小さな黄色いペダルが、Marshallの歪みをさらにプッシュし、あの「ザラッ」としたランディ特有の粒立ちの良い歪みを生み出していました。ゲインを上げるというよりは、アンプの歪みに「鋭さ」を足すような使い方がポイントです。
また、音作りにおいて欠かせないのがMXR 10 Band Graphic EQです。彼はこれで特定の周波数(中音域、特に500Hzから1kHzあたり)をブーストし、ギターの音をアンサンブルの前面に押し出していました。あの独特な鼻にかかったような、しかし突き抜けるリードトーンは、このEQの賜物です。
空間系やモジュレーション系も効果的に使用されていました。MXRのStereo ChorusとFlangerは、クリーントーンの彩りや、特定のソロパートでの劇的な変化(ジェットサウンドなど)に使用。これらはPetersonのストロボチューナーやVoxのワウペダルと共に、特注の巨大なペダルボードに整然と収められていました。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | エフェクターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Distortion + (M-104) | MXR | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ディストーション | ランディ・サウンドの核。Marshallをブーストするのに使用。 |
| 10 Band Graphic EQ | MXR | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | イコライザー | 中音域をブーストし、リードトーンを際立たせる役割。 |
| Stereo Chorus / Flanger | MXR | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | フランジャー | 「Flying High Again」などで聴ける独特の効果を付加。 | |
| Cry Baby | Dunlop | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ワウペダル | ソロでの表現力を高めるために多用された定番モデル。 |
| RE-201 Space Echo | Roland | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | エコー | ライブでの奥行き感を出すためのテープエコー。 |
これらのエフェクターを駆使しつつ、信号の最後にはRoland RE-201やKorg SE-500などのテープエコーを接続し、スタジアムを埋め尽くす残響音を作り出していたと想定されます。
⑤ 音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【Ozzy Osbourne・Randy Rhoads】
ランディ・ローズの音作りを再現するための最大の鍵は「中音域のコントロール」と「歪みの質感」にあります。単にアンプのゲインを上げるだけでは、彼のあのカリカリとしたエッジの効いた音にはなりません。
【アンプセッティングの極意】
まずMarshallアンプ(またはシミュレーター)において、PresenceとTrebleを比較的高め(7〜8程度)に設定し、Middleは5〜6、Bassは低音のボヤつきを抑えるために4〜5程度に抑えます。ランディの音は意外にも低域がスッキリしており、その分中音域の密度が高いのが特徴です。Marshallの入力にMXR Distortion +を繋ぎ、エフェクター側のOutputをフル近くまで上げ、Distortion(歪み)は10時〜12時方向に設定します。これにより、アンプのプリアンプを過入力させ、倍音豊かなサスティーンを得ることができます。
【EQでの魔法の処理】
ランディサウンドの決定的な要素はMXR 10 Band EQです。彼はここで「逆V字」に近いカーブを作っていました。具体的には500Hz、1kHz、2kHz付近を大胆にブーストします。これにより、ギターの美味しい帯域が強調され、ソロを弾いた際に音が細くならず、歌うようなトーンになります。逆に超低域や超高域は適度にカットすることで、タイトなリフワークを可能にしていました。
【ミックスとダブリング】
レコーディングにおけるランディの最大の特徴は、徹底したダブリングです。彼はバッキングだけでなく、複雑なソロフレーズまでも完璧に2回(時には3回)弾き直し、左右に振り分けていました。これにより、音の厚みが数倍に増し、コーラスエフェクトとは異なる「生々しい広がり」が生まれます。ライブでこれを再現する場合、彼はステレオコーラスを極めて薄くかけ、左右のアンプから出力することで、疑似的な厚みを作っていました。
また、彼のワウペダルの使い方も独特です。全開で踏み込むのではなく、半止め(ハーフワウ)の状態にして特定の周波数を強調したまま固定し、ソロのトーンに表情をつける技法も多用していました。このように、ランディのサウンドは単一の機材だけでなく、緻密なEQ調整とプレイスタイルが統合されて完成されていたと想定されます。
⑥ 比較的安価に音を近づける機材【Ozzy Osbourne・Randy Rhoads】
ランディの「ホワイト・マーシャル」や「カスタムV」を揃えるのは非常に高価ですが、現代の機材を使えば比較的安価にあのサウンドに近づくことが可能です。重要なのは「Marshall系の歪み」と「MXR系のブースト」をいかに安く、効果的に組み合わせるかです。
【おすすめの組み合わせ】
1. **歪みペダル**: 迷わずMXR M104 Distortion + を選びましょう。これは現行品も安価で、ランディの音の「粒立ち」を再現する唯一無二のペダルです。もし予算を抑えたい場合は、BOSSのDS-1などでも代用可能ですが、Distortion + 特有のヴィンテージ感のある歪みが最も近道です。
2. **アンプシミュレーター/マルチ**: 最近のマルチエフェクター(BOSS GT-1やZOOM G3nなど)には、Marshall 1959のモデルが必ず入っています。これに10バンドEQのパッチを組み合わせるだけで、かなり肉薄したサウンドが作れます。特にBOSS GT-1は、中音域の密度を細かく調整できるため、ランディ風の音作りには最適です。
| 種類 | 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ディストーション | M104 Distortion + | MXR | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 本人が使用していたモデルそのもの。1万円台で購入可能で再現性最高。 |
| ギター用マルチエフェクター | GT-1 | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | Marshallアンプモデルと詳細なEQ、コーラスを網羅。これ一台で完結可能。 |
| イコライザー | GE-7 Graphic Equalizer | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 7バンドだが、中音域のブーストには十分。手軽にリードトーンを作れる。 |
これらの機材を使い、歪みをMXRで作って中音域をEQで持ち上げるという「ランディの流儀」を守れば、手持ちの小型アンプでも十分にあの雰囲気を楽しめると想定されます。
⑦ 総括まとめ【Ozzy Osbourne・Randy Rhoads】
ランディ・ローズの音作りの本質とは、単なる「激しい歪み」ではなく、クラシックギタリストとしてのアイデンティティに基づいた「緻密な構成美」にあります。彼のサウンドが今なお愛され、多くのギタリストの目標となっているのは、それが非常に音楽的であり、楽曲の中で明確な役割を果たしているからです。
再現するために最も必要な視点は、ギター、アンプ、エフェクターの3つをバラバラに考えるのではなく、一つの「楽器」として統合することです。特に中音域の扱いにおいて、彼は他の誰よりも繊細でした。「中音域を制する者がランディ・サウンドを制する」と言っても過言ではありません。
また、機材と同じくらい重要なのが、彼の丁寧なピッキングと正確な左手の運指です。歪んでいても濁らない、あのクリスタルなサウンドは、彼の技術があってこそ成立していました。機材を揃えた後は、ぜひ彼のダブリングを意識した正確なプレイにも注目してみてください。そうすることで、伝説の「ブリザード・サウンド」の真髄に触れることができるはずです。
彼が遺した楽曲を弾くことは、ロックギターの歴史を学ぶことでもあります。この記事で紹介したセッティングを入り口に、あなた自身の「ランディ・ローズ愛」を形にしてみてください。彼のスピリットは、今もあなたのギターの中に生き続けていると想定されます。

