始めに(特徴紹介)
DIR EN GREYの創設メンバーであり、作曲面でもバンドを牽引してきたギタリスト・薫。彼のプレイスタイルは、ディストーションの深さと空間系エフェクトの多用による重厚かつ幻想的なサウンドが特徴です。特に7弦ギターを駆使した低音リフと、不協和音・微細なノイズを取り入れた実験的な音作りは、日本のラウド/エクスペリメンタルシーンにおいて極めてユニークな存在です。
代表的な楽曲としては、「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」「DOZING GREEN」「VINUSHKA」「DIFFERENT SENSE」「詩踏み」などが挙げられ、どの曲でも薫のサウンドは明確な個性を放っています。ライブでは一人で10本近くのギターを使い分けるほど、チューニングや音色にこだわる姿勢が徹底されており、ESPとの長年にわたるシグネチャーモデル開発はその証左といえるでしょう。
また、ディーゼル(Diezel)やVHTなどハイエンドなアンプ、さらにはオリジナル設計の歪みペダル「weed UGEEE」など、多彩な機材を駆使しながらも、楽曲ごとに最適なサウンドを設計するアーティスト気質が光ります。近年はFractal Audio SystemsのAxe-Fx IIも導入し、アナログとデジタルの融合によって表現の幅をさらに拡張しています。
DIR EN GREYの音楽は、メタル・インダストリアル・アンビエント・ノイズといった複数ジャンルを融合させたもの。その中で薫のギターは、感情の揺れや痛みを直接的にリスナーへ伝えるための「表現装置」として機能しており、エフェクト処理や空間演出の巧みさは唯一無二です。
本記事では、そんな薫のギターサウンドを可能な限り再現するために、実使用機材の一覧と解説を踏まえつつ、初心者向けの代替機材も紹介しながら、多面的にその音作りを紐解いていきます。
使用アンプ一覧と特徴【DIR EN GREY・薫】
薫のギターサウンドを語るうえで、使用アンプの遍歴は非常に重要な要素です。DIR EN GREY初期から最新のライブに至るまで、彼は常に「音の立ち上がり」「質感」「空間との相性」を追求し、時代や楽曲に応じてアンプ構成を変えてきました。
インディーズ時代には、Hiwattのヘッド&キャビネットを用いたクリーン主体のトーンが印象的でした。続く『GAUZE』『MACABRE』期では、Bogner FishやFender Tonemaster、PEAVY 5150など、よりエッジの効いた音作りを志向し始めます。特にBogner Ecstasy 101Bは、彼の歪みと空間処理の土台を支える機材として知られています。
その後の『鬼葬』『VULGAR』『Withering to death.』期には、Diezel VH4の導入が大きな転換点となりました。これは「立ち上がりが早く、音の芯がブレない」という理由で選ばれ、以来長年にわたり彼のメインアンプとして愛用されています。ロー〜ミッドの重厚な歪みに加え、複雑なリズムフレーズでも音が埋もれない明瞭さを持つため、DIR EN GREYのようなジャンル混成型サウンドには理想的な選択といえるでしょう。
また、VHT Pittbull Ultra LeadやBogner Ecstasy 101BはDiezelとの組み合わせで使用されることも多く、パワーアンプ部分にはVHT 2902、スピーカーはVHT L612-P50EやOrange PPC412、Bogner 412SLなど高級キャビネットを用いる徹底ぶり。特にライブでは、VHTとOrangeを使い分けており、フィードバック用に足元にOrange Micro Terror+PPC108を配置するなど、空間演出も緻密に計算されています。
2020年代にはFractal Audio Systems / Axe-Fx IIを導入し、レコーディングや一部ライブではデジタルプロセッサーとのハイブリッド運用を行っています。これにより、複雑な音色の切り替えや精密なエフェクトルーティングが実現され、DIR EN GREYの深層的な音楽性を支える要素となっています。
このように、薫のアンプ選びは「単なる音量装置」ではなく、「演奏そのものを作り出す装置」として機能しており、その選定思想こそがDIR EN GREYの音世界の要であるといえます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
VH4 | Diezel | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | 2002年以降メイン。立ち上がり重視の高解像度アンプ。 |
PITTBULL Ultra Lead | VHT | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | ライブ・レコーディングでDiezelと併用。 |
Ecstasy 101B | Bogner | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | 中期レコーディング用。分離感と歪みの太さに定評。 |
Tonemaster | Fender | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | 『MACABRE』『鬼葬』期クリーントーンの要。 |
Fish | Bogner | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | 初期ロットを所有。高域の暴れが個性。 |
Micro Terror | Orange | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | フィードバック用に足元で使用。 |
Axe-Fx II | Fractal Audio Systems | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | 2014年以降、デジタル制御に活用。 |
使用ギターの種類と特徴【DIR EN GREY・薫】

薫のギターセレクションは、DIR EN GREYの音楽性の変化とともに進化し続けています。彼の音作りを支えるギターたちは、単なる楽器ではなく、表現手段として機能する“語るギター”たちです。中でも、ESPと共同開発されたシグネチャーライン「D-KV」「Ganesa」「VP-SL7」は彼の代名詞とも言える存在です。
「D-KV」シリーズは、Viperをベースとした独特のシェイプに、重厚かつ明瞭なサウンドを実現するためのピエゾシステム、パッシブ/アクティブPUの使い分けが特徴です。中でも「D-KV-7st [Nothing] (Black w/White Graphic)」は、2017年からのメイン機で、Bare Knuckle製Brute Force PUを搭載。7弦A&Dチューニングでの使用が多く、ライブでは頻繁に目にする機体です。
「Ganesa」シリーズは、より芸術性が際立つシリーズで、薫の個性が強く反映されています。特に初代のGanesa Iは武道館公演で使用され、その後鉄板リメイクされた個体は彼の実験性を象徴する一本。また、「GANESA “ASAKURA” SPECIAL(通称:骨ガネーシャ)」はClip「embryo」で使用された特注機で、ビジュアル/サウンド両面においてインパクト大です。
近年では、「VP-SL7」などの7弦モスグリーン系統、「Blue Sparkle」や「Skullペイント」など視覚的にも鮮烈な機体がメインに。ライブではチューニングごとに数十本のギターを使い分け、Drop A、Drop C#、半音下げなど、曲ごとの対応が見られます。
またESP以外にも、Dragonfly、Gibson、Fender、PRSなど幅広いブランドを録音や特殊用途に使用。特にFender Jaguar(3-Color Sunburst)は「ain’t afraid to die」などで使用され、downy青木裕氏から譲り受けたStratocaster(Vintage Blonde)は「Followers」で登場。こうした人との縁を感じるギターの選定も彼らしいポイントです。
総じて、薫のギター群は単なるブランドの羅列ではなく、それぞれの音と背景にストーリーが宿っています。それぞれの楽曲・時期に応じて「選ばれた理由」がある、極めて音楽的な機材選択だと言えるでしょう。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
D-KV-7st [Nothing] (Black w/White Graphic) | ESP | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | 7弦シグネチャー | 2017年〜ライブメイン。Bare Knuckle製PU搭載。 |
Ganesa I (改) | ESP | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | 6弦オリジナル | 98年武道館初登場。鉄板補強の改造あり。 |
GANESA “ASAKURA” SPECIAL | ESP | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | 6弦特注 | 「embryo」MVで登場。骨モチーフのビジュアル。 |
VP-SL7 (Harf Mat Moss Green) | ESP | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | 7弦 | ライブでのDrop A使用。カラーリングも特徴的。 |
Stratocaster (Vintage Blonde) | Fender | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | 6弦 | downy青木裕氏から譲り受けた個体。 |
Les Paul CUSTOM | Gibson | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | 6弦 | 『MACABRE』期のレコーディング使用。 |
使用エフェクターとボード構成【DIR EN GREY・薫】
薫のエフェクターボードは、その多彩な音楽性を支える「もう一つの楽器」とも言えます。彼は歪み系、フィルター、モジュレーション、ピッチシフト系に至るまで幅広くエフェクターを使いこなし、各時期・楽曲ごとにその構成を柔軟に変化させています。足元のペダルとラック型ユニットを併用した大型システムは、彼の複雑な音響設計を実現するための必須環境です。
歪みに関しては、自身のシグネチャーペダルである「weed UGEEE」が代表的で、ライブ・レコーディングを問わず使用。加えて、SHARK WARZY DRIVEやRoger Mayer / Voodoo-1、MI AUDIO MEGALITH DELTA v2なども用いており、いずれも分離感とパワーを両立させたトーンが特徴です。DUM SPIRO SPERO期にはAMT Electronics E1が長く使われていたことも確認されています。
ワウ・フィルター系では、Jim Dunlop / Cry Babyラックモジュール(DCR-1SR)を中心に、Electro-Harmonix Q-Tron、Mooger Fooger Lowpass Filter、Boot-leg Deep Boxなどを駆使し、「アクロの丘」や「脈」など印象的なイントロに独特の揺らぎを加えています。Mooger Fooger Ring Modulatorも使用しており、まさに“ノイズを操る”ギタリストといえるでしょう。
モジュレーションはRoger Mayer / Voodoo-Vibe(ビブラート・トレモロ・フェイザー統合機)が軸で、Boot-leg SpiralやMXR Phase100なども加わり、音に奥行きを加えます。ディレイではアナログ派のElectro-Harmonix Deluxe Memory Man、デジタルのBOSS DD-20やTC Electronic 2290など、空間系も多層的な構成が特徴です。
特殊系ではDigitech WHAMMY(WH-1, WH-5)によるピッチシフトや、Eventide H3000、Fractal Axe-Fx IIでの空間設計まで幅広く対応。Free The Toneのスイッチャー「ARC-3」やジャンクションボックス「JB-82C」も導入されており、極めて精緻なルーティング管理がなされています。
これらのエフェクターを時代やコンセプトごとに切り替えながらも、薫の音には常に「芯」があり、ノイズやフィードバックすら音楽として機能させる圧倒的な表現力があります。エフェクター選びの背景には「曲の表情をコントロールする」という明確な目的があり、その思想は音作りにも明確に反映されています。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
weed UGEEE | weed | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | ディストーション | シグネチャーペダル。メインの歪み。 |
SHARK WARZY DRIVE | SHARK | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | ディストーション | 現在も使用。太く粘る音が特徴。 |
Voodoo-Vibe | Roger Mayer | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | モジュレーション系 | トレモロ・フェイザー・ビブラートを統合。 |
DD-20 Giga Delay | BOSS | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | ディレイ | 長尺ディレイとして導入。中後期に活躍。 |
Cry Baby Rack Module (DCR-1SR) | Jim Dunlop | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | ワウペダル | ラック式ワウ。ライブでも頻出。 |
Fractal Audio Axe-Fx II | Fractal Audio Systems | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | ギター用マルチエフェクター | 2014年以降のライブ・録音に使用。 |
Q-Tron | Electro-Harmonix | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | オートワウ・エンベロープフィルター | 「脈」などで使用。音の揺らぎを演出。 |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【DIR EN GREY・薫】

薫の音作りは、ただの機材選びにとどまりません。1本のギターに複数のピックアップ出力、ピエゾシステム、エフェクターの組み合わせ、さらにはミックスやPAの処理まで見据えた非常に繊細なサウンド設計が特徴です。ギター単体のトーンだけでなく、「バンド全体の中でどう聴こえるか」を第一に考えられた設計思想は、DIR EN GREYの深く重層的な音像を生み出しています。
まずEQ設定について。薫の使用するDiezel VH4は、非常にクリアでスピード感のある出音が魅力ですが、彼はそのアンプの特性を活かしながら、低域を出しすぎずタイトに締めるセッティングを心がけているようです。具体的には、ベースを11〜12時、ミドルを1〜2時、トレブルを11時付近に設定し、CH3/CH4を使い分けてハイゲインながらも濁らないトーンを作り出しています。ミッドはやや上げめにすることで、PAミックス時にバンドアンサンブルの中で埋もれない輪郭を保っています。
また、ピエゾ出力を活用してクリーン用アンプ(例:Fender Tonemaster)へ分岐するようなルーティングも組まれており、「undecided」や「VINUSHKA」のような透明感のあるパートでは、通常のPU出力とは異なる高域の抜けが感じられます。これらの分離ルーティングはFree The Tone ARC-3やFractal Audio Axe-Fx II内で制御され、セットリスト単位でプリセット管理されている可能性が高いです。
ライブでのエンジニア処理も見逃せません。例えば、「詩踏み」や「DOZING GREEN」などでは、コンプを強めにかけた中域重視のバランスが作られ、空間系はプリフェーダーで濃いめに残響を加えたミックスが特徴的です。また、WHAMMYなどのピッチ系はセンター定位を避け、L/Rに揺らぎを与えることで立体感を演出しています。
歪みペダル側の設定も繊細で、weed UGEEEはゲインをフルにはせず、アンプの歪みにプッシュを加える用途で使用。このためブースター的な役割も担っており、単体での強烈な歪みよりも、バランスを意識したサウンド設計となっています。さらに、EQペダルやラインセレクターによるA/B出力の活用も一部ライブでは確認されており、1曲中に複数音色を織り交ぜる複雑な構成を実現しています。
空間系では、Electro-Harmonix Deluxe Memory Manの温かい残響と、TC Electronic 2290の超高解像度ディレイを状況に応じて使い分けており、これが薫の「消え方の美しい音」に直結しています。ボリュームペダルを駆使したサステインや、Mooger Foogerのリングモジュレーターなども組み合わせることで、まるで効果音のような表現も可能にしています。
総じて、薫のEQ設計・ミックス上の工夫は、「バンド内で主張しすぎず、しかし確実に存在感を残す」ことに主眼が置かれており、ソロでもリードでもバッキングでも、楽曲の中で意味を持つトーン作りがなされています。PAエンジニアとの連携やデジタル機材との融合も巧みに取り入れ、再現には一定の技術と理解が求められる構造です。
とはいえ、すべてが明文化された情報ではなく、設定内容はライブやレコーディング環境により変化している可能性が高く、詳細な数値は非公開のため、あくまで公開情報や音源からの解析に基づくものであると、想定されます。
比較的安価に音を近づける機材【DIR EN GREY・薫】
DIR EN GREYの薫のサウンドは、非常に多層的で表現力豊かなものですが、初心者や中級者の方がそれを完全に再現するのは容易ではありません。とはいえ、特徴的な音の傾向を捉えることで、手頃な価格帯の機材でも“薫っぽさ”に近づけることは可能です。
まず歪み系では、彼の代名詞とも言える「weed UGEEE」や「SHARK WARZY DRIVE」に代わる市販品として、BOSS DS-1X や Electro-Harmonix Metal Muff をおすすめします。どちらも中域に厚みがあり、モダンなディストーションを手軽に再現できます。特にDS-1Xは、ロー〜ミドルの張り出しが薫のライブトーンに似ており、リード時にも埋もれません。
また、空間系では NUX Atlantic が非常に高コスパです。ディレイとリバーブを一体化し、アナログライクなフィーリングと高い操作性を実現。薫の音作りで重要な“消え方の美しい音”に近い残響が得られます。
ピッチ系では Digitech WHAMMY Ricochet が好相性です。WHAMMYのフルサイズに比べて安価かつコンパクトで、ライブでの一時的なピッチシフトや効果音的な操作に向いています。
ワウ・フィルター系としては Moore Envelope や Electro-Harmonix Q-Tron Mini が候補になります。薫が得意とする「脈」「an injection」などのフィルターフレーズにおいて、スイープ感と倍音の揺らぎを手頃に得られます。
アンプに関しては、Boss Katana Artist MkII や Line 6 Catalyst 100 といったモデルが柔軟な音作りに対応し、薫が使用してきたDiezelやVHTの高解像度なレスポンスの“雰囲気”に近づけることができます。中域を意識したEQ操作を心がければ、バンドアンサンブルでも十分な存在感を発揮できます。
ギターについては、7弦が理想ですが、予算の都合がある場合は Ibanez RG7421 や Schecter Omen 7 などのエントリーモデルでも対応可能です。チューニングの柔軟性、ミッドの強さ、パッシブPUとの組み合わせで、DIR EN GREYらしいローエンドを演出可能です。
最後にスイッチャー系。Free The Tone ARCシリーズのような多機能は難しくても、One Control Iguana Tail Loop などを使えば簡易的なループ管理が可能です。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
ディストーション | DS-1X | BOSS | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | 中域の立ち上がりが似ている。 |
ディレイ+リバーブ | Atlantic | NUX | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | 空間の広がりが美しい。高コスパ。 |
ピッチシフター | WHAMMY Ricochet | Digitech | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | 小型でも薫のWHAMMY使いを再現可。 |
オートワウ | Q-Tron Mini | Electro-Harmonix | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | 揺れ系表現に対応。 |
アンプ | Katana Artist MkII | BOSS | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | Diezelのようなクリアさと太さの雰囲気。 |
7弦ギター | RG7421 | Ibanez | Amazon検索 | DIR EN GREY | 薫 | エントリーモデルでも十分。7弦必須。 |
総括まとめ【DIR EN GREY・薫】

DIR EN GREYのギタリスト・薫のサウンドは、ただ重いだけでも、ただ歪んでいるだけでもありません。その核心には、徹底した構築主義と表現への執念があります。音が持つ“輪郭”や“質感”を、ギター・エフェクター・アンプ・EQ・PA処理といったあらゆる段階で制御し、バンドサウンドの中に唯一無二の“声”として存在させる。これこそが、薫の音作りの本質です。
使用機材はESPとの共同開発による特注ギターから始まり、Diezel VH4などの高級アンプ、独自の歪みペダル、さらにはFractal Axe-Fx IIのようなデジタルシステムに至るまで、実に多彩。それらは一見すると複雑ですが、根底には「楽曲の世界観を支える音であること」という一貫した哲学が通っています。
とりわけ特徴的なのは、ノイズやフィードバックすら楽曲の一部として取り込むその姿勢。Jim Dunlopのラックワウ、Mooger Foogerのリングモジュレーター、Electro-Harmonixのフィルター類など、一般的には“飛び道具”とされる機材も、薫にとっては旋律の一部です。
また、ライブとレコーディングでの音作りが明確に分かれている点も彼のプロフェッショナリズムを示しています。ライブではアンサンブルの中での視認性・存在感を意識し、ハイミッド寄りのEQ調整を施し、レコーディングでは楽曲に合わせてアンプやギターを変更する柔軟性があります。
薫の音作りを模倣するには、まず「目的意識」が不可欠です。「この曲で何を伝えたいのか」「どういう質感が必要か」といった問いを常に持つことで、単なる機材の模倣から“音楽としての再現”へと一歩踏み出せます。そうして初めて、彼のような“構築された混沌”を自らの手で再現できるようになるでしょう。
機材を真似ることはあくまで入口に過ぎません。薫のような音を作りたいのであれば、音を「組み上げる」意識を持ち、ギターを“演奏する装置”から“音響を作る装置”として再定義する必要があります。そこにこそ、DIR EN GREY・薫の音作りの核心があるのです。
下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
ギター
薫氏は主にESP製のシグネチャーモデルを使用しており、その変遷も興味深い。
- ESP D-KV系統 (メイン)
- 2005年頃から使用しているメインギター群。「D」はDIR EN GREY、「K」はKaoru、「V」はViperの頭文字とされる。
- 初期の5本のみブリッジがトレモロ仕様で、その後は共通してT-O-Mタイプを搭載。
- 共通仕様:マホガニーバック、アッシュトップ、メイプルネック、ローズウッド指板(6弦はセットネック、7弦はボルトオン)。
- D-KV PROTO-TYPE (Brown in White): 05年「TOUR05 It withers and withers」から使用。
- D-KV PROTO-TYPE (Black in White): 05年「TOUR05 It withers and withers」から使用。
- D-KV (Black in White): 05年「TOUR05 It withers and withers」から使用。唯一アクティブPU搭載。
- D-KV (Red in White): 05年「TOUR05 It withers and withers」から使用。
- D-KV (Black in White) ※トレモロ仕様: ESPギャラリー等未掲載。Flicker IIIブリッジ、Seymour DuncanパッシブPU、ピエゾ出力可能。
- D-KV (Black in White) ※T-O-M仕様: 2006年製。ピエゾ搭載で「VINUSHKA」「我、闇とて…」などで使用。
- D-KV (Custom Paint): 黒に金の斑模様のペイント(彫結氏による)。ピエゾ搭載。「undecided」や最近の古い曲で使用。
- D-KV (Black w/Gray Skull): ドクロ柄の初のKV。ドロップC#のメイン。
- D-KV (Black w/Silver Sparkle Skull): スケールがエクストラロング(666mm)に。「激しさ~」「残」の特殊チューニング用からドロップD/1音下げ用へ。
- D-KV (Blue Sparkle w/Black Skull): ドロップC#のメインとしてライブで最も登場機会が多い。
- D-KV-7st (Black w/Purple Sparkle Skull): 7弦KV。2011年『Wacken Open Air』から使用。ドロップA&Dのメイン、後に半音下げのメイン。
- D-KV-7st (Black w/Purple Sparkle Skull) ※サブ: 上記のサブ機。PUがESP製薫オリジナルに交換。
- D-KV-7st (Black w/Gold Sparkle Skull): 7弦KVの2号機。初期は半音下げのメイン。ピエゾ搭載。
- D-KV-7st (Purple Sparkle w/Black Skull): 7弦KVの3号機。ドロップA&Dのメイン、後に半音下げのメイン。
- D-KV-7st [Nothing] (Black w/White Graphic): 2017年9月23日初登場。7弦A&Dのメインでライブで最も目にする機会が多い。薫本人が描いたイラストをプリント。PUはBare Knuckle製BootCamp Brute Forceに交換。
- ESP VP(Viper)系統:
- VP-200 (Yellow→Black→Custom Paint): 元は黄色、薫氏自身で黒にリフィニッシュ、後に枝柄のペイントを追加。
- VP-200 (Black): 市販モデル。
- VP-CTM (See Thru Pink): カスタムメイドの6弦VP。
- VP-SL7 (Harf Mat Moss Green): モスグリーンの7弦ギター。
- VP-SL7 (Black w/ Purple Skull): 黒に紫ドクロの7弦VP。
- VP-SL7 (Harf Mat Moss Green w/White Skull): モスグリーンに白ドクロの7弦VP。
- ESP Ganesa系統:
- タツノオトシゴのような渦巻きが特徴の薫氏初のオリジナルギター。98年武道館で初登場後、05年頃までメイン。
- Ganesa I (改) (See Thru Purple→Rust): 98年武道館でデビュー。破損後、鉄板を張り付けた見た目にリメイク。
- Ganesa II (Black): 市販ESP版Ganesaの元。
- Ganesa III (See Thru Pink): サスティナー搭載時期あり。ドロップC#のメイン。
- Ganesa IV (Black): ボディ材がアルダーに変更。
- Ganesa V (Black):
- Ganesa VI (Purple):
- Ganesa VII-I (Black) ※パッシブPU: 2本存在する7弦ガネーシャの片方。
- Ganesa VII-II (Black) ※アクティブPU: 7弦ガネーシャのもう片方。
- Ganesa VIII (Black Blue Skull): ボディ材がマホガニーに変更。
- Ganesa IX (Black Blue Skull→Pink Sparkle): VIIIの兄弟機。後にピンクラメにリフィニッシュ。
- GANESA “ASAKURA” SPECIAL (Silver) ※骨ガネーシャ: 「embryo」Clipで使用。ESP朝倉氏によるカスタム。
- EDWARDS / E-K-43GA (Black) ※アンプ/スピーカー内蔵ミニガネーシャ:
- その他ESP製:
- HORIZON-SUGIZO-CUSTOM (Black): La:sadie’s時代からDir en grey初期にメイン。
- HORIZON-CTM (See Thru Blue): 初期メイン。
- HORIZON-CTM (See Thru Brown): 98年頃メイン。
- HORIZON-CTM (See Thru Purple):
- HORIZON -7- CUSTOM (Black) ※レンタル: 『MACABRE』レコーディング時に使用した7弦。
- MA-300 (Black) ※レスポールシェイプ: サスティナー付き。「mazohyst of decadence」レコーディングなどで使用。
- THROBBER-STD 薫CUSTOM (Black): 市販THROBBERをテレキャス仕様に改造。
- LTD / SC-608B: DeftonesのStephen Carpenterモデルの8弦ギター。「ワルシャワの幻想」などで使用。
- ESP以外:
- Dragonfly / CG-7 27.5 薫CUSTOM (7弦×2): レコーディングでdieと共用。アクティブ/パッシブ仕様違いあり。
- Dragonfly / 26INCHI Model ※6弦: レコーディングでメインで使用。
- Dragonfly / 型番不明 ※マットブラック6弦:
- Gibson / Les Paul CUSTOM (Black): 『MACABRE』レコーディング時点で使用。
- Gibson / Les Paul (Gold) ※レンタル: 『GAUZE』レコーディングで使用。
- Gibson / Les Paul Standard (Cherry Sunburst) ※レンタル: 『GAUZE』~『MACABRE』レコーディングでメイン。
- Gibson / FLYING V MEDALLION: ヴィンテージフライングV。「JESSICA」「蒼天の霹靂」などで使用。
- Fender / JAGUAR (3-Color Sunburst): 62年製。「ain’t afraid to die」などで使用。
- Fender / JAGUAR (Surf Green(?)) ※レンタル: 67年製。『GAUZE』レコーディングで使用。
- Fender / Stratocaster (Vintage Blonde(?)): downyの故・青木裕氏から譲り受けたギター。「Followers」等で使用。
- Fender / Coronado I (Lake Placid Blue) ※レンタル: 『PHARALIS』レコーディングで使用。
- PRS / Custom24 (See Thru Purple / See Thru Black): 「孤独に死す、故に孤独。」用として2本を使い分け。
- FERNANDES / MG-70X (Black): hideモデルのモッキンバードタイプ。
- B.C.Rich / MG-035 (White) ※レンタル: ミニモッキンバード。「mazohyst of decadence」再録版で使用。
アンプ
- 初期 (インディーズ初期): Hiwatt ヘッド (機種不明)、Hiwatt キャビネット (機種不明)
- TOUR Deep [sink] ~ Final More Deep [sympathy]:
- Custom Audio Electronics(Amplifiers) / 3+SE
- VHT / 2902 (パワーアンプ)
- Marshall / JCM-900 1960A (x2)
- GAUZE rec / PSYCHONNECT:
- Bogner / Fish (初期ロットの水色、銀色の復刻版ではない)
- Custom Audio Electronics(Amplifiers) / 3+SE
- Fender / Tonemaster
- Digitech / GSP-2101 (マルチエフェクター/プリアンプとしても使用)
- Marshall / 不明(4×12) キャビネット
- MACABRE rec:
- Fender / Tonemaster
- Bogner / Extacy 101B
- PEAVY / 5150
- Bogner / 412SL キャビネット
- 鬼葬 rec:
- Fender / Tonemaster
- Bogner / Extacy 101B
- PEAVY / 5150
- Marshall (機種詳細不明)
- VOX (機種詳細不明)
- 列島激震行脚 2002 MASTER OF MONSTER(?) 以降 (現在までメイン):
- Diezel / VH-4: 「Child prey」「six Ugly」レコーディング時に導入され、以降2022年までメイン。立ち上がりの早さを選考基準としている。
- Bogner / 412SL (キャビネット):
- TOUR04 KEEN UNDER THE SUN:
- VHT / PITTBULL Ultra Lead
- Diezel / VH-4
- VHT / L612-P50E (x2) キャビネット (6発入り)
- Marshall (機種不明/4×12) キャビネット
- TOUR05 It withers and withers:
- VHT / PITTBULL Ultra Lead
- Diezel / VH-4
- VHT / L612-P50E (x2) キャビネット
- GENZ-BENZ / G-Flex212 (キャビネット) (2発入り。Diezel用。)
- 凌辱の雨 rec:
- Diezel / VH4
- Fender / TwinReverb (間奏のクリーンフレーズで使用)
- VHT / L612-P50E (キャビネット) (後にスピーカーをCELESTION製”Vintage30″に交換)
- TOUR06 INWARD SCREAM / THE MARROW OF A BONE rec / TOUR08 DEATH OVER BLIDNESS / UROBOROS rec / 激しさと、~ rec / THE UNWAVERING FACT OF TOMORROW TOUR2010-2011 / DUM SPIRO SPERO rec / TOUR2011 AGE QUOD AGIS / TOUR2012 IN SITU / TOUR13 TABULA RASA / ARCHE rec / TOUR14-15 BY THE GRACE OF THE GOD / TOUR16-17 FROM DPRESSION TO ________ [mode of VULGAR] / TOUR16-17 FROM DPRESSION TO ________ [mode of DUM SPIRO SPERO] / TOUR16-17 FROM DPRESSION TO ________ [mode of 鬼葬] / TOUR18 WEARING HUMAN SKIN / 疎外:
- Diezel / VH-4 (メイン、複数台使用時期あり)
- Orange / PPC412 (キャビネット): 海外ツアーなどで使用し、近年メインで使用。
- VHT / PITTBULL Ultra Lead (ローディーのモニター用として記載されている時期あり)
- Marshall (機種不明) キャビネット (ビンテージものらしい)
- Bogner (機種不明)
- ENGL (機種不明)
- Diezel / V412F (キャビネット)
- Orange / Micro Terror (アンプヘッド、フィードバック用として足元に設置時期あり)
エフェクター
非常に多岐にわたり、時期によって変化が著しい。ラックシステムと足元のコンパクトペダルを併用。
- 歪み:
- SHARK WARZY DRIVE: (現在も使用)
- EMMA PisdiYAUwot: 「LOTUS」レコーディングのみ使用。
- AMT Electronics E1: DUM SPIRO SPERO recから導入され、weed UGEEE登場までメインで使用。
- Z-Vex / Fuzz Factory (Hand Painted/赤・汚歪工場): 発信系ファズ。「an injection」などで使用。
- Roger Mayer / Voodoo-1: ディストーション。『鬼葬』ツアーでも使用。
- Klon / Centaur (Gold, Short tail): 高価なオーバードライブ。「MACABRE rec」時期に使用。
- weed UGEEE: 薫氏のシグネチャーモデルのディストーション。
- MI AUDIO / MEGALITH DELTA v2: 『ARCHE』 rec、詩踏み recで使用。
- G-LIFE GUITARS(Ovaltone) / Gemini Booster: 「TOUR16-17 FROM DPRESSION TO ________ [mode of VULGAR]」以降。
- weed / prototype #2, #4, #4(2nd version):
- ワウ/フィルター:
- VOX / Wah (型番不明): 「アクロの丘」イントロや「脈」のギタソロなどで使用。
- Mooger Fooger / Lowpass Filter (MF-101): フィルター。「mazohyst~」イントロや「MASK」などで使用。
- Boot-leg / Deep Box (DBX-1.0): フィルター系。ワウの半止めを再現。「MACABRE-揚羽ノ~」Aメロなどで使用。
- Boot-leg / Cool-Man II (COM-2.0): フィルター系。
- Jim Dunlop / DCR-1SR Cry Baby Rack Module: ワウのラックシステム。
- Electro-Harmonix / Q-Tron: オートワウ。
- Electro-Harmonix / Frequency Analyzer (EH-5000): リングモジュレーター。
- モジュレーション:
- Roger Mayer / Voodoo-Vibe: トレモロ、ビブラート、フェイザーを統合。「ザクロ」「太陽の碧」「children」などで使用。
- Boot-leg / Spiral (SPL-1.0): フェイザー。「an injection」などで使用。
- MXR / Flanger (M117): フランジャー。「an injection」などで使用。
- MXR / Phase100 (M107): フェイザー。
- ディレイ:
- Electro-Harmonix / Delux Memory Man (ビンテージ): アナログディレイ。
- BOSS / DD-20 Giga Delay:
- TC Electronic / 2290: デジタルディレイ。
- その他:
- Digitech / WHAMMY (WH-1, WH-5): ピッチシフター。各時期で使用。
- BOSS / FV-300L / FV-200: ボリュームペダル。
- CAE / RS-10: ループスイッチャー。
- FURMAN / PL-PLUS J / PL-8: パワーコンディショナー。
- KORG / DTR-1 / DTR-2000: ラックチューナー。
- Ex-Pro / PRO-10B: ワイヤレスシステム。
- Roland / GP-100: マルチエフェクター。
- Digitech / GSP-2101: マルチエフェクター/プリアンプ。
- Eventide / H3000-D/SE: ハーモナイザー/エフェクトプロセッサー。
- CAE / 4×4: ループスイッチャー。
- CAE / Dual / Stereo Line Mixer:
- Ibanez / TubeScreamer (TS-9): オーバードライブ。「raison detre」で使用。
- Mooger Fooger / Ring Modulator (MF-102): リングモジュレーター。
- Boot-leg / Cool-Man II (COM-2.0):
- BOSS / LS-2 Line Selector: ラインセレクター。
- Seymour Duncan / Pickup Booster (SFX-01): ピックアップブースター。
- BOSS / RV-5 Digital Reverb: デジタルリバーブ。
- Free The Tone / ARC-3: プログラマブルスイッチャー。
- Free The Tone / JB-82C: ジャンクションボックス。
- Free The Tone / インプットセレクター (カスタム品):
- Fractal Audio Systems / Axe-Fx II: ギタープロセッサー。2014年頃から導入。
- CUSTOM AUDIO JAPAN / Multiple Line Selector Box (MLS-2):
- BOSS / AD-5 Acoustic Instrument Processor: アコースティック楽器用プロセッサー。
- LINE6 / POD X3 LIVE: マルチエフェクター。
- LINE6 / ECHO PRO:
- Lehle / Mono Volume 90: ボリュームペダル。
- Orange / PPC-108: 足元に置かれたミニキャビネット(フィードバック用)。
- Free The Tone / PA-1QG:
- Audio Technica / ATW-R3210: ワイヤレスシステム。
- empress / echo system:
アコースティック・その他
- JELLY JONES / BABY SITAR: エレキシタール。「mazohyst~」「Berry」「embryo」などで使用。
- Star’s / ELS-1 (Red Crack) ※レンタル: 『UROBOROS』レコーディングで使用したエレキシタール。
- MORRIS / RUMBLER MR1001:
- MORRIS / MG CUSTOM: 「undecided」「悲劇~」で使用。
- MORRIS / MF CUSTOM:
- MORRIS / S-SERIES PROTO-TYPE (★★★★★): 「蟲-mushi-」ライブ用に用意されたうちの1本。
- MORRIS / S-SERIES PROTO-TYPE:
- MOIRRIS / G51:
- Taylor / 512ce ※レンタル: 「疎外」「DOZING GREEN (Acoustic Ver.)」で使用。
- Takamine / 型番不明(Dreadnought Series) ※レンタル: 『DUM SPIRO SPERO』レコーディング映像で確認。
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