始めに(特徴紹介)
スコット・イアン(Scott Ian)は、スラッシュメタルのビッグ4の一角であるAnthrax(アンスラックス)のリズムギタリストとして知られています。彼のプレイスタイルは、鋭いミュートリフと正確なダウンピッキングを武器にしたパワフルなリズムギターです。疾走感のある楽曲からグルーヴ重視のナンバーまで幅広く対応できるそのサウンドは、Anthraxの骨太な音像を支えてきました。
代表的な楽曲として「Caught in a Mosh」「Indians」「Madhouse」などがあり、いずれもタイトで鋭いリフが特徴です。80年代にはMarshall JCM800を駆使して硬質なメタルサウンドを作り上げ、2000年代以降はRandallやEVHのアンプを中心に、よりモダンで分厚い音圧を追求しています。ピックアップにはSeymour Duncan製(El DiabloやJB系)を搭載することが多く、攻撃的かつ芯のあるトーンが特徴的です。
スコット・イアンのサウンドが注目される理由は、派手なリードプレイではなく、バンド全体を支えるリズムギターに徹している点にあります。その結果、メタルの中でもグルーヴ感を大切にした独自のスタイルが確立され、後続のギタリストにも大きな影響を与えています。
彼の音作りを理解することで、単に機材を揃えるだけでなく、リフの切れ味やアンサンブルにおけるバランス感覚を学ぶことができます。以下では、実際に使用してきたアンプ、ギター、エフェクターを時代ごとに整理しながら、その特徴を詳しく解説していきます。
使用アンプ一覧と特徴【Anthrax・Scott Ian】
スコット・イアンのアンプ遍歴は、Anthraxのサウンドの変遷と密接に結びついています。1980年代は、当時のスラッシュメタル御用達であったMarshall JCM800をメインに使用していました。JCM800の荒々しくも輪郭のあるドライブサウンドは、『Spreading the Disease』(1985)や『Among the Living』(1987)といった代表作で確認できます。強烈なダウンピッキングとJCM800の組み合わせは、スラッシュメタル特有の切れ味を生み出しました。
1990年代後半から2000年代にかけてはRandall社のアンプへ移行し、シグネイチャーモデル「Randall Scott Ian Ultimate Nullifier Head」や「Randall RM100SI Scott Ian Head」を使用。これらはモジュール式のMTSシリーズを含み、スコット自身が設計段階から関わったことでも知られています。タイトなローエンドと厚みのあるディストーションが特徴で、Anthraxのよりモダンで攻撃的なサウンドにマッチしました。
2010年代以降は、EVH 5150 III(特にEL34仕様)を「ドリームアンプ」と呼び、メイン機材として使用しています。5150 IIIはハイゲインでありながら分離感が良く、Anthraxのリズムギターを重厚に支える音色を提供。スコットの言葉通り、ライブでもスタジオでも信頼できる存在になっています。また、Peavey 6505+やBogner Uberschallも使用歴があり、より分厚いメタルサウンドの実現に貢献しました。
近年はFryette PittbullやMarshall JMP-1(プリアンプ)+Marshall EL34 100/100(パワーアンプ)といったラックシステムも試されており、セットリストやツアーごとに機材を柔軟に切り替えていると考えられます。80年代はMarshall、2000年代以降はRandall、そして近年はEVHという流れで進化してきたのが彼のアンプ遍歴の特徴です。
このように、スコット・イアンは時代ごとに異なるアンプを選びながらも、一貫して「タイトで切れ味のあるリズムギター」を追求してきました。以下に、使用アンプの一覧を表にまとめます。
| 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| Marshall JCM800 Head | Marshall | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | 1980年代のメインアンプ。『Among the Living』期で使用。 |
| Randall Scott Ian Ultimate Nullifier Head | Randall | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | 本人シグネイチャー。モダンなリズムサウンドを構築。 |
| Randall RM100SI Scott Ian Head | Randall | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | MTSシリーズ対応ヘッド。多彩なモジュールで音作り。 |
| EVH 5150 III HD 100W/50W EL34 | EVH | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | 近年のメイン。本人が「ドリームアンプ」と称する。 |
| Peavey 6505+ 120W Head | Peavey | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | 一時期使用。分厚いメタルサウンドを提供。 |
| Bogner Uberschall Series 120W | Bogner | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | ハイゲインでモダンなメタルリフに適合。 |
| Fryette Pittbull Head | Fryette | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | 近年ツアーで使用例あり。タイトな低音。 |
| Marshall JMP-1 | Marshall | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | ラック型プリアンプ。Marshall EL34 100/100と併用。 |
| Marshall EL34 100/100 | Marshall | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | パワーアンプとして使用。100W×2のステレオ出力。 |
以上のように、スコット・イアンのアンプ遍歴はMarshallから始まり、Randallを経てEVHへと進化してきました。用途や時代に応じて機材を変えつつも、常に「タイトで切れ味のあるメタルリフ」を最優先にしたセッティングを貫いていると想定されます。
使用ギターの種類と特徴【Anthrax・Scott Ian】
スコット・イアンのギター遍歴は、スラッシュメタル黎明期から現在までのAnthraxサウンドを形作る大きな要素です。彼は派手なリードプレイよりも、リズムギターとしての存在感を重視し、タイトで鋭いリフを奏でるためのギターを選んできました。80年代から2000年代、さらに近年まで時代に応じてメインギターは変化してきましたが、その根底には「安定したプレイアビリティ」と「ハイゲインでも埋もれない中域のパンチ力」という共通点があります。
1980年代中期には、Jackson ’81 Randy Rhoads Concorde(白いカスタムショップ製)をメインに使用。『Spreading the Disease』『Among the Living』などの代表作で活躍し、Anthrax初期のスラッシュメタルサウンドを象徴する存在となりました。この時期はMarshallアンプとの組み合わせで、硬質かつ鋭いトーンが実現されています。
90年代以降は、Jacksonのソロイスト系モデルやKing Vを多用。特にJackson King Vは2000年代以降のシグネイチャーモデルとして定着し、現在でもライブの中心を担っています。King Vは大きなVシェイプボディとロングスケール構造により、低音域のタイトさとステージ映えを両立したギターで、スコットの「動きのあるパフォーマンス」とも相性抜群です。
また、Washburnとの関わりも深く、SIシリーズやWVシリーズなど多くのシグネイチャーモデルを展開しました。特にSlime Burstカラーの個体は印象的で、90年代後半〜2000年代初期にかけてのライブ映像でも確認できます。さらに、DeanのDimebag Darrell TributeやGibson Flying Vを使用した時期もあり、メタルギタリストらしい選択が目立ちます。
ピックアップは主にSeymour Duncan製(El DiabloやJB系)を搭載することが多く、メタルに必要な出力の高さと中域のパンチを確保しています。ステージごとにサブとしてソロイストやサンディマス系のモデルを持ち替えることもあり、柔軟なセッティングが特徴です。
このように、スコット・イアンのギター選びは時代やシグネイチャーモデルの展開に応じて進化してきましたが、一貫して「リズムのキレと重厚感」を追求してきたと想定されます。
| 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | ギターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Jackson Scott Ian Signature T1000 Soloist | Jackson | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | ソロイスト | 現行シグネイチャー。タイトなリフに最適。 |
| Jackson Scott Ian ATL Soloist | Jackson | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | ソロイスト | 限定モデル。USA製。 |
| Jackson JJ-1 Scott Ian Signature | Jackson | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | シグネイチャー | カスタムデザイン。限定流通。 |
| Jackson JJ-2 Scott Ian Signature | Jackson | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | シグネイチャー | JJ-1の後継機種。ライブで使用確認あり。 |
| Jackson King V | Jackson | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | Vシェイプ | 2000年代以降のメイン。シグネイチャーモデルも存在。 |
| Jackson ’81 Randy Rhoads Concorde | Jackson | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | Vシェイプ | 1980年代中期のメイン。白いカスタムモデル。 |
| Washburn SI60MW / SI75TI / WSI10B | Washburn | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | シグネイチャー | 90年代〜2000年代初頭に使用。 |
| Washburn Scott Ian Slime Burst | Washburn | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | シグネイチャー | 特徴的な塗装のシグネイチャーモデル。 |
| Dean Dimebag Darrell Tribute | Dean | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | MLシェイプ | 限定的に使用。Panteraへの敬意も込められている。 |
| Gibson Flying V | Gibson | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | Vシェイプ | ライブやセッションで使用歴あり。 |
こうしたギターを駆使することで、スコット・イアンは時代ごとに最適化されたリズムサウンドを実現してきました。特にJackson King VとRandall/EVHアンプの組み合わせは、彼の近年の代名詞ともいえるでしょう。今後も新しいシグネイチャーモデルが登場する可能性が高いと想定されます。
使用エフェクターとボード構成【Anthrax・Scott Ian】
スコット・イアンは、スラッシュメタルギタリストとしては珍しく「エフェクターを最小限に抑える」スタイルで知られています。基本的なサウンドはアンプの歪みをベースにしており、エフェクターは必要最小限の補助的な役割に留めています。それでもライブやレコーディングでは多くのペダルが使用されており、その構成は年代ごとに進化してきました。
1980年代から90年代初期にかけては、Marshall JCM800やRandallの歪みを活かし、ノイズゲートやワウ程度を使用するシンプルな構成でした。その後、Randallのシグネイチャーヘッドを導入するにあたり、ノイズリダクション(Rocktron Hush Super C)やソニックマキシマイザー(BBE 482I)をラックに組み込み、ライブでの安定性を高めています。
2000年代以降はDigitechやMXRのペダルが中心となり、特に自身のシグネイチャーペダル「Digitech Scott Ian Black 13 Distortion」を活用。これはスコットが実際に使用してきた7種類のリフサウンドをモデリングしたユニークなペダルで、彼のリズムプレイを再現する上で欠かせない存在です。また、MXR M-135 Smart Gateはタイトなメタルリフを支える定番で、不要なノイズを効果的にカットします。
さらに、MXR EVH Phase 90やCarbon Copy Delayといった空間系・モジュレーション系も導入され、楽曲ごとの演出に用いられます。ワウペダルとしてはMXR/CAE MC-404 Wahを使用し、ソロや特定のリフで表情を加えています。チューナーは定番のBoss TU-2やラック型のKorg DTR-1を採用し、ステージ上の信頼性を重視しています。
システム面では、Voodoo Lab Ground Control ProやRJM Effect Gizmoといったスイッチングシステムを導入し、複雑なエフェクトチェインをシンプルに管理しています。ワイヤレスシステムとしてはShure UHF-R WirelessやSamson UHF Synth 6を使用し、大規模ステージでも安定したパフォーマンスを確保しています。
このように、スコット・イアンのエフェクトボードはシンプルさと実用性を重視しながらも、必要に応じて多彩な音作りに対応できるよう設計されています。以下に主要エフェクターの一覧を表にまとめます。
| 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | エフェクターの種類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Digitech Scott Ian Black 13 Distortion | Digitech | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | ディストーション | 本人シグネイチャーペダル。代表的な7種類のリフサウンドを収録。 |
| Digitech Whammy | Digitech | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | ピッチシフター | ライブでの特殊効果に使用。 |
| Rocktron Hush Super C | Rocktron | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | ノイズリダクション | ラック式ノイズリダクション。90年代以降の定番。 |
| BBE 482I Sonic Maximizer | BBE | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | 空間系マルチエフェクター | 音抜けを改善し、ライブの迫力を補強。 |
| MXR M-135 Smart Gate | MXR | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | ノイズリダクション | リズムの切れ味を支える重要なペダル。 |
| MXR/CAE MC-404 Wah | MXR | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | ワウペダル | ソロやリフで表情を加える際に使用。 |
| MXR Carbon Copy Delay | MXR | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | ディレイ | 空間的な広がりを付与する定番ディレイ。 |
| Boss TU-2 Chromatic Tuner | BOSS | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | チューナー | ステージでの定番チューナー。 |
| Voodoo Lab Ground Control Pro | Voodoo Lab | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | スイッチングシステム | 複雑なボードをシンプルに制御可能。 |
| Shure UHF-R Wireless | Shure | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | ワイヤレスシステム | 大規模ステージでの安定した接続を実現。 |
このように、スコット・イアンはエフェクターに依存するよりも、必要な部分に絞って導入することで、シンプルながらも迫力あるサウンドを実現してきました。全体的に「リズムの安定性」と「ノイズの少なさ」を優先したボード構成になっていると想定されます。
音作りのセッティング・EQ・ミックスの工夫【Anthrax・Scott Ian】
スコット・イアンの音作りの本質は「リズムギターの存在感を最大化する」ことにあります。彼は常にバンド全体のサウンドを支えることを第一に考えており、リードギターやボーカルが埋もれず、同時にベースとドラムとの一体感を損なわないセッティングを行っています。そのため、EQやゲインの調整は非常に繊細で、シンプルながらも緻密な工夫が施されています。
まずゲイン設定について。スコットは「歪ませすぎない」ことを信条としています。スラッシュメタルというジャンルの特性上、ハイゲインは必須ですが、過度に歪ませるとリフの輪郭がぼやけてしまうため、アンプのゲインは5〜6程度に抑えることが多いとされています。特にMarshall JCM800時代はアンプのドライブを最大まで上げず、ブースターやイコライザーで補正することで、タイトで切れ味のある音を実現しました。
EQの傾向としては、中域をやや強調し、低域は引き締め、高域はシャープに設定するスタイルが基本です。例えば、RandallやEVH 5150 IIIを使用する際には、Bassを4〜5、Midを6〜7、Trebleを6前後にセットし、Presenceをやや高めにすることで、迫力と明瞭さを両立させます。この中域重視の設定が、スコット特有の「前に出るリズムギターサウンド」を形成しています。
また、ノイズ処理にも強いこだわりがあります。タイトなリフを支えるためにMXR Smart GateやRocktron Hushといったノイズリダクションを導入し、リフの切れ味を最大限保っています。特にAnthraxの楽曲はテンポが速く、頻繁なブレイクがあるため、不要なノイズを排除することはサウンドメイクにおいて必須です。
レコーディングにおいては、スコットのギターは「左右に硬く振るダブルトラッキング」が基本です。彼のリズムトーンは非常にタイトなため、左右に振った時に壁のような音圧を形成できます。これにより、中央のボーカルやリードギター、ベースドラムが明瞭に聴こえ、全体のバランスが整います。エンジニアはEQ処理でさらに中域を調整し、バンド全体のミックスに溶け込むよう仕上げています。
曲ごとのアプローチとしては、「Indians」や「Caught in a Mosh」ではピッキングの鋭さを活かしたタイトなセッティングが特徴で、ゲインを抑え気味にし、EQで中域をさらに強調する傾向があります。一方で「Only」や「Safe Home」といった比較的モダンな楽曲では、EVH 5150 IIIやRandallの厚みを活かし、低域を少し広げてよりモダンなサウンドを意識しています。
ライブにおいては、ギターの音を前に出しすぎないことも重要視されています。スコット自身、「リズムギターは全体のグルーヴを壊さず、ドラムとベースと一体になることが最優先」と語っており、そのためアンプのマスターボリュームやPAとのバランスにも強く気を配っています。エンジニアはライブでの音作りにおいて、ギターの200〜400Hz帯域を整理し、同時に2kHz前後をブーストすることで、リフがクリアに響くよう調整していると考えられます。
さらに、ミックス時にはコンプレッサーを軽くかけ、アタックを残しつつ全体の音圧を均一化。空間系エフェクト(ディレイやコーラス)はほとんど使わず、ドライなサウンドを維持するのが特徴です。これにより、Anthraxのスラッシュメタル特有のストレートな迫力を前面に押し出しています。
総じて、スコット・イアンの音作りは「歪ませすぎず、中域を押し出し、ノイズを徹底的に抑える」ことに集約されます。これらの工夫が、彼のリズムギターをメタル界随一の存在感あるサウンドにしていると想定されます。
比較的安価に音を近づける機材【Anthrax・Scott Ian】
スコット・イアンが使用する機材は、JacksonのシグネイチャーモデルやEVH 5150 IIIアンプといった本格的なプロ仕様が多いため、初心者や中級者にとっては高額で手が出しにくい場合があります。そこでここでは、比較的安価(1万円〜10万円程度)で入手でき、スコット・イアンのサウンドに近づけられる代替機材を紹介します。これらは入門者がAnthrax風のリフを再現する際に非常に有効で、特に「歪ませすぎないタイトなサウンド」と「ノイズの少なさ」を重視した選択になっています。
まずギターに関しては、Jacksonの廉価版シリーズJSシリーズやXシリーズが有力候補です。特にJackson JS32 King Vは、スコットが愛用するKing Vのデザインと雰囲気を持ちながら、価格は5万円前後と手頃で、初心者でも扱いやすい仕様になっています。ピックアップを交換すれば、より本格的なメタルサウンドに近づけることも可能です。
アンプに関しては、EVH 5150 IIIは非常に高価ですが、BOSS Katanaシリーズのようなモデリングアンプで代替可能です。BOSS Katana 50/100は、ハイゲインチャンネルで設定を工夫することで5150に近いタイトなサウンドを再現でき、さらに価格帯も3〜4万円台とリーズナブルです。また、Peavey Bandit 112なども、6505系の厚みを模した音作りが可能でおすすめです。
エフェクターについては、MXR M-135 Smart Gateは定番ですが、価格がやや高めのため、BOSS NS-2(ノイズサプレッサー)が代替として最適です。1万円前後で入手でき、リフの切れ味を損なわずに不要なノイズをカットできます。また、ディストーションペダルではBOSS DS-1やMXR Distortion+を使うと、Marshall JCM800風のドライな歪みを再現可能です。加えて、BOSS SD-1をブースターとして活用することで、80年代Anthraxのようなシャープなトーンを得ることができます。
さらに、初心者向けのマルチエフェクターも有効です。Line 6 POD GoやZOOM G5nは、EVH系やRandall系のモデリングが搭載されており、1台でギターからアンプ、エフェクトまで総合的に音作りをカバーできます。これにより、コストを抑えながら多彩な音色を試すことが可能になります。
このように、安価な機材を選びつつEQやゲイン設定を工夫することで、スコット・イアン風のリフを再現することは十分に可能です。特に「ミドルを強調し、ゲインを抑える」という基本的なセッティングを意識すれば、高価なシグネイチャーモデルがなくてもAnthraxらしいサウンドに近づけるでしょう。
| 種類 | 機材名 | メーカー | Amazon最安値URL | アーティスト | ギタリスト | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ギター | Jackson JS32 King V | Jackson | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | 廉価版King V。デザインが近く、ピックアップ交換でさらに本格的に。 |
| アンプ | BOSS Katana 100 | BOSS | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | EVH 5150 IIIの代替に最適。ハイゲインチャンネルでタイトなリフを再現可能。 |
| アンプ | Peavey Bandit 112 | Peavey | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | 6505系の厚みを再現できるトランジスタアンプ。価格も手頃。 |
| エフェクター | BOSS NS-2 Noise Suppressor | BOSS | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | Smart Gateの代替として有効。リフの切れ味を保ちながらノイズを除去。 |
| エフェクター | BOSS SD-1 Super Overdrive | BOSS | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | ブースターとして使用し、80年代Anthraxのトーンを再現可能。 |
| エフェクター | BOSS DS-1 Distortion | BOSS | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | Marshall JCM800風の歪みを安価に得られる定番。 |
| マルチエフェクター | Line 6 POD Go | Line 6 | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | EVHやRandallのモデリングを内蔵し、1台で完結できる万能機材。 |
| マルチエフェクター | ZOOM G5n | ZOOM | Amazonで探す | Anthrax | Scott Ian | 多彩なアンプモデルを搭載。EVH系サウンドの再現にも対応。 |
これらの機材をうまく組み合わせれば、比較的低予算でもスコット・イアン風の迫力あるリズムギターサウンドに近づけます。重要なのは高価なシグネイチャーモデルではなく、「ゲインを抑えたタイトなセッティング」と「中域の強調」を意識することで、Anthrax特有のメタルグルーヴを再現できる点です。
総括まとめ【Anthrax・Scott Ian】

スコット・イアンの音作りを総括すると、その核心は「リズムギターの力強さとタイトさ」にあります。彼は派手なソロやエフェクトに頼るのではなく、徹底的に精度の高いダウンピッキングと安定感のあるリフワークで、Anthraxというバンドの骨格を支えてきました。ギター機材やアンプの変遷はありつつも、サウンドの根底にある哲学は一貫しており、それが彼の音を唯一無二のものにしています。
80年代はMarshall JCM800とJackson Randy Rhoads Concordeの組み合わせで、スラッシュメタル初期の鋭く硬質なトーンを作り上げました。90年代から2000年代にかけてはRandallとの協業によるシグネイチャーアンプでモダンな厚みを加え、近年ではEVH 5150 IIIを「ドリームアンプ」と呼び、さらに進化したサウンドを獲得しています。ギターに関してもJackson King VやWashburnシグネイチャーを経て、現在はJackson T1000やATL Soloistなどを軸に展開しており、その時代ごとのトレンドを反映しながらも、リフ重視の姿勢は一切揺らいでいません。
また、EQやミックスの工夫も重要な要素です。彼の音は「歪ませすぎず、中域を押し出し、不要なノイズを徹底的に排除」することで成立しています。ノイズゲートやソニックマキシマイザーといった機材も、ただの付加ではなく、リズムをより際立たせるために計算され尽くされています。レコーディングではダブルトラッキングによって左右に広がる壁のようなサウンドを構築し、ライブではPAとのバランスを重視しながら「バンド全体の一体感」を最優先にしています。
これからスコット・イアン風の音作りを目指すなら、高価なシグネイチャーモデルを揃える必要は必ずしもありません。重要なのは「リズムの切れ味」「中域の強調」「ゲインを抑えた歪み」という3つの軸を意識することです。初心者であればJackson JSシリーズやBOSS Katanaなどのコストパフォーマンスに優れた機材で十分に雰囲気を再現可能ですし、上級者はEVH 5150 IIIやJackson King Vでより本格的に迫ることができます。
最終的に、スコット・イアンの音作りの本質は「シンプルさと徹底したリズムへのこだわり」です。彼のギターは決して複雑ではありませんが、その分1音ごとの存在感が強く、バンド全体のグルーヴを押し上げています。この「シンプルだからこそ強い」という哲学こそが、Anthraxのサウンドを支え、スラッシュメタルシーンにおける彼の絶対的な存在感を築いてきた要因だといえるでしょう。
下記恐らく使用(所持)している機材のまとめです。参考までに!
🎸 ギター
Jackson Scott Ian Signature T1000 Soloist
Jackson Scott Ian ATL Soloist
Jackson JJ-1 Scott Ian Signature
Jackson JJ-2 Scott Ian Signature
Jackson King V(シグネイチャーモデル含む)
Jackson Soloist
Jackson ’81 Randy Rhoads Concorde(1980年代中期メイン)
Jackson Adrian Smith San Dimas Dinky
Washburn SI60MW / SI60MWBR / SI61G / SI75TI / WSI10B
Washburn WV40VASI / WV540VASI
Washburn Scott Ian Slime Burst
Dean Dimebag Darrell Tribute
Gibson Flying V
補足:
・1980年代は白いカスタムショップ製「Randy Rhoads Concorde」をメインに使用。『Spreading the Disease』『Among the Living』で活躍。
・2000年代以降は主にJackson King Vのシグネイチャーモデルをメインに使用。
・ピックアップはSeymour Duncan製(El DiabloやJB系)を主に搭載。
🔊 アンプ
Randall Scott Ian Ultimate Nullifier Head
Randall RM100SI Scott Ian Head
Randall SI412 Cabinet
Randall V2 Head
Randall XL 4×12 Cabinet
Randall MTS Series RM100MF 100W
EVH 5150 III HD 100W/50W EL34(近年のメイン)
Peavey 6505+ 120W Head
Bogner Uberschall Series 120W
Marshall JCM800 Head(80年代メイン)
Fryette Pittbull Head
補足:
・80年代はMarshall JCM800を使用。
・近年はEVH 5150 III(EL34モデル)を「ドリームアンプ」と称してメインに使用。
🎛 エフェクター
Digitech Scott Ian Black 13 Distortion
Digitech Whammy
Digitech CF7 Chorus Factory
Digitech Digidelay Digital Delay
Rocktron Hush Super C Stereo Noise Reduction
BBE 482I Sonic Maximizer
Korg DTR-1 Rack Tuner
Boss TU-2 Chromatic Tuner
MXR EVH Phase 90
MXR M-135 Smart Gate
MXR/CAE MC-402 Boost/Overdrive
MXR/CAE MC-404 Wah
MXR Carbon Copy Delay
MXR M-148 Micro Chorus
TC Electronic Corona Chorus
TC Electronic Booster+ Line Driver Distortion
Voodoo Lab Ground Control Pro
RJM Effect Gizmo
Tour Supply Switcher
Shure UHF-R Wireless
Samson UHF Synth 6 Wireless



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