始めに(特徴紹介)
ジョン・サイクス(John Sykes)は、Thin Lizzy、Whitesnake、そして自身のバンドBlue Murderで活躍した伝説的ギタリストです。彼のギタープレイは「攻撃的かつ美しいサスティーン」と「メロディアスなフレーズ」が特徴で、80年代のハードロック・ヘヴィメタル・ブルーズの要素を見事に融合させています。
特にWhitesnake『1987』アルバムで聴ける「Still of the Night」や「Is This Love」、Blue Murderの「Valley of the Kings」などは、厚みのあるリズムギターと艶やかなリードトーンが絶妙に絡み合い、ロック史に残る名演と評価されています。レスポールの力強いサウンドに加え、Mesa BoogieやMarshallアンプを駆使したセッティングが、彼独自のサウンドを確立しました。
また、速弾きやスウィープピッキングを多用する一方で、バラードではクリーントーンを美しく響かせるなど、幅広い表現力も魅力です。彼の音作りが注目され続ける理由は「シンプルな機材構成でも圧倒的な存在感を放つ」点にあります。
以下では、ジョン・サイクスがBlue Murder期を中心に使用していたアンプ、ギター、エフェクター、さらには具体的なEQセッティングまで徹底解説していきます。
使用アンプ一覧と特徴【Blue Murder・John Sykes】
ジョン・サイクスのサウンドを支えた大きな要素がアンプ選びです。彼は80年代から90年代にかけてMesa BoogieやMarshallを軸にしつつ、時期ごとに異なるシステムを導入してきました。特にWhitesnake『1987』アルバムではMesa Boogie ColiseumやMark IIIを駆使し、その分厚いリズムギターサウンドを構築しています。
Blue Murder期には、Mesa Boogie Mark IIC+やMark IIIを複数台用意し、リズム用とリード用で使い分けていたとされます。さらに、ラックシステムにはTri-AxisプリアンプやStrategy 500パワーアンプ、H&H V800などを組み込み、当時としては最先端のラックシステムを構築。これによりライブでもスタジオ並みの音作りを実現していました。
また、Marshall JCM 800(50W)はThin Lizzy時代から愛用し、Mesa Boogieと組み合わせてリードギター用に使用していたことも有名です。レコーディングではKeith Olsen所有のMarshall 100W(Kasha Quickmod改造)やRockmod Iを使用したとも語られており、『Whitesnake 1987』特有の煌びやかな歪みの秘密はこうした特注機材にあるとも言われています。
近年ではEVH 5150III StealthやEL34バージョンをメインに据え、EVH 4×12キャビネットと組み合わせている様子が確認されています。これは現代的なハイゲインサウンドを安定して得られる選択肢であり、往年のMesaサウンドに通じるパワフルさを持っています。
キャビネットに関しては、Mesa Boogie Recto 4×12やHalf Back 4×12を愛用しており、重量感とタイトさを両立したサウンドが特徴。これらを組み合わせることで、ソロ時には伸びやかに、バッキングでは分厚く押し出す音を実現していました。
まとめると、John Sykesのアンプセッティングは「Mesa Boogieのハイゲイン+Marshallの切れ味」という二本柱で構成され、その組み合わせが彼の独自サウンドを形成していると考えられます。ラックシステムや改造アンプを含めると非常に複雑ですが、根幹はシンプルなMesaとMarshallの使い分けにある、と想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
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Mesa Boogie Coliseum heads | Mesa Boogie | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | Whitesnake ’87やBlue Murder期に使用。Mark IIIプリアンプ搭載、6L6×6の180W仕様。 |
Marshall JCM 800 (50W head) | Marshall | Amazonで探す | Thin Lizzy / Blue Murder | John Sykes | Thin Lizzyやソロツアーでリード用として使用。Mesa Boogieと組み合わせるケースが多い。 |
Mesa Boogie Mark IIC+ / Mark III | Mesa Boogie | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | 複数台を所有し、リズム用・リード用に使い分け。EQ付きMark IIIも使用。 |
Mesa Boogie Dual Recto heads | Mesa Boogie | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | 後期Blue Murderのラックセットアップに導入。ハイゲイン3チャンネル仕様。 |
Mesa Boogie Tri-Axis Preamp | Mesa Boogie | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | 90年代ラックシステムで使用。デジタル制御とチューブ回路を組み合わせたプリアンプ。 |
Mesa Boogie Strategy 500 Power Amp | Mesa Boogie | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | 後期Blue Murder期にラックシステムのパワーアンプとして使用。 |
H&H V800 Power Amp | H&H | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | 後期Blue Murderのラックセットアップで使用。 |
EVH 5150III Stealth / EL34 amps | EVH | Amazonで探す | ソロ / Blue Murder | John Sykes | 近年のメインアンプ。EVH 4×12キャビネットと組み合わせて使用。 |
Keith Olsen Marshall 100W (Kasha Quickmod) | Marshall | Amazonで探す | Whitesnake | John Sykes | 『Whitesnake 1987』のレコーディングで使用。特有の歪みを生んだ要因とされる。 |
使用ギターの種類と特徴【Blue Murder・John Sykes】
ジョン・サイクスのサウンドの核心は、彼が愛用してきたギターにあります。もっとも有名なのは「黒のGibson Les Paul Custom(1978年製)」で、Thin Lizzy時代から現在に至るまでメインギターとして使用されています。このギターはクロームパーツに交換され、ミディアムジャンボフレットにリフレット済み、低めのアクション設定によって速弾きにも対応。さらにエボニー指板による高域のキレが彼の特徴的なトーンを支えています。
ピックアップはGibson “Dirty Fingers”をブリッジ側に搭載していた時期があり、1998年以降はDiMarzio製に交換されました。また、Gibson PAFリイシューも組み合わせ、力強いドライブサウンドを実現しています。チューナーはGrover製、ナットはブラスナットに交換するなど、細部にまでこだわりが見られます。
レコーディングでは、ヴィンテージの「1959 Les Paul Sunburst」が使用されたこともあります。特にソロアルバム『Loveland』ではこのギターの豊かなサウンドが活かされ、ツアーでは希少性のためほとんど登場しません。一方、クリーントーンが必要な曲では「1961 Fender Stratocaster」が登場し、「Is This Love」などのレコーディングでその透明感のある音色が聴けます。
さらに、Whitesnake『1987』アルバムの一部では「Charvel San Dimas Custom」を使用。トレモロ搭載のため、アーミングを駆使したフレーズで活躍しました。最近では「EVH Frankenstein」をお気に入りとして使用している様子も確認されており、時代に応じて愛用ギターが変化していることがわかります。
また、ジョー・サトリアーニから贈られた「Ibanez JS1200」や、公式シグネチャーモデル「Gibson John Sykes Les Paul Custom」も所有。特にシグネチャーモデルはサイクスの音を象徴する一本で、彼のファンや追従するギタリストにとって定番の選択肢となっています。
総じて、John Sykesのギター選びは「分厚いリズムと切れ味のあるリード」を両立するためにレスポールを中心に据えつつ、楽曲やシーンに応じてストラトやカスタムギターを使い分けるスタイル、と想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
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Gibson Les Paul Custom (1978年製 ブラック) | Gibson | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | エレキギター | メインギター。クロームパーツ、ブラスナット、Groverペグ、ミディアムジャンボフレット仕様。PAFやDirty Fingers搭載歴あり。 |
1959 Les Paul Sunburst | Gibson | Amazonで探す | ソロ / Blue Murder | John Sykes | エレキギター | ソロ作『Loveland』で使用。価値が高いためツアーでは未使用。 |
1961 Fender Stratocaster | Fender | Amazonで探す | Whitesnake | John Sykes | エレキギター | 「Is This Love」などのクリーン系レコーディングに使用。 |
Charvel San Dimas Custom | Charvel | Amazonで探す | Whitesnake | John Sykes | エレキギター | 1987年のアルバムでトレモロパートに使用。カスタムショップ製。 |
EVH Frankenstein | EVH | Amazonで探す | ソロ / Blue Murder | John Sykes | エレキギター | 近年お気に入りの一本として使用確認あり。 |
Ibanez JS1200 (Joe Satriani Model) | Ibanez | Amazonで探す | ソロ | John Sykes | エレキギター | ジョー・サトリアーニから贈られたギター。丸みを帯びたボディシェイプ。 |
Gibson John Sykes Les Paul Custom | Gibson | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | エレキギター | 公式シグネチャーモデル。高域の特徴を再現。 |
使用エフェクターとボード構成【Blue Murder・John Sykes】
ジョン・サイクスは、基本的にアンプの歪みを主体にしたシンプルな音作りを好むギタリストですが、細やかなニュアンスを加えるためにエフェクターも随所で活用しています。特にBlue Murder期にはラックシステムを導入し、スタジオ並みのクオリティをライブでも再現できるよう工夫していました。
代表的なエフェクターとして「Dunlop Crybaby(ラックマウント型 DCR-1SR)」があります。通常のワウペダルと異なりラックシステムに組み込めるタイプで、ステージ上ではフットコントローラーで操作可能。ブルージーなソロやグリス音を強調したい場面で頻繁に使われていました。
また、空間系エフェクトとして「Lexicon PCM 41」「PCM 70」をラックに導入。これらは当時の定番プロ仕様デジタルエフェクターで、リバーブやディレイ、モジュレーションを多彩に加えることができました。特にPCM 41のショートディレイ(40〜50ms)はリードトーンに奥行きを与えるために重要な役割を果たしています。
さらに、アナログコーラスの定番「BOSS CE-2」やシンプルな1ノブ仕様の「MXR Phase 90」も愛用。これらはラックシステム以前から使われており、温かみのある揺らぎやフェイザー特有の浮遊感を加えることで、サイクス特有の立体的なトーンを作り出しています。
加えて、必要に応じてリバーブやコーラスを強調し、ソロパートではPAN処理を行うことで左右に広がる立体的な音像を演出。シンプルな機材選びながら、ラックと組み合わせた複雑な音作りを実現していました。結果として、ジョン・サイクスのエフェクトシステムは「シンプルなアナログ+プロ仕様デジタルラック」というバランスに集約される、と想定されます。
機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
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Dunlop Crybaby DCR-1SR (ラックマウント型) | Dunlop | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | ワウペダル | 後期Blue Murderラックシステムで使用。ステージ上でフットコントローラーを接続。 |
Lexicon PCM 41 | Lexicon | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | ディレイ | ラックシステムで使用。ショートディレイ40〜50ms設定がリードトーンの奥行きを形成。 |
Lexicon PCM 70 | Lexicon | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | 空間系マルチエフェクター | ラックシステムにて使用。リバーブ、モジュレーションを追加可能。 |
BOSS CE-2 | BOSS | Amazonで探す | Blue Murder / Thin Lizzy | John Sykes | コーラス | 温かみのあるアナログコーラス。クリーントーンやアルペジオに使用。 |
MXR Phase 90 | MXR | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | フェイザー | ノブ1つで操作可能なシンプルフェイザー。ソロやリズムに立体感を付与。 |
ショートディレイ (40〜50ms設定) | (不明/推定) | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | ディレイ | 主にリードギターで残響感を補強するために使用。 |
リバーブ / コーラス | (不明/推定) | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | リバーブ/コーラス | 曲に応じて必要な分だけ追加。ラックに組み込まれていたと推測される。 |
PAN | (スタジオ処理) | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | 空間系マルチエフェクター | ギターソロを左右に広げるためにスタジオ処理またはラックで活用。 |
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【Blue Murder・John Sykes】
ジョン・サイクスの音作りは、一見シンプルに見えて実は非常に計算されています。基本は「Gibson Les Paul Custom」の強烈なハイゲインサウンドをMesa BoogieやMarshallアンプに直結し、そこから細かいEQ調整やラックエフェクトを加えることで独自の厚みを作り上げています。
まず、アンプ設定においてはMesa Boogie Mark IIC+ / Mark IIIでの使用が多く、ミッドをやや強調し、ローをタイトに抑える傾向があります。これにより、分厚いリズムギターでも混濁せず、ソロ時にはしっかりと前に出てくる音像を形成。EQ例としては、Bass 3〜4、Mid 6〜7、Treble 6〜7、Presence 5程度が基準とされ、状況に応じて微調整されていたと考えられます。
リードトーンにおいては、ショートディレイ(40〜50ms)を加えて音を太くし、Lexicon PCM 41で深みを持たせていました。これにより、単音の速弾きでも埋もれず、立体的に響く効果を得ています。特に「Valley of the Kings」などのBlue Murder楽曲では、ディレイによって音が広がりつつも輪郭はしっかり残る絶妙なセッティングが感じられます。
クリーントーンでは、Fender StratocasterとBOSS CE-2の組み合わせが重要です。コーラスを薄くかけることで透明感のあるクリーンサウンドを作り出し、「Is This Love」やバラード曲での情感豊かなトーンを演出しました。EQ的にはローを削り、ミドルを抑え気味、トレブルをやや上げる傾向で、コード感を際立たせています。
ミックス面では、リズムギターを左右にダブルトラッキングし、リードを中央に配置。そこにPANやコーラス処理を重ねることで、迫力のある立体的なギターサウンドを実現しています。特に『Whitesnake 1987』やBlue Murderのアルバムは、ギターが壁のように広がる一方で、サイクスのソロが真ん中で突き抜けるという特徴的なミックスバランスです。
ライブでは、EVH 5150III Stealthなどのモダンアンプを導入し、スタジオの音を再現しつつ安定感を重視。ここでも基本的な考え方は「分厚いリズムと抜けるリード」の両立であり、EQやエフェクトもその目的のために使い分けられていると言えます。
総じて、ジョン・サイクスの音作りは「ギター本来のハイエネルギーなトーンを基盤に、EQと空間系処理で完成度を高める」というアプローチに集約されると想定されます。彼の音は偶然ではなく、アンプ設定・EQ・ディレイの時間差に至るまで綿密に計算された結果として成立しているのです。
比較的安価に音を近づける機材【Blue Murder・John Sykes】
ジョン・サイクスの音作りは、ヴィンテージレスポールやMesa Boogieを駆使した高額な機材による部分が大きいですが、初心者や中級者でも比較的安価にそのサウンドへ近づける手段があります。ここでは市販の入手しやすい製品を中心に、再現性の高い代替機材を紹介します。
まずギターについては、オリジナルのGibson Les Paul Customは高額ですが、Epiphone製のLes Paul CustomやLes Paul Standardが現実的な選択肢です。特にエボニー指板モデルやハイゲイン向けのピックアップを搭載したモデルを選べば、サイクス特有のキレのあるサウンドに近づけます。また、ピックアップをDiMarzio Super DistortionやGibson Dirty Fingersに交換することで、より本格的なハイゲイントーンを得られるでしょう。
アンプに関しては、Mesa Boogie ColiseumやMark IIIは入手困難かつ高額なため、代替としてBOSSの「Katanaシリーズ」やMarshallの「DSLシリーズ」を活用するのがおすすめです。これらはモデリングやチューブ回路でハイゲインかつレスポールと相性の良いトーンを作りやすく、ライブや自宅練習の両方に対応できます。
エフェクターでは、MXR Phase 90やBOSS CE-2W(Waza Craft版)が特におすすめ。どちらも1万円台〜2万円程度で入手可能で、サイクスが愛用した揺らぎのニュアンスを忠実に再現できます。さらに、ショートディレイを再現するには「BOSS DD-8」や「MXR Carbon Copy」などが有効。特に40〜50ms程度の短いディレイを設定することで、リードトーンが厚くなり、サイクスらしい立体感を演出できます。
初心者や宅録向けには、Line 6 Helix StompやBOSS GT-1000 Coreといったマルチエフェクターも有効。Mesa BoogieやMarshallのモデリングを内蔵しているため、手軽にサイクス風のサウンドをシミュレートできます。また、マルチ内蔵のコーラスやフェイザー、ディレイを駆使すれば、彼のラックシステムを手軽に再現することも可能です。
最後に弦やピックも重要です。ジョン・サイクスはErnie Ball Regular Slinky (.010-.046)とDunlop 1.14mm Tortexピックを使用しており、これらは非常に安価かつ入手しやすいため、ぜひ導入しておきたいポイントです。
まとめると、「Epiphoneレスポール+BOSS Katanaアンプ+MXR Phase 90+BOSS DD-8」という構成だけでも、Blue Murder期のサイクスらしい厚みと煌びやかさを再現できる、と言えるでしょう。
種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
ギター | Epiphone Les Paul Custom | Epiphone | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | Gibson Les Paul Customの廉価版。エボニー指板モデルは特にサウンドが近い。 |
アンプ | BOSS Katana 100 MkII | BOSS | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | モデリングアンプでMesaやMarshall風トーンを再現可能。価格と性能のバランス良好。 |
アンプ | Marshall DSL20HR | Marshall | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | 小規模ライブにも使える20Wヘッド。ミドルの押し出し感がサイクス風リズムに適する。 |
エフェクター | MXR Phase 90 | MXR | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | 揺らぎ感を簡単に再現できる定番フェイザー。価格帯も手頃。 |
エフェクター | BOSS CE-2W (Waza Craft) | BOSS | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | サイクス使用のCE-2を再現。クリーントーンに適するコーラス。 |
エフェクター | BOSS DD-8 | BOSS | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | ショートディレイ設定でリードトーンを厚くできる。多機能でコスパ良し。 |
エフェクター | Line 6 HX Stomp | Line 6 | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | MesaやMarshallのモデリングを含み、ラック的な環境を安価に再現可能。 |
アクセサリー | Ernie Ball Regular Slinky (.010-.046) | Ernie Ball | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | サイクスが愛用した定番弦。レスポールの鳴りを引き出す。 |
アクセサリー | Dunlop Tortex 1.14mm | Dunlop | Amazonで探す | Blue Murder | John Sykes | サイクス愛用の厚手ピック。アタック感と正確なピッキングに貢献。 |
総括まとめ【Blue Murder・John Sykes】

ジョン・サイクスのサウンドを紐解いていくと、その本質は「シンプルな機材構成を極限まで使いこなし、徹底的に磨き上げたトーンコントロール」にあると言えます。彼は1978年製のレスポール・カスタムをメインに据え、Mesa BoogieやMarshallを通して作られる分厚いリズムと、ディレイやコーラスで彩られたリードを自在に操ってきました。
特に注目すべきは、ギター自体の個性を最大限に活かす姿勢です。ピックアップ交換やブラスナットへの変更、低めのアクション設定など、細部にまでこだわりながらも、根本は「レスポールから生まれる強烈なサスティーン」を前提に音作りが構築されています。そのうえでEQやショートディレイを駆使し、抜けるリードと壁のように広がるバッキングを両立させているのです。
また、彼の音作りを理解するうえで欠かせないのが「時代ごとの変化」です。Thin Lizzy期はMarshall JCM 800の切れ味を生かしたストレートなサウンド、Whitesnake期はMesa Boogie ColiseumやMark IIIによるモダンで分厚いトーン、Blue Murder期はラックシステムを導入した奥行きのあるサウンドと、それぞれで使い分けを行っています。近年はEVH 5150IIIを使用するなど、時代に応じて最新機材を導入しつつ、自分の核となるトーンを崩していません。
エフェクターに関しても、派手な多用はせず「必要な場面で必要な効果を出す」スタイルを貫いています。BOSS CE-2やMXR Phase 90といった定番アナログエフェクト、そしてプロ仕様のLexiconラック機材を併用することで、シンプルながら深みのある音像を形成しています。この組み合わせが、サイクス特有の立体感あるギターサウンドを支えているのです。
総じて言えるのは、「彼の音を真似るために同じ機材を揃える必要はない」ということです。むしろ重要なのは、ギターの持つキャラクターを理解し、EQと空間系を最小限に駆使してバランスを取るというアプローチ。これを意識すれば、EpiphoneのレスポールやBOSSのマルチエフェクターでも十分にサイクスらしいトーンを得ることができます。
ジョン・サイクスの音作りを学ぶことは、「機材の豪華さ」よりも「セッティングと弾き手のニュアンス」がいかに重要かを教えてくれます。最終的に彼の音は、長年のプレイスタイルと感性の積み重ねによって完成しているのです。読者の皆さんもぜひ、基本的なセッティングを押さえつつ、自分なりのニュアンスを加えて「自分だけのサイクス・トーン」を探してみてください。
下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
ギター
Gibson Les Paul Custom (1978年製ブラックなど)
備考: メインギター。Thin Lizzy時代にクロームパーツに変更。高域が特徴。フレットはミディアムジャンボに打ち直し。アクション低め、エボニー指板。シグネチャーモデルあり。
ピックアップ:
Gibson “Dirty Fingers” humbucker (ブリッジ) → 1998年以降 DiMarzio製に変更
Gibson PAF re-issue (ブリッジ)
その他: Grover tuners、Brass nut
1959 Les Paul Sunburst
備考: ソロアルバム「Loveland」レコーディングに使用。価値が高くツアーでは使用控え。
1961 Fender Stratocaster
備考: クリーン系サウンドのレコーディングに使用。「Is This Love」など。
Charvel San Dimas Custom
備考: 1987年Whitesnakeアルバムでトレモロ曲に使用。カスタムショップ製。
EVH Frankenstein
備考: 最近お気に入りとして使用。
Joe Satriani Model Ibanez (JS1200)
備考: サトリアーニから贈られたギター。丸い角のボディシェイプが特徴。
Gibson John Sykes Les Paul Custom
備考: ジョン・サイクス公式シグネチャー。高域が特徴。
アンプ
Mesa Boogie Coliseum heads
備考: Whitesnake ’87、Blue Murderで使用。Mark IIIプリアンプ、6L6×6、180W。
Marshall JCM 800 (50W head)
備考: Thin Lizzy、ソロツアーで使用。リード用に使用しMesa Boogieと使い分け。
Mesa Boogie Mark IIC+ / Mark III
備考: 複数台所有。バッキング用やEQ付きMark III使用。
Mesa Boogie Dual Recto heads (ラック型)
備考: 後期Blue Murderラックセットアップに使用。3チャンネルハイゲイン。
Mesa Boogie Tri-Axis Preamp
備考: 90年代ラックシステム。デジタル制御+チューブプリアンプ。
Mesa Boogie Strategy 500 Power Amp
備考: 後期Blue Murderラックセットアップ。
H&H V800 Power Amp
備考: 後期Blue Murderラックセットアップ。
EVH 5150III Stealth / EL34 amps
備考: メインアンプとして使用。EVH 4×12キャビネットと組み合わせ。
EVH 4×12 / Marshall 4×12 / Custom made 4×12 cabinets
Mesa Boogie metal grill “Half Back” 4×12 / Mesa Boogie 4×12 Recto cabinets
参考: Keith OlsenのMarshall 100W 2×12 (Kasha Quickmod)やRockmod I
備考: Whitesnake ’87制作時、レコーディングで使用されサウンドに影響。
エフェクター
Dunlop Crybaby (ラックマウント型 DCR-1SR)
備考: 後期Blue Murderラックセットアップで使用。
Lexicon PCM 41 / PCM 70 Digital Effects Processor
備考: ラックセットアップ使用。リバーブ、モジュレーションなどに使用。
BOSS CE-2
備考: アナログコーラス。温かみのあるマイルドなコーラスサウンド。
MXR Phase90
備考: ノブ1つのシンプルなフェイザー。
ショートディレイ (40~50ms)
備考: リードギターの余韻付けに使用。
リバーブ / コーラス
備考: 必要に応じて使用。
PAN
備考: ギターのグリスサウンドに使用。
アクセサリー
Ernie Ball Strings
「Regular Slinkys」または「Reinforced Plain Steel」 (.010〜.046)
Dunlop 1.14mm Tortex picks
備考: 厚さ1.14mmのピックを専ら使用。
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