ロカビリーからジャズまで幅広いジャンルで愛され続けるグレッチ(Gretsch)ギター。その独特なサウンドとヴィンテージ感あふれるルックスで、多くのプロミュージシャンを魅了してきました。本記事では、グレッチギターの歴史から特徴、おすすめモデルまで、音楽機材ライターが徹底解説します。
グレッチ(Gretsch)の歴史
グレッチは1883年にドイツ系移民のフレデリック・グレッチがアメリカのニューヨーク州ブルックリンで設立した楽器メーカーです。創業当初はドラムやタンバリン、バンジョー、マンドリンなどの製造から始まりました。
創業から発展期まで
創業者のフレデリック・グレッチはわずか39歳でこの世を去り、その後息子のフレッド・グレッチが事業を継承しました。1933年にアコースティックギターの製造を開始し、1950年代からエレキギターの製造をスタートさせ、楽器メーカーとしての地位を確立していきます。
代表的なモデルの誕生
1950年代には後にグレッチの代名詞となる「6120 Nashville」や「Country Gentleman」などの名機が誕生しました。これらのモデルは独特なサウンドキャラクターとヴィンテージ感あふれるデザインで、多くのミュージシャンから愛用されることになります。
試練と復活
60年代後半から70年代までは買収や工場の火事などがあり苦しい経営が続きますが、80年代にブライアン・セッツァーの活躍と共に、再び注目を集めるようになります。2003年にフェンダーと提携関係の契約を締結し、現在に至っています。
グレッチ(Gretsch)の特徴・基本性能・サウンド傾向
音のキャラクター
グレッチギターの最大の特徴は、その独特なサウンドキャラクターにあります。ハムバッカーピックアップとは異なる「フィルタートロン」ピックアップにより、明るく抜けの良い高音域と、適度に抑えられた中低音域のバランスが絶妙です。ロカビリー、カントリー、ジャズなど幅広いジャンルに対応できる音色が魅力です。
ボディ形状とピックアップの特徴
- ホロウボディ構造:多くのモデルで採用される中空構造により、アコースティックな響きと軽量化を実現
- フィルタートロンピックアップ:グレッチ独自のピックアップで、クリアで抜けの良いサウンドが特徴
- ビグスビートレモロ:多くのモデルに装備される独特なトレモロシステム
- 装飾的なデザイン:ヴィンテージ感あふれる装飾やカラーリング
他ブランドとの違い
フェンダーやギブソンと比較すると、グレッチはより装飾的でヴィンテージ感を重視したデザインが特徴的です。サウンド面では、フェンダーのようなクリアさとギブソンのような太さの中間的な特性を持ち、独特な音色空間を作り出します。
グレッチ(Gretsch)の使用アーティスト
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 | 列 1 |
---|---|---|---|---|---|---|
Gretsch G6136DC White Falcon Double Cutaway | Gretsch | Amazon最安値 | SCANDAL | MAMI | ホロウボディ | 白色のダブルカッタウェイモデル。特定の楽曲での使用が確認されている。 |
G5135 Electromatic Corvette | Gretsch | Amazon最安値 | THE ORAL CIGARETTES | 山中拓也 | エレキギター | 〈使用確認なし〉サウンド的に「サーチライト」のようなヘビーかつ歯切れの良い曲に推奨される。 |
G6120 | Gretsch | Amazon最安値 | サンボマスター | 山口隆 | セミアコ | 温かく上品なトーンが特徴 |
Country Gentleman | Gretsch | Amazon最安値 | SUPER BEAVER | 柳沢亮太 | セミアコースティックギター | ホロウボディ特有の温かみのあるサウンドで楽曲に彩りを加える |
Electromatic | Gretsch | Amazon最安値 | Hump Back | 林萌々子 | セミアコ | ステージでの使用確認あり |
Silver Jet | GRETSCH | Amazon最安値 | THEE MICHELLE GUN ELEPHANT | アベフトシ | セミアコ | 「世界の終わり」MV、「cult grass stars」レコーディング使用 |
Duo Jet | Gretsch | Amazon最安値 | THE BIRTHDAY | フジイケンジ | エレキギター | 1956年製、「月光」「アンチェイン」で使用。ミックスポジション |
エレアコ(型番不明) | Gretsch | Amazon最安値 | Janne Da Arc | you | エレクトリックアコースティック | 「ANOTHER STORY」でFenderアンプと併用。 |
アコースティックギター(モデル名不明) | Gretsch | Amazon最安値 | 陰陽座 | 狩姦 | アコースティックギター | ライブでの使用確認あり。しっとりしたバラード用に使用。 |
6120SH | Gretsch | Amazon最安値 | DIR EN GREY | Die | セミアコ/6弦 | 「ザクロ」「24個シリンダー」などで短いフレーズに使用。 |
主要な使用アーティスト
- ブライアン・セッツァー:ストレイ・キャッツの創設者兼リーダーとして、18人編成のブライアンセッツァーオーケストラでも活動。グレッチ復活の立役者として知られる
- ジョージ・ハリスン:Country Gentleman(カントリージェントルマン)、Tennessee Rose(テネシーローズ)等を使用
- チェット・アトキンス:カントリーミュージック界の巨匠で、グレッチとのエンドースメント契約でも有名
- ニール・ショーン:ジャーニーのギタリストとして知られ、グレッチの愛用者
- マルコム・ヤング:AC/DCの元リズムギタリストとして、パワフルなロックサウンドでグレッチを使用
アーティスト × モデル対応表
アーティスト | 主要使用モデル | 特徴・エピソード |
---|---|---|
ブライアン・セッツァー | 6120 Nashville | オレンジカラーのシグネチャーモデルも発売 |
ジョージ・ハリスン | Country Gentleman | ビートルズ時代から使用 |
チェット・アトキンス | 6120, Country Gentleman | グレッチとの長年のパートナーシップ |
グレッチ(Gretsch)の関連ギターブランド
姉妹ブランド・廉価版
- Electromatic シリーズ:グレッチの廉価版ライン。本格的なグレッチサウンドを手頃な価格で提供
- Streamliner シリーズ:さらに手頃な価格帯でグレッチのルックスとサウンドを楽しめるエントリーモデル
ライバル・同ランクブランド
- Gibson ES シリーズ:ホロウボディギターの代表格
- Epiphone Casino:ビートルズも使用したホロウボディギター
- Rickenbacker:独特なサウンドキャラクターを持つアメリカンブランド
- D’Angelico:ヴィンテージ感のあるジャズギターブランド
グレッチ(Gretsch)ラインナップとおすすめモデル一覧
モデル名 | 特徴 | 価格帯 | 使用アーティスト |
---|---|---|---|
G6120 Nashville | グレッチの代表モデル。ビグスビー付き | 30-50万円 | ブライアン・セッツァー |
G6122 Country Gentleman | ジョージ・ハリスンで有名なモデル | 35-55万円 | ジョージ・ハリスン |
G5422TG Electromatic | 廉価版だが本格的なグレッチサウンド | 8-15万円 | – |
G2420 Streamliner | エントリーモデル、コストパフォーマンス抜群 | 4-8万円 | – |
グレッチ(Gretsch)を実際に使用した人の声【レビュー要約+評判口コミ】
ポジティブ意見
- 音質:「他のギターでは出せない独特な音色が魅力。特にクリーンサウンドの美しさは格別」
- デザイン:「ヴィンテージ感あふれる外観が所有欲を満たしてくれる。ステージ映えも抜群」
- 使いやすさ:「ホロウボディなのに軽量で長時間の演奏でも疲れにくい」
- 多様性:「ロカビリーからジャズまで幅広いジャンルに対応できる」
ネガティブ意見
- 価格:「上位モデルは高価で手が出しにくい。初心者には敷居が高い」
- 調整の難しさ:「ビグスビートレモロの調整が難しい。弦交換も手間がかかる」
- ハウリング:「ホロウボディ特有のハウリングが発生しやすい環境がある」
- メンテナンス:「装飾パーツが多く、メンテナンスに気を使う必要がある」
総評コメント
グレッチギターは、その独特なサウンドキャラクターと美しい外観で多くのギタリストを魅了し続けています。価格面やメンテナンス面でのハードルはあるものの、他では代替できない個性的な楽器として高く評価されています。特にElectromaticシリーズの登場により、より多くの人がグレッチサウンドを体験できるようになった点は大きな進歩と言えるでしょう。
グレッチ(Gretsch)の新品・中古価格比較と最安値先
グレッチ(Gretsch)の類似・代替案おすすめギター紹介(比較付き)
同価格帯・特徴が近いギター
1. Epiphone Casino
- 価格帯:8-15万円(Electromatic相当)
- 特徴:ホロウボディ、P90ピックアップ
- 音色比較:グレッチより中音域が豊か、よりブルージーな音色
2. Rickenbacker 330
- 価格帯:25-35万円
- 特徴:セミアコースティック、独特なピックアップ配置
- 音色比較:よりジャングリーで攻撃的、60’sロック向き
3. D’Angelico Premier SS
- 価格帯:10-20万円
- 特徴:アールデコ調デザイン、ホロウボディ
- 音色比較:よりジャズ向き、上品で落ち着いたサウンド
比較ポイント
項目 | グレッチ | Epiphone Casino | Rickenbacker |
---|---|---|---|
音色特徴 | 明るく抜けが良い | 温かく中域豊か | ジャングリーで独特 |
デザイン | ヴィンテージ装飾的 | シンプル・クラシック | モダン・独創的 |
適用ジャンル | ロカビリー、カントリー | ブルース、ロック | 60’sロック、オルタナ |
グレッチ(Gretsch)まとめ・選び方ガイド
どんな人に向いているか
初心者向け
おすすめ:Streamliner シリーズ(G2420など)
- 手頃な価格でグレッチサウンドを体験可能
- 軽量で扱いやすい
- シンプルな構造でメンテナンスが比較的容易
中級者向け
おすすめ:Electromatic シリーズ(G5422TGなど)
- 本格的なグレッチサウンドとルックス
- 上位モデルに近い仕様
- コストパフォーマンスに優れる
プロ・上級者向け
おすすめ:Professional Collection(G6120、G6122など)
- 最高級の材料と製作技術
- レコーディングやライブでの使用に最適
- 長期間の使用に耐える耐久性
ジャンル別推奨
- ロカビリー・カントリー:G6120 Nashville(ビグスビー付き)
- ジャズ・ブルース:G6122 Country Gentleman
- オールラウンド:G5422TG Electromatic
- 初心者・趣味:G2420 Streamliner
購入前のチェックポイント
- 予算の設定:価格帯によって音質やルックスに大きな差があります
- 試奏の重要性:独特なネックシェイプやサウンドキャラクターを確認
- メンテナンス環境:ビグスビーやホロウボディ特有の注意点を理解
- 使用目的の明確化:ジャンルや演奏環境に適したモデル選択
📝 最終的な選び方のポイント
グレッチギターは、その独特なキャラクターから「好きか嫌いかがはっきり分かれる」楽器です。まずは楽器店で実際に触れてみて、そのサウンドとフィーリングが自分に合うかどうかを確認することが最も重要です。価格面では段階的に上位モデルを狙うのも良い戦略でしょう。
- 公式サイト:グレッチ 公式
- 販売サイト:
本記事はグレッチ(Gretsch)の公式情報および主要販売サイトを参考にしています。
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