① 始めに(特徴紹介)
Stone Gossard(ストーン・ゴッサード)はPearl Jamのリズムギタリストとして、90年代グランジを代表する”太く、荒く、それでいて歌を邪魔しない”サウンドを確立した人物です。Neil YoungやThe Who、Hendrix的な60〜70年代ロックの影響を強く感じさせつつ、過度なハイゲインに寄らないミッド重視の音像が特徴です。
代表曲「Alive」「Even Flow」「Jeremy」「Daughter」などでは、コード感を明確に保ったままアンプをドライブさせることで、バンド全体の土台を支える役割を果たしています。派手なリードはMike McCreadyが担い、Stoneは”音圧・質感・グルーヴ”を作る職人という立ち位置です。
初期はGibson Les Paulによる分厚いハムバッカーサウンドが中心でしたが、2000年代以降はFender系を多用し、よりレンジの広いクリーン〜クランチへと進化しています。この変化こそが、Pearl Jamが長く第一線で活動できている理由の一つとも言えます。
② 使用アンプ一覧と特徴【Pearl Jam・Stone Gossard】
Stone Gossardのアンプ哲学は非常に一貫しており、「低出力アンプをフルアップさせて真空管をドライブさせる」ことが核になっています。歪みペダルで音を作るのではなく、アンプそのものを楽器として鳴らす発想です。
代表的なのがMatchless HC-30。Vox AC30系統の回路をより太く、荒々しくしたようなサウンドで、クリーンでもすでに粘りがあります。ライブではこのアンプをメインに、Marshall JCM800 2203をブレンドすることで、中低域の押し出しを補強しているとされます。
Fender Twin Reverb(Blackface)や50s Deluxe系は、クリーン専用、もしくは軽いクランチ用途として使用。特にスタジオではTwinの広いヘッドルームを活かし、ペダルやマイクプリで歪みを作るケースも確認されています。
Vox AC30やAC30HW2Xは、Matchlessと近いキャラクターを持ちつつ、よりブリティッシュなジャングリーさを追加する役割です。Savage BlitzやTrentino Ampsといったカスタム・ブティックアンプは、近年のツアーでの音圧・安定性確保が目的と考えられます。
複数アンプをWhirlwind A/Bで切り替え、もしくは同時鳴らしする構成が基本で、これはライブ会場規模に応じた音作りへの対応策でもあります。これらの情報を総合すると、Stoneのアンプ選びは一貫して「弾いた強さがそのまま歪みに変わる」方向性だと想定されます。
③ 使用ギターの種類と特徴【Pearl Jam・Stone Gossard】

Stone Gossardのギター遍歴は、そのままPearl Jamの音楽性の変遷を映しています。90年代初頭のグランジ期は、明確にGibson Les Paulがメインで、分厚く粘るミッドレンジを武器にしていました。特に1959年製 Les Paul Standard(Cherry Sunburst)は初期の象徴的存在で、「Alive」「Even Flow」などで聴ける重心の低いコードサウンドは、このギター由来と語られることが多いです。
Goldtop系も複数所有しており、1953年・1954年・1972年製と年代違いを使い分けています。P-90由来の荒さとレンジ感は、初期Pearl Jamのラフな質感と非常に相性が良く、スタジオでは曲調に応じて持ち替えていたと考えられます。
2000年代以降はFenderへのシフトが顕著で、1954年製Telecasterや1959年製Stratocasterを多用。これはEddie Vedderの歌のレンジ拡張や、バンド全体のアンサンブル重視への変化と連動しています。特にTelecasterは、ミッドが整理され、アンプドライブ時もコード感が潰れにくいため、リズムギターとして理想的です。
近年ではLes Paul Signature(Goldtop / Semi-Hollow)が2022年ツアーでのメインとして確認されており、軽量かつ空気感のある鳴りが、長時間ライブでの安定性と音抜けを両立しています。ES-330やES-335などのセミアコは、クリーン〜クランチ楽曲での立体感付与が目的と見られます。
これらの情報から、Stoneのギター選びは「時代」「楽曲」「歌との関係性」を最優先した実用主義であり、単なるヴィンテージ趣味ではないと想定されます。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | ギターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Les Paul Standard 1959 | Gibson | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | レスポール | 初期メイン |
| Telecaster 1954 | Fender | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | テレキャスター | 2000年代以降メイン |
④ 使用エフェクターとボード構成【Pearl Jam・Stone Gossard】

Stone Gossardのエフェクター構成は、90年代以降ほとんど一貫しています。それは「アンプで歪ませ、ペダルはあくまで補助」という思想です。いわゆるラック機材や複雑なプログラマブルシステムを好まず、視認性と即応性を重視したコンパクトエフェクター中心のボードを長年使用しています。
歪みの中核はIbanez TS9 / TS-9 Tube Screamer。これは単体で強く歪ませる目的ではなく、MatchlessやMarshallの入力段を軽くプッシュし、ミッドを持ち上げる役割です。SD-9 Sonic DistortionやBoss FZ-2 Hyper Fuzzは、より荒れた質感が必要な楽曲用で、90年代グランジらしいザラつきを加えるために使用されてきました。
Klon CentaurやFulltone Full-Drive 2 Mosfetは、2000年代以降のライブで確認されるブースト〜オーバードライブ枠です。特にKlonはクリーン寄りの設定で常時ONに近い使い方をされることが多く、音量感を上げずに存在感だけを前に出す用途と考えられます。
モジュレーション系ではMXR Phase 90が代表的で、「Alive」などで聴ける緩やかな揺れはこのペダル由来とされています。フランジャー系ではMXR M117RやIbanez FL-305が使われ、楽曲ごとに深さを調整。RotosphereやDejaVibeは、70年代ロック的な質感を再現するための色付けとして限定的に使用されます。
ディレイはBoss DD-3/DD-5やLine 6 DL4など、デジタルで明瞭なものを選択。アンビエント用途ではなく、リフの隙間を埋める短いディレイが中心です。全体を通してStoneのボードは「音を足す」というより「アンプの鳴りをコントロールする」思想に基づいていると想定されます。
| 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | エフェクターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| TS-9 Tube Screamer | Ibanez | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | オーバードライブ | メインブースト |
| Phase 90 | MXR | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | フェイザー | 代表的モジュレーション |
| DD-3 | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | ディレイ | ショートディレイ用 |
⑤ 音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【Pearl Jam・Stone Gossard】
Stone Gossardの音作りを再現する上で最も重要なのは、機材そのものよりも「鳴らし方」と「帯域の考え方」です。彼のサウンドは単体で聴くと決して派手ではありませんが、バンドアンサンブルに入った瞬間に”ちょうどいい密度”で前に出てきます。これはEQとミックスを逆算したセッティングによるものです。
アンプEQの基本的な方向性は、Bassを控えめ、Middleをしっかり、Trebleは出しすぎない設定です。Matchless HC-30やVox AC30系の場合、Bass 3〜4、Middle 6〜7、Treble 4〜5程度が基準とされ、Presenceは会場に応じて微調整します。Marshall JCM800では、Bass 3、Middle 7、Treble 5前後が目安です。
重要なのは「低音をアンプで出しすぎない」ことです。低域はベースとキックに任せ、ギターは200Hz〜1.5kHzあたりの”身体に当たる帯域”を中心に構築します。これにより、PAで大音量になった際も音像が崩れません。
オーバードライブの設定はゲイン最小〜中程度、レベル高めが基本です。TS-9であればDrive 9時、Level 2時、Tone 11時前後が一例です。これは歪みを足すのではなく、アンプの入力段を軽く押し込むための設定です。
曲ごとの使い分けとして、「Alive」ではほぼアンプ歪みのみ、「Daughter」ではクリーン+軽いコンプ、「Jeremy」ではフェイザーやディレイを薄く足すなど、楽曲の感情曲線に合わせた最小限の変化が行われています。
ミックス面では、Stoneのギターは左右に軽く広げられ、Mike McCreadyのリードと明確に住み分けされています。コンプレッションは強くかけず、ピッキングの強弱を残すことで、ライブ感を保っています。これらを総合すると、Stone Gossardの音作りは「削ることで成立する設計思想」だと想定されます。
⑥ 比較的安価に音を近づける機材【Pearl Jam・Stone Gossard】
Stone Gossardのサウンドは、超高額なヴィンテージ機材を前提にしなくても、考え方さえ押さえればかなりの精度で再現できます。重要なのは「ミッド重視」「アンプライクな歪み」「弾き方で歪み量が変わる設計」です。ここでは1万円〜5万円台(上限10万円)で入手しやすく、再現性が高い機材を中心に紹介します。
アンプ系では、BOSS KatanaシリーズやFender Tone Master系が有力です。特にKatanaはミッドの押し出しが作りやすく、クリーン〜クランチの質感をアンプ側で完結させやすい点がStone的です。Tone Master Deluxe ReverbはTwin系の広いヘッドルームを疑似的に再現でき、ペダル前提の構成に向いています。
歪みペダルは、BOSS SD-1やIbanez TS Miniが非常に有効です。どちらもミッドが自然に持ち上がり、アンプを押す用途に最適です。ここで重要なのは「歪ませすぎない」こと。Driveは控えめ、Level高めという設定思想を守るだけで、一気にStone寄りになります。
モジュレーションではMXR Phase 90の現行モデル、もしくはBOSS PH-3で十分対応可能です。深くかけず、揺れを”感じるか感じないか”程度に抑えるのがコツです。ディレイはBOSS DD-8やTC Electronic Flashbackなど、デジタルで輪郭のはっきりしたものが適しています。
マルチエフェクターであれば、Line 6 HX StompやBOSS GX-100が現実的です。アンプモデルはAC30系やJTM系を選び、IRやCabシムでローを削り、ミッドを残す設定にすると、バンド内での立ち位置が近づきます。
| 種類 | 機材名 | メーカー | Amazon | 楽天 | Yahoo! | メルカリ | 石橋楽器 | サウンドハウス | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| オーバードライブ | SD-1 Super OverDrive | BOSS | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | TS系の代替。ミッドの押し出しが近い |
| ギター用マルチエフェクター | HX Stomp | Line 6 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | 検索 | AC30/JTM系モデルで再現しやすい |
⑦ 総括まとめ【Pearl Jam・Stone Gossard】

Stone Gossardの音作りの本質は、「主張しすぎないことで最大限に機能するギターサウンド」にあります。単体で聴くと地味でも、バンドに入った瞬間に重心となり、曲全体を前に進める。その設計思想こそが、30年以上第一線で通用し続けている理由です。
彼の機材選びは一貫して実用主義です。ヴィンテージであること自体が目的ではなく、「今の曲・今の歌に最適かどうか」が判断基準になっています。Les PaulからFenderへ移行した流れも、その象徴と言えるでしょう。
再現のために必要なのは、高価なアンプやギターではありません。ミッドを意識し、歪ませすぎず、弾き方で表情を作ること。アンプやペダルはその補助でしかありません。この視点を持つだけで、どんな環境でもStone Gossard的なサウンドに近づくことができます。
Pearl Jamの音が今なお古くならない理由は、こうした「引き算の美学」にあります。派手さよりも機能性、自己主張よりもバンド全体。その思想を理解することが、最大の近道だと想定されます。

