始めに
L’Arc〜en〜Cielのギタリスト、ken(ケン)氏は、情感豊かなリードプレイと、繊細かつ大胆な音作りで知られる存在です。
バンドのサウンドに多彩な色彩を加えるそのトーンは、単なるロックギターの枠にとどまらず、メロウでファジーな質感から、煌びやかなクリーンまで幅広く対応します。
実際の機材使用例も多く公開されており、こだわり抜かれた構成によって彼独自の“浮遊感と説得力を兼ね備えた音像”が作られています。
今回は、そんなken氏の音作りに迫り、使用ギター・アンプ・エフェクターから具体的なセッティング、再現可能な代替機材まで徹底的に解説していきます。
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使用アンプ一覧と特徴【L’Arc〜en〜Ciel・ken】
ken氏がライブ・レコーディング問わず長年使用しているアンプとして代表的なのが「Marshall JCM2000 DSL100」と「MATCHLESS DC-30」です。
JCM2000は骨太な歪みとダイナミックな中域が特徴で、ken氏特有のメロディアスなフレーズを力強く支えます。クランチからミディアムゲインでの使用が多く、ピッキングニュアンスの表現にも優れています。
一方、DC-30はクリーン/クランチの透明感ある中高域を生かし、モジュレーション系との相性も抜群。特にアルペジオや空間系サウンドの楽曲で活用されることが多いです。
これらのアンプは、楽曲によって切り替えられるA/Bシステムで運用され、必要に応じてブースターやEQによる補正を加えることで、セットリスト全体に渡る幅広いトーンをコントロールしています。
使用ギターの種類と特徴【L’Arc〜en〜Ciel・ken】
ken氏はESPと長年にわたってシグネチャーモデルを共同開発しており、ライブでも主に「KEN Signature Model(Snapperタイプ)」を使用しています。
SSH配列のピックアップ、ウィルキンソントレモロ、ミディアムスケールなど、ストラトキャスターライクながらも現代的なトーンバランスを持った仕様で、クリーン・クランチ・リードのすべてに対応する万能型ギターです。
また、サブギターとしてはGibson ES-335や、レスポール系を使用している場面も確認されており、曲調によって多彩なトーンバリエーションを実現しています。
全体的には太く甘いミッドレンジを重視したギター選びがされており、空間系との調和が非常に美しくまとまるよう設計されています。
使用エフェクターとボード構成【L’Arc〜en〜Ciel・ken】
ken氏のボードは時期によって変遷がありますが、共通して「空間系とモジュレーションを駆使する設計」がなされています。
代表的なエフェクターには「BOSS CE-1」(ビンテージコーラス)、「Line 6 DL4」(ディレイ/ルーパー)、「BOSS SD-1」(オーバードライブ)、「MXR Phase 90」(フェイザー)などがあります。
近年では「Strymon BigSky(リバーブ)」や「Eventide H9」なども導入されており、楽曲ごとの演出を精密に切り替えるセットアップが構築されています。
また、音質劣化を防ぐためにFree The Toneのバッファーやパワーサプライ、Providenceのスイッチャーも使用されており、プロフェッショナルならではの整然とした信号管理が徹底されています。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
CE-1 | BOSS | Amazonで探す | L’Arc〜en〜Ciel | ken | コーラス | ビンテージ・名機。空間揺らぎ担当。 |
DL4 | Line 6 | Amazonで探す | L’Arc〜en〜Ciel | ken | ディレイ | ライブでの空間制御に使用。 |
BigSky | Strymon | Amazonで探す | L’Arc〜en〜Ciel | ken | リバーブ | 広がりのある残響。バラード系に活躍。 |
SD-1 | BOSS | Amazonで探す | L’Arc〜en〜Ciel | ken | オーバードライブ | ミッドの粘りとブースト感。 |
Phase 90 | MXR | Amazonで探す | L’Arc〜en〜Ciel | ken | フェイザー | 揺らぎと空間感の追加に使用。 |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【L’Arc〜en〜Ciel・ken】
ken氏の音作りの要は、「空間性」「旋律の滑らかさ」「中域の粘り」です。
アンプのEQは全体的にMIDを中心に構成され、TREBLEをやや控えめに、BASSはタイトに設定されることが多く、モジュレーション系エフェクトとの相性を優先した設計となっています。
特にMarshall JCM2000でのリードトーンにおいては、ゲインは5〜6程度に抑え、SD-1などで軽く押すことで飽和を避けつつ、ピッキングへの追従性を高めています。
MATCHLESS DC-30のクリーンセッティングでは、空間系の厚みをしっかりと受け止められるよう、プレゼンスを抑えつつBASSを下げ、中〜高域でブライトさを演出。
このセッティングは、アルペジオやバラード曲での浮遊感を作るうえで非常に重要なポイントとなっています。
ミックス面では、ken氏のギターはL/Rに振られてダブリングされることが多く、片側に空間系を多めに、もう片方はタイトなクランチを重ねて音像の広がりを演出します。
また、リードソロはセンター付近に配置され、空間エフェクトのリバーブ/ディレイは中音域に収めることで、hydeのボーカルとの干渉を最小限に抑える巧妙なミックスバランスが構築されています。
比較的安価に音を近づける機材【L’Arc〜en〜Ciel・ken】
ken氏のような立体感のあるリードや、美しいクリーントーンを再現するには高価な機材が必要…と感じがちですが、市販されている中価格帯の製品でも近いニュアンスを得ることは可能です。
歪み系では「BOSS SD-1」や「JHS 3 Series Overdrive」、空間系には「NUX Atlantic」や「ZOOM MS-70CDR」などが有効です。
また、ギターはSSH構成の「YAMAHA Pacifica」シリーズなどが非常に優秀で、ピックアップ構成・操作性ともに近いレンジを狙えます。
重要なのは、モジュレーション/空間系の重ねすぎを避け、音の「抜け」と「揺らぎ」のバランスを意識することです。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
オーバードライブ | SD-1 Super OverDrive | BOSS | Amazonで探す | L’Arc〜en〜Ciel | ken | 実機使用確認済。中域重視のサウンド。 |
オーバードライブ | 3 Series Overdrive | JHS | Amazonで探す | L’Arc〜en〜Ciel | ken | 柔らかめのゲイン感でニュアンス再現に好適。 |
空間系マルチ | MS-70CDR | ZOOM | Amazonで探す | L’Arc〜en〜Ciel | ken | コーラス・リバーブ・ディレイを一台で再現。 |
リバーブ/ディレイ | Atlantic | NUX | Amazonで探す | L’Arc〜en〜Ciel | ken | 高品位な残響を手頃な価格で再現。 |
エレキギター | Pacifica 612V | YAMAHA | Amazonで探す | L’Arc〜en〜Ciel | ken | SSH構成・中域に張りあり。ESPの代替候補。 |
総括まとめ【L’Arc〜en〜Ciel・ken】

ken氏の音作りは、単なる歪みやエフェクトの足し算ではなく、「楽曲に色を加える一筆」のような繊細なバランス感覚に支えられています。
使用機材はプロフェッショナルでありながら、決して過度に複雑ではなく、各音色の「役割」と「空気感」を的確に使い分ける設計が特徴的です。
ギターはSSH構成のESP製シグネチャー、アンプはMarshallとMATCHLESSのA/B運用、空間系はStrymonやLine 6などの高品質モデルが中心となっており、ジャンルを問わず「美しい音色」を届けるセッティングが完成しています。
再現を目指すうえでは、まずクリーンとクランチの使い分け、空間系の丁寧な重ね方を意識し、そこに自分のピッキングや表現力を乗せていくアプローチが効果的です。
この記事が、ken氏のような豊かな表現力を持ったサウンドメイキングの参考になれば幸いです。
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